レンタカーの「わ」「れ」ナンバーとは？意味・違い・最新事情を解説

観光地で白いナンバープレートのレンタカーを見かけると、ひらがなが『わ』ではなく『れ』になっていることがあります。

これは「わ」ナンバーが枯渇した地域で発行される“控え”の文字で、法律上は両方とも正規の貸渡用表示です。沖縄・北海道を皮切りに、2025年現在は東京や長野へも波及しました。

本記事では「わ」と「れ」の違いを軸に、ナンバープレート制度の基礎から最新トレンドまでを解説します。

カーシェアとレンタカーはどう違う？

「レンタカー」と「カーシェア」は似て非なるサービスです。レンタカーは有人カウンターで日単位の契約が主流で、車両は必ず「わ」「れ」ナンバーになります。

一方、カーシェアはスマホで無人開錠し、15分単位で借りられる仕組みが特徴です。事業者によっては自家用登録で運営しているため、ナンバーが「わ」「れ」以外の場合もあります。

旅行計画を立てる際は、返却時間やガソリン精算ルールの違いを確認して選ぶと失敗が減ります。

ナンバーは〈地名〉〈分類番号〉〈ひらがな〉〈一連番号〉の四つで構成されます。ひらがな部分は用途コードで、自家用は「さ」〜「ろ」、事業用は「あ」〜「こ」、貸渡用は「わ」「れ」が割り当てられています。

「お」「し」「へ」「ん」は誤読や縁起の理由で欠番です。分類番号は2021年までに全国で3桁＋英字へ拡張され、理論上の組み合わせは最大99×26×1万＝257万通りに増えました。

それでも観光需要が集中すると、ひらがなが先に尽きるため「れ」の投入が必要になるわけです。
参考：国土交通省「ナンバープレートの現状について」

ひらがな1文字で1万通りしかないため、貸渡用登録が年間3万台を超える地域では3〜4年で「わ」の組み合わせが埋まります。

沖縄では2014年頃、北海道では2018年頃に在庫が底を突き、運輸支局が予備文字「れ」を本格導入しました。

例えば那覇運輸支局の2023年度新規登録台数は約3.2万台で、3桁分類でも2年で枯渇ペースです。観光客の回復とカーシェア車両の回転率増加が拍車をかけ、現在は東京・長野・静岡の一部でも「れ」が確認されています。

最新の運輸支局ヒアリングによると、「れ」が発行された地域は沖縄（那覇）、北海道（札幌・函館・旭川）、長野（松本・諏訪）、東京（品川・練馬）、静岡（伊豆）などです。

長野県ではインバウンドスキー客の増加、東京ではカーシェア集中が主因です。運輸支局の在庫管理は自動化されていますが、繁忙期に連番が足りなくなると即日「れ」へ切り替えられます。

観光地を訪れた際は、ひらがな一文字で地域需要の高まりを読み解く楽しみもありますよ。

軽自動車のレンタカーは全国共通で「わ」固定です。ただし、軽貨物など黒ナンバーの事業用では「り」「れ」が使用されます。そのため街中で黄色プレートの「れ」を見かけても、それは貨物営業車であって貸渡用ではありません。

軽レンタカーの需要が集中した場合は、分類番号の英字拡張や新地名ナンバーで在庫を確保する方針が取られています。混同しやすいポイントなので、旅行先で借りるときは色とひらがなの両方をチェックしましょう。

2017年に始まった英字付き分類番号は、数字×アルファベットで理論値を10倍以上にする制度です。例えば「わ 5A00」から「わ 5Z99」まで26万通りが確保できます。

ただしレンタカー集中地域では5年程度で枯渇する試算もあり、国交省は「AI管理によるリアルタイム在庫監視」「ナンバー返納促進」など追加策を検討中です。

アルファベットが進むほど桁数が長くなり視認性が低下するため、一部の自治体では番号配列の再設計も議題に上っています。

2024年10月25日、FocusFirstAdvisors社が「No-WA CARSHARE」をローンチしました。貸渡用の枠外となるリース方式を採用し、メルセデス・ベンツを中心とした高級車を品川ナンバーのまま提供します。

ホテルのバレーパーキングで“借り物”と悟られたくない顧客層がターゲットで、ナンバーまで含めたラグジュアリー体験を売りにしています。

法的には自家用登録のまま転貸を禁じる契約形態で、レンタカー法とは別枠のサービスです。
参考：PR TIMES「No-WA CARSHARE サービス開始」

ナンバープレートのひらがなは、地域の観光動向やモビリティサービスの普及度を映す小さな指標です。「わ」が尽きれば「れ」が登場し、英字が付けば枯渇が近いサイン。

“わ”“れ”以外の自家用ナンバーを掲げるカーシェアが現れた今、番号事情はさらに多様化しています。

旅行や出張でクルマを借りる際は、ひらがな一文字にも注目してみてください。きっと、その土地ならではの交通トレンドが透けて見えてくるはずです。