団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)は、2026年に77〜79歳を迎えます。全員が75歳以上の後期高齢者となり、定年後の生活は「資産を取り崩しながら、体力と人とのつながりを保つ」段階に入りました。
結論から言うと、これからの生活を豊かにする柱は次の3つです。
- お金:平均値ではなく中央値と毎月の収支を見て、「あと何年もつか」を数字で把握する。
- 趣味:体への負担が少なく、人と会う機会が生まれるものを1つ持つ。
- 健康:メタボ対策よりも「フレイル(虚弱)」対策を優先し、食べる・動く・出かけるを続ける。
本記事では、2026年10月時点で確認できる最新の統計と制度(2026年度の年金額、2026年8月に見直された高額療養費制度など)をもとに、貯蓄の目安、シニア世代に人気の趣味、健康寿命を延ばすための具体的な行動を解説します。漠然とした不安を解消し、今日から始められる充実した生活のヒントを持ち帰ってください。
団塊の世代の現在地と定年後のリアルな生活実態
「2025年問題」を経て、団塊の世代の皆様は全員が75歳以上の後期高齢者となりました。かつての「定年直後」とは異なり、これからは資産を取り崩しながら生活するフェーズに入ります。まずは、同世代の経済状況と生活のリアルを客観的な数字で確認しましょう。
団塊の世代は2026年に77〜79歳。健康寿命を超えた先をどう過ごすか
厚生労働省の「令和7年簡易生命表」(2026年7月公表)によると、2025年の日本人の平均寿命は男性81.35年、女性87.33年です。一方、日常生活に制限なく過ごせる期間を示す「健康寿命」は、最新の公表値(2022年)で男性72.57年、女性75.45年となっています。
つまり団塊の世代は、統計上の健康寿命をすでに超えた年齢にいます。ここから先の生活の質を分けるのは、「元気なうちに何をするか」よりも「いまの体力と資産をどれだけ長く保てるか」です。お金・趣味・健康の3つを別々に考えるのではなく、「外出する趣味が体力を保ち、体力が医療・介護費を抑える」という一つの流れとして捉えると、やるべきことが整理しやすくなります。
70代の貯蓄額「平均値」と「中央値」の大きな差
老後の資金計画を立てる際、平均値だけを見て安心したり焦ったりするのは危険です。一部の富裕層が数字を引き上げているため、より実態に近い「中央値」を確認することが重要です。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、70歳代の金融資産保有額は次のとおりです。
| 項目 | 平均値 | 中央値 | 金融資産がない世帯 |
|---|---|---|---|
| 二人以上世帯(70歳代) | 2,416万円 | 1,178万円 | 10.9% |
| 単身世帯(70歳代) | 1,489万円 | 500万円 | 20.4% |
※金融資産を保有していない世帯を含む数値です。日常の出し入れ・引き落としに備えた預貯金は含みません。
平均値と中央値には、二人以上世帯で約1,200万円、単身世帯で約1,000万円もの開きがあります。総務省の「家計調査(貯蓄・負債編)2025年」でも、世帯主が70歳以上の二人以上世帯の貯蓄現在高は平均2,471万円ですが、二人以上世帯全体では平均値(2,059万円)を下回る世帯が66.1%と約3分の2を占めています。「平均より少ない」のは多数派であり、それだけで悲観する必要はありません。
中央値を見ると、現役時代のような潤沢な資金があるわけではない世帯が多いことがわかります。年金収入だけで生活費を賄える世帯は限られており、毎月の赤字分を貯蓄から補填するスタイルが一般的です。
参考:家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果の概要(総務省統計局)
参考:家計の金融行動に関する世論調査 2025年(金融経済教育推進機構)
年金暮らしの家計は毎月いくら不足する?夫婦で約4.2万円、単身で約3万円
貯蓄額と同じくらい大切なのが「毎月いくら減っていくのか」です。総務省の「家計調査(家計収支編)2025年」による、65歳以上の無職世帯の1か月の収支は次のとおりです。
| 項目(月額) | 夫婦のみの無職世帯 | 単身の無職世帯 |
|---|---|---|
| 実収入(うち年金などの社会保障給付) | 254,395円(228,614円) | 131,456円(120,212円) |
| 税・社会保険料 | 32,850円 | 12,990円 |
