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ミース(Mys)とは?スウェーデン語の意味と心地よい暮らし方

ミース(Mys)とは?スウェーデン語の意味と心地よい暮らし方 地域・文化・旅行・観光

スウェーデンの文化である「ミース(Mys)」とは、一言でいうと「居心地の良い空間で、心からリラックスして楽しむ時間」を意味する言葉です。

厳しい寒さと長い冬を乗り切るために生まれた北欧ならではの知恵であり、近年ではウェルビーイングな暮らしのヒントとして日本でも注目を集めています。

この記事では、ミースの詳しい意味や語源、似た言葉である「ヒュッゲ」との違い、そして今日から自宅で実践できるミースな過ごし方やインテリアのコツまでを分かりやすく解説します。

  1. スウェーデンの「ミース(Mys)」とは?基本的な意味と語源
    1. 「居心地の良さ」や「楽しい時間」を表すスウェーデン語
    2. 日常会話で使われる「Mysa(ミーサ)」と「Mysig(ミーシグ)」
    3. なぜスウェーデンでミースが大切にされているのか?背景にある気候と幸福度
  2. ミース(Mys)と他の北欧ライフスタイル用語との違い【比較表】
    1. デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」との違い
    2. スウェーデンの「フィーカ(Fika)」との違い
    3. スウェーデンの「ラーゴム(Lagom)」との違い
  3. スウェーデン人が愛するミース(Mys)の具体的な5つの実践スタイル
    1. フレダグスミース(Fredagsmys):金曜夜の定番リラックスタイム
    2. フルコストミース(Frukostmys):休日の朝をゆっくり楽しむ時間
    3. ファミリエミース(Familjemys):家族で過ごす温かな団らん
    4. ヘストミース・ヴィンテルミース(Höstmys / Vintermys):秋冬の夜長を楽しむ工夫
    5. シェイミース(Tjejmys):気心の知れた友人たちとのおしゃべり
  4. 日本の日常生活に「ミース(Mys)」を取り入れる5つの方法
    1. 天井の強い照明を消し、キャンドルや間接照明を灯す
    2. 肌触りの良いブランケットやルームウェアを用意する
    3. 温かい飲み物と少しのお菓子(スナック)を準備する
    4. デジタルデバイスの通知を切り、今この瞬間に集中する
    5. 完璧を求めず「手抜き」をポジティブに楽しむ
  5. ミース(Mys)な空間を作る北欧流インテリア・家づくりのコツ
    1. 木材やファブリックなど自然素材のぬくもりを取り入れる
    2. 白・ベージュ・グレーなど目に優しいアースカラーで統一する
    3. 光を柔らかく拡散させる「多灯分散照明」を配置する
    4. 視界のノイズを減らすシンプルな整理収納を心がける
  6. まとめ:スウェーデンの「ミース(Mys)」で日常に小さな幸せを

スウェーデンの「ミース(Mys)」とは?基本的な意味と語源

北欧スウェーデンの人々の暮らしを語るうえで欠かせないキーワードが「ミース(Mys)」です。近年は「北欧の心地よい暮らし方」として日本でも紹介される機会が増えています。

ミースは単なる単語ではなく、スウェーデン人の価値観や幸福感に深く根ざしたライフスタイルそのものを表しています。まずは、この言葉が持つ基本的な意味や日常での使われ方、そして誕生した背景にある北欧の気候について詳しく見ていきましょう。

「居心地の良さ」や「楽しい時間」を表すスウェーデン語

「ミース(Mys)」を日本語に直訳すると、「居心地の良さ」「快適さ」「楽しいこと」「ぬくもり」といった意味になります。英語では「Cozy(コージー)」に最も近いニュアンスを持っていますが、単に物理的な空間が快適であるだけでなく、そこで過ごす「時間の心地よさ」や「心の充足感」まで含んでいるのが大きな特徴です。

たとえば、肌寒い夜に暖かい部屋でブランケットにくるまりながら映画を観たり、気の置けない友人や家族とキャンドルの灯りのもとで語り合ったりする時間は、すべて「ミース」と呼ぶことができます。

贅沢でお金をかけた特別なイベントではなく、日常の中にあるささやかで穏やかな幸せを味わい尽くすこと。それこそが、スウェーデンの人々が大切にしているミースの本質です。

