シャキシャキとした食感と、豊かな風味が食欲をそそる「にんにくの芽」。
美味しいけれど、「食べた後の臭いが心配…」と、食べるのをためらってしまう方もいるのではないでしょうか。
実は、にんにくの芽の臭いは、にんにく本体(りん片)と比べるとマイルドなんです。
とはいえ、もちろん臭いの成分は含まれているので、対策は必要になります。
この記事では、にんにくの芽の臭いの原因から、気になる口臭・体臭への具体的な対策、臭いを抑える調理のコツまで、分かりやすく解説していきます。
にんにくの芽は臭い?にんにく本体との違いを比較
「にんにくの芽」と聞くと、にんにくと同じくらい強烈な臭いをイメージするかもしれませんね。
しかし実際には、にんにくの芽の臭いは、私たちが普段「にんにく」として食べているりん片部分よりもずっと穏やかです。
なぜなら、臭いの元となる成分の量が違うからです。
にんにくの芽(花茎)は、りん片が成長して伸びた部分ですが、成長の過程で成分が変化します。
両者の違いを分かりやすく表にまとめてみました。
比較項目 | にんにくの芽(花茎) | にんにく本体(りん片) |
---|---|---|
臭いの強さ | 穏やか | 非常に強い |
臭いの原因物質 | アリシン(少なめ) | アリシン(多め) |
食感 | シャキシャキ | ホクホク、ねっとり |
風味 | あっさり、甘みがある | 濃厚、パンチがある |
主な用途 | 炒め物、和え物 | 薬味、香りづけ、料理の主役 |
このように、にんにくの芽は風味も食感もマイルドで、臭いも控えめなのが特徴です。
にんにくのパンチの効いた風味が好きな方には少し物足りないかもしれませんが、逆にあっさりとしているので、どんな料理にも合わせやすい魅力があります。
「明日は人に会うけど、にんにく料理が食べたい…」そんな時は、にんにく本体の代わりに、にんにくの芽を選んでみてはいかがでしょうか。
にんにくの芽の臭いの原因は「アリシン」
にんにくの芽の臭いが、にんにく本体よりもマイルドであることは分かりました。
では、その臭いの正体は一体何なのでしょうか。
原因は、にんにく特有の香り成分である「アリシン」という硫黄化合物です。
実は、もともとにんにくの中にはアリシンは存在していません。
にんにくに含まれる「アリイン」という成分が、切ったり刻んだりすることで細胞が壊れ、酵素と反応してアリシンに変化するのです。
このアリシンが、あの強烈な臭いの元になっています。
アリシンは非常に殺菌力が強く、体に良い働きもたくさんしてくれる優れた成分です。
しかし、分解される過程でさらに強い臭いを放つ成分に変化し、それが体内に吸収されることで、口臭や体臭として長く残ってしまいます。
にんにくの芽にも、このアリインは含まれています。
そのため、調理したり食べたりすることでアリシンが発生し、臭いの原因となるわけです。
ただ、前述の通り、にんにくの芽に含まれるアリインの量はにんにく本体よりも少ないため、発生するアリシンの量も少なく、結果的に臭いが穏やかになります。
【シーン別】にんにくの芽の臭い対策!口臭・体臭を防ぐ方法
にんにくの芽の臭いは比較的マイルドとはいえ、やはり気になりますよね。
大切な予定の前など、臭いを残したくない時のために、効果的な対策をシーン別にご紹介します。
ちょっとした工夫で、臭いはかなり抑えられますが、完全に臭いを消すのは難しいという点は覚えておきましょう。
食前・食事中の対策
にんにくの芽を食べる前から、臭い対策は始まっています。
食事中も少し意識することで、食後の臭いが大きく変わってきます。
まず、食べる前に牛乳やヨーグルトなどの乳製品を摂っておくのがおすすめです。
乳製品に含まれるタンパク質が、臭いの元となるアリシンを包み込んでくれます。
特に食後の口臭に対して効果的で、アリシンの体内への吸収を穏やかにする働きも期待できます。
ただし、一度体内に吸収された後に発生する体臭への効果は限定的なので、他の対策と組み合わせることが重要です。
また、調理法も重要です。
アリシンは油に溶けやすい性質を持っています。
そのため、油で炒めたり、ごま油で和えたりすることで、アリシンが油に溶け出し、体内での吸収が抑えられます。
にんにくの芽の定番料理である炒め物は、理にかなった調理法だと言えますね。
食後の口臭対策
食後に口の中に残る臭いは、特に気になるところです。
即効性のある対策で、周囲へのエチケットを心がけましょう。
食後の口臭対策として有名なのが「りんご」です。
りんごに含まれるポリフェノールや酵素には、アリシンを分解する強力な働きがあります。
食後にりんごを4分の1個ほど食べるだけで、口臭がかなり軽減されるという研究結果もあるほどです。
