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ネットワーク階層とは?OSI参照モデルとTCP/IPの違いを解説

ネットワーク階層とは?OSI参照モデルとTCP/IPの違いを解説 IT・テクノロジー

私たちが毎日当たり前のようにスマートフォンで動画を見たり、友人とメッセージをやり取りしたりできるのはなぜでしょうか。

結論から言うと、ネットワーク通信の裏側で「プロトコル」という共通のルールが働き、それが「階層化」されて役割分担をしているからです。

代表的な階層モデルには、通信の役割を7つに分けた「OSI参照モデル」と、実際のインターネットで使われている4階層の「TCP/IPモデル」の2つがあります。

もしこのルールが存在しなかったら、異なるメーカーのスマホとパソコンの間で通信を行うことは決してできません。

この記事では、ITの基本であるネットワーク階層化の仕組みや、プロトコルがどのように連携して動いているのかを、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

通信の全体像を掴んで、ネットワークの基礎知識をしっかりと身につけましょう。

  1. ネットワーク通信の基本!「階層化」と「プロトコル」の仕組み
    1. プロトコルとは何か?通信を成立させる世界共通のルール
    2. なぜネットワークは階層化されているのか?その理由とメリット
    3. 階層化の仕組みがトラブルシューティングを簡単にする
  2. ネットワーク階層の基本「OSI参照モデル」全7階層の役割
    1. 第1層「物理層」と第2層「データリンク層」の物理的な通信
    2. 第3層「ネットワーク層」と第4層「トランスポート層」のルート確保
    3. 第5層〜第7層の「上位層」が担うアプリケーション側の処理
    4. 各階層のデータの呼び方と代表的な機器
  3. 現代インターネットの主流「TCP/IPモデル」と階層構造
    1. TCP/IPモデルとは?より実用的な4つの階層で構成される仕組み
    2. OSI参照モデルとTCP/IPモデルの違いが一目でわかる比較表
    3. 各階層で活躍する代表的なプロトコルとその役割
    4. 最近の変化:HTTP/3とQUIC
  4. プロトコルはどう連携する?「カプセル化」の仕組み
    1. 送信側の処理:データにヘッダを付け足していくカプセル化
    2. 受信側の処理:不要なヘッダを外してデータを復元する非カプセル化
    3. 階層間の独立性が保たれることでスムーズな通信が実現する
  5. ネットワーク階層の仕組みを「郵便配達」に例えて解説
    1. 手紙を書いてポストに投函するまで(上位層の役割)
    2. 郵便局の仕分けとトラックでの輸送(下位層の役割)
    3. Webサイト閲覧時に起きているプロトコルの連携プロセス
  6. ネットワーク階層に関するよくある質問
    1. OSI参照モデルとTCP/IPモデル、どちらを覚えればいい?
    2. 「L2」「L3」とは何のこと?
    3. プロトコルはだれが決めているの?
  7. ネットワーク階層とプロトコルの仕組みについてのまとめ

ネットワーク通信の基本!「階層化」と「プロトコル」の仕組み

パソコンやスマートフォンをインターネットに繋ぐとき、見えないところで膨大なやり取りが行われています。

まずは、通信の基本となる「プロトコル」と「階層化」の概念から紐解いていきましょう。

この2つの言葉の意味を知るだけで、ネットワークの全体像がぐっと掴みやすくなります。

プロトコルとは何か?通信を成立させる世界共通のルール

プロトコルとは、簡単に言えば「通信を成立させるための世界共通のルール」のことです。

人間同士が会話をするとき、日本語同士なら通じますが、日本語とフランス語では言葉が通じず会話が成り立ちませんよね。

コンピューターの世界でもこれと全く同じことが起こります。

Windowsのパソコン、AppleのiPhone、GoogleのAndroidスマートフォンなど、世の中には様々なメーカーの機器が存在しています。

これらの異なる機器同士がスムーズにデータをやり取りするためには、「この手順で通信を始めましょう」「データはこの形式で送りましょう」という共通の言語が必要不可欠です。

