
PCモニターに「信号なし」が表示される原因と対処法
パソコンを起動してもモニターに「No Signal」や「信号なし」と表示されるトラブルは、ケーブルや電源問題、グラフィックカードの不調など、多岐にわたる要因で発生します。本記事では、代表的な原因と具体的な対処法を網羅的に解説し、トラブルを解決するためのヒントを提供します。
ケーブルに関するトラブル
ケーブルの挿し込み不良・断線
ケーブルの片側が浮いていたり、ケーブル内部が断線していると、モニターに信号が届かなくなります。
対処法
- 挿し込みの再確認:PC側・モニター側とも、コネクタが最後までしっかり差し込まれているかをチェック
- 別ケーブルでテスト:同じ規格の別のケーブルに交換してみる
- 目視点検:外装や端子にダメージがないかを確認し、異常があれば交換を検討する
ケーブル規格の違い(HDMI/DisplayPortなど)
HDMIやDisplayPortにもバージョン(規格)があり、4Kや高リフレッシュレートを利用したい場合は、対応バージョンのケーブルが必要です。ただし、HDMIのバージョン違いによって「映像が一切出ない」ことは少ないですが、帯域不足や互換性の問題で表示されないケースもあります。例えば、HDMI 1.4のケーブルを使用すると、HDMI 2.1の機器では4K/120Hzが正常に出力されないことがあります。適切なバージョンのケーブルを選ぶことが重要です。
- HDMI 2.0:4K/60Hzまで対応
- HDMI 2.1:4K/120Hzや8K映像にも対応
- DisplayPort 1.4:4K/120Hzや8K/60Hzに対応する製品もある
対処法
- 必要十分な規格を確認:接続したい解像度やリフレッシュレートに合わせてHDMIやDisplayPortケーブルのバージョンをチェック
- 映像が全く出ない場合は他を疑う:バージョン違いだけが原因で映らないケースは稀なので、ケーブル不良や接続ポートの設定も確認する
- DisplayPortのホットプラグ注意:DisplayPortは基本的にホットプラグに対応しているため、PCの電源を入れたままでも抜き差し可能です。ただし、一部の環境では抜き差し時に信号が途切れたままになることがあるため、安定動作を優先する場合はPCの電源を切ってから行うのが無難です。特に、特定のGPUドライバーやファームウェアのバージョンによっては、ホットプラグ後に正しく再認識されないことがあるため注意が必要です。
- QHDMIとDisplayPort、どちらを使うのが良いですか?
- A
用途によります。
- HDMI: 家庭用テレビや一般的なPCモニター向け。音声も一緒に出力可能。HDMI 2.1なら4K/120Hz対応。
- DisplayPort: 高リフレッシュレートが必要なゲーミングPCや、複数モニター環境に最適。特に DisplayPort 1.4以降 は8Kにも対応。
→ ゲーミングならDisplayPort、一般用途ならHDMIが無難。
- QDisplayPortのケーブルには種類があるの?
- A
はい。
- DP 1.2: 4K/60Hz
- DP 1.4: 4K/120Hz、8K/60Hz
- DP 2.0: 8K/120Hz、16Kにも対応(最新)
古いケーブルでは高解像度・高リフレッシュレートが出せないことがあるので注意。
HDMI 1.4 / 2.0 / 2.1 の違いや特徴・ケーブルの選び方【各バージョンの比較表あり】
モニター本体の電源トラブル
電源コードやコンセントの不具合
意外にも多い原因のひとつが、モニター自身に電力が供給されていないケースです。
対処法
- 電源ボタンの確認:モニターの電源ランプが点灯・点滅しているかを確認
- 別のコンセント・電源タップに挿す:電源タップや延長コードが故障している場合もある
- 電源コードの断線チェック:傷や曲がりがあれば交換を検討する
省電力モードの復帰
モニターが省電力モードに入ると、信号を検知して自動復帰する場合と、手動操作が必要な場合があります。以下の方法を試してみましょう。
基本的な対処法(初心者向け)
- 電源ボタンの長押し:モニターの電源ボタンを数秒押してみる
- OSD(オンスクリーンディスプレイ)メニューを開く:メニューボタンを押してモニターが省電力状態から復帰するか試す
モニターの省電力モードの動作は、機種やメーカーによって異なります。特に以下の点に注意してください。
- 自動復帰と手動復帰
一部のモニターは信号を検知すると自動で復帰しますが、手動操作が必要な機種もあります。 - 復帰時間の違い
モニターによって、信号検知から画面表示までの時間が異なります(数秒~数十秒)。 - 省電力設定の影響
一部の高機能モニターでは、省電力モードの詳細設定(待機時間、復帰条件など)が可能です。
対処法
- OSDメニューで省電力モードの設定を確認する
- Windows側の電源オプションとモニターの設定が競合していないか確認する
- ゲーミングモニターなど特殊な機能がある場合は、専用ソフトウェアの設定も確認する
- 取扱説明書を確認する(メーカーのウェブサイトにも詳細な情報が掲載されていることがある)
- Qモニターが省電力モードのまま復帰しません。どうすればいいですか?