| 消費支出 | 263,979円 | 148,445円 |
| 毎月の不足分 | 42,434円 | 29,980円 |
この不足分を貯蓄から補うと、夫婦世帯で年間約51万円、単身世帯で年間約36万円が減っていきます。20年間続けば夫婦で約1,020万円、単身で約720万円です。先ほどの中央値(二人以上世帯1,178万円、単身世帯500万円)と見比べると、「平均的な暮らし方では余裕が大きいとは言えない」ことがわかります。
ただし、年齢が上がると支出は自然に減る傾向があります。同じ調査で二人以上の無職世帯を年齢別に見ると、不足分は65〜69歳で月51,287円、70〜74歳で月37,245円、75歳以上では月27,225円まで縮小しています。団塊の世代はすでに「支出が落ち着く年代」に入っているため、まずは自分の家計の不足額を通帳で確認し、平均と比べて多いか少ないかを把握することから始めましょう。
参考:家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要(総務省統計局)
2026年度の年金額は増額。ただし物価の上昇には追いついていない
2026年度(令和8年度)の年金額は、前年度から国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。老齢基礎年金の満額は月70,608円で、団塊の世代を含む昭和31年4月1日以前生まれの方は月70,408円です。夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は、月237,279円となっています。
一方で、改定の基準となった前年の物価変動率はプラス3.2%でした。年金額は増えていても、物価の上昇分には届いておらず、実質的な購買力は目減りしています。「年金が増えたから大丈夫」と考えるのではなく、食費や光熱費の値上がりを前提に家計を組み立てることが必要です。
75歳以上の医療費|窓口負担と高額療養費は2026年8月に見直し
団塊の世代にとって、これから最も読みにくい支出が医療費です。75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、窓口負担は原則1割、一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得の方は3割です。2割負担になるのは、課税所得が28万円以上で、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯で200万円以上、複数世帯で合計320万円以上の方で、加入者の約20%が該当します。
ここ1年で、次の2つの変更がありました。
- 2割負担の方への配慮措置が終了(2025年9月30日):外来の負担増を月3,000円までに抑える措置がなくなりました。
- 高額療養費制度の見直し(2026年8月診療分から):1か月の自己負担の上限額が引き上げられ、あわせて年単位の上限(年間上限)が設けられました。
70歳以上(窓口負担1割・2割の方)の自己負担の上限額は、2026年8月から2027年7月まで次のとおりです。
| 所得区分 | 外来(個人ごと・月額) | 外来+入院(世帯ごと・月額) |
|---|---|---|
| 一般(年収約370万円まで) | 22,000円 (年間上限216,000円) | 61,500円 |
| 住民税非課税 | 11,000円 (年間上限96,000円) | 25,700円 |
| 住民税非課税(所得が一定以下) | 8,000円 | 15,700円 |
見直し前の外来の上限は、一般区分で月18,000円(年間上限144,000円)、住民税非課税区分で月8,000円でした。通院が多い方ほど影響を受けますが、住民税非課税区分には年間上限96,000円(月8,000円×12か月分)が新設されたため、毎月上限まで支払っている方の年間負担は変わらない仕組みになっています。なお、2027年8月には所得区分をさらに細かく分ける見直しが予定されています。
自分がどの区分に当たるかは、保険証(資格確認書)の負担割合や、お住まいの都道府県の後期高齢者医療広域連合・市区町村の窓口で確認できます。医療費の「上限」を知っておくと、手元に置くべき現金の目安も立てやすくなります。
参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省)
参考:後期高齢者の窓口負担割合の変更等(厚生労働省)
「資産寿命」を延ばすための考え方