この共通言語こそがプロトコルと呼ばれる仕組みです。

通信の目的に合わせて様々な種類のプロトコルが用意されており、それらが適切に働くことで、私たちは世界中のWebサイトを閲覧できるというわけです。

なぜネットワークは階層化されているのか?その理由とメリット

それでは、なぜネットワークの通信ルールは「階層化」されているのでしょうか。

その最大の理由は、通信という非常に複雑な処理を、いくつかのグループに分けてシンプルにするためです。

もし、1つの巨大なプロトコルですべての通信処理(ケーブルの電気信号からWebブラウザの画面表示まで)を管理しようとすると、少しの仕様変更でもシステム全体を作り直さなければなりません。

しかし、役割ごとに階層化して分割しておけば、各階層が自分の担当する仕事だけに集中できます。

例えば、「Wi-Fiで接続するのか、有線のLANケーブルで接続するのか」といった物理的な接続方法は下の階層が担当し、「画面に文字や画像を表示する」といった処理は上の階層が担当します。

このように階層化の仕組みを取り入れることで、新しい技術が誕生した際も、該当する階層だけをアップデートすれば済むのです。

開発の効率を飛躍的に高めることができる点が、階層化の大きなメリットと言えます。

階層化の仕組みがトラブルシューティングを簡単にする

ネットワークの階層化は、インターネットに繋がらないといったトラブルが発生した際にも大きな力を発揮します。

問題の原因がどこにあるのかを、階層ごとに切り分けて探ることができるからです。

たとえば「Webサイトが見られない」というトラブルが起きたとしましょう。

このとき、階層化の考え方に基づいて一番下の物理的な部分から順番にチェックしていきます。

「LANケーブルは抜けていないか」「Wi-Fiの電波は届いているか」を確認し、そこが問題なければ、次はIPアドレスが正しく設定されているかといった上の階層へと調査を進めます。

すべての処理がごちゃ混ぜになっていたら、どこでエラーが起きているのかを見つけるのは至難の業です。

階層ごとに役割が独立しているからこそ、原因の特定と解決がスムーズに行えるのですね。

実際のトラブル対応では、次のように下の階層から順番に確かめていくのが基本です。

  • 物理層・データリンク層:ケーブルの抜けやWi-Fiの接続状態、ルーターのランプを確認する
  • ネットワーク層:パソコンにIPアドレスが割り当てられているか(Windowsなら「ipconfig」コマンド)、ルーターや外部のサーバーに「ping」コマンドで応答があるかを確認する
  • アプリケーション層:URL(ドメイン名)をIPアドレスに変換するDNSが正しく動いているか(「nslookup」コマンド)、特定のサイトだけ見られないのかを確認する

「pingは通るのにWebサイトが見られない」なら、ネットワーク層までは正常で、DNSやアプリケーション側に原因がありそうだ、と絞り込めるわけです。

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ネットワーク階層の基本「OSI参照モデル」全7階層の役割

ネットワークの階層化を学ぶ上で避けて通れないのが「OSI参照モデル」です。

これは、国際標準化機構(ISO)によって1984年に定められた、通信機能の役割を7つの階層に分けたモデルのことを指します。

現在の通信の仕組みを理解するための「基礎となる設計図」として、非常に重要な概念です。

7つの階層は、上から順に「アプリケーション層・プレゼンテーション層・セッション層・トランスポート層・ネットワーク層・データリンク層・物理層」です。頭文字をとって「アプセトネデブ」と覚える方法が、資格試験の勉強などでよく使われています。

第1層「物理層」と第2層「データリンク層」の物理的な通信

OSI参照モデルの一番下に位置するのが、第1層の「物理層」です。

ここでは、データを電気信号や光信号に変換して、ケーブルや電波を通じて送り出す役割を担っています。

LANケーブルの形状やWi-Fiの電波の強さなど、目に見える物理的なハードウェアの規格はここで決められています。

その1つ上の第2層が「データリンク層」です。

物理層で繋がった「直接の隣同士」にある機器との間で、エラーのない確実なデータ転送を行うためのルールを取り決めます。 送信元と宛先の「MACアドレス(原則として機器固有に割り当てられる識別番号)」を使って、正しくデータが相手に届くように制御する大切な階層です。 (※近年ではプライバシー保護の観点から、ネットワーク接続ごとにランダムなMACアドレスを生成する機能を持つスマートフォンやパソコンも普及しています。)