- A
以下の方法を試してください。
- キーボードの「Ctrl + Shift + Win + B」キーを押す(Windowsの画面再描画ショートカット)
- 電源ボタンを長押し(5~10秒)してみる
- PC側の出力ポートを変更する(別のHDMIやDisplayPortに挿してみる)
- 別のモニターを試す(PCの出力が原因か、モニター側の問題かを切り分ける)
- Windowsの「ディスプレイの電源管理」設定を確認(勝手にオフになる設定になっていないか)
内部電源ユニットの故障
古いモニターなどでは、内部の電源ユニットが故障して全く起動しない場合があります。
対処法
- 他機器との接続テスト:DVDプレーヤーや他のパソコンをつないでも無反応なら、モニター本体の故障の可能性大
- 修理・交換の検討:メーカー保証内かどうかも含め、修理コストと新品購入費を比較して判断する
グラフィックカード(GPU)の問題
GPUの接触不良
デスクトップPCのグラフィックカードが、マザーボードの拡張スロットにしっかり装着されていない場合、映像信号を送れないことがあります。
対処法
- 電源OFF&放電:PCの電源を切り、電源ケーブルを抜いて数秒待つ
- GPUの抜き差し:スロットから外して、金属端子をエアダスターなどで軽く清掃し、再度奥まで挿し込む
- 補助電源コネクタの確認:必要な電源ケーブルがしっかり接続されているかチェック
- CMOSクリア(BIOSリセット)を試す:グラフィックカードを抜き差ししても変化がない場合、マザーボードのCMOSクリアジャンパを使いBIOSを初期化すると改善することがある
- Qグラフィックボードを挿し直したのに映らない…
- A
以下の点を再確認してください。
- 補助電源コネクタがしっかり挿さっているか?(RTX 30XXや40XXシリーズなど、6ピン/8ピンが必要)
- BIOSの「Primary Display」が「PCI-E」に設定されているか?(デフォルトでオンボードGPUになっている場合がある)
- GPUの冷却ファンは回っているか?(回っていなければ、電力が供給されていない可能性大)
- QGPUファンが回るのに映像が出ないのはなぜ?
- A
考えられる原因は以下のとおりです。
- PCの電源不足(特にRTXシリーズや高性能GPUは電源容量不足で映像が出ないことがある)
- BIOSが古くて新しいGPUを認識できない(BIOSアップデートを試す)
- GPUが別のPCで動作するかテストする(GPU自体が故障していないか確認)
GPU自体の故障
ファンが回らない、熱暴走で故障したなど、物理的破損によって映像が出なくなるケースもあります。
対処法
- 他のPCでテスト:GPUを別PCに装着して映るかを確認
- 代替グラフィック(オンボード)で確認:外部GPUを外し、オンボード出力で起動するか試す
- 修理・交換:故障が特定できたら修理または買い替えを検討する
ドライバーやソフトウェア設定の問題
グラフィックドライバーの更新・再インストール
ドライバーが古い・破損している場合は、画面が真っ暗なままになることもあります。
対処法
- セーフモードで起動:Windowsではセーフモードで最小限のドライバーで起動できる
- 最新ドライバーをインストール:GPUメーカー(NVIDIA/AMD/Intelなど)の公式サイトから入手
- クリーンインストール:古いドライバーを一旦アンインストールし、改めて新しいドライバーを導入
BIOSやUEFIの設定
BIOS(UEFI)の設定によって、起動時の映像出力がオンボードGPUに固定されていたり、外部GPUが無効になっていたりする場合があります。
特に注意したいポイント
- 外部GPU優先設定
- 一部のマザーボードでは、外部GPUを装着するとオンボード出力を自動的に無効化する仕様がある
- BIOSの設定で外部GPUが優先になっているかを確認する。メーカーごとに設定名が異なり、例えばASUSでは「Primary Display」、Gigabyteでは「Initial Display Output」、MSIでは「PEG/PCI」 という名前が使われていることがある。
- マザーボードのマニュアルを確認し、自分の環境に合った設定項目を探すと確実。
- BIOSアップデートのリスク
- BIOSの更新は不具合解消や機能向上に有効ですが、アップデート中に電源が落ちると、起動不能になるリスクがあります。しかし、最近のマザーボードには「デュアルBIOS」や「Q-Flash Plus」などの復旧機能を備えたものが多いため、完全に使用不能になるリスクは低減されています。アップデート前に、マザーボードのリカバリ機能の有無を確認し、万が一の際の対処法を把握しておくと安全です。
