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老舗の読み方は「しにせ」と「ろうほ」どっち?正しい意味と使い分けを解説

老舗の読み方は「しにせ」と「ろうほ」どっち?正しい意味と使い分けを解説 勉強・資格

街中やニュースでよく見かける「老舗」という漢字。「しにせ」と読むのが一般的ですが、たまに「ろうほ」と聞くこともあり、迷ってしまった経験はありませんか?

「どっちの読み方が正しいの?」
「人前で読み間違えて恥をかきたくない」

そんな疑問をお持ちの方へ、結論からお伝えします。

「老舗」の読み方は、「しにせ」と「ろうほ」のどちらも正解です。

ただし、日常会話やビジネスシーンで使うなら「しにせ」と読むのが無難であり、推奨されます。

この記事では、なぜ2つの読み方が存在するのか、そして「老舗」という言葉に隠された意外な語源や、創業何年から老舗と呼べるのかといった豆知識まで、分かりやすく解説します。

老舗の読み方は「しにせ」と「ろうほ」どっち?違いを比較

先述した通り、「老舗」は「しにせ」とも「ろうほ」とも読み、国語辞典にも両方の記載があります。しかし、使われる場面やニュアンスには少し違いがあります。

まずは、それぞれの特徴を整理した以下の表をご覧ください。

読み方分類一般的知名度利用シーン
しにせ熟字訓高い(一般的)日常会話、テレビ、ビジネス全般
ろうほ音読み低い格式張った文章、文学的表現

このように、現代においては「しにせ」と読むのが圧倒的に一般的です。

「ろうほ」という読み方は、漢字をそのまま音読みしたもので間違いではありません。しかし、会話の中で「あそこのろうほが…」と言っても、相手に意味が通じないか、「読み間違えているのでは?」と誤解されるリスクがあります。

特別な意図がない限り、基本的には「しにせ」と読むようにしましょう。

なぜ「老舗」を「しにせ」と読むのか?(熟字訓の秘密)

「老」を「し」、「舗」を「にせ」と読むわけではありません。これは「熟字訓(じゅくじくん)」と呼ばれる特別な読み方です。

熟字訓とは、2文字以上の漢字の組み合わせ(熟語)に対して、訓読み(日本語の意味)を当てはめたものです。

例えば、「明日」は「あす」、「梅雨」は「つゆ」と読みますよね。「明(あ)」+「日(す)」と分解して読んでいるわけではありません。「老舗」もこれと同じで、漢字の組み合わせ全体に対して「しにせ」という読みが当てられています。

「老舗(しにせ)」の意外な語源と由来

なぜ「長い歴史のある店」を「しにせ」と呼ぶようになったのでしょうか。実は、この言葉には日本人の商売に対する哲学が隠されています。

「しにせ」の語源は、動詞の「為似す(しにす)」だと言われています。

「為似す」は、以下の2つの言葉が組み合わさってできました。

  • 「為(し)」:行う、する
  • 「似す(にす)」:似せる、真似る

つまり、本来は「家業を守り、先祖のやり方を真似て、そのまま受け継いでいく」という意味合いがありました。そこから転じて、代々続いて繁盛しているお店そのものを「しにせ」と呼ぶようになったのです。

単に「古い店」というだけでなく、「先人の教えを守り続けてきた」という敬意が込められた言葉といえます。

「老舗」の意味とは?創業何年から名乗れるの?

老舗とは、一般的に「長い歴史を持ち、信用や格式の高い店や企業」を指します。

では、具体的に「創業何年以上なら老舗」という明確な定義はあるのでしょうか?

実は、法律などで定められた明確な決まりはありません。しかし、企業の信用調査を行う機関などのデータを参考にすると、一つの目安が見えてきます。

日本では「創業100年以上」が一つの目安

日本最大級の信用調査会社である帝国データバンクなどの調査では、しばしば「創業100年以上」の企業を老舗企業として定義し、分析を行っています。

一方で、業界によっては「創業30年」で老舗と呼ばれることもあります。IT業界のような変化の激しい業界であれば10年・20年でも老舗扱いされることがあり、相対的な評価で変わるのも面白い点です。

ちなみに、日本は世界でも類を見ない「老舗大国」です。創業100年を超える企業の数は世界一多く、その背景には、家業を大切にする日本の文化が深く関係していると考えられます。

誤用を防ぐ!「老舗」の類語と使い分け

「老舗」と似た言葉に「名店」や「古参」がありますが、これらは意味が異なります。正しい使い分けを理解しておきましょう。

「老舗」と「名店」の違い

  • 老舗:歴史が長く、伝統がある店。(味や評判だけでなく、継続性が重要)
  • 名店:評判が良く、有名な店。(歴史の長さは問わない)

できたばかりの新しい店でも、味が抜群に良ければ「名店」ですが、「老舗」ではありません。逆に、歴史があっても評判が悪ければ「名店」とは呼ばれないかもしれませんが、「老舗」である事実に変わりはありません。

もちろん、「老舗の名店」というように、両方の性質を兼ね備えている場合も多くあります。

「老舗」の対義語は?

老舗の反対、つまり「新しくできた店や企業」を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 新興(しんこう):新しく勢力を伸ばしてくること。(例:新興勢力、新興企業)
  • ベンチャー:新しい技術やアイデアで事業を行う小規模な企業。
  • 新店(しんてん):新しく開店した店。

文章を書く際、「老舗の和菓子屋」との対比で「新興のスイーツ店」などと表現すると、歴史の対比が伝わりやすくなります。

まとめ:老舗の読み方は「しにせ」がベスト

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 「老舗」の読み方は「しにせ」「ろうほ」のどちらも正解。
  • 一般的には「しにせ」と読むのがマナー。「ろうほ」は誤読と思われるリスクがある。
  • 語源は「為似す(しにす)」で、先祖のやり方を真似て受け継ぐという意味がある。
  • 明確な定義はないが、日本では創業100年以上を目安にすることが多い。

「老舗」という言葉には、単に時間が経過したというだけでなく、代々の知恵や信頼を受け継いできたという重みがあります。

これからは自信を持って「しにせ」と読み、そのお店の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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