この2つの層がしっかり働くことで、まずは機器同士の物理的な繋がりが確保されます。

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第3層「ネットワーク層」と第4層「トランスポート層」のルート確保

通信相手が同じ部屋の中ではなく、遠く離れた海外のサーバーだった場合、隣接する機器との通信だけではデータが届きません。

そこで活躍するのが、第3層の「ネットワーク層」です。

ここでは「IPアドレス」を使用して、世界中に無数にあるネットワークの中から、最終的な目的地までの最適なルート(経路)を見つけ出します。

カーナビが目的地までの道順を案内してくれるようなイメージを持つと分かりやすいでしょう。

そして、第4層の「トランスポート層」は、その見つけ出したルートを通って「データが確実に相手に届いたか」を管理します。

もし途中でデータが迷子になったり、一部が欠落したりした場合は、再送を要求して完全な状態にします。

通信の信頼性を担保するための、非常に重要な役割を担っている階層なのです。

また、トランスポート層は「ポート番号」という番号を使って、届いたデータをどのアプリケーションに渡すかを振り分けます。IPアドレスが「建物の住所」だとすると、ポート番号は「部屋番号」のようなものです。たとえばWebサイトの閲覧には、HTTPなら80番、HTTPSなら443番が標準で使われます。

第5層〜第7層の「上位層」が担うアプリケーション側の処理

第5層の「セッション層」は、通信の開始から終了までの手順(セッション)を管理します。

いつ通信を始めて、いつ終わらせるのかというタイミングを調整する役割です。

続く第6層の「プレゼンテーション層」は、データの表現形式を整えます。

文字コードの変換や、データの暗号化・圧縮などを行い、コンピューターが理解できる形から、人間が使うアプリケーションが理解できる形へと翻訳する通訳のような存在です。

一番上の第7層「アプリケーション層」は、ユーザーが直接触れるソフトウェアにネットワーク機能を提供する窓口となります。

私たちが使っているWebブラウザやメールソフトなどは、このアプリケーション層のプロトコルを利用して画面に情報を表示しています。

これら7つの階層が連携して初めて、快適なネットワーク通信が実現しているわけです。

各階層のデータの呼び方と代表的な機器

階層ごとに、扱うデータのまとまりの呼び方や、その階層で働く代表的な機器が異なります。ネットワーク機器を選ぶときや資格試験の勉強でよく出てくるので、表で整理しておきましょう。

階層データの呼び方代表的な機器
第7〜5層(上位層)データ(メッセージ)パソコン・サーバー上のアプリケーション
第4層:トランスポート層セグメント(UDPではデータグラム)L4スイッチ、ファイアウォール(ポート番号で通信を制御するもの)
第3層:ネットワーク層パケットルーター、L3スイッチ
第2層:データリンク層フレームスイッチ(L2スイッチ)、無線LANアクセスポイント
第1層:物理層ビット(信号)LANケーブル、リピーター、ハブ

家庭にある「Wi-Fiルーター」は、ルーター(第3層)、スイッチ(第2層)、無線LANアクセスポイント(第1・2層)など、複数の階層の機能を1台にまとめた機器です。

現代インターネットの主流「TCP/IPモデル」と階層構造

OSI参照モデルは通信の仕組みを理解するための「理論上のモデル」として優秀ですが、実際に私たちが使っているインターネットで広く普及しているのは「TCP/IPモデル」という別の階層化モデルです。