- メーカーの手順をよく読み、停電リスクを避けられる環境で慎重に実行する
- 万が一アップデートに失敗しても、リカバリ機能を備えたマザーボードがある。
- ASUS:「CrashFree BIOS」機能を使うと、USBメモリから復旧できる。
- Gigabyte:「Q-Flash Plus」でバックアップBIOSから自動復旧が可能。
- MSI:「Flash BIOS Button」を使うと、CPUなしでもBIOSの書き換えができる。
- 事前にマザーボードのマニュアルを確認し、万が一の時の復旧手順を把握しておくと安心。
- QBIOS画面すら表示されないのですが?
- A
BIOS画面が映らない場合、以下をチェック。
- モニターが正しい入力(HDMI/DisplayPortなど)になっているか?
- PCのCMOSクリア(BIOSリセット)を試す(マザーボードのジャンパーピンを短絡 or ボタン電池を5分間外す)
- USB機器を全部抜いて起動する(キーボードやマウスがBIOS起動を邪魔している可能性)
- QBIOSアップデート後に画面が映らなくなった!
- A
まずは冷静に対応。
- マザーボードのリカバリー機能を使う(ASUS: CrashFree BIOS、Gigabyte: Q-Flash Plus、MSI: Flash BIOS Button など)
- 「BIOSのバージョンダウン」が可能なら試す(一部のマザーボードはダウングレード不可なので要注意)
- 別の出力ポート(HDMI/DisplayPort)を試す(BIOS更新で出力先が変わっている可能性)
その他の要因
メモリの接触不良・エラー
メモリが正しく動作しないとPCが起動しなくなり、結果的にモニターに信号が届かない場合があります。
対処法
- メモリの再装着:電源を切ってから抜き、スロット周辺をエアダスターなどで清掃
- 無水エタノールで接点をクリーニング:より確実に接触不良を解消できる
- XMP設定を無効化:BIOSでXMP(メモリのオーバークロック設定)を有効にしていると、特定のメモリモジュールとの相性によってはエラーが発生することがあります。Auto設定にしても、BIOSによってはXMPが自動適用されることがあるため、確実に影響を排除するにはXMPを無効にするのが最も確実な方法です。
オーバークロックが原因
CPUやGPU、メモリをオーバークロックしていると、起動時に不安定になり映像信号が出なくなるケースがあります。
対処法
- OC設定をリセット:BIOSまたは専用ツールを使い、CPU、GPU、メモリのオーバークロック設定を解除して標準値に戻します。特に、BIOSの「OC(オーバークロック)」設定、「PBO(Precision Boost Overdrive)」、「XMP(メモリのオーバークロック)」が有効になっている場合、安定性に影響を与える可能性があるため、これらを無効にすることで問題が解決することがあります。
マルチモニター環境でのトラブル
2台以上のモニターを接続している場合、出力ポートの優先順位やOS側の認識不具合で、特定のモニターにだけ信号が来ないこともあります。
対処法
- 接続順とポートを入れ替えて確認:メインモニターを別のポートに挿してみる
- Windowsのディスプレイ設定を確認:見えている画面に出力されているモニター設定で、他のモニターが無効になっていないかチェック(確認方法は後述)
- BIOS画面の出力先:起動直後(BIOS表示)の時点でどのモニターに映るかを確認し、優先設定を見直す
- 「設定」→「システム」→「ディスプレイ」を開く
- 「マルチディスプレイ(または複数のディスプレイ)」のセクションで「他のディスプレイを検出(またはディスプレイの検出)」 をクリック(検出ボタンがあれば押す)
- 認識されていないモニターがある場合、「表示を拡張する」などの設定を変更して有効にする
- 「Win + P」キーを押して、画面の出力モード(拡張・複製など)を確認する
補足: デバイスマネージャー(「Win + X」→「デバイスマネージャー」)を開いて、ディスプレイアダプターが正常に認識されているかもチェックするとよい。
- Q2台のモニターのうち、1台しか映らない…
- A
まず、以下の方法を試してみてください。
- 「Win + P」キーを押して「拡張」モードを選択
- 「ディスプレイの検出」ボタンを押す(「Win + X」→設定 → システム → ディスプレイ)
- 映らないモニターの入力設定を確認(HDMI1 / HDMI2など間違えていないか)
- 別のケーブル・ポートに変えてみる(物理的な問題か確認)
- Qデュアルモニターで片方のリフレッシュレートが低くなるのはなぜ?
