「スマホに変えたけれど、電話とメールしか使っていない」「変なボタンを押してしまいそうで怖い」
そのように感じているシニア世代の方は少なくありません。しかし、現在のスマートフォンは単なる連絡手段を超え、健康管理や災害時の命綱、さらには行政手続きまで完結できる「生活のインフラ」へと進化しています。
この記事では、シニア世代が無理なく安全にスマートフォンを使いこなすための「スマホ活用術」を、最新のトレンドやセキュリティ対策を交えて解説します。まずはご自身のペースで、一つずつ便利な機能を取り入れていきましょう。
シニア世代がスマホ活用術を身につけるメリットと普及率
近年、シニア層のスマホ所有率は急速に高まっています。NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、60代のスマホ所有率は90%を超え、70代でも80%を超えています。もはやスマホを持つことは特別なことではありません。
スマホを活用することで得られる最大のメリットは「社会とのつながり」と「安心」です。家族と顔を見て通話ができたり、災害時に現在地を知らせたりすることは、孤立を防ぐ大きな手段となります。また、指先を使って新しい操作を覚えることは脳への良い刺激となり、認知機能の維持にも役立つと言われています。
まずは「難しそう」という思い込みを捨て、「生活を楽にする道具」として捉え直すことから始めましょう。
参考:【シニア】スマホ比率(NTTドコモ モバイル社会研究所)
【機種選び】iPhoneかAndroidか?自分に合う端末を見つける
スマホ活用において最初のハードルとなるのが機種選びです。かつては「シニア向けスマホ(らくらくホンなど)」が主流でしたが、最近では家族と同じ機種(iPhoneなど)を選ぶ方が増えています。
家族と同じ機種にする最大の利点は、「操作が分からない時に教えてもらいやすい」ことです。それぞれの特徴を表にまとめましたので、選定の参考にしてください。
| 項目 | iPhone | Android(一般) | シニア向けスマホ |
|---|---|---|---|
| 操作性 | 直感的で統一感がある | 機種により異なる | ボタンが大きくシンプル |
| 家族のサポート | 非常に受けやすい (利用者が多い) | 機種が同じなら 受けやすい | 家族が不慣れな 場合が多い |
| 価格帯 | 比較的高価 (SEシリーズは安価) | 幅広い (安価な機種も多い) | 中程度 |
| おすすめな人 | 家族がiPhone利用者 長く同じ機種を使いたい | コスパ重視 Googleサービス利用者 | 電話・メールが主 独自のサポートが必要 |
これから本格的にアプリを活用したい場合は、画面が大きく処理性能が良いiPhoneや一般的なAndroid端末を選び、設定で文字を大きくすることをおすすめします。
【基本操作】まず覚えておきたい3つの指の動き
スマートフォンの設定を始める前に、基本的な操作方法を覚えておきましょう。スマホはボタンではなく、画面を指で触って操作します。最初は戸惑うかもしれませんが、以下の3つの動きを覚えれば、ほとんどの操作ができるようになります。
タップ(軽く1回タッチ)
画面を指で軽く1回タッチする操作です。パソコンのマウスでいう「クリック」に相当します。アプリを開く、ボタンを押す、文字を入力するなど、最も基本的な操作です。
スワイプ(指を滑らせる)
画面に指を置いたまま、上下左右に滑らせる操作です。ページをめくったり、画面をスクロールしたりする時に使います。写真を次々に見る時にも便利です。
ピンチイン・ピンチアウト(2本指で拡大・縮小)
2本の指で画面を触り、指の幅を広げると拡大(ピンチアウト)、狭めると縮小(ピンチイン)できます。地図や写真、Webページの文字が小さくて見づらい時に、この操作で大きくして見ることができます。
これらの操作は、何度か練習すればすぐに慣れます。最初は間違えてしまっても大丈夫です。落ち着いて、ゆっくり練習してみましょう。
【基本設定】最初に行うべき「見やすさ」と「使いやすさ」の調整
「スマホは文字が小さくて読みにくい」と諦めてしまう前に、設定を見直しましょう。シニア世代が快適に使うための必須設定は以下の3点です。
文字サイズと表示サイズの変更
設定画面からフォントサイズ(文字の大きさ)を「大」や「特大」に変更してください。また、Androidでは「表示サイズ」自体を拡大することで、アイコンやボタンも大きく表示できます。無理に小さな文字を読む必要はありません。
画面の明るさと自動ロック時間
画面が暗いと目が疲れやすくなります。明るさを少し上げ、周囲の明るさに応じて自動調整される設定をオンにしましょう。また、操作中にすぐ画面が消えてしまわないよう、自動ロック(スリープ)までの時間を「2分〜5分」程度に長めに設定しておくと、焦らず操作できます。
音量とバイブレーション
着信音や通知音を聞き逃さないよう、音量は大きめに設定します。同時にバイブレーション機能をオンにしておけば、ポケットや鞄に入れていても振動で気づきやすくなります。
【アプリ活用】生活を豊かにする定番・最新アプリ5選
基本的な操作に慣れたら、生活を便利にするアプリを入れてみましょう。ここでは、シニア世代の利用頻度が高いジャンルから、特におすすめのアプリを紹介します。