ここでは、より実用的なTCP/IPモデルの仕組みを見ていきましょう。

TCP/IPモデルとは?より実用的な4つの階層で構成される仕組み

TCP/IPモデルは、インターネットの発展とともに事実上の世界標準(デファクトスタンダード)となったネットワーク階層モデルです。

OSI参照モデルが7つの階層に細分化されているのに対し、TCP/IPモデルはよりシンプルに「4つの階層」で構成されています。

理論を重視して作られたOSI参照モデルとは異なり、TCP/IPモデルは「実際に通信を成功させること」を最優先に開発されました。

そのため、現在のパソコンやスマートフォンなど、インターネットに接続するほぼすべての機器は、このTCP/IPモデルのプロトコル群をベースに動いています。

階層をシンプルにまとめることで、処理の効率化を図っているのが特徴と言えますね。

OSI参照モデルとTCP/IPモデルの違いが一目でわかる比較表

OSI参照モデルの7階層と、TCP/IPモデルの4階層は、全く別のものというわけではなく、お互いに対応する役割を持っています。

どのような対応関係になっているのか、以下の比較表で確認してみましょう。

OSI参照モデルTCP/IPモデル階層の主な役割代表的なプロトコル
第7層:アプリケーション層アプリケーション層アプリケーション固有の通信ルールHTTP, HTTPS, DNS, SMTP
第6層:プレゼンテーション層(上記に含まれる)データの形式変換・暗号化–
第5層:セッション層(上記に含まれる)通信の開始・終了の管理–
第4層:トランスポート層トランスポート層通信の信頼性確保とデータ振り分けTCP, UDP
第3層:ネットワーク層インターネット層宛先までの経路選択とデータ転送IP, ICMP
第2層:データリンク層ネットワーク・インターフェース層隣接機器とのデータ転送Ethernet, Wi-Fi
第1層:物理層(上記に含まれる)電気信号や光信号の変換–

このように、TCP/IPモデルではOSI参照モデルの上位3つの層をまとめて「アプリケーション層」として扱い、下位の2つの層をまとめて「ネットワーク・インターフェース層」として扱っています。

非常にスッキリと整理されていることがお分かりいただけるでしょう。

なお、教科書によっては、ネットワーク・インターフェース層を「データリンク層」と「物理層」に分けた5階層で説明することもあります。考え方は同じなので、「下の2つをまとめるかどうかの違い」と理解しておけば問題ありません。

各階層で活躍する代表的なプロトコルとその役割

TCP/IPモデルの各階層では、それぞれ特定の役割を持ったプロトコルが活躍しています。

代表的なものをいくつか紹介します。

インターネット層で使われる「IP(Internet Protocol)」は、データの宛先であるIPアドレスを管理し、目的地へ届ける役割を持ちます。

トランスポート層の「TCP(Transmission Control Protocol)」は、データが確実に届いたかを確認しながら通信を行う、とても真面目で信頼性の高いプロトコルです。

同じトランスポート層には「UDP(User Datagram Protocol)」もあります。UDPは届いたかどうかの確認を省くかわりに、処理が軽く高速です。多少データが欠けても遅れないことが大事な、ビデオ通話やオンラインゲーム、後述するDNSの問い合わせなどに使われています。

そして、一番上のアプリケーション層で使われるのが「HTTP(HyperText Transfer Protocol)」です。 皆さんがWebブラウザでサイトを閲覧するときに必ず使われているプロトコルで、URLの先頭にある「http://」でおなじみですね。 (※現在よく見かける「https://」は、このHTTPに暗号化の仕組みであるSSL/TLSを組み合わせたもので、厳密には別のプロトコルとして扱われます。)

同じアプリケーション層の「DNS(Domain Name System)」も欠かせません。「kick-freedom.com」のような人間に分かりやすいドメイン名を、コンピューターが使うIPアドレスに変換する、インターネットの電話帳のような仕組みです。

HTTPSで使われるSSL/TLSは、暗号化を担うことからOSI参照モデルのプレゼンテーション層やセッション層の役割に近いと説明されることもありますが、どの層に当てはめるかは資料によって異なります。モデルはあくまで理解のための目安で、実際のプロトコルがきれいに1つの層に収まるとは限らない点も覚えておきましょう。

このように、様々なプロトコルが各階層で役割を分担しながら、私たちの通信を支えているのです。

最近の変化:HTTP/3とQUIC

プロトコルは一度決まったら終わりではなく、時代に合わせて新しいものが登場しています。代表例が、2021年に標準化された「QUIC(クイック)」と、それを使う「HTTP/3」(2022年に標準化)です。

従来のHTTPはトランスポート層にTCPを使っていましたが、QUICはUDPの上で動き、接続の確立や暗号化の手順をまとめて行うことで、ページ表示までの待ち時間を短くしています。すでに主要なWebブラウザや大手のWebサービスで使われており、私たちが知らないうちに利用していることも珍しくありません。