りんごジュース(果汁100%)でも同様の効果が期待できます。
その他、緑茶に含まれるカテキンや、パセリに含まれるクロロフィルにも消臭効果があります。
食後にお茶を一杯飲んだり、料理の付け合わせのパセリをしっかり食べたりするのも良い方法です。
もちろん、歯磨きやマウスウォッシュで口の中を物理的にきれいにすることも忘れないようにしましょう。
翌日に残る体臭対策
やっかいなのが、翌日まで残る体からの臭いです。
これは、体内に吸収されたアリシンが分解され、血液に乗って全身を巡り、汗や皮脂と一緒に排出されることで発生します。
体臭対策の基本は、臭いの元となる成分を体外へ早く排出することです。
そのためには、水分をたくさん摂ることが大切になります。
水をたくさん飲んで尿の量を増やすことで、血中の臭い成分を効率よく排出できます。
また、汗をかくことも効果的です。
入浴やサウナ、軽い運動などで汗を流せば、汗と一緒に臭い成分が排出されます。
食後にシャワーだけでなく湯船にしっかり浸かるようにすると、リラックス効果も得られて一石二鳥ですね。
これらの対策は、臭い成分の排出を促すのに有効ですが、体臭を完全に消し去るのは困難であることも理解しておきましょう。
にんにくの芽の臭いを抑える調理法と下処理のコツ
にんにくの芽を家庭で調理する際に、少し工夫するだけで臭いをさらに抑えることができます。
特に重要なのが「加熱」と「下処理」です。
臭いの原因であるアリシンは、熱に弱いという性質を持っています。
そのため、しっかりと加熱調理することで、臭い成分が分解・揮発し、香りがマイルドになります。
炒め物にする際は、さっと炒めるだけでなく、少し長めに火を通すことを意識すると良いでしょう。
ただし、加熱によってアリシンが完全になくなるわけではなく、一部は別の硫黄化合物に変化します。そのため、臭いがゼロになるわけではないことを覚えておきましょう。
また、調理前の下処理も効果的です。
調理前にさっと下茹ですると、アリシンの元となるアリインがお湯に溶け出すため、臭いを抑えることができます。
沸騰したお湯に塩を少し入れ、30秒〜1分ほど茹でてから冷水に取り、水気を切ってから調理に使いましょう。
このひと手間で、食感も良くなり、色鮮やかに仕上がるというメリットもあります。
にんにくの芽の臭いに関するよくある質問
最後に、にんにくの芽の臭いについて、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
- Qにんにくの芽を食べた後、臭いは何時間くらい残りますか?
- A
臭いの感じ方や代謝には非常に大きな個人差がありますが、一般的に食後24時間〜48時間程度は臭いが残ると言われています。にんにくの芽は本体より臭いが弱いものの、アリシンが体内で分解されて臭いを放つ時間は変わりません。翌日だけでなく、翌々日まで影響が残る可能性も考慮し、大切な予定がある場合は食べるタイミングに注意しましょう。
- Q国産と中国産で、臭いに違いはありますか?
- A
品種や栽培方法によって成分が異なるため、国産と中国産で風味や香りの強さに違いがある場合があります。一般的に、国産の方が香りが豊かで、風味が良いと言われることが多いようです。臭いの強さも若干異なる可能性がありますが、どちらもアリシンを含んでいるため、食べた後の対策は同様に必要です。
- Qにんにくの芽の先端のつぼみは食べられますか?臭いは強いですか?
- A
はい、つぼみの部分も美味しく食べられます。食感はやわらかく、特に臭いが強いということもありません。ただし、成長しすぎて硬くなっている場合や、乾燥して茶色くなっている場合は、食感が悪くなるので取り除いた方が良いでしょう。
まとめ:正しい対策で、にんにくの芽を美味しく楽しもう!
今回は、にんにくの芽の臭いについて、原因から対策まで詳しく解説しました。
- にんにくの芽の臭いは、にんにく本体よりマイルド
- 臭いの原因は、にんにくと同じ「アリシン」という成分
- 食前には牛乳(口臭に有効)、食後にはりんごや緑茶が効果的
- 翌日の体臭には、水分補給と汗をかくことが大切
- 調理の工夫で臭いは和らぐが、ゼロにはならない
- どの対策も臭いを軽減するもので、完全に消すのは難しい
にんにくの芽は、にんにくの風味を楽しみつつも、臭いは比較的穏やかな、とても魅力的な食材です。
正しい知識と対策があれば、もう臭いを過度に心配する必要はありません。
ぜひ、この記事を参考にして、様々な料理でにんにくの芽を味わってみてくださいね。
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