書類作成やメールのやり取りをしていると、「ただし」と書くべきか、「但し」と漢字にするべきか迷うことはありませんか。
どちらも意味は同じですが、相手に与える印象や、使用するシーンには明確な違いがあります。
結論からお伝えすると、日常のビジネスメールや一般的な文章では「ただし(平仮名)」を使うのが正解です。
漢字の「但し」は、法令や契約書など、非常に限定的な場面でしか使いません。
この記事では、なぜ平仮名が推奨されるのかという根拠と、プロが実践している正しい使い分けのルールを解説します。
「ただし」と「但し」の決定的な違いとは
「ただし」と「但し」は、どちらも条件や例外を付け加える際に使う接続詞です。
辞書的な意味に違いはありませんが、「可読性(読みやすさ)」と「使用推奨シーン」が大きく異なります。
現代の文章作成において、どのように使い分けるべきかを見ていきましょう。
基本は「ただし(平仮名)」が推奨される
現代の日本語文章において、接続詞は平仮名で書くことが一般的です。
「ただし」だけでなく、「または(又は)」「および(及び)」「かつ(且つ)」なども同様の傾向にあります。
理由はシンプルで、漢字が多すぎる文章は視覚的に堅苦しく、読む人にストレスを与えるからです。
平仮名の「ただし」を使うことで、文章全体に柔らかい印象を与え、前後の文脈をスムーズにつなぐ効果があります。
社内メール、顧客への連絡、Web記事、企画書など、私たちが日常的に作成する文書の9割以上は、平仮名の「ただし」で問題ありません。
「但し(漢字)」を使う特別な場面
では、漢字の「但し」はいつ使うのでしょうか。
それは、「契約書」「覚書」「規約」などの法的な拘束力を持つ文書や、格式を重んじる挨拶状などです。
漢字表記には「重み」や「厳格さ」を演出する効果があります。
「但し書き(ただしがき)」という言葉があるように、契約事項の例外規定を強調したい場合には、あえて漢字を使うことがあります。
しかし、近年では法律の条文でも平仮名化が進んでいます。
「漢字で書かなければ間違い」というケースは極めて稀であると覚えておいてください。
【比較表】一目でわかる使い分けリスト
利用シーンごとに、どちらを使うべきかをまとめました。
迷った際は、この表を基準に判断してください。
| 利用シーン | 推奨表記 | 理由・備考 |
|---|---|---|
| 日常会話・SNS | ただし | 親しみやすさを重視するため。 |
| ビジネスメール | ただし | 読み手の負担を減らすため。 |
| Web記事・ブログ | ただし | 視認性を高め、離脱を防ぐため。 |
| 社内報告書・企画書 | ただし | 内容を素早く理解してもらうため。 |
| 契約書・法的文書 | 但し | 厳密さや慣例を重視する場合。 |
| 格調高い挨拶状 | 但し | 伝統的な形式美を優先する場合。 |
公用文における「ただし」のルール
国や自治体が作成する文書(公用文)には、明確な表記ルールが存在します。
ビジネス文書のマナーもこの公用文のルールに準じていることが多いため、知っておくと非常に役立ちます。
公用文では「平仮名」表記が原則
内閣訓令による「公用文作成の要領」において、接続詞は原則として平仮名で書くことが定められています。
これには「ただし」も含まれており、公務員が作成する書類では、基本的に「但し」という表記は使いません。
かつては漢字が多用されていましたが、現在では「国民にとって読みやすく、誤解のない文章」が求められています。
この流れは民間企業にも波及しており、大手企業のプレスリリースなどでも平仮名表記がスタンダードになっています。
法律や契約書での扱いも変化している
法律の世界でも、明治時代に作られた古い法律(大日本帝国憲法など)では「但し(但シ)」が使われていましたが、戦後の新しい法律や改正された条文では、平仮名の「ただし」と表記するのが基本となっています。
現代の法律において、公用文のルールに則り平仮名化が進んでいるため、「契約書だから絶対に漢字でなければならない」という決まりはありません。
むしろ、契約内容を相手に正しく理解してもらうために、あえて平仮名を推奨する弁護士や法務担当者も増えています。
文章力を上げる「ただし」の上手な使い方
「ただし」と「但し」の表記の違いだけでなく、文章の中での正しい使い方も押さえておきましょう。
誤った使い方は、論理の矛盾を招き、読み手を混乱させてしまいます。
条件や例外を付け加える役割
「ただし」は、前の文で述べた原則に対し、条件・例外・補足を付け加える働きをします。
単に話を転換する「しかし」とは役割が異なります。
- 原則: 明日は予定通り運動会を行います。
- 例外(ただし): ただし、雨天の場合は中止とします。
このように、「基本はAだが、特定の条件下ではBになる」という構造を作るのが「ただし」の役割です。
この構造を意識すると、読み手にとって親切で論理的な文章になります。
「しかし」との混同に注意
よくある間違いが、逆接の接続詞「しかし」との混同です。
「しかし」は前の内容を否定したり、対立する意見を述べたりするときに使います。
- NG例: このパソコンは高性能です。ただし、値段が高いです。
- OK例: このパソコンは高性能です。しかし、値段が高いです。
「値段が高い」ことは「高性能であること」の例外条件ではありませんよね。
単なる逆の内容を述べる場合は「しかし」や「ですが」を使い、条件を絞り込む場合にのみ「ただし」を使うようにしましょう。
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まとめ|基本は「ただし」で統一しよう
「ただし」と「但し」の違いについて解説しました。
意味自体に違いはありませんが、現代のビジネスシーンやWebライティングにおいては、平仮名の「ただし」を使うのがマナーであり正解です。
記事のポイントを整理します。
- 基本ルール: 読みやすさを重視し、平仮名の「ただし」を使う。
- 漢字の出番: 契約書や格式高い文書など、限定的なシーンのみ。
- 公用文の基準: 国の指針でも平仮名表記が推奨されている。
- 機能の違い: 「しかし(逆接)」と混同せず、例外を示す際に使う。
漢字変換で「但し」が出てくると、つい使いたくなるかもしれません。
しかし、読み手への配慮こそが文章力の要です。
迷ったときは「平仮名にしておくほうが無難で親切」と覚えておけば、失敗することはありません。

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