近年、将棋の八大タイトルの一つである「叡王戦(えいおうせん)」についてインターネットで検索すると、「ひどい」「いらない」といったネガティブな関連ワードが表示されることがあります。
将棋に興味を持ち始めたばかりの方や、ニュースで話題になっているのを見た方なら、「せっかくのタイトル戦なのになぜそんな風に言われているの?」と疑問に思うことでしょう。結論からお伝えすると、叡王戦というタイトル戦そのものの価値が低かったり、不要であったりするわけでは決してありません。
では、なぜこのような声が上がってしまうのでしょうか?その背景には、絶対王者・藤井聡太竜王・名人の失冠に関するメディアの報道姿勢、過去に行われていた非常にトリッキーなルール、異例ずくめの対局展開、そして主催企業の交代劇など、実に様々な要因が複雑に絡み合っています。
この記事では、叡王戦が「ひどい」「いらない」と言われてしまう本当の理由を、過去のルールの変遷や話題になった出来事とともに分かりやすく解説します。現在の見どころや最新動向もあわせてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
叡王戦が「ひどい」「いらない」と言われる本当の理由(なぜ検索されるのか)
叡王戦に対して、一部で厳しい意見やネガティブな検索ワードが飛び交うのはなぜでしょうか。主に以下の5つの理由が考えられます。歴史の浅い棋戦ならではの苦悩や、将棋界を揺るがす大ニュースが絡んでいることが分かります。
理由1:藤井聡太八冠(当時)失冠時のメディア報道が「ひどい」
最も記憶に新しく、多くの将棋ファンの反感を買ってしまったのが、2024年の第9期叡王戦におけるメディアの報道姿勢です。この年、藤井聡太八冠(当時)は同世代のライバルである伊藤匠七段(当時)に敗れ、ついに全冠制覇が崩れて七冠へと後退しました。
この歴史的な瞬間、多くのメディアは「藤井聡太八冠、254日天下で終わる」「牙城崩れる」といった見出しでセンセーショナルに報じました。藤井氏が全冠を保持していた期間「254日」というのは、かつて羽生善治九段が打ち立てた七冠独占の「167日」を大幅に上回る、とてつもない大記録です。それにもかかわらず、「天下が終わった」「陥落した」という否定的なニュアンスが先行して報じられたことに、多くのファンが違和感を覚えました。
「偉業へのリスペクトが足りない」「見出しの付け方がひどい」といった怒りの声がSNSを中心に溢れかえったのです。さらに、新しく叡王となった伊藤匠七段の「初タイトル獲得」という素晴らしい快挙よりも、「絶対王者の敗北」というストーリーばかりが強調されすぎたことも問題視されました。
勝者への敬意を欠くような報道の偏りが、「叡王戦絡みのニュースはひどい」という歪んだイメージにつながってしまった最大の要因と言えるでしょう。
理由2:第5期の「異例すぎる展開」がひどい(凄すぎる)
2つ目の理由は、少し意味合いが異なります。これはネガティブな批判というよりも、あまりにも過酷で劇的な展開に対する「ひどい(凄まじい、常軌を逸している)」という感嘆や驚愕の声です。
語り草となっているのは、2020年に行われた第5期叡王戦七番勝負(永瀬拓矢叡王 vs 豊島将之竜王・名人 ※肩書はいずれも当時)です。このシリーズは、将棋界の歴史に残る死闘となりました。なんと、将棋界でも滅多に起こらない「持将棋(お互いの玉が敵陣に入り込み、どちらも相手を詰ませることができずに引き分けとなること)」が2回、「千日手(同じ局面が4回繰り返され引き分けとなること)」が1回発生したのです。
七番勝負は先に4勝した方がタイトル獲得となりますが、引き分けが3回も生じた結果、決着がついたのはなんと「第9局」までもつれ込みました。持将棋が成立するまでの対局時間は深夜に及び、両対局者は極限の疲労の中で盤に向かい続けました。チェスクロック方式で秒読みのプレッシャーがかかる中、終わりの見えない戦いを繰り広げた両者に対し、ファンからは「体力も精神力もひどい(凄すぎる)」「ルールを超越した戦いだ」と驚きの声が上がりました。
この第5期のインパクトがあまりにも強すぎたため、「叡王戦=とんでもなく過酷な棋戦」というイメージが定着した側面があります。
