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アシダカグモは人になつく?益虫としての生態と正しい付き合い方を解説

アシダカグモは人になつく?益虫としての生態と正しい付き合い方を解説 ペット・動物

家に突然現れる、手のひらサイズの大きなクモ「アシダカグモ」。その見た目のインパクトから、思わず悲鳴をあげてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。

一方で、「アシダカグモはゴキブリを食べてくれる益虫」だとか、「実は人になつくことがある」なんて噂も耳にします。

この記事では、そんなアシダカグモが本当になつくのか?という疑問にお答えしつつ、その驚くべき生態や、もし遭遇してしまったときの正しい付き合い方まで、分かりやすく解説していきます。

アシダカグモは人になつく?結論から言うと「なつかない」

結論から先にお伝えすると、アシダカグモが犬や猫のように人になつくことはありません。

「なつく」という行為には、相手を認識し、信頼関係を築き、愛情や安心感を抱くといった高度な感情が必要です。アシダカグモを含むクモの仲間は、そのような複雑な感情を持つ脳の構造をしていません。彼らの行動は、すべて本能に基づいています。

では、なぜ「アシダカグモがなつく」という噂が広まったのでしょうか。

おそらく、その臆病な性格が関係していると考えられます。アシダカグモは人間を見つけると、猛スピードで物陰に隠れようとします。しかし、何度か同じ場所で遭遇するうちに、人間が自分に危害を加えない存在だと学習することがあるのです。その結果、以前ほど素早く逃げなくなり、じっとしている様子が「なついている」ように見えたのかもしれません。

しかし、それはあくまで「慣れ」であり、信頼や愛情からくる行動ではないのです。彼らにとって人間は「自分よりはるかに巨大で、危害を加えてこない(かもしれない)物体」程度の認識だと考えておくと良いでしょう。ペットのように触れ合ったり、コミュニケーションをとったりすることは期待できない、と覚えておいてくださいね。

アシダカグモの正体とは?知られざる生態と性格

アシダカグモは、その見た目から誤解されがちですが、実は人間にとって非常に有益な生き物です。彼らの本当の姿を知れば、少しは見方が変わるかもしれません。

益虫の王様!ゴキブリハンターとしての実力

アシダカグモが「益虫」や「軍曹」と呼ばれる最大の理由は、ゴキブリを主食とする大のゴキブリハンターだからです。

その捕獲能力は非常に高く、徘徊性(巣を張らずに歩き回って獲物を探すタイプ)で部屋の隅々までパトロールし、ゴキブリを見つけ次第、素早い動きで捕らえてくれます。アシダカグモが1匹いれば、その家のゴキブリは半年ほどでいなくなるとも言われるほどです。

食べるのはゴキブリだけではありません。ハエやカ、蛾、さらには家に出る他のクモなど、人間にとって不快な虫の多くを捕食対象としています。殺虫剤を使わずに害虫を駆除してくれる、まさに「天然の害虫駆除業者」なのです。家にアシダカグモがいるということは、それだけ彼らの餌となる害虫がいる証拠とも言えます。

参考:アシダカグモ – Wikipedia

実は臆病でシャイな性格

その大きな体とは裏腹に、アシダカグモの性格は非常に臆病で大人しいです。

基本的に夜行性で、日中は物陰にじっと潜んでいます。人間などの自分より大きな生き物の気配を察知すると、一目散に逃げ出します。アシダカグモが人の前に姿を現すのは、獲物を探している最中にうっかり遭遇してしまったか、隠れ場所から追い出されてしまった場合がほとんど。

こちらから何かしようとしない限り、アシダカグモの方から人間に近づいてきたり、攻撃を仕掛けてきたりすることはまずありません。むしろ、彼らの方が人間を恐れています。もし遭遇しても、パニックにならず、そっと距離を置けば、彼らの方から去っていくでしょう。その臆病さこそが、アシダカグモが人間と共存できる理由の一つなのです。

毒性や人への危険性は?噛まれる心配はある?