日常会話で使われる「Mysa(ミーサ)」と「Mysig(ミーシグ)」

スウェーデンの日常会話では、名詞である「Mys(ミース)」だけでなく、動詞や形容詞に変化させた形も頻繁に登場します。現地での使われ方を知ると、ミースという概念がより立体的にイメージできるようになるはずです。

動詞の「Mysa(ミーサ)」は、「くつろぐ」「いちゃつく」「心地よい時間を過ごす」といった動作を表します。「今夜は家でゆっくりミーサしよう」といった具合に、リラックスして過ごすこと自体を一つの目的として表現する際に使われます。

また、形容詞の「Mysig(ミーシグ)」は、「居心地が良い」「素敵な」「温かみのある」という意味です。おしゃれで落ち着くカフェを見つけたときや、友人の家のインテリアが素敵なときに「ここは本当にミーシグだね!」と褒め言葉として使われます。場所だけでなく、人や雰囲気に対しても使える非常にポジティブで温かい言葉です。

なぜスウェーデンでミースが大切にされているのか?背景にある気候と幸福度

スウェーデンでこれほどまでにミースが発達した最大の理由は、北欧特有の厳しい自然環境にあります。スウェーデンの冬は長く、日照時間が極端に短くなります。12月の冬至の頃には、首都ストックホルムでも日照時間は1日約6時間ほどになり、北極圏にある北部の地域では、太陽がほとんど昇らない「極夜」の時期もあります。

外が暗く凍えるように寒い季節を、ただ春を待ちわびながら憂鬱に過ごすのではなく、「家の中を徹底的に心地よくして、冬の暗ささえも楽しんでしまおう」という逆転の発想から生まれたのがミースの文化です。

こうした「日常の小さな幸せを見つける力」は、国民の幸福度にも直結しています。国連の持続可能開発ソリューション・ネットワークが発表した「世界幸福度報告書(World Happiness Report 2026)」において、スウェーデンは世界第5位にランクインしており、例年上位の常連です。外的な環境に左右されず、自分たちで心地よい時間を作り出すミースの精神が、心の豊かさを支えているのです。

参考:The World Happiness Report(公式サイト)

ミース(Mys)と他の北欧ライフスタイル用語との違い【比較表】

北欧には、ミース以外にも魅力的で豊かなライフスタイルを表す言葉がいくつも存在します。日本でもすでに定着しているデンマークの「ヒュッゲ」や、スウェーデンの「フィーカ」「ラーゴム」などと比べて、ミースにはどのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの言葉の意味や発祥国、特徴を一目で比較できる表にまとめました。似たようなイメージを持たれがちですが、焦点を当てているポイントや使われるシチュエーションには明確な違いがあります。

用語発祥国主な意味・ニュアンス実践する場面・特徴
ミース(Mys)スウェーデン居心地の良さ、リラックスして楽しむ時間金曜の夜や週末、おうち時間全般。個人でも家族でも、日常のくつろぎの瞬間を楽しむ。
ヒュッゲ(Hygge)デンマーク温かく居心地の良い雰囲気、満ち足りた空間家庭内の環境づくりや、親しい人との穏やかな繋がりなど、精神的な幸福感や空間の質を重視。
フィーカ(Fika)スウェーデン甘いお菓子と楽しむコーヒーブレイク職場や家庭での休憩時間(1日2回程度)。コミュニケーションと気分転換が主な目的。
ラーゴム(Lagom)スウェーデン多すぎず少なすぎない、ちょうど良さ買い物、働き方、インテリアなど生活全般における「足るを知る」バランスの取れた哲学。

デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」との違い

ミースと最もよく比較されるのが、デンマーク語の「ヒュッゲ(Hygge)」です。どちらも「居心地の良さ」や「温かな時間」を意味するため、ほぼ同じ概念として紹介されることも少なくありません。しかし、両者には微妙なニュアンスの違いが存在します。

デンマークのヒュッゲは、空間全体の雰囲気や、心のあり方といった「状態」や「哲学」に近い意味合いを強く持っています。一方でスウェーデンのミースは、「ソファでごろごろする」「映画を観ながらお菓子を食べる」といった、より具体的でパーソナルな「行動」や「瞬間」に焦点が当てられる傾向があります。

また、ミースは後述する「金曜日のミース」のように、他の単語と組み合わせて「〇〇なリラックスタイム」という具体的なイベントとして使われることが多いのも、ヒュッゲにはないユニークな特徴です。