理由3:変則ルール(持ち時間変動制)と主催者交代のドタバタ劇
叡王戦は、他の伝統的なタイトル戦と比べて歴史が新しく、発足当初から非常に「実験的」な要素が強い棋戦でした。この奇抜な試みが、「他のタイトル戦と違って格式がない」「ルールがひどい」と一部のオールドファンから敬遠される要因にもなりました。
特に話題を呼んだのが、第3期から第5期にかけて採用されていた「持ち時間変動制」という極めて特殊なルールです。これは、七番勝負の各対局の持ち時間を「1時間・3時間・5時間・6時間」の中から対局者があらかじめ選んで決めるというものでした。事前の戦略が問われる面白い試みではありましたが、「毎回持ち時間が変わるので見ている側もペースが掴みづらい」「将棋の本質的な実力以外の要素が絡みすぎる」といった批判的な意見もありました。
さらに、第5期を最後に立ち上げ時の主催企業であった株式会社ドワンゴが業績不振などを理由に離脱してしまいます。一時は棋戦の存続自体が危ぶまれる事態となりました。その後、株式会社不二家が主催を引き継ぐことで存続しましたが、こうした棋戦の根幹に関わる部分が数年の間にコロコロと変わったドタバタ劇も、「叡王戦は不安定でいらないのでは?」という誤解を生む一因となりました。
理由4:ニコ生特有のノリや演出への好き嫌い(過去のイメージ)
叡王戦のルーツは、株式会社ドワンゴが運営する動画配信サービス「ニコニコ生放送」での中継を前提とした棋戦であったことに由来します。そのため、初期の叡王戦はネット番組特有のフランクなノリや、独特な演出が随所に散りばめられていました。
例えば、対局者の登場シーンをプロレス風に派手に演出したり、視聴者のコメントが画面上を流れる中で解説が行われたりといった具合です。これは若い世代やネットユーザーを取り込む画期的な試みとして大成功を収めましたが、一方で、長年将棋を愛好してきた伝統を重んじるファン層からは、「タイトル戦の品格に欠ける」「バラエティ番組のようでひどい」と受け取られることもありました。
現在では主催が変わり、ABEMAなど複数のプラットフォームで洗練された中継が行われるようになっていますが、立ち上げ当初の「ネット番組的なノリ」のイメージが今でも一部で尾を引いていると考えられます。
理由5:「タイトル戦の乱立で価値が下がる」というオールドファンの声
将棋のタイトル戦は、長い間「七大タイトル(名人、竜王、王将、王位、王座、棋王、棋聖)」の時代が続いていました。そこに2017年、叡王戦が新たにタイトル戦に昇格し「八大タイトル」となりました。
将棋界が盛り上がる喜ばしいニュースである反面、一部の保守的な将棋ファンの中には「タイトル戦の数が増えすぎると、一つ一つのタイトルの権威や価値が相対的に薄れてしまうのではないか」と危惧する声もありました。「七大タイトルで十分バランスが取れていたのに、新しいタイトルは本当に必要なのか?いらないのではないか?」という懐疑的な見方です。
しかし、後述するように叡王戦は独自の存在意義を確立しており、現在では将棋界になくてはならない重要なタイトル戦として認知されています。発足当時のこうした懸念は、結果的に杞憂に終わったと言えるでしょう。
叡王戦とは?歴史とルールの変遷を分かりやすく解説
「ひどい」と言われた過去のドタバタ劇や変則ルールを経て、叡王戦はどのように進化してきたのでしょうか。ここで、叡王戦の成り立ちとルールの変遷をおさらいしておきましょう。歴史を知ることで、この棋戦のユニークさがより深く理解できるはずです。
叡王戦の誕生(2015年)からタイトル戦昇格(2017年)までの経緯
叡王戦は、2015年に株式会社ドワンゴの主催により「一般棋戦」として産声を上げました。最大の特徴は、優勝者がコンピューター将棋ソフト(AI)と対局する「将棋電王戦」への出場権を得られるという点にありました。「人間 vs AI」の究極の頭脳戦を盛り上げるための、予選としての位置づけだったのです。
第1期は山崎隆之八段、第2期は佐藤天彦名人が優勝し、それぞれAIと熱戦を繰り広げ大きな話題を呼びました。そして、AIの実力が人間のトッププロを凌駕したことが明確になったことを受け、電王戦はその役割を終えて終了します。