コミュニケーション:LINE
メールよりも手軽にメッセージ交換ができるほか、ビデオ通話機能を使えば、遠方の孫や友人の顔を見ながら話せます。「スタンプ」を使えば、文字入力をせずに感情を伝えることも可能です。
防災・情報:Yahoo!防災速報 / 特務機関NERV
地震、台風、豪雨などの情報を、テレビよりも早く、現在地に合わせて通知してくれます。避難所の場所を確認するマップ機能も搭載されているため、万が一の備えとして必ずインストールしておきましょう。
健康管理:マイナポータル / お薬手帳アプリ
最新のスマホ活用術として注目されているのが、マイナンバーカードとの連携です。マイナポータルアプリを使えば、健康診断の結果や処方薬の履歴を確認できます。また、薬局によっては「電子お薬手帳」に対応しており、スマホをかざすだけで記録が可能です。
※マイナポータルのデータ閲覧に関する注意点
- 閲覧できるのは令和2年度(2020年度)以降のデータのみです。
- 健診結果は過去5回分までとなります。
- データの反映には数ヶ月かかる場合があり、保険者や医療機関によって登録状況が異なります。
地図・交通:Googleマップ / 乗換案内
行きたい場所へのルート検索はもちろん、バスの時刻表や遅延情報もリアルタイムで分かります。音声入力機能を使えば、文字を打たずに「近くの病院」などと話しかけるだけで検索でき便利です。
【安全対策】詐欺やトラブルを防ぐためのセキュリティ設定
スマホを使う上で最も心配なのが、フィッシング詐欺や架空請求などのトラブルです。しかし、これらは適切な設定と知識があれば大部分を防ぐことができます。
怪しいSMSやメールは開かない
「未払いの料金があります」「荷物を持ち帰りました」といったショートメッセージ(SMS)が届いても、記載されているURLは絶対にタップしないでください。心当たりがある場合は、URLからではなく、必ず公式サイトを検索して確認する癖をつけましょう。
迷惑電話ブロックサービスの利用
携帯キャリア各社が提供している「迷惑電話ブロック」等のオプションサービス(無料〜月額数百円)への加入を強く推奨します。警察や自治体から提供された迷惑電話番号リストに基づき、危険な着信を自動で拒否または警告してくれます。
OSやアプリを常に最新にする
スマホの基本ソフト(OS)やアプリの更新通知が来たら、後回しにせずアップデートを行いましょう。これは新しい機能を追加するだけでなく、セキュリティの抜け穴を塞ぐ重要な役割を果たしています。
【健康管理】目と体に優しいスマホの使い方
スマートフォンは便利ですが、長時間使用すると目の疲れや肩こり、首の痛みなどの原因になることがあります。健康を守りながらスマホを活用するために、以下のポイントを意識しましょう。
目を休める「20-20-20ルール」
眼科医が推奨する「20-20-20ルール」を実践しましょう。これは、20分ごとに20秒間、20フィート(約6メートル)先を見るという方法です。スマホを見続けると目のピント調整機能が疲れてしまうため、定期的に遠くを見ることで目の筋肉をリラックスさせます。
正しい姿勢で使う
スマホを見る時は、画面を目の高さに近づけ、顔を下に向けすぎないようにしましょう。うつむいた姿勢を長時間続けると、首や肩に大きな負担がかかります。椅子に座って使う場合は、背筋を伸ばし、肘をテーブルや肘掛けに置くと安定します。
画面との距離を保つ
スマホの画面と目の距離は、30cm〜40cm程度離すのが理想的です。近すぎると目が疲れやすくなります。文字が小さくて見づらい場合は、画面に顔を近づけるのではなく、前述の設定で文字サイズを大きくしましょう。
ブルーライトカット機能を活用
多くのスマートフォンには「ブルーライトカット」や「ナイトモード」といった機能があります。これをオンにすると、画面が少しオレンジがかった色になり、目への刺激が和らぎます。特に夜間の使用時には、この機能を活用することで睡眠の質も改善されます。
長時間の連続使用を避ける
1時間以上連続でスマホを使う場合は、途中で必ず休憩を入れましょう。休憩中は軽いストレッチをしたり、窓の外を眺めたりすることで、目と体の両方をリフレッシュできます。
便利なスマホですが、健康あってこその活用です。無理のない範囲で、楽しく使い続けられるよう心がけましょう。
まとめ:焦らず楽しみながらスマホライフを送りましょう
シニア世代のスマホ活用術について、機種選びからアプリ、セキュリティ対策まで解説しました。重要なポイントは以下の通りです。
- 機種選び: 家族と同じOS(iPhoneなど)を選ぶとサポートを受けやすい。
- 設定: 文字サイズや明るさを調整し、身体的負担を減らす。
- アプリ: LINEや防災、健康管理アプリなど、生活に直結するものから使う。
- 安全: 迷惑電話ブロックを活用し、不審なURLは触らない。
最初から全ての機能を使いこなす必要はありません。まずは「天気を調べる」「孫とテレビ電話をする」といった身近な目標を一つ持ち、スマホのある生活を楽しんでみてください。その小さな一歩が、毎日の生活をより豊かで安心なものに変えてくれるはずです。

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