デンマーク発祥の幸福論「ヒュッゲ(Hygge)」とは?日本での日常的な楽しみ方と取り入れ方

スウェーデンの「フィーカ(Fika)」との違い

同じスウェーデン発祥の言葉として有名な「フィーカ(Fika)」は、コーヒーと甘い焼き菓子(シナモンロールなど)を片手に楽しむ休憩時間を指します。ミースとフィーカはどちらもリラックスする時間ですが、行う時間帯と目的に違いがあります。

フィーカは基本的に日中の活動時間に行われるもので、職場での同僚とのコミュニケーションや、家事の合間のリフレッシュといった「オンとオフの切り替え」の役割を担っています。スウェーデンでは、午前と午後にフィーカの時間をとる職場も多く、社会的な習慣として定着しています。

それに対してミースは、仕事や学校がすべて終わった後の「完全なオフの時間」に行われます。パジャマや部屋着に着替え、照明を落として心身を休めるディープなリラックスタイムがミースだと考えると分かりやすいでしょう。

フィーカ(Fika)とは?スウェーデン流・幸福度を高めるコーヒーブレイクの秘密と定番お菓子を解説

スウェーデンの「ラーゴム(Lagom)」との違い

「ラーゴム(Lagom)」もスウェーデンを代表する価値観の一つで、「多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい」という意味を持つ言葉です。無理をせず、自分にとって適度なバランスを保つという人生哲学を表しています。

ラーゴムが働き方や消費行動、環境への配慮など「生き方の指針」であるのに対し、ミースは「今この瞬間の心地よさを味わう実践的な楽しみ」です。

もっとも、この2つは深く繋がっています。「豪華なレストランに行かなくても、自宅のソファで食べるタコスとお菓子で十分に幸せ」と感じるミースの感覚は、まさに身の丈に合った幸せを肯定するラーゴムの精神が土台になっているからです。

ラーゴムとは?スウェーデン発「ちょうどいい」幸福なライフスタイルの実践方法

スウェーデン人が愛するミース(Mys)の具体的な5つの実践スタイル

スウェーデン語のおもしろい特徴として、「〇〇+mys(ミース)」というように、曜日や季節、状況を表す言葉の後ろにミースをくっつけて、さまざまな複合語を作れる点が挙げられます。

現地の人々は、生活のあらゆるシーンにミースを見出し、それぞれに合った楽しみ方を実践しています。ここでは、スウェーデンで特に愛されている代表的な5つのミースのスタイルをご紹介します。

フレダグスミース(Fredagsmys):金曜夜の定番リラックスタイム

スウェーデンで最も有名で、国民的な習慣となっているのが「フレダグスミース(Fredagsmys=金曜日のミース)」です。1週間の仕事や学校を終えた金曜日の夜、外に飲みに行くのではなく、まっすぐ家に帰って家族やパートナーとソファでくつろぐ時間を指します。

フレダグスミースには、スウェーデンならではの定番メニューがあります。それは、夕食に「タコス」を食べ、その後に「量り売りのキャンディ(ルースゴディス/lösgodis)」やポテトチップスをつまみながらテレビや映画を観るというスタイルです。

なぜ北欧でメキシコ料理のタコスなのかと不思議に思うかもしれませんが、野菜やお肉を切って並べるだけで準備が簡単に済み、子どもから大人まで自分の好きな具材を巻いて楽しく食べられるため、金曜日の夜に料理の手間を省いてくつろぐのにぴったりのメニューとして広まり、今では「タコスの金曜日」と呼ばれるほどの定番になっています。

参考:Visit Sweden(スウェーデン政府観光局公式サイト)

フルコストミース(Frukostmys):休日の朝をゆっくり楽しむ時間

「フルコスト(Frukost)」とはスウェーデン語で「朝食」を意味し、「フルコストミース」は「心地よい朝食の時間」を指します。平日の朝はどうしても慌ただしくなりがちですが、週末や休日の朝は時間を気にせず、ゆっくりと朝食を楽しむのがスウェーデン流です。

焼きたてのパンやチーズ、ハム、ゆで卵、フルーツなどをテーブルに並べ、淹れたての温かいコーヒーを味わいながら、家族と語らったり新聞を読んだりします。ときにはベッドの中にトレイを持ち込んで、パジャマのまま朝食をとることもあります。