これに伴い、叡王戦は2017年の第3期から、正規の「タイトル戦」へと格上げされました。七大タイトル制だった将棋界に、34年ぶりに新たなタイトル戦が誕生した瞬間でした。これは将棋界にとって非常に大きな出来事だったのです。
株式会社ドワンゴ主催時代(第1期~第5期)の特徴と苦悩
ドワンゴが主催していた第1期から第5期までは、まさに「挑戦」と「試行錯誤」の連続でした。ネット企業ならではの発想で、これまでの将棋界の常識を覆す様々な企画が実行されました。
タイトル戦となってからの五番勝負(のちに七番勝負)では、ニコニコ生放送での視聴者アンケートで対局場の場所を決めたり、前述した「持ち時間変動制」を導入したりと、話題作りに事欠きませんでした。特に持ち時間については、振り駒(将棋の先手・後手を決める作法)の際に、持ち時間を選ぶ優先権まで決めるという複雑なシステムが採用されていました。
しかし、斬新すぎる企画は時に運営の負担となり、また将棋ファン全体への定着という面では課題も残しました。最終的に、企業の事業見直しに伴い、ドワンゴは第5期をもって主催から退くことになります。
株式会社不二家への主催交代(第6期~現在)でどう変わったか
叡王戦の存続危機を救ったのが、誰もが知るお菓子メーカーの株式会社不二家です。2021年の第6期から不二家が新たな主催となり(日本将棋連盟との共催)、叡王戦は大きく生まれ変わりました。
不二家が主催になって最も変わったのは、ルールの「シンプル化」と「王道回帰」です。複雑だった持ち時間変動制や七番勝負は廃止され、他のタイトル戦でも馴染み深い「各4時間の五番勝負」へと変更されました。また、対局中のおやつとして不二家の商品が詰まった「ペコちゃんボックス」が提供されるようになり、緊迫した勝負の中のオアシスとしてファンを楽しませています。
トリッキーな要素が削ぎ落とされたことで、純粋に棋士同士の盤上の技術がぶつかり合う、非常に洗練された見やすい棋戦へと進化を遂げたのです。
【比較表】ドワンゴ時代と不二家時代のルール・特徴の違い
過去のドワンゴ主催時代と、現在の不二家主催時代の違いを一目で分かるように比較表にまとめました。いかにルールがスッキリと整理されたかが分かります。
| 比較項目 | ドワンゴ時代(第3期~第5期) | 不二家時代(第6期~現在) |
|---|---|---|
| タイトル戦の番勝負 | 七番勝負 | 五番勝負(先に3勝で獲得) |
| 持ち時間の設定 | 変動制(1時間・3時間・5時間・6時間から選択など) | 一律 各4時間 |
| 時間計測方式 | チェスクロック方式 | チェスクロック方式 |
| 主な配信プラットフォーム | ニコニコ生放送 | ABEMA、YouTubeなど幅広く展開 |
| 対局中の名物 | ユーザーアンケートによる企画など | ペコちゃんボックス(お菓子の提供) |
現在の叡王戦の仕組みと対局ルール(第6期以降)
不二家主催となり、ルールが明確になった現在の叡王戦。どのような仕組みで挑戦者が決まり、タイトルが争われるのでしょうか。基本ルールを分かりやすく解説します。
段位別予選:すべての棋士にチャンスがあるサバイバル
叡王戦の大きな特徴の一つが、「段位別予選」を採用している点です。予選は、九段、八段、七段、六段、五段、四段と、現在の段位ごとにトーナメント戦が行われます。
将棋のタイトル戦の中には、過去の実績によってシード枠が大きく、若手が挑戦権を得るまでに何年もかかるものもあります。しかし叡王戦の場合、四段や五段といったデビュー間もない若手棋士であっても、自分の段位のトーナメントを勝ち抜きさえすれば、一気に本戦(挑戦者決定トーナメント)へと駒を進めることができます。
このシステムにより、若手、中堅、ベテランそれぞれにスポットライトが当たりやすく、下剋上も起こりやすいスリリングな予選となっています。
本戦トーナメント:シード選手と予選突破者が激突
段位別予選を勝ち抜いた12名の棋士と、前期の成績優秀者である本戦シード棋士4名の、合計16名によるトーナメント戦が「本戦」です。
予選の各段位からの進出枠は、九段が3名、八段が3名、七段が2名、六段が2名、五段が1名、四段が1名と定められています(参加人数によって微変動あり)。この16名による一発勝負のトーナメントを最後まで勝ち抜いたただ1人が、叡王への挑戦権を獲得します。