人生100年時代において、身体の寿命よりも先に資産が尽きる事態は避けなければなりません。75歳からの資産管理で大切なのは「増やす」ことよりも「守りながら使う」ことです。
目安として、「いまの貯蓄額 ÷ 年間の不足額」で資産がもつ年数を計算してみましょう。たとえば貯蓄1,000万円・不足が月3万円(年36万円)なら約27年、不足が月5万円(年60万円)なら約16年です。この年数が心もとない場合は、以下の4つの見直しが効果的です。
- 固定費のダウンサイジング:乗らなくなった車の処分や、過剰な保険の解約、通信費の見直し(格安スマホへの移行)。
- 医療・介護費の確保:突然の入院や介護リフォームに備え、手元に流動性の高い現金(普通預金)を300万〜500万円程度は確保しておく。
- ポイ活やシニア割の活用:JRの「大人の休日倶楽部」や映画館のシニア割引など、年齢による特権をフル活用して支出を抑える。満65歳以上が入会できる「ジパング倶楽部」は、全国のJRのきっぷが年20回まで20〜30%割引になる(年会費や利用距離などの条件あり)。
- 判断力が落ちたときの備え:通帳・印鑑・保険証券の保管場所と、引き落とし口座の一覧を家族と共有しておく。預金の出し入れを家族に頼む方法(代理人カードや任意後見制度など)も、元気なうちに金融機関や自治体の窓口で確認しておく。
4つ目は見落とされがちですが重要です。厚生労働省の研究班(九州大学・二宮利治教授)の推計では、2025年時点の認知症高齢者は約471.6万人、その手前の軽度認知障害(MCI)は約564.3万人とされています。お金の管理が難しくなってからでは選べる手段が限られるため、「まだ早い」と感じる今のうちに家族と話しておくことが、資産を守るうえで最も確実な対策です。
定年後の生活を充実させる「趣味」の選び方と人気トレンド
仕事という役割を卒業した後、心の張り合いとなるのが「趣味」です。しかし、「何をすればいいかわからない」という方も少なくありません。ここでは、複数の最新調査を基に、団塊の世代に支持されている趣味の傾向を紹介します。
【2025-2026年版】シニア世代に人気の趣味トップ5(総合版)
ソニー生命保険やモバイル社会研究所などの最新データを分析すると、シニア世代の趣味は「外出・旅行」といったアクティブな活動と、「デジタル活用・鑑賞」といったインドアな活動の二極化が進んでいます。
ソニー生命保険の「シニアの生活意識調査2025」(50〜79歳の男女1,000名が対象)では、現在の楽しみの1位は「旅行」(45.2%)で、2位「テレビ/ドラマ」(38.3%)、3位「映画」(28.6%)、4位「読書」(27.6%)、5位「グルメ」(26.2%)と続きました。旅行を楽しみにしている人の1か月あたりの出費は平均3.4万円で、3年連続で増えています。
また、モバイル社会研究所が60〜84歳を対象に行った「2025年シニア調査」では、趣味として最も多かったのは「テレビ視聴」で、次いで「散歩・ウォーキング」「庭いじり・ガーデニング・野菜作り」「旅行」の順でした。年齢が上がるほど、遠出よりも自宅や近所でできる活動の比重が高まる傾向が読み取れます。
これらの調査結果を総合し、当サイトが独自にまとめた人気ランキングは以下の通りです。
| 順位 | 趣味のジャンル | 人気の理由・特徴 |
|---|---|---|
| 1位 | 国内旅行・温泉 | 多くの調査で不動の1位。夫婦での思い出作りや、全国の美食を楽しむ活動として人気。平日利用で安く行けるのも魅力。 |
| 2位 | 散歩・ウォーキング | 健康意識の高まりにより上位に。特別な道具が不要で、スマホの歩数計アプリと連動させて楽しむ人が増加中。 |
| 3位 | 家庭菜園・ガーデニング | 植物の成長を見守る喜びと、収穫した野菜を食べる実益を兼ねる。適度な運動として継続しやすい。 |
| 4位 | 読書・映画鑑賞 | 自宅でマイペースに楽しめる定番の趣味。最近は電子書籍や動画配信サービス(VOD)を利用するシニアも急増。 |
| 5位 | パソコン・スマホ活用 | SNSでの交流、株取引、プログラミング学習など。指先を使うため脳トレとしての効果も期待されている。 |
※本ランキングは、ソニー生命保険「シニアの生活意識調査2025」およびモバイル社会研究所「シニアの趣味に関する実態調査」などのデータを参考に、当サイトが独自に構成したものです。調査結果そのものの順位ではありません。
70代後半からの趣味選びで失敗しない3つの基準
人気の趣味が自分に合うとは限りません。77〜79歳という年齢を踏まえると、次の3つの基準で選ぶと長続きしやすくなります。
