赤ちゃんの行動範囲が広がると、階段やキッチンなど家庭内の危険箇所への対策が急務になります。
数あるベビーゲートの中で、最も安全性が高いとされるのが「ネジ固定式」です。
壁に穴を開ける必要があるため敬遠されがちですが、転落事故のリスクがある階段上に設置する場合、最も推奨されるタイプであり、足元の段差がないバリアフリー設計のものが多いという大きな利点があります。
この記事では、ネジ固定式ベビーゲートの特徴やメリット・デメリットを整理し、賃貸住宅での設置アイデアや失敗しない選び方まで、プロの視点で分かりやすく解説します。
ネジ固定式ベビーゲートとは?突っ張り式との決定的な違い
ベビーゲートには大きく分けて、壁に穴を開けて固定する「ネジ固定式」と、壁に突っ張って固定する「突っ張り式」の2種類があります。
ネジ固定式の最大の特徴は、物理的に壁とゲートをビスで結合するため、圧倒的な固定力を持っている点です。
子どもが体重をかけたり、激しく揺さぶったりしても外れるリスクが極めて低いため、転落事故が命に関わる「階段上」への設置には、主にこのネジ固定式が選ばれます。
一方、突っ張り式は手軽に設置できますが、固定力が摩擦に依存するため、強い力が加わるとズレたり外れたりする可能性があります。
それぞれの特徴を比較表にまとめました。
| 比較項目 | ネジ固定式 | 突っ張り式 |
|---|---|---|
| 固定力 | 非常に強い(階段上OK) | 普通(階段上NGが多い) |
| 壁への影響 | ネジ穴が開く | 跡が残りにくい |
| 足元の段差 | なし(バリアフリー)が多い | あり(つまづきやすい) |
| 設置難易度 | 高(工具推奨) | 低(工具不要で簡単) |
このように、設置の手間はかかりますが、安全性と日常の使い勝手を優先する場合、ネジ固定式に軍配が上がります。
特に、抱っこした状態で移動することが多い場所では、足元のフレームがないネジ固定式の方が転倒リスクを減らせるでしょう。
ネジ固定式を選ぶ3つのメリット
階段上に設置できる高い安全性
ネジ固定式を選ぶ最大の理由は、階段上への設置が可能であることです。
一般的な突っ張り式ゲートは、もし外れてしまった場合、赤ちゃんと共に階段を転げ落ちる大事故につながる恐れがあるため、多くのメーカーが階段上での使用を禁止しています。
対してネジ固定式は、柱や壁の下地に直接ビスを打ち込むため、大人が寄りかかってもビクともしない強度を確保できます。
万が一の事故を確実に防ぎたい場所には、迷わずネジ固定式を選ぶべきです。
足元に段差がなくつまずかない
突っ張り式の多くは構造上、床面に「コの字型」のフレームが通るため、どうしても数センチの段差ができてしまいます。
赤ちゃんを抱っこして足元が見えにくい状態での数センチの段差は、非常に危険なつまづきポイントになります。
一方、ネジ固定式の多くはゲート自体を壁に浮かせて取り付けるか、床にレールが不要な構造になっているため、足元が完全にフラット(バリアフリー)です。
ルンバなどのロボット掃除機がスムーズに通れるという副次的なメリットもあり、日々のストレスが軽減されます。
開口部を広く使える
ネジ固定式の多くは、扉そのものが壁に固定された蝶番(ヒンジ)で動く仕組みです。
そのため、開けた時にゲート全体が開放され、通路幅を最大限に活かすことができます。
突っ張り式の場合、突っ張るためのボルトやフレームが左右に残るため、実際の通路幅が狭くなってしまうことがよくあります。
洗濯カゴを持って移動したり、頻繁に行き来したりする廊下やキッチン入り口では、有効幅が広いネジ固定式の方が圧倒的にスムーズに移動できます。
知っておくべきデメリットと対策
壁にネジ穴が開くため原状回復が必要
もっとも大きなハードルは、壁や柱にビス穴が開いてしまうことです。
ベビーゲートを支えるためには、画鋲のような細いものではなく、長さと太さのあるしっかりとした木ネジを使用する必要があります。そのため、取り外した後には目立つ穴が残ることを覚悟しなければなりません。
近年では高性能な「穴埋めパテ」もありますが、賃貸物件の場合、どの程度の穴まで許容されるかは管理会社や大家さんの判断によります。
後々のトラブルを防ぐためにも、設置前には必ず管理会社や大家へ相談し、許可を得てから取り付けることを強く推奨します。
設置場所の下地確認が必須
ネジ固定式は、どこでも好きな場所にネジを打てるわけではありません。
石膏ボードなどの空洞になっている壁にネジを打っても強度が保てず、すぐに抜けてしまいます。