本戦の持ち時間は各3時間(チェスクロック使用)と短めで、スピーディーな決着が魅力です。トップ棋士たちによる息もつかせぬ終盤戦は、見ごたえ十分です。
五番勝負:持ち時間4時間でスピーディーな決着
挑戦者が決まると、いよいよ叡王と挑戦者による「五番勝負」が開幕します。先に3勝した方がタイトルを獲得(防衛)します。
タイトル戦の持ち時間は各4時間(チェスクロック使用)です。名人戦(各9時間の2日制)や王将戦(各8時間の2日制)と比べると時間が短く、対局は必ず1日で決着します。朝の10時に対局が開始され、順調に進めば夕方から夜の早い時間帯には終局を迎えます。
この「1日で完結する」というテンポの良さが、現代の忙しい将棋ファンにとって非常に観戦しやすいフォーマットとして高く評価されています。持ち時間が切れた後は「1手60秒未満」で指さなければならず、極限の秒読みの中でのドラマチックな逆転劇も頻繁に生まれます。
「いらない」なんて嘘!叡王戦が将棋界にもたらした功績と魅力
ここまでの解説でお分かりいただけたと思いますが、叡王戦は決して「いらない」棋戦ではありません。むしろ、これからの将棋界の未来を切り拓く上で、非常に重要な存在意義と独自の魅力を持っています。
新聞社以外の「一般企業」が主催する新しいビジネスモデル
将棋のタイトル戦は、古くから新聞社がスポンサーとして主催するのが一般的でした(例:名人戦は朝日新聞・毎日新聞、竜王戦は読売新聞など)。新聞の購読料などを原資として、日本の伝統文化である将棋を支えてきた歴史があります。しかし、現代は新聞業界全体の発行部数減少が続いており、将棋界も新聞社だけに頼らない新たなスポンサーモデルを模索する必要に迫られていました。
そうした中、IT企業であるドワンゴが立ち上げ、食品メーカーの不二家が引き継いだ叡王戦は、「新聞社以外の一般企業が主催するタイトル戦」として画期的なビジネスモデルを確立しました。将棋の持つ知的なイメージや、幅広い世代への訴求力が、一般企業のブランドイメージ向上にも貢献できることを証明したのです。これは将棋界の経営基盤を安定させる上で、計り知れない功績と言えます。
ペコちゃんボックスなど、新たな「観る将」文化の創出
不二家が主催になってからの大きな魅力が、食を通じたエンターテインメントの提供です。対局室には不二家のお菓子がたっぷりと詰まった「ペコちゃんボックス」が置かれ、棋士たちが対局中にどのお菓子を選んで食べるかが、ファンの間で大きな注目を集めるようになりました。
午前と午後のおやつタイムには、不二家のケーキやスイーツが提供され、その美しいビジュアルが中継カメラに映し出されます。棋士が選んだおやつはSNSですぐさま話題となり、同じ商品を求めてファンが不二家の店舗に駆けつけるといった経済効果も生み出しています。
自身では将棋を指さず、観戦して楽しむ「観る将」と呼ばれるファン層にとって、叡王戦は最も親しみやすく、視覚的にも楽しめるタイトル戦として絶大な人気を誇っています。
チェスクロック使用と持ち時間4時間制が現代の視聴スタイルにマッチ
叡王戦はタイトル戦の中で唯一、全編を通じて「チェスクロック方式」を採用しています(他の棋戦はストップウォッチ方式が主流)。チェスクロック方式では、考慮時間が1分未満でも細かく消費されていくため、終盤に向けてお互いの持ち時間がギリギリまで削られやすくなります。
さらに、各4時間という1日制の持ち時間は、朝から夕方にかけて集中して観戦するのにちょうど良い長さです。ABEMAなどのインターネット放送局で、スマホやPCから仕事や家事の合間にチェックする現代人のライフスタイルに、見事にマッチしています。間延びすることなく、スリリングな終盤戦を夕食の時間帯などに楽しめるのは、叡王戦ならではの大きな強みです。
伊藤匠叡王の誕生など、若手台頭の起爆剤として機能
前述した「段位別予選」の仕組みにより、叡王戦は若手棋士にとって最もタイトルに手が届きやすい「登竜門」としての役割も果たしています。
実際に、現在のタイトル保持者である伊藤匠叡王は、2024年の第9期において七段戦の予選から勝ち上がり、本戦でも並み居る強豪を撃破して挑戦権を獲得。そのまま絶対王者であった藤井聡太叡王を破るという大番狂わせを演じました。