- 体調に合わせて量を調整できるか:「今日は30分だけ」「今日は見学だけ」ができる趣味は、体調に波があっても続けられます。散歩や家庭菜園が上位に入るのは、この調整のしやすさが理由の一つです。
- 人と顔を合わせる機会があるか:同じ読書でも、図書館に通う、読書会に参加するといった形にすると外出と会話が生まれます。一人で完結する趣味ほど、月に1回でも人と関わる場を組み合わせるのがおすすめです。
- 毎月の費用が家計の不足額を広げないか:始める前に「月いくらまで」と上限を決めておきます。道具を一式そろえる前に、体験教室やレンタルで試すと無駄な出費を防げます。
よくある失敗は、退職直後の感覚のまま高額な道具や会員権を購入し、体力の変化で通えなくなるケースです。「いまの自分が週1回、無理なく続けられるか」を基準にすると、選択を誤りにくくなります。
お金をかけずに楽しめる「実益を兼ねた趣味」
年金生活において、趣味にお金をかけすぎるのは不安要素です。そこで注目されているのが、コストを抑えつつ実益や社会貢献につながる活動です。
例えば、シルバー人材センターでの軽作業は、収入を得ながら社会との接点を持てます。原則60歳以上で健康かつ働く意欲のある方が会員になれ、全国平均では月8〜10日の就業で月3万〜5万円程度が目安とされています(仕事の量や収入が保証されるわけではなく、年会費が必要です)。先ほどの「毎月の不足分」をちょうど埋められる金額であり、家計と健康の両方に効く選択肢と言えます。
また、料理教室に通って自炊スキルを上げることは、食費の節約と健康管理に直結します。図書館を活用した歴史研究や、地域のボランティアガイドなども、知的好奇心を満たすコストパフォーマンスの高い趣味と言えます。
お金のかからない趣味30選!無料 or 少額で楽しめるインドア・アウトドアな趣味を徹底解説健康寿命を延ばすための「フレイル」対策
団塊の世代が今、最も意識すべきは生活習慣病(メタボ)対策よりも、「フレイル(虚弱)」対策です。75歳を過ぎると、筋肉量や気力が低下しやすくなります。フレイルは健康な状態と要介護状態の中間にあたり、早めに気づいて対策すれば元の状態に戻れる可能性がある点が特徴です。
フレイルかどうかを確かめる5つのチェック項目
フレイルの判定には、国立長寿医療研究センターによる「日本版CHS基準(J-CHS基準・2020年改定)」が広く使われています。次の5項目のうち、いくつ当てはまるかを確認してみましょう。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 体重減少 | 6か月で2kg以上、意図せず体重が減った |
| 筋力低下 | 握力が男性28kg未満、女性18kg未満 |
| 疲労感 | ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがする |
| 歩行速度 | ふだんの歩く速さが秒速1.0m未満 |
| 身体活動 | 軽い運動・体操も、定期的な運動・スポーツも、週に1回もしていない |
3項目以上に当てはまると「フレイル」、1〜2項目なら前段階の「プレフレイル」とされます。歩行速度の秒速1.0mは、横断歩道を青信号のうちに渡りきれるかどうかが一つの目安です。握力は自治体の健康教室や体力測定会で測れることが多いので、機会があれば確認しておきましょう。気になる項目がある場合は、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してください。
「きょういく」と「きょうよう」が老化を防ぐ
健康長寿の秘訣として、シニア世代の合言葉になっているのが「きょういく」と「きょうよう」です。
- 今日、行く(きょういく)ところがある:外出する目的や予定があること。
- 今日、用(きょうよう)がある:誰かに必要とされたり、役割があったりすること。
外出や人との交流といった社会参加は、身体活動・栄養と並ぶフレイル予防の柱とされています。家に閉じこもらず、一日一回は外の空気を吸い、人と挨拶を交わすことが最大の健康法です。
予定がない日が続く方は、「週の予定を先に埋める」のがコツです。月曜は図書館、水曜は体操教室、金曜は買い物というように曜日で固定すると、気分に左右されずに外出が習慣になります。行き先が思い浮かばない場合は、市区町村や地域包括支援センターが案内している「通いの場」(体操や茶話会などの住民主体の集まり)を尋ねてみましょう。
1日約6,000歩と週2〜3日の筋トレが運動の目安
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、高齢者に対して次の目安を示しています。