朝一番に自分の心を満たす穏やかな時間を持つことで、休日全体の充実感がぐっと高まる素敵な習慣です。

ファミリエミース(Familjemys):家族で過ごす温かな団らん

「ファミリエ(Familje)」は「家族」という意味で、「ファミリエミース」は家族全員で過ごす温かく居心地の良い時間を表します。共働き世帯が一般的で、平日はそれぞれ忙しいスウェーデンだからこそ、家族で意識的に心を寄せ合う時間がとても大切にされています。

ファミリエミースの過ごし方に決まりはありません。リビングに集まってボードゲームやカードゲームに熱中したり、一緒にお菓子作りをしてオーブンから漂う甘い香りを楽しんだり、大きなブランケットをシェアして身を寄せ合ったりします。

スマートフォンやパソコンの画面から少し離れ、目の前にいる家族との会話や触れ合いに集中することが、ファミリエミースを充実させる一番の秘訣です。

ヘストミース・ヴィンテルミース(Höstmys / Vintermys):秋冬の夜長を楽しむ工夫

季節の名前と組み合わせた「ヘストミース(秋のミース)」や「ヴィンテルミース(冬のミース)」もよく使われる言葉です。木々が色づき、風が冷たくなって日が短くなり始めると、スウェーデンの人々は「いよいよミースの季節がやってきた!」とポジティブに捉えます。

外が暗く寒いからこそ、家の中の暖かさや光の美しさが際立ちます。厚手のウールの靴下を履き、暖炉に薪をくべたり、部屋のあちこちにキャンドルを灯したりして、秋冬ならではの籠もり感を満喫します。

シナモンやカルダモンなどのスパイスが効いた温かい飲み物(「グロッグ(glögg)」と呼ばれるホットワインなど)を用意して、静かな秋の夜長や冬の静寂を味わうのは、まさに大人の贅沢なミースと言えます。

シェイミース(Tjejmys):気心の知れた友人たちとのおしゃべり

「シェイ(Tjej)」は「女の子・女性」を意味し、「シェイミース」はいわゆる「おうち女子会」のような、親しい女友達同士で集まってリラックスする時間を指します。

おしゃれをして街のレストランへ出かけるのも楽しいものですが、シェイミースでは誰かの家に集まり、すっぴんにスウェットといった楽な格好で過ごすのが一般的です。美味しいデリやワイン、スイーツを持ち寄り、ソファで足を伸ばしながら近況報告に花を咲かせます。

気をつかわず、ありのままの自分でいられる友人と、フェイスマスクをして美容ケアをしたり、懐かしい映画を観たりする時間は、日頃のストレスを吹き飛ばしてくれる最高のデトックスになります。

日本の日常生活に「ミース(Mys)」を取り入れる5つの方法

スウェーデンのミースは、特別な道具や広い家がなくても、ちょっとした意識の切り替えだけで日本の私たちの暮らしにも簡単に取り入れることができます。

仕事や家事に追われて「なんだか毎日が忙しなく過ぎていく」と感じている方にこそ試してほしい、今日から自宅で実践できる5つの具体的なアクションをご紹介します。

天井の強い照明を消し、キャンドルや間接照明を灯す

ミースな雰囲気を作るために最も効果的で、すぐに実践できるのが「光のコントロール」です。日本の住宅では、夜になっても部屋全体を隅々まで明るく照らす白色のシーリングライト(天井照明)をつけっぱなしにすることが多いですが、これでは脳が昼間だと錯覚し、なかなかリラックスモードに切り替わりません。

夕食を終えてくつろぐ時間になったら、思い切って天井のメイン照明を消してみましょう。その代わりに、オレンジ色の温かみがあるテーブルランプやフロアライトなどの間接照明を灯します。

さらに、テーブルの上に小さなティーライトキャンドルを1〜2個灯してみてください。ゆらゆらと揺れる炎を眺めていると、自然と気持ちが落ち着いてくるものです。部屋に柔らかい陰影が生まれるだけで、見慣れたリビングが驚くほどミースな空間に変わります。

肌触りの良いブランケットやルームウェアを用意する

視覚だけでなく、「触覚」から心地よさを得ることもミースの重要な要素です。家に帰ったら、体を締め付ける外出着から、肌触りが良くゆったりとしたルームウェアへすぐに着替えましょう。

また、ソファやベッドの周りには、自分が触れていて「気持ちいい」と感じる素材のアイテムを置いておくのがおすすめです。ふわふわのニットや、なめらかなウール、オーガニックコットンなど、お気に入りのブランケットやクッションをいくつか用意しておきます。

