「年賀状の一言メッセージ、手元にあるきれいな青いインクの万年筆で書きたいな」
「黒のボールペンが見当たらないけど、青ペンで書いても大丈夫かな？」
年末の忙しい時期、ふとこんな疑問を持ったことはありませんか？
結論から言うと、年賀状に青インクを使用することは基本的には問題ありません。 ただし、「誰に送るか」「どこの面に書くか」によって、マナー違反と受け取られるリスクがあります。
この記事では、年賀状における青インク使用のOKラインとNGライン、そして相手に好印象を与えるための色の選び方を、分かりやすく解説します。
年賀状に青インクを使うのはマナー違反？相手別の判断基準
「青インクは失礼になるのでは？」と心配される方が多いのは、日本の冠婚葬祭における色のルールが影響しています。まずは、相手との関係性による判断基準を整理しましょう。
目上の方・ビジネス関係には「黒」が鉄則
上司、恩師、取引先など、礼儀を重んじる相手への年賀状では、黒インクを使用するのが最も無難で確実です。
青インク、特に明るい青は「カジュアルすぎる」「事務的（ボールペンの場合）」という印象を与えかねません。どうしても万年筆などを使いたい場合は、黒に近い「ブルーブラック（濃紺）」であれば、許容範囲とされることが多いですが、迷ったら黒を選びましょう。
上司への年賀状マナー決定版！役職の記載や手書きの有無、気の利いた一言まで
親しい友人・親戚なら「青」でもOK
気心の知れた友人や親戚であれば、青インクを使っても問題ありません。むしろ、こだわりのある万年筆のインク色や、デザインに合わせたカラーペンを使うことで、あなたらしい個性を演出できます。
「元気ですか？」「今年もよろしく！」といった一言メッセージに青を使うと、爽やかで清潔感のある印象になりますよ。
薄墨（うすずみ）との混同に注意
青インクとは少し異なりますが、薄いグレーのような「薄墨」は絶対にNGです。
薄墨は「涙で墨が薄まった」という意味を持ち、お葬式や法事などの弔事（悔やみ事）で使われる色です。お祝い事である年賀状に使うと大変失礼になるため、インクが切れかけて薄くなったペンも使わないように注意しましょう。
赤インクは原則NGだが「例外」もある
「赤字」は「赤字決算」や「絶縁」を連想させるため、宛名書きやメッセージ本文に使うのはマナー違反とされています。
ただし、以下の場合は例外的に赤を使用します。
- 賀詞（がし）： 「謹賀新年」「迎春」などの祝いの言葉は、おめでたい色である赤（朱色）を使っても問題ありません。
- 「年賀」の表記： 市販の年賀はがきではなく私製はがき（切手を貼って出すタイプ）を使う場合、切手の下に赤字で「年賀」と書かないと、年内に普通郵便として届いてしまうため必須です。
青インクが与える印象とおすすめの色味【ブルーブラック・紺】
「青」と一口に言っても、色の濃さや明るさによって相手に与える印象はガラリと変わります。年賀状に適した青色を選びましょう。
知的で誠実な「ブルーブラック・濃紺」
ビジネスシーンでも使われるブルーブラック（濃紺）は、「知性」「誠実」「落ち着き」を象徴する色です。
黒に近いフォーマルな雰囲気がありながら、黒一色よりも洗練された印象を与えます。「黒だと堅苦しすぎるけれど、失礼にはなりたくない」という場合に最適な選択肢です。
親しみやすい「ロイヤルブルー・青」
鮮やかなロイヤルブルーや標準的な青は、「希望」「平和」「爽やかさ」を感じさせます。
新年の晴れやかな挨拶にはぴったりの色ですが、ややカジュアルな印象になるため、友人や同僚向けの年賀状におすすめです。
カジュアルな「スカイブルー・水色」
明るい水色は非常にポップで軽い印象になります。デザインの一部として使う分には素敵ですが、文章全体を水色で書くと読みづらくなることも。
仲の良い友人への「あけおめ！」といった軽いメッセージや、イラストの彩りとしてポイント使いするのがおすすめです。
【比較表】ボールペン・万年筆・筆ペンの特徴と相性