- A
原因の多くは、以下のどれかです。
- モニターのリフレッシュレート設定が「自動」になっている(手動で設定を変更する)
- GPUの帯域不足(HDMI 1.4ケーブルを使っていると120Hzが出ない)
- OSのディスプレイ設定に制限がかかっている(片方のモニターがフル解像度ではなくなることがある)
よくある質問(FAQ)
- QPC自体は起動している気配があるが、画面だけ映らない
- A
- 電源投入時のファン音やキーボードランプから、OSが起動している可能性がある
- ケーブルの不良やモニター側の電源トラブル、GPU関連の問題を優先的にチェックする
- Qケーブル不良を最短で確認する方法は?
- A
- 別の機器やモニターでケーブルを試すのが一番早い
- どちらでも不具合が生じるならケーブルが故障している可能性が高い
- QノートPCで外部モニターに繋いだのに映らない
- A
- 複数ディスプレイの設定が原因のことが多い。Windowsなら「Win + P」で画面切り替えメニューを表示
- HDMI/DisplayPortの口が正常かどうか、ケーブルやモニターが別の機器で映るか確認する
- QBIOSアップデートは具体的に何に注意する?
- A
- アップデート中に電源が落ちるとマザーボード自体が起動不能になるリスクがある
- メーカー公式の手順に従い、停電リスクが少ない環境で行う
- ノートPCの場合はバッテリー駆動できる状態(ACアダプタ併用)で作業すると比較的安全
- Qマルチモニターを使っているが、一部だけ映らない
- A
- 物理ポートの優先順やOSの設定で無効化されているかもしれない
- ケーブルを差し替えたり、モニター同士を入れ替えてみると原因の切り分けがしやすい
まとめとトラブルシューティングの流れ
- ケーブルとモニター電源の確認
- ケーブルがしっかり挿さっているか、ケーブルや電源コードが断線していないか
- モニターの省電力モードや電源ランプをチェック
- GPUやメモリの接触確認
- グラフィックカードを再度挿し直す、メモリの位置を調整し清掃する
- 必要に応じてCMOSクリアを試す
- ソフトウェア設定・ドライバーの見直し
- ドライバーの更新・再インストール
- BIOS(UEFI)の初期化や設定で外部GPUが優先かどうか確認
- オーバークロック設定やXMPの解除
- 動作を標準値に戻して、不安定要素を排除する
- 別のデバイス・モニターでの検証
- グラフィックカード、モニターどちらが故障しているのか切り分けやすい
- 最終的に修理・交換を検討
- 故障や寿命の可能性が高い場合は修理・買い替えを視野に入れる
- BIOSアップデートは慎重に
- メーカーの手順を遵守し、リスクを理解したうえで実行する
上記の流れを踏めば、多くの「モニターに信号が来ない」トラブルを解消できます。焦らず段階的に原因を切り分けることで、不要な部品交換や手間を省き、確実に問題を解決しましょう。万が一、自分では原因が特定できない場合は専門業者やメーカーサポートに相談するのが安全です。
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