- 歩行、またはそれと同等以上の強さの身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)
- 筋力トレーニングを週2〜3日
- 筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を週3日以上
- 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにする
大切なのは、この数字に届かなくても意味があるという点です。同ガイドは、推奨量に満たない場合でも、その人に合った強さと量の身体活動を少しでも行うことが重要だとしています。40分は連続でなくてもかまいません。買い物の往復、庭の手入れ、掃除などを合計して考えましょう。筋力トレーニングは、椅子からゆっくり立ち座りを繰り返す、椅子の背につかまってかかとを上げ下げするといった、自宅でできる動きから始めれば十分です。持病がある方は、運動の内容を主治医に相談してから取り組んでください。
タンパク質の摂取と口腔ケア
食事面では、粗食になりすぎないことが重要です。「あっさりしたもの」ばかり食べていると、タンパク質不足により筋肉が減少(サルコペニア)します。肉、魚、卵、大豆製品を毎食意識して取り入れましょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65歳以上のたんぱく質の推奨量は1日あたり男性60g、女性50gです。さらに、フレイル予防の観点から、65歳以上は1日の総エネルギーの15〜20%をたんぱく質からとることが目標とされています。朝食がパンとコーヒーだけになりがちな方は、卵やヨーグルト、納豆を1品足すだけでも1日の合計が変わります。ただし、腎臓病などで食事制限を受けている方は、必ず主治医の指示を優先してください。
また、口の機能が衰える「オーラルフレイル」にも注意が必要です。硬いものが噛めなくなると、食事が偏り、全身の虚弱につながります。歯科検診を定期的に受け、自分の歯で噛める状態を維持することが、定年後の生活の質を左右します。
参考:パンフレット「食べて元気にフレイル予防」(厚生労働省)
団塊の世代の定年後の生活でよくある質問
貯蓄が中央値より少ない場合はどうすればいい?
まず確認したいのは貯蓄額そのものではなく、毎月の不足額です。年金の範囲内で暮らせていれば、貯蓄が少なくても資産は減りません。不足がある場合は、通信費・保険・車といった固定費から見直し、体力に無理のない範囲でシルバー人材センターなどの就業を組み合わせる方法があります。医療費は高額療養費制度で月ごとの上限が決まっており、住民税非課税世帯は上限額が低く設定されています。生活そのものが苦しい場合は、一人で抱え込まずに市区町村の福祉窓口や地域包括支援センターに相談してください。
70代後半から新しい趣味を始めても遅くない?
遅くありません。上達を目的にするのではなく、「出かける理由」と「人と話すきっかけ」を作ることを目的にすれば、始めたその日から効果があります。自治体の広報紙や公民館の掲示には、1回数百円で参加できる講座や体験会が載っていることが多いので、まずは1回だけ参加してみるのがおすすめです。
一人暮らしで外出のきっかけがないときは?
お住まいの地域の地域包括支援センターに、「近くで参加できる集まりはありますか」と尋ねてみてください。体操教室やサロンなど、高齢者が歩いて通える場を紹介してもらえます。決まった曜日に決まった場所へ行く習慣ができると、顔見知りが増え、体調の変化に周囲が気づいてくれるという安心にもつながります。
まとめ
団塊の世代の定年後の生活は、75歳を過ぎた今、新たな局面を迎えています。平均値に惑わされずに堅実な資金管理を行い、フレイル予防を意識した生活習慣を取り入れることが大切です。
- お金:70歳代の金融資産の中央値は二人以上世帯で1,178万円、単身世帯で500万円。毎月の不足額を把握し、「貯蓄 ÷ 年間の不足額」で資産がもつ年数を確認する。
- 制度:2026年8月から高額療養費の上限額が変わった。自分の所得区分と医療費の上限を知っておく。
- 趣味:体調に合わせて調整でき、人と会う機会があり、家計を圧迫しないものを選ぶ。
- 健康:5項目でフレイルをチェックし、1日約6,000歩・たんぱく質・歯科検診を習慣にする。
そして何より、無理にお金をかけなくても、散歩やデジタル活用など、日常の中には楽しめる趣味がたくさんあります。「今日行くところ」と「今日ある用事」を大切にし、社会や家族との緩やかなつながりを保ちながら、自分らしい豊かな時間を過ごしてください。