少し肌寒いときに、温かいブランケットにすっぽりとくるまる瞬間の幸福感は格別です。足元を温めるモコモコのルームソックスも、ミースの時間をより快適にしてくれる頼もしい味方になります。

温かい飲み物と少しのお菓子(スナック)を準備する

心地よい空間が整ったら、お気に入りのマグカップに温かい飲み物を淹れましょう。香り高いコーヒーや紅茶、夜遅い時間であればノンカフェインのハーブティーやホットミルク、ココアなどがぴったりです。

そして、飲み物のお供には、自分が心から好きだと思える少しのお菓子やスナックを添えます。スウェーデンのフレダグスミースに倣って、金曜日の夜だけはカロリーや栄養バランスを少しだけ忘れ、大好きなチョコレートやポテトチップス、アイスクリームなどを罪悪感なしに楽しむ「ご褒美タイム」にするのも素敵です。

大切なのは、テレビやスマホを見ながら無意識に口へ運ぶのではなく、「美味しいな」「幸せだな」と味や香りをしっかりと感じながら味わうことです。

デジタルデバイスの通知を切り、今この瞬間に集中する

現代の私たちが自宅でうまくリラックスできない大きな原因の一つに、スマートフォンやSNSからの絶え間ない情報流入があります。せっかく部屋を暗くして美味しいお茶を淹れても、仕事のメールを見たり、他人のキラキラしたSNS投稿を見て比較したりしていては、心は休まりません。

ミースを実践するときは、意識的に「デジタルデトックス」を取り入れてみましょう。スマートフォンの通知をオフにするか、手の届かない別の部屋に置いておくのが効果的です。

映画を観るならそのストーリーだけに没頭し、読書をするならページをめくる音と文字の世界に浸り、雨の日なら窓を打つ雨音に静かに耳を傾けます。「今、ここにある心地よさ」に100%意識を向けるマインドフルな時間こそが、心の疲れをほぐしてくれます。

完璧を求めず「手抜き」をポジティブに楽しむ

真面目で几帳面な人ほど、「リラックスする時間を作るために、まず部屋を完璧に片付けて、手の込んだ料理を作らなければ」とハードルを上げてしまいがちです。しかし、準備で疲れてしまっては本末転倒です。

スウェーデンのミースは、もっと自由で「手抜き」に寛容な文化です。部屋が少し散らかっていても、照明を落としてキャンドルを灯せば、散らかり具合は暗闇に隠れて気にならなくなります。

食事だって、週末くらいはデリバリーのピザやテイクアウトのお惣菜、あるいは簡単に作れるタコスやホットプレート料理で十分です。「今日は何もしない、徹底的に自分を甘やかす日!」と決めて、家事の負担を手放すことが、真のミースへの第一歩となります。

ミース(Mys)な空間を作る北欧流インテリア・家づくりのコツ

日常の過ごし方だけでなく、住まいのインテリアや部屋づくりそのものにミースの考え方を取り入れると、家に帰るだけで自然と心がほぐれるようになります。

木のぬくもりや柔らかな光を大切にする北欧の住空間の作り方は、日本の住まいとも相性が良いのが特徴です。ここでは、自宅をミースな空間にアップデートするための4つのデザインポイントを解説します。

木材やファブリックなど自然素材のぬくもりを取り入れる

北欧インテリアの基本であり、ミースな空間づくりに欠かせないのが「自然素材(ナチュラルマテリアル)」の活用です。プラスチックや金属などの人工的で冷たい素材を減らし、視覚的にも触感的にも温かみを感じられる素材を部屋の主役に据えましょう。

たとえば、ダイニングテーブルやチェア、チェストなどの家具には、オークやパイン、バーチ(白樺)といった木目の美しい木材を選びます。賃貸住宅で床材を変えられない場合でも、天然素材のウールラグを敷くだけで空間の印象は大きく変わります。

さらに、リネン(麻)のカーテンやコットンのクッションカバー、観葉植物のグリーンなどをプラスすることで、まるで森の中で深呼吸しているような、穏やかで優しい空気が部屋全体に流れるようになります。

白・ベージュ・グレーなど目に優しいアースカラーで統一する

部屋の色使い(カラーコーディネート)は、そこにいる人の心理状態にダイレクトに影響を与えます。ミースな空間を目指すなら、ベースカラーは白、アイボリー、ベージュ、ライトグレーといった「ニュートラルカラー」や「アースカラー」で統一するのが鉄則です。

