
パソコンが起動しない時の原因特定方法と対処法:トラブルを解決するステップバイステップガイド
パソコンが起動しないと、時間が止まったような感覚になりますよね。でも、慌てずに一つずつ原因を探っていけば、解決策が見つかります。ここでは、パソコンが起動しないときの原因の特定方法と、その対処法をわかりやすく解説します。
あくまでも参考としてまとめていますので、操作においては自己責任でお願いします。分からない設定や不安要素がある操作は無理には行わず、ハードルが低いものから試すと無難です。
電源が入らない場合
原因の特定方法
- 電源ケーブルの確認:コンセントや電源タップ、パソコン本体の電源ケーブルがしっかり差し込まれているか確認します。
- 電源ボタンの反応:電源ボタンを押してもランプが点灯しない、ファンが回らない場合は電源不良の可能性があります。
- 別のコンセントを試す:壁のコンセントや電源タップに問題があるかもしれません。
対処法
- ケーブルの再接続:すべての電源ケーブルを一度抜いてから、しっかりと再接続します。
- 電源ユニットの確認(デスクトップの場合):背面の電源スイッチがオンになっているか、電源ユニットのケーブルが正しく接続されているか確認します。
- バッテリーの確認(ノートパソコンの場合):バッテリーを取り外してACアダプターのみで起動を試します。また、ACアダプター自体が故障していないか確認します。
電源ケーブルを抜く際は、他のケーブルと間違えないように気を付けてください。他の人が使っているパソコンの電源や、サーバーとして稼働しているパソコンの電源ケーブルを抜いてしまうと、おおごとになりかねません。
電源は入るが画面が表示されない場合
原因の特定方法
- モニターの電源と接続:モニターが正しく接続され、電源が入っているか確認します。
- ケーブルの不具合:ディスプレイケーブル(HDMI、DisplayPort、VGAなど)が故障していないか確認します。
- 明るさ設定:明るさが最低になっていないか、モニターの設定を確認します。
- 外部出力の切り替え(ノートパソコンの場合):「Fn」キー+「F◯」キー(F4、F5、F7、F8 など、機種によって異なる) でディスプレイ出力の設定を切り替えます。または、「Windowsキー」+「P」キー を押して、ディスプレイモードを変更できます。詳細は下記の「外部出力の切り替え方法について」をご参照ください。
ノートパソコンでは、外部ディスプレイへの切り替えを行う「ディスプレイ切り替えキー」が存在しますが、このキーの割り当ては メーカーごと、またはモデルごと に異なります。
メーカー別の主なディスプレイ切り替えキー
メーカー | ディスプレイ切り替えキー(Fnキーと併用) |
---|---|
Dell | F8 または F1 |
HP | F4 または F1 |
Lenovo | F7 または F10 |
ASUS | F8 または F7 |
Acer | F5 または F4 |
Toshiba | F5 または F4 |
共通する切り替え方法
ほとんどのノートパソコンでは、「Fn」キーを押しながらディスプレイ切り替えキー(F4、F5、F7、F8 など)を押すことで、出力先を切り替えられます。
Windows 10/11 では、「Windowsキー」+「P」キー を押して、「ディスプレイモードの選択」メニュー(PC画面のみ / 複製 / 拡張 / セカンドスクリーンのみ)を開くことも可能です。
対処法
- ケーブルの交換:別のケーブルを試してみて、表示されるか確認します。
- 別のモニターを試す:モニター自体の故障を確認するために、他のモニターやテレビに接続してみます。
- グラフィックスカードの確認(デスクトップの場合):内部のグラフィックスカードが正しく挿入されているか、接続が緩んでいないか確認します。
エラーメッセージが表示される場合
原因の特定方法
- エラーメッセージの内容を確認:表示されるメッセージは問題解決の手がかりになります。
- 「Operating System Not Found」
- 「Boot Device Not Found」
- ブルースクリーンエラーとエラーコード
対処法
- BIOS/UEFI設定の確認:
- アクセス方法:起動時に「Delete」キーや「F2」、「F10」キーを連打してBIOS/UEFIにアクセスします。メーカーによってキーは異なる場合があります。
- 起動順序の確認:起動ドライブ(SSD/HDD)が最優先になっているか確認します。
- ストレージの認識:接続されているSSDやHDDが正しく認識されているか確認します。
- SSD/HDDの寿命:SSDは書き込み回数に制限があり、寿命が尽きると突然認識されなくなることがあります。HDDの場合も、長年使用するとセクタ不良や物理故障が起こる可能性があります。