このように新しいプロトコルを導入できるのも、階層化のおかげです。下の階層(IPやWi-Fiなど)はそのままに、上の階層の仕組みだけを入れ替えられるからです。

プロトコルはどう連携する?「カプセル化」の仕組み

階層化されたネットワークにおいて、データはただそのまま送られるわけではありません。

データを安全かつ確実に届けるために、各階層のプロトコルが協力して「荷造り」を行います。

この荷造りの仕組みである「カプセル化」について解説します。

送信側の処理:データにヘッダを付け足していくカプセル化

送信側の機器からデータが送り出されるとき、データはアプリケーション層から始まり、下の階層へと順番に渡されていきます。

このとき、各階層を通過するごとに、その階層のプロトコルが「ヘッダ」と呼ばれる制御情報をデータにくっつけます。

このヘッダには、「宛先はどこか」「どのアプリケーションに渡すか」といった重要な情報が書き込まれています。

上の階層から受け取ったデータに自階層のヘッダを付け、全体をひとつのカプセルで包み込んで下の階層へ渡す。

マトリョーシカ人形のように、データが何重にも包まれていくこの過程を「カプセル化」と呼びます。

最終的に物理層にたどり着いたときには、様々なヘッダが付加された状態となり、電気信号に変換されてケーブルの中へと送り出されるわけです。

受信側の処理:不要なヘッダを外してデータを復元する非カプセル化

一方、データを受け取る側の機器では、送信側とは全く逆の処理が行われます。

物理層で電気信号を受け取ると、今度は下の階層から上の階層へと順番にデータが引き渡されていきます。

各階層のプロトコルは、自分に宛てられたヘッダの内容を読み取り、指示に従って処理を行った後、そのヘッダを取り外します。

そして、中身のデータだけをひとつ上の階層へと渡していくのです。

この手順を「非カプセル化」と呼びます。

階層を上がるごとにヘッダが次々と外されていき、最終的に一番上のアプリケーション層に到達したときには、送信側が送った元の純粋なデータだけが残ります。

このカプセル化と非カプセル化の連携作業によって、複雑なネットワークを越えて正確なデータ通信が実現しているのですね。

階層間の独立性が保たれることでスムーズな通信が実現する

カプセル化の仕組みが優れているのは、各階層が「自分の担当するヘッダ」のことだけを考えれば良いという点です。

たとえば、トランスポート層は自分の付けたTCPヘッダの内容だけを確認し、その中身のデータ(アプリケーション層のデータ)がどのような意味を持つのかは一切気にしません。

このように階層ごとの独立性が保たれているおかげで、ネットワークの構成要素を自由に組み合わせることができます。

スマホの通信手段をWi-Fiからモバイル回線(4G・5G)に切り替えても、同じWebブラウザやアプリをそのまま使い続けられるのは、この階層ごとの独立性があるからこそだと言えます。ブラウザは「下の階層が電波なのかケーブルなのか」を気にする必要がないのです。

ただし厳密には、回線を切り替えるとスマホのIPアドレスが変わるため、TCPの接続はいったん切れ、アプリが自動でつなぎ直しています。前述のQUICには、IPアドレスが変わっても接続を引き継げる仕組みが用意されており、回線の切り替え時に通信が途切れにくくなっています。

ネットワーク階層の仕組みを「郵便配達」に例えて解説

ネットワーク階層やプロトコルの仕組みは少し専門的で難しく感じるかもしれません。

そこで、私たちが普段よく利用している「郵便配達」のシステムに例えて、全体像をイメージしてみましょう。

手紙を書いてポストに投函するまで(上位層の役割)

あなたが遠くに住む友人に手紙を送る場面を想像してください。

まず、便箋に伝えたいメッセージを書きます。これが「アプリケーション層」で作成された元のデータです。

次に、その手紙を相手が読める言語(日本語など)で書くというルールが「プレゼンテーション層」に当たります。

そして、手紙を封筒に入れ、表面に宛先の住所や名前、裏面に自分の住所や名前を書きますよね。

この「宛先や差出人の情報を書き加える作業」が、ネットワーク層やトランスポート層で行われる「ヘッダの追加(カプセル化)」と同じ意味を持ちます。

宛先を明確にすることで、手紙というデータがどこへ向かえばいいのかが確定します。

ここまで準備ができたら、ポストに手紙を投函します。

郵便局の仕分けとトラックでの輸送(下位層の役割)