年賀状に使うペンは、インクの色だけでなく「ペンの種類」も重要です。それぞれの特徴と、青インクを使用する場合の相性を表にまとめました。
| ペンの種類 | おすすめ度 | 青インクの印象 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| 万年筆 | ◎ | 知的・高級感 | 文字に味が出る。インク吸入式なら好きな色を使えるが、水濡れに弱い染料インクが多いので注意。 |
| 筆ペン | ◯ | 和風・個性的 | 青の筆ペンは珍しく、インパクト大。和紙ハガキとの相性が抜群だが、扱いに慣れが必要。 |
| ゲルインク ボールペン | ◯ | クリア・鮮やか | 発色が良く書きやすい。耐水性のある顔料インクタイプがおすすめ。カジュアルに見えがち。 |
| 油性 ボールペン | △ | 事務的 | 「事務用品」のイメージが強く、目上の方には失礼とされることも。ダマ（インクの塊）ができやすい。 |
| 水性ペン （サインペン） | △ | ポップ | 裏抜け（裏写り）しやすい。写真用紙にはインクが定着しにくいので注意。 |
宛名書きも青インクで大丈夫？表面と裏面の使い分け
「裏面（通信面）は青でもいいけど、宛名（表面）はどうなの？」という疑問にお答えします。
宛名書きは「黒」が基本マナー
宛名書きは黒が基本マナーとされています。濃い青でも問題ありませんが、薄い青や蛍光色は郵便番号読み取り機械が判別しにくく、誤配や遅配の原因になる可能性があるため避けましょう。
宛名は「配送伝票」としての役割も持っています。確実に届けるためにも、くっきりと読みやすい黒の筆ペンやサインペンを使うことを強くおすすめします。
一言コメント（添え書き）なら青インクを活用しよう
一方で、裏面の余白に書く「一言メッセージ」であれば、青インクの使用は自由です。
印刷された定型文だけでは味気ないもの。そこに万年筆のブルーブラックで「本年もよろしくお願いいたします」と添えるだけで、グッと温かみが増し、相手の印象に残る年賀状になります。
年賀状作成の失敗を防ぐ！インクにじみと紙質の注意点
せっかく良い色のインクを選んでも、ハガキの紙質と合わずににじんでしまっては台無しです。
インクジェット紙とペンの相性
年賀はがきには主に「普通紙」「インクジェット紙」「インクジェット写真用」の3種類があります。
- インクジェット紙： 表面がコーティングされており、水性ペンや万年筆のインクを吸い込みすぎず、きれいに発色しやすいです。ただし、乾くまでに少し時間がかかることがあります。
- 写真用： 光沢があり、油性ペン以外（水性ペンや万年筆）はインクをはじいてしまい、定着しないことが多いです。写真年賀状に一言書く場合は、「写真用マーカー」や「油性ペン」を使いましょう。
雨濡れ対策には「顔料インク」
ポストへの投函後、配達中に雨や雪に濡れてしまう可能性もあります。
一般的な万年筆のインク（染料インク）や水性ペンは、水に濡れると文字が流れて読めなくなってしまうことがあります。年賀状に使うなら、水に強い「顔料インク」や「耐水性」と書かれたペンを選ぶと安心です。
【年賀状 例文・メッセージ・書き方】年賀状だけの付き合いでも好印象！すぐに使える文例＆マナー
まとめ
年賀状に青インクを使用すること自体はマナー違反ではありませんが、相手への配慮が必要です。
- 目上の方・ビジネス： 「黒」が基本。使うなら「ブルーブラック」まで。
- 友人・親戚： 「青」や「ロイヤルブルー」でおしゃれに楽しんでOK。
- 宛名書き： 確実に届けるためにも「黒」か、濃い色で書くのが鉄則。
- 赤インク： 宛名・本文はNG。賀詞や「年賀」の朱書きはOK。
2026年（令和8年）のスタートを飾る大切なご挨拶。インクの色一つにも「相手に失礼がないように」「喜んでもらえるように」という思いやりを込めることが、何よりのマナーと言えるでしょう。
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