「クモ」と聞くと、毒があるのではないかと心配になりますよね。確かに、アシダカグモは獲物を仕留めるための弱い毒を持っています。

しかし、その毒はゴキブリなどの小さな虫を麻痺させるためのもので、人間のような大きな哺乳類には基本的にほとんど影響がありません。万が一噛まれたとしても、多くの場合、少しチクッとして赤くなる程度で、重篤な症状に陥ることは稀です。

ただし、体質によってはアレルギー反応が起きる可能性もゼロではないため、むやみに素手で捕まえようとしたり、刺激したりするのは避けましょう。そもそも、前述したようにアシダカグモは非常に臆病です。自ら人間に向かってきて噛みつくようなことはまずありません。危険性は極めて低い、安全なクモだと認識して問題ないでしょう。

家にアシダカグモがいるメリット・デメリット

人間にとって有益なアシダカグモですが、もちろん良いことばかりではありません。家にいることのメリットとデメリットを比較表にまとめました。

メリットデメリット
害虫駆除・ゴキブリなど不快な害虫を食べてくれる
・殺虫剤を使わずに済むので、人やペットに安全
・餌(ゴキブリなど)がいなくなると、他の場所へ移動してしまう
性質・臆病で、人間に危害を加えることはない
・巣を張らないので、家がクモの巣だらけにならない
・夜行性のため、夜中に突然現れて驚かせることがある
衛生面・鳴き声や物音を立てず、非常に静か・フンで壁や床が汚れることがある(黒い小さなシミのようなフン)
見た目(特になし)・手のひらサイズで大きく、見た目が苦手な人には強いストレスになる

このように、アシダカグモがいる最大のメリットは「害虫駆除能力」にあります。一方で、最大のデメリットはやはり「見た目のインパクト」でしょう。

このメリットとデメリットを天秤にかけ、どちらを重視するかで、アシダカグモとの付き合い方が決まってくると言えます。

もしアシダカグモに遭遇したら?正しい対処法

メリットは分かったけれど、やっぱり家の中であの姿を見るのは耐えられない…。そんな方のために、アシダカグモと遭遇した際の適切な対処法をご紹介します。

益虫なので殺さずに逃がしてあげよう

アシダカグモは、家を守ってくれる益虫です。できることであれば、殺虫剤などで殺さずに、外へ逃がしてあげるのが最善の選択です。

一番安全で簡単な方法は、ホウキとちりとりを使うやり方です。アシダカグモの近くにそっとちりとりを置き、ホウキで優しく誘導してあげましょう。驚いて猛スピードで逃げ回ることがあるので、焦らずゆっくりと行うのがコツです。

虫取り網があれば、上からそっと被せて捕獲するのも良い方法。捕まえたら、家の外の植え込みや草むらなどに放してあげてください。そうすれば、またどこかで害虫ハンターとして活躍してくれるはずです。

覚えておいてほしいのは、アシダカグモは餌を求めて家に侵入してくるということ。つまり、家のゴキブリや害虫がいなくなれば、彼らは自然と別の場所へ去っていきます。

アシダカグモをペットとして飼育できる?

そのユニークな姿から、「ペットとして飼ってみたい」と考える方もいるかもしれません。結論として、アシダカグモの飼育は不可能ではありませんが、非常に難しいと言えます。

まず、餌の確保が大きなハードルとなります。アシダカグモは生きた虫しか食べないため、コオロギやゴキブリなどを常に用意しなくてはなりません。また、非常に素早く、わずかな隙間からでも脱走する可能性があるため、厳重な管理が必要です。

そして何より、この記事で繰り返しお伝えしてきたように、彼らは人になつくことはありません。触れ合って楽しむようなペットではなく、あくまで「観察対象」としての飼育になります。餌やりや脱走のリスクを考えると、専門的な知識や環境がない限り、一般家庭での飼育はあまり現実的ではないでしょう。家の守り神として、そっと見守ってあげるのが一番の関係性なのかもしれません。

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まとめ:アシダカグモは家の守り神!怖がらずに見守ろう

今回は、アシダカグモがなつくのか?という疑問をテーマに、その生態や付き合い方について解説しました。

アシダカグモは人になつくことはありませんが、ゴキブリなどの害虫を駆除してくれる、人間にとって非常に有益な「益虫」です。臆病な性格で毒性も弱く、私たちに危害を加える心配はほとんどありません。

もし家の中で遭遇したら、その大きな見た目に驚く気持ちはよく分かります。しかし、彼らは殺虫剤を使わずに家を清潔に保ってくれる、頼もしい「同居人」であり「守り神」のような存在です。

すぐに退治しようとせず、できればそっと外に逃がしてあげるか、あるいは家のパトロールを任せてみるという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。アシダカグモへの理解が深まれば、恐怖心も少し和らぐかもしれません。

アシナガバチは本当に人になつく? 意外な生態と安全な付き合い方を徹底解説

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