彩度の高いビビッドな色や、強すぎるコントラストは交感神経を刺激して目を疲れさせてしまいます。壁や大きな家具、ラグなどは淡く落ち着いたトーンでまとめ、空間に広がりと静けさを持たせましょう。

もし差し色(アクセントカラー)を入れる場合も、くすみのあるブルーやセージグリーン、テラコッタ、マスタードイエローなど、自然界に存在する優しい色味をクッションやアートポスターで少量取り入れると、落ち着きを損なわずに洗練された北欧らしい部屋に仕上がります。

光を柔らかく拡散させる「多灯分散照明」を配置する

先ほど「過ごし方」の項目でも照明の重要性に触れましたが、インテリアの視点からは「多灯分散照明(たとうぶんさんしょうめい)」のレイアウトを取り入れるのがおすすめです。一室一灯で部屋全体を均一に照らすのではなく、複数の小さな光源を部屋のあちこちに散りばめる手法です。

具体的には、以下のような3つの高さを意識して照明を配置すると、空間に美しい奥行きとリズムが生まれます。

  • 高い位置:ダイニングテーブルの上を優しく照らすペンダントライト
  • 中間の位置:ソファ横で読書灯としても使えるフロアスタンドや、棚の上のテーブルランプ
  • 低い位置:足元や壁際をほんのり照らすフットライトやキャンドル

電球の色はすべて、夕日のような温かみのある「電球色(色温度が2700K〜3000K程度のもの)」で揃えましょう。また、電球が直接目に入ると眩しさを感じるため、和紙やファブリック、乳白色のガラスシェードなど、光をふんわりと拡散させるデザインの照明器具を選ぶのがポイントです。

視界のノイズを減らすシンプルな整理収納を心がける

どんなにおしゃれな家具や照明を揃えても、テーブルの上に郵便物や日用品が山積みになっていたり、家電のコードが複雑に絡み合っていたりすると、視界から入る情報(視覚ノイズ)が多すぎて脳がリラックスできません。

ミースな空間を保つためには、実用性とシンプルさを兼ね備えた整理収納の工夫が必要です。すべての物を捨てるミニマリストになる必要はありませんが、「普段使わない日用品や生活感の出るものは、扉付きのキャビネットや引き出しの中に隠す」「お気に入りの雑貨や本だけを、余白を持たせて飾る」というメリハリをつけましょう。

特に、くつろぎの中心となるソファに座ったとき、自分の視界に入るエリアだけでもスッキリと整えておくと、帰宅してソファに腰を下ろした瞬間のストレスがぐっと軽くなります。お気に入りのバスケット(かご)を一つ用意し、散らかりがちなリモコンやブランケットをポンと放り込める「一時避難場所」を作っておくのも、無理なく綺麗を保つ北欧流の知恵です。

まとめ:スウェーデンの「ミース(Mys)」で日常に小さな幸せを

スウェーデンの言葉「ミース(Mys)」の意味や、現地での実践スタイル、そして日本の暮らしに取り入れる方法について解説してきました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  • ミース(Mys)の意味:スウェーデン語で「居心地の良さ」「楽しい時間」を表す言葉であり、日常のささやかな幸せを味わうライフスタイル。
  • 誕生の背景:日照時間が短く厳しい北欧の冬を、家の中で明るく快適に楽しむための知恵として発展した。
  • 他の用語との違い:デンマークの「ヒュッゲ」よりも具体的な行動や瞬間を指し、日中の休憩である「フィーカ」に対して、ミースは完全なオフのくつろぎ時間を指す。
  • 代表的なスタイル:金曜夜にタコスやお菓子を楽しむ「フレダグスミース」をはじめ、朝食、家族、秋冬、友人など多様なシーンで実践されている。
  • 実践のコツ:夜は天井照明を消して間接照明やキャンドルを灯し、肌触りの良い素材と温かい飲み物を用意して、スマホから離れて「今」を楽しむ。

ミースを実践するのに、高いお金や特別な準備は何ひとつ必要ありません。今夜、部屋の電気を少しだけ暗くして、お気に入りのマグカップで温かい飲み物を飲むこと。そんな小さな行動から、あなたのミースはもう始まっています。

忙しい毎日のなかで少し心が疲れたときは、ぜひスウェーデンの人々の知恵である「ミース」を思い出し、自分や大切な人を甘やかす心地よい時間を意識的に作ってみてくださいね。