そのため、壁の裏にある「間柱(下地)」を探し、その堅い木材部分にネジを打ち込む必要があります。
設置前には必ず市販の「下地探しセンサー」や「下地探し針」を使って、柱の位置を特定しなければなりません。
また、しっかり固定するにはそれなりの力が必要なため、手回しドライバーではなく電動ドライバーを用意しておくと作業がスムーズです。
設置後の位置変更が難しい
一度設置してしまうと、気軽に取り外したり位置をずらしたりすることができません。
突っ張り式のように「今日はキッチン、明日は和室」といった使い回しは不可能です。
また、子どもの成長に伴いゲートが不要になった際、取り外した後にネジ穴が残ります。
設置する際は、「本当にこの場所で良いか」「扉の開く向きは動線の邪魔にならないか」を慎重にシミュレーションする必要があります。
賃貸でも諦めない!2×4材を使った設置アイデア
「賃貸だからネジ固定式は無理」と諦める必要はありません。
ホームセンターなどで購入できる「2×4(ツーバイフォー)材」と、それを突っ張り柱にするDIYパーツ(ラブリコやディアウォールなど)を使用する方法があります。
天井と床の間に木の柱を突っ張って立て、その木の柱に対してベビーゲートをネジ止めするのです。
この方法であれば、建物の壁には一切傷をつけずに設置できます。
ただし、壁への直接固定に比べると強度は劣ります。
使用するDIYパーツの耐荷重を確認し、柱自体が緩んでいないか定期的に点検を行うことが不可欠です。
【重要:階段上での使用について】
2×4材を使ったDIY設置は、キッチンや廊下などの「平らな場所」には有効ですが、「階段上」での使用は大変危険ですのでお控えください。
突っ張り柱は横からの衝撃でズレたり倒れたりする可能性があり、階段上でゲートごと外れると重大な転落事故につながります。
階段上に設置する場合は、必ず「壁の下地(柱)」に直接ネジで固定してください。
失敗しないネジ固定式ゲートの選び方
設置幅と開閉方向の確認
購入前に設置場所の幅(間口)をミリ単位で正確に計測してください。
ネジ固定式には「幅調整機能」がついているものが多いですが、対応寸法の範囲内でないと取り付けができません。
また、扉が「片開き」か「両開き」かも重要です。
階段上に設置する場合は、万が一のロック解除時に備えて、階段側には開かない「片開き(階段側へのストッパー付き)」の機能がある製品を選ぶとより安心です。
ロック機能の種類と操作性
大人は片手で簡単に開けられるけれど、子どもには解除が難しい「ダブルロック」機構がついたものを選びましょう。
例えば、ロックボタンを押しながら持ち上げて開けるタイプなどは、子どもが誤って開けてしまうリスクを大幅に減らせます。
毎日何度も開け閉めする場所なので、実際に操作している動画や口コミを参考に、ストレスなく開閉できるかをチェックすることが大切です。
素材とデザインのマッチング(ロール式の注意点)
リビングや階段周りは家の中心となる場所なので、インテリアとの調和も考えたいポイントです。
木製のゲートは温かみがあり、フローリングの床や建具とも馴染みやすい特徴があります。
一方、スチール製は強度が高くスタイリッシュで、ホワイトやブラックなどのカラー展開も豊富です。
また、メッシュ素材のロールタイプ(巻き取り式)は、使用しない時にスッキリ収納できるため人気がありますが、注意が必要です。
ロールタイプは構造上、衝撃に対する強度が金属製フェンスより劣る場合があり、「階段上への設置は不可」としている製品も多く存在します。
購入の際は、必ずメーカーの取扱説明書や仕様を確認し、設置予定場所に適しているかをチェックしてください。
まとめ
ネジ固定式ベビーゲートは、壁に穴を開ける手間やデメリットがあるものの、それを補って余りある「圧倒的な安全性」と「バリアフリーな快適さ」を提供してくれます。
特に転落の危険がある階段上には、家族の安心を守るためにネジ固定式の導入を強くおすすめします。
賃貸住宅であっても、DIYツールを活用することで設置は可能ですが、安全のためキッチンなどの平坦な場所での利用に留め、階段上では必ず壁の下地に直接固定するようにしましょう。
最後に、設置の際は必ず製品の取扱説明書を熟読し、安全基準(SGマークやEN基準など)を満たしているかを確認してください。
「どこに設置して、何を防ぎたいのか」を明確にし、自宅の環境に最適なゲートを選ぶことで、赤ちゃんと笑顔で過ごせる安全な空間を作りましょう。

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