「または」「あるいは」「もしくは」。
日常やビジネスで何気なく使っているこれらの言葉ですが、いざ「違いは?」と聞かれると迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
この記事では、これら3つの接続詞の正確な意味と、ビジネスシーンで恥をかかないための正しい使い分けを解説します。
迷ったときに一瞬で判断できる「比較表」も用意しましたので、ぜひ参考にしてください。
3つの言葉の違いを一瞬で判断する比較表
「AまたはB」「AあるいはB」「AもしくはB」。
どれも「選択肢」を示す言葉ですが、受け手に与える印象や、使われるシチュエーションには明確な違いがあります。
まずは結論から。以下の比較表でそれぞれの立ち位置を確認しましょう。
| 言葉 | 主なシーン | フォーマル度 | 特徴・ニュアンス |
|---|---|---|---|
| または | 日常・ビジネス全般 | 中 | 最も一般的。単純な並列・選択。 英語の「or」に近い。 |
| あるいは | 説明・文学・公的 | 中〜高 | 選択に加え「可能性(推量)」を含む。 「〜かもしれない」の意図がある時も。 |
| もしくは | 契約書・規定・法令 | 高 | 非常に厳密。法的効力を持つ文書で多用。 階層構造を持つ場合のルールがある。 |
ざっくりと言えば、日常業務なら「または」、少し改まった提案なら「あるいは」、絶対に誤解が許されない契約関係なら「もしくは」を選ぶのが基本です。
次章からは、それぞれの言葉が持つ本来の意味と、具体的な使用例を深掘りしていきましょう。
【基礎編】「または」「あるいは」「もしくは」の意味と特徴
ここでは、3つの言葉それぞれの辞書的な意味と、現代のビジネスシーンでどのようなニュアンスを持って使われているかを解説します。
「または(又は)」:日常からビジネスまで万能選手
「または」は、最も汎用性が高い接続詞です。
漢字では「又は」と書きますが、公用文以外ではひらがなで表記されることも多く、柔らかい印象を与えます。
複数の選択肢の中から「どちらか一方(あるいは一部)」を選ぶ場面で使われ、単純な並列を示すのに最適です。
クセがなくフラットな表現であるため、社内メールから顧客への案内、マニュアルまで幅広く使えます。
「どっちを使おうかな?」と迷ったときは、とりあえず「または」を選んでおけば、大きく外すことはありません。
ただし、あまりに連続して使うと文章が単調になるため、後述する「あるいは」などと言い換えてリズムを作ると良いでしょう。
よく使われるシーン
- アンケート:「男性または女性を選択してください」
- 日程調整:「月曜日または火曜日のご都合いかがでしょうか」
- 案内文:「電話、またはメールにてお問い合わせください」
「あるいは(或いは)」:選択だけでなく「推量」も含む
「あるいは」は、「または」よりも少し硬く、文学的あるいは論理的な響きを持つ言葉です。
漢字では「或いは」と書きます。
最大の特徴は、単なる選択肢の提示だけでなく、「もしかすると〜かもしれない」という推量や可能性のニュアンスを含めることができる点です。
「A、あるいはB」と言った場合、「AかBのどちらか」という意味に加え、「Aという可能性もあるし、もしかしたらBという可能性もある」という含みを持たせることができます。
そのため、将来の予測を語るプレゼンテーションや、複数の解決策を提案する企画書など、相手に思考の余地を与える場面で好まれます。
よく使われるシーン
- 現状分析:「成功か、あるいは失敗か、結果はまだ分からない」
- 提案:「プランA、あるいはプランBの採用を検討しています」
- 可能性の示唆:「雪、あるいは雨が降るでしょう」(天気予報など)
「もしくは(若しくは)」:契約書で輝く厳密な表現
「もしくは」は、今回紹介する中で最も堅苦しく、かつ厳密な言葉です。
漢字では「若しくは」と書きます。
日常会話で「今日のお昼はカレー、もしくはラーメンにしよう」と言うと、少し大げさに聞こえてしまうかもしれません。
この言葉が本領を発揮するのは、契約書、利用規約、法律などの公的な文書です。
「AもしくはB」とした場合、「AとBのどちらか一方」という条件を、誤解の余地なく厳格に指定する意図が強くなります。
ビジネスにおいては、「念のため」「確実に」という意味合いを込めたい重要事項の説明などで使われることが多いです。
また、後ほど詳しく解説しますが、法律用語としては「または」と明確に使い分けるルールが存在します。
よく使われるシーン
- 本人確認:「運転免許証もしくはパスポートをご提示ください」
- 契約条件:「書面もしくは電磁的記録により通知する」
- 採用条件:「大卒以上、もしくは同等の能力を有する者」
【応用編】法令・契約書における「又は」と「若しくは」のルール
ビジネスパーソンとしてワンランク上の知識を持っておきたいのが、公用文(法律や条例など)における使い分けルールです。
実は、法律の世界では「または」と「もしくは」は入れ替え可能な言葉ではなく、明確な階層関係があります。
大きなまとまりは「又は」、小さなまとまりは「若しくは」