ポストに投函された手紙は、郵便局員によって回収され、郵便局へと運ばれます。

郵便局では、宛先の住所(IPアドレスに相当)を見て、「これは北海道行き」「これは九州行き」というようにルートを決定し、仕分けを行います。

これが「ネットワーク層(インターネット層)」の行うルーティング(経路選択)の役割です。

仕分けられた手紙はトラックや飛行機などの輸送手段に乗せられ、次の郵便局へと物理的に運ばれていきます。

この「トラックで道路を走って運ぶ」という物理的な移動手段が、「データリンク層」や「物理層」の役割に該当します。

途中の経路が高速道路(光回線)であっても、一般道(モバイル回線)であっても、手紙の中身(元のデータ)には全く影響を与えずに、確実に相手の家のポストまで届けられるというわけです。

Webサイト閲覧時に起きているプロトコルの連携プロセス

この郵便配達の仕組みを、実際のWebサイト閲覧に当てはめてみましょう。

ブラウザのアドレスバーにURLを入力すると、まずDNSによって、ドメイン名からWebサーバーのIPアドレス(手紙でいう相手の住所)が調べられます。住所が分かると、アプリケーション層の「HTTP」プロトコルが「このWebページを見せてください」というリクエスト(手紙)を作成します。

そのリクエストは、トランスポート層の「TCP」によって確実な配達保証が付けられ、インターネット層の「IP」によってサーバーの住所(IPアドレス)が記された封筒に入れられます。

最後にネットワーク・インターフェース層によって電気信号に変換され、LANケーブルやWi-Fiを経由してWebサーバーへと飛んでいきます。

サーバー側では手紙を受け取ると、逆の手順(非カプセル化)でリクエストの中身を読み取り、求められたWebページの画像やテキストデータを同じようにカプセル化して送り返してくれます。

私たちが画面をクリックして一瞬でページが表示される間にも、このような素晴らしい連携プレーが何度も繰り返されているのですね。

IPアドレス確認&使用環境チェックツール|ブラウザ・OS・回線情報をワンクリックで表示

ネットワーク階層に関するよくある質問

OSI参照モデルとTCP/IPモデル、どちらを覚えればいい?

両方の対応関係を押さえておくのがおすすめです。実際のインターネットはTCP/IPモデルで動いていますが、「L2スイッチ」「L3スイッチ」のように機器の説明やトラブル対応の会話ではOSI参照モデルの層の番号がよく使われます。基本情報技術者試験などの資格試験でも、どちらも出題範囲に含まれています。

「L2」「L3」とは何のこと?

「Layer(レイヤー)」の頭文字で、OSI参照モデルの第2層、第3層を指します。たとえば「L3スイッチ」は、第3層(ネットワーク層)のルーティング機能を持つスイッチのことです。

プロトコルはだれが決めているの?

インターネットで使われるTCP/IPやHTTPなどの多くは、IETF(Internet Engineering Task Force)という標準化団体が「RFC」という文書で公開しています。Wi-Fiや有線LANの規格はIEEE(米国電気電子学会)が定めています。誰でも仕様を読めるからこそ、世界中のメーカーの機器同士がつながるのです。

ネットワーク階層とプロトコルの仕組みについてのまとめ

ネットワーク通信の裏側で働いている「階層化」と「プロトコルの仕組み」について解説しました。

複雑に見えるインターネットの世界も、役割ごとに階層を分け、それぞれに共通のルール(プロトコル)を定めることで、シンプルかつ確実な通信を実現しています。

OSI参照モデルの7階層や、TCP/IPモデルの4階層の考え方を理解しておくと、ITに関するニュースや新しい技術が登場した際にも「これはどの階層の話をしているのか」が直感的に分かるようになります。

ぜひ本記事で学んだ基礎知識を、今後の学習や実務に役立ててみてください。

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