- データ復旧の可能性:SSD/HDDが完全に故障していない場合、別のパソコンに接続してデータをバックアップすることが可能です。データが読み取れない場合は、データ復旧ソフト(例:EaseUS Data Recovery、Recuva)を試すか、専門の業者に依頼するのも選択肢です。
- 物理的な接続の確認:
- SATA/PCIeケーブル:内部のストレージデバイスがマザーボードに正しく接続されているか確認します。
- デバイスの故障確認:可能であれば、別のパソコンに接続してデバイスが正常か確認します。
- 外部デバイスの取り外し:USBメモリや外付けドライブなど、不必要なデバイスを取り外して再起動します。
- システムの修復:Windowsのインストールメディアや回復ドライブを使用して、システムの修復や再インストールを試みます。
システムの再インストールをすると、データが初期化(削除)される場合があることにあらかじめご留意ください。
システムの再インストールを実施すると基本的にデータは初期化されますが、インストールの方法によって異なります。いずれにしても、大事なデータがある場合はバックアップをとるか慎重に行う必要があります。
再インストールの方法とデータへの影響
- 「この PC をリセット」(Windowsの回復オプション)
- 個人用ファイルを保持する(データは残る)
- 設定 →「更新とセキュリティ」→「回復」→「この PC をリセット」→「個人用ファイルを保持する」
- 個人のデータは残るが、アプリや設定は削除される
- すべて削除(完全初期化)
- データ、アプリ、設定すべてが削除される
- オプションで「ドライブを完全にクリーニング」すると復元も困難
- 個人用ファイルを保持する(データは残る)
- Windowsの「上書きインストール」(インプレースアップグレード)
- Windowsのインストールメディアを使って「現在のOSを修復する」選択をすると、データは保持される
- アプリや設定も一部保持される
- 主に「Windowsのシステムファイルが破損した場合」に有効
- クリーンインストール(完全な再インストール)
- USBやDVDから起動してWindowsを一からインストール
- すべてのデータ、アプリ、設定が削除され、完全な初期状態に戻る
- データを保持したい場合は事前にバックアップが必須
再起動を繰り返す場合
原因の特定方法
- 最近の変更の確認:
- Windows Updateの失敗:更新プログラムのインストール中に問題が発生した可能性があります。
- ドライバの破損や不具合:新しいデバイスドライバのインストールが原因かもしれません。
- ソフトウェアのインストール:最近インストールしたソフトウェアがシステムと競合している可能性があります。
- ウイルス感染の可能性:不審なウェブサイトの閲覧やファイルのダウンロードが原因で、マルウェアに感染したかもしれません。
対処法
- セーフモードでの起動:
- 方法1:Shiftキーを押しながら再起動:
- 電源を入れ、Windowsのサインイン画面が表示されたら、右下の電源アイコンをクリック。
- 「Shift」キーを押しながら「再起動」を選択。
- メニューから「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」を選択。
- 再起動後、オプションから「セーフモード」を選択。
- 方法2:自動修復からセーフモード:
- 起動に3回連続で失敗すると、自動的に修復モードが起動します。そこからセーフモードを選択します。
- 方法3:電源ボタンを3回押して強制回復環境(WinRE)に入る
- パソコンの電源を入れたら、Windowsのロゴが表示された瞬間に電源ボタンを長押しして強制シャットダウンする。
- これを3回繰り返すと、自動的に「Windows回復環境(WinRE)」が起動する。
- WinREメニューが表示されたら、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」を選択する。
- 再起動後、「セーフモード」オプションを選択して起動する。
- 方法1:Shiftキーを押しながら再起動:
- 問題の特定と解決:
- 最近の更新のアンインストール:セーフモードから「設定」→「更新とセキュリティ」→「更新の履歴」から最近の更新プログラムをアンインストールします。
- ドライバのロールバック:デバイスマネージャーから問題のあるドライバを以前のバージョンに戻します。
- システムの復元:問題が発生する前の復元ポイントにシステムを戻します。
- ウイルススキャン:
- ブート可能なアンチウイルスメディアの使用:別のパソコンでアンチウイルスソフトのブートメディアを作成し、それを使って感染をチェックします。
- Windows Defenderのオフラインスキャンを試す(インターネットに接続できない場合でも実行可能)