選択肢が3つ以上あり、それらが階層構造(グループ分け)になっている場合、以下のルールが適用されます。
- 一番大きな接続(大きなグループの区切り)に「又は」を使う。
- それ以下の細かい接続(小さなグループ内の区切り)には「若しくは」を使う。
言葉だけでは分かりにくいので、具体例を見てみましょう。
具体例:遺族補償の受給資格者
例えば、「配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹」のいずれかであることを示す場合、法律文では以下のように書かれます。
配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹
これは並列な関係なので、一番後ろに「又は」がきます。
しかし、これらがグループ化されるとどうなるでしょうか。
もし、「(子と孫)というグループ」と「(父母と祖父母)というグループ」のどちらか、と言いたい場合はこうなります。
子若しくは孫又は父母若しくは祖父母
- 「又は」:【子・孫グループ】と【父母・祖父母グループ】をつなぐ(大分類)
- 「若しくは」:グループの中の「子と孫」「父母と祖父母」をつなぐ(小分類)
このように、契約書や規定を作成する際は、「大きな区切りは『または』、小さな区切りは『もしくは』」と覚えておくと、専門家からも「分かっているな」と評価されます。
ビジネスシーン別!正しい使い分け例文集
ここからは、具体的なシチュエーションに合わせて、そのまま使える例文を紹介します。
文脈に合わせて適切な言葉を選ぶことで、文章の説得力や信頼感が増します。
メール・チャットでの使い分け
日常的な連絡では、相手にストレスを与えない平易な表現が好まれます。
- 日程調整(または)
「次回のお打ち合わせですが、来週の月曜日または水曜日の午後はいかがでしょうか。」※「あるいは」だと少し重く、「もしくは」だと堅すぎるため、「または」がベストです。 - 連絡手段の案内(または)
「ご不明な点がございましたら、お電話またはメールにてお気軽にご連絡ください。」※相手が選びやすいよう、フラットな選択肢として提示します。
プレゼン・企画書での使い分け
論理的な説明や、将来の展望を語る場面では、少し知的な印象を与える言葉選びが効果的です。
- 戦略の提示(あるいは)
「市場シェアを拡大するためには、新規開拓、あるいは既存顧客の単価アップが必要です。」※単なる選択肢だけでなく、「どちらの可能性も検討すべき」というニュアンスを含みます。 - リスクの説明(あるいは)
「プロジェクトが遅延した場合、納期の延長、あるいは機能の縮小を検討せざるを得ません。」※「もしかするとそうなるかもしれない」という推量の意図が伝わります。
契約書・重要なお知らせでの使い分け
誤解が許されない場面では、厳格な表現を用います。
- 手続きの条件(もしくは)
「退会をご希望の場合は、会員マイページからの申請、もしくはカスタマーセンターへの書面送付が必要です。」※手続き方法を限定し、それ以外は認めないという強いニュアンスが出ます。 - 採用要件(もしくは)
「TOEIC800点以上、もしくは実務経験3年以上の方を歓迎します。」※条件を明確に定義し、応募者の自己判断を助けます。
「または」「あるいは」の英語表現(ビジネス英語)
グローバルなビジネスシーンでは、日本語のニュアンスに対応する英語表現を知っておくと便利です。
「or」一辺倒にならず、状況に応じて使い分けてみましょう。
- Or(または)
最も一般的。「A or B」で「AまたはB」。- Contact us by phone or email.(電話またはメールでご連絡ください)
- Alternatively(あるいは、その代わりとして)
前の提案に対する「代案」を示す場合に便利です。- We could meet on Monday. Alternatively, Tuesday works for me.(月曜日に会えます。あるいは、火曜日でも構いません)
- Otherwise(さもなければ、あるいは)
条件を示し、そうでない場合の可能性を示唆します。- Please sign the contract by Friday; otherwise, the offer will expire.(金曜までに契約書にサインしてください。さもなければ(あるいは)、オファーは無効になります)
まとめ
「または」「あるいは」「もしくは」は、どれも似た言葉ですが、場面に応じた「着替え」が必要です。
- 迷ったらコレ:「または」(日常〜ビジネスまで万能)
- 知的な提案に:「あるいは」(推量や可能性を含む)
- 厳密なルールに:「もしくは」(契約書や法令での使用)
特に、契約書などで「又は」と「若しくは」が混在している場合は、「又は」が大きな区切り、「若しくは」が小さな区切りであることを思い出してください。
言葉の選び方一つで、あなたの文章は「読みやすい」だけでなく「信頼できる」ものに変わります。
ぜひ次回のメールや資料作成から、意識して使い分けてみてください。

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