実力さえあれば、若手がベテランやタイトルホルダーに一泡吹かせることができる。この下剋上のシステムが、将棋界全体の新陳代謝を活発にし、新たなスターを次々と生み出す起爆剤として機能しているのです。
最新の叡王戦情報まとめ(2026年最新版)
2026年現在、叡王戦はどのような状況になっているのでしょうか。最新の動向と、今後の見どころをまとめました。現在進行形で熱いドラマが展開されています。
伊藤匠叡王が3連覇中!新たな絶対王者の誕生
2024年の第9期で藤井聡太八冠(当時)から叡王を奪取し、将棋界に激震を走らせた伊藤匠叡王。その勢いはフロック(まぐれ)ではありませんでした。
翌2025年の第10期では、挑戦者として名乗りを上げた実力者・斎藤慎太郎八段をフルセット(3勝2敗)の末に退け、見事に初防衛を果たしました。さらに、2026年に行われた第11期叡王戦でも、2年連続で挑戦者となった斎藤慎太郎八段の猛攻をしのぎ切り、再び3勝2敗でタイトルを防衛。これで堂々の「叡王3連覇」を達成しました。
伊藤叡王は2025年に王座のタイトルも獲得して「二冠」に輝き、名実ともに将棋界を牽引するトップ棋士の仲間入りを果たしています。精緻な序盤研究と、AIの評価値に頼らない人間的な勝負術を併せ持つ彼の将棋は、多くのファンを魅了してやみません。
藤井聡太竜王・名人とのライバル関係が今後の見どころ
現在の将棋界最大の注目ポイントは、同学年のライバルである「伊藤匠叡王 vs 藤井聡太竜王・名人」の覇権争いです。
かつて八冠を独占した藤井竜王・名人にとって、伊藤叡王は自身の連勝記録を止め、タイトルを奪っていった最大の「壁」となっています。第11期の本戦トーナメントでは藤井竜王・名人は準決勝で敗退してしまいましたが、いつか必ずリベンジマッチとして叡王戦の舞台に帰ってくるはずです。
幼い頃から切磋琢磨してきた同世代の二人が、叡王のタイトルを懸けて再び五番勝負で激突する日はそう遠くないでしょう。この熱いライバル関係がある限り、叡王戦から目が離せません。
シンガポール対局など、国際化に向けた新たな試み
不二家主催のもと、叡王戦は新たな試みにも挑戦しています。2026年の第11期五番勝負・第1局は、なんと海外である「シンガポール」で開催されました。
叡王戦における国外での対局は、第4期(2019年度)の台湾・台北市での開催以来、実に7年ぶりの快挙です。将棋という日本独自の文化を世界に発信していく上で、タイトル戦の海外開催は非常に意義深いものです。
安定したスポンサー基盤を持ち、フットワークの軽い叡王戦だからこそ実現できた企画と言えるでしょう。今後も、従来の枠にとらわれない新しい試みでファンを楽しませてくれることが期待されています。
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まとめ:叡王戦の「ひどい」は過去の話。今は見どころ満載のタイトル戦!
叡王戦が「ひどい」「いらない」と一部で検索されてしまう理由について、過去の歴史から最新動向まで詳しく解説してきました。
過去には以下のような理由から、ネガティブな印象を持たれてしまった時期もありました。
- 絶対王者陥落の際、メディアの勝者への敬意を欠いた報道姿勢への批判。
- 第5期で起きた、持将棋連発・第9局決着という常軌を逸した過酷な展開。
- 立ち上げ初期の複雑すぎるルールと、主催企業交代に伴う不安定なイメージ。
- 「タイトル戦が多すぎる」というオールドファンからの懸念。
しかし、こうした「ひどい」と言われた事象のほとんどは過去の過渡期におけるものであり、現在では完全に払拭されています。
現在の叡王戦は、不二家主催のもとルールも洗練され、「各4時間の五番勝負」という極めて分かりやすく、観戦しやすいタイトル戦へと進化しています。ペコちゃんボックスのおやつタイムなど親しみやすい要素も多く、若手棋士の登竜門としても機能しており、「いらない」どころか将棋界の未来を担う重要な棋戦です。
現在は伊藤匠叡王が3連覇を果たし、新たな歴史を刻み続けています。過去のイメージにとらわれず、ぜひフラットな目線で叡王戦を観戦してみてください。棋士たちが盤上で繰り広げる、熱くスピーディーなドラマの虜になるはずです!