- セーフモードで起動したら、「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows セキュリティ」→「ウイルスと脅威の防止」を開く。
- 「スキャンのオプション」を選択し、「Microsoft Defender オフライン スキャン」を実行する。
- パソコンが再起動し、オフライン環境でウイルススキャンが実行される(約15分)。
ハードウェアの故障が疑われる場合
原因の特定方法
- 異音の確認:
- ハードディスクの異音:「カチカチ」「カリカリ」といったクリック音や、「ジー」という連続音はハードディスクの故障のサインです。
- 過熱の確認:
- 温度のチェック:本体が異常に熱くなっていないか確認します。
- ファンの動作:冷却ファンが正常に動作しているか、ホコリで詰まっていないか確認します。
- メモリのチェック:
- 物理的な確認:メモリモジュールが正しくスロットに挿入されているか確認します。
- 診断ツールの使用:メモリの不良を検出するためのツールを使用します。
対処法
- ハードディスク/SSDの交換:
- バックアップの取得:可能であればデータをバックアップします。
- 新しいデバイスへの換装:故障したストレージを新しいものに交換し、システムを再インストールします。
- 冷却システムのメンテナンス:
- 清掃:ホコリを除去し、エアフローを改善します(空気が通るようにする)。
- サーマルペーストの再塗布:CPUと冷却ファンの間の熱伝導を改善します。
- メモリの診断と交換:
- Windowsメモリ診断ツールの使用:
- 別のパソコンでUSBメモリにツールを作成。
- そのUSBから起動し、メモリのテストを実行。
- MemTest86の使用:より詳細なメモリテストを実施します。
- 不良メモリの交換:エラーが検出された場合、新しいメモリモジュールに交換します。
- Windowsメモリ診断ツールの使用:
- 専門業者への相談:自力での対応が難しい場合やデータ復旧が必要な場合は、専門の修理サービスに依頼します。
2025年最新版:パソコンの動作が遅い原因と効果的な解決策10選
問題解決の流れを視覚化
以下のフローチャートで、問題解決の手順をまとめました。
【スタート】
│
├─電源が入るか?
│ │
│ ├─いいえ→【対処法1】
│ │
│ └─はい
│ │
│ ├─画面は表示されるか?
│ │ │
│ │ ├─いいえ→【対処法2】
│ │ │
│ │ └─はい
│ │ │
│ │ ├─エラーメッセージが表示されるか?
│ │ │ │
│ │ │ ├─はい→【対処法3】
│ │ │ │
│ │ │ └─いいえ
│ │ │ │
│ │ │ ├─再起動を繰り返すか?
│ │ │ │ │
│ │ │ │ ├─はい→【対処法4】
│ │ │ │ │
│ │ │ │ └─いいえ→【対処法5】
│ │ │ │
│ │ │ └─問題なし
│ │ │
│ │ └─問題なし
パソコン不調を理解するために(人間に例えると)
パソコンを人間に例えると、以下のように考えられます。
- 電源=心臓:電源が入らなければ生命活動は始まりません。
- モニター=目:画面が映らなければ情報を受け取れません。
- ハードディスク/SSD=記憶:データがなければ過去の情報や設定を保持できません。
- メモリ=短期記憶:作業中のデータやプロセスを一時的に保持します。
- ソフトウェア=知識とスキル:正しいプログラムがなければ、期待通りに動作しません。
このように、各パーツがそれぞれ重要な役割を果たし、連携して動作しています。
【2025最新】PC購入ガイド|用途別おすすめスペック&選び方を徹底解説
日常的に行いたいトラブル防止&軽減策
- 定期的なバックアップ:外付けハードディスクやクラウドサービスを利用して、重要なデータを定期的にバックアップしましょう。
- システムのメンテナンス:ディスククリーンアップや不要なアプリのアンインストールで、システムを軽快に保ちます。
- セキュリティ対策の強化:信頼性の高いセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に更新します。
- ブートメディアの作成:Windowsの回復ドライブやアンチウイルスソフトのブートディスクを作成しておくと、緊急時に役立ちます。
- 早めの対処:不調を感じたら放置せず、早めに原因を特定して対処することで、重大な故障を防げます。
デジタル社会において、パソコンは私たちの生活の基盤です。だからこそ、不調が起きたときの影響は大きいですが、冷静に対処すれば再び快適な環境を取り戻せます。パソコンも人と同じように、日頃のケアと早めの対応が長寿の秘訣です。これらのステップを参考に、トラブルを乗り越えていきましょう。
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