「審査に通りました」という一報を受けたあと、不動産会社からぱったりと連絡が途絶えてしまうと、「もしかして取り消しになった?」と不安になりますよね。
結論からお伝えすると、審査通過後に連絡が来ないからといって、契約が白紙になったわけではありません。多くの場合、契約書類の作成やオーナーさんとの最終調整に時間がかかっているだけです。
とはいえ、いつまでも待っているのは精神的にも引っ越し準備的にも良くありません。目安として「審査通過の連絡から3日以上」音沙汰がない場合は、こちらから状況確認の連絡を入れても大丈夫です。
この記事では、連絡が来ない具体的な理由と、こちらから問い合わせる際のマナー、そして待っている間にやってはいけないNG行動について、分かりやすく解説します。
賃貸審査通過後に連絡がない4つの理由【なぜ遅れる?】
審査には通ったはずなのに、なぜ次の連絡が来ないのでしょうか。
実は、不動産会社の担当者が忘れているケースは稀で、多くは「関係各所との調整」に時間がかかっています。ここでは代表的な4つの理由を深掘りしていきましょう。
1.大家さん(オーナー)や管理会社の最終確認待ち
最も多いのが、貸主である大家さんや管理会社の都合です。
審査会社(保証会社)の審査が通っても、最終的に「入居してOK」のハンコを押すのは大家さんや管理会社です。
特に個人の大家さんの場合、以下のような事情で連絡が遅れることがよくあります。
- 大家さんが高齢で、FAXや郵送でのやり取りに数日かかっている
- 大家さんが旅行中や出張中で、最終確認が取れていない
- 管理会社の定休日(水曜日など)を挟んでいる
保証会社の審査は「支払い能力」を見ますが、大家さんは「人柄」や「相性」を気にすることも多いもの。この最終ステップで、物理的な時間がかかっている可能性が高いです。
2.不動産会社の繁忙期による業務過多
一般的に1月から3月、9月から10月頃は不動産業界の繁忙期にあたり、会社によっては目の回るような忙しさになります。
担当者一人が抱える案件数が数十件にのぼることも珍しくありません。
この時期は、優先順位が高い「今日来店するお客様」や「審査そのもの」の対応に追われ、「審査に通った人への契約手続き案内」が後回しになってしまうことがあります。
悪気があるわけではありませんが、物理的に手が回らず、書類作成の順番待ちが発生している状況です。担当者が優秀でも、事務処理スタッフがパンクしているケースも考えられます。
3.契約書類の作成や特約事項の調整中
審査通過後は、いよいよ「賃貸借契約書」の作成に入ります。
ここは非常にデリケートな部分で、間違いがあってはいけないため、慎重に作成されます。
特に、以下のようなケースでは通常より時間がかかります。
- 家賃交渉やフリーレントの交渉が入った場合
- ペット飼育や楽器演奏などの特約条項を追加する場合
- 前の入居者の退去リフォーム状況を確認している場合
「重要事項説明書」や「契約書」に記載する特約や日付の調整を行っている最中で、中途半端な状態で連絡できないと判断されている可能性があります。
4.連絡手段の行き違いやミス
意外と見落とせないのが、シンプルに「連絡が届いていない」ケースです。
最近はLINEやメールでのやり取りが主流ですが、デジタルならではのトラブルも増えています。
- 不動産会社からのメールが「迷惑メールフォルダ」に入っている
- 着信拒否設定や、知らない番号からの電話に出なかった
- 担当者がメールアドレスを一文字間違えて送信している
また、レアケースですが「審査通過の連絡」を「契約手続きの案内」とセットで送ろうとして、担当者が送信ボタンを押し忘れている、なんていうヒューマンエラーもゼロではありません。
【連絡が遅れる主な原因まとめ】
| 原因 | 状況の詳細 | ユーザーの安心度 |
|---|---|---|
| 大家さんの都合 | 最終承認の印鑑待ち、郵送のタイムラグなど | 高(待てば来る) |
| 繁忙期の影響 | 担当者が多忙で事務処理が追いついていない | 中(催促が必要かも) |
| 書類作成・調整 | 特約や入居日の調整、リフォーム確認など | 高(丁寧な証拠) |
| 連絡ミス | メール不達、着信履歴の見逃し、番号間違い | 低(要確認!) |
連絡が来ない期間の目安と対処法【自分から電話していい?】
「待つべきか、連絡すべきか」。この判断基準に迷う方は多いでしょう。
ここでは、具体的な日数の目安と、角を立てずに問い合わせるためのテクニックをご紹介します。
基本は「3日」待って連絡がなければ問い合わせる
通常、審査通過の連絡から次のステップ(契約日調整や重要事項説明の案内)までは、1〜2日程度で連絡が来るのが一般的です。
もし3日以上(定休日を除く)音沙汰がない場合は、こちらから連絡を入れても失礼にはあたりません。むしろ、放置しておくと入居希望日が後ろ倒しになってしまうリスクがあります。
ただし、焦って「どうなってますか!?」と怒気を含んで電話するのはNG。これから長く付き合う管理会社や担当者ですから、あくまで「確認」のスタンスで連絡しましょう。
問い合わせ時のメール・電話の例文
電話やメールをする際は、「連絡がなくて不安だから確認したい」というニュアンスを伝えると、相手も「お待たせして申し訳ない」とスムーズに対応してくれます。
【電話の場合のトーク例】
「お世話になっております、〇〇(物件名)を申し込みました△△です。先日、審査通過のご連絡をいただきましたが、その後の契約スケジュールについて確認したくお電話いたしました。現在どのような状況でしょうか?」
【メールの場合の文面例】
件名:【契約状況の確認】〇〇マンション申込みの△△(氏名)です
本文:
〇〇不動産
担当 □□様
お世話になっております。
先日申し込みいたしました、〇〇マンションの△△です。
審査通過のご連絡ありがとうございました。
その後の契約手続きや入居日の調整について、
現在の進捗状況をお教えいただけますでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、
引っ越しの手配も進めたいため、ご返信いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
連絡先情報の再確認も忘れずに
問い合わせる前に、念のため自分のスマートフォンやメールボックスを再確認しましょう。
- 着信履歴: 知らない番号(03や06、050から始まる番号)からの着信はありませんか?
- 留守番電話: メッセージが吹き込まれていませんか?
- 迷惑メール: Gmailなどの場合、プロモーションタブや迷惑メールフォルダに振り分けられていませんか?
もしこちらに不備がなく、不動産会社側の連絡ミスだった場合でも、「メールが届いていなかったようで…」と相手の顔を立ててあげるのが、大人の対応としてスマートです。
審査通過後にやってはいけないNG行動と注意点
連絡が来ない間の不安から、ついやってしまいがちな行動があります。
しかし、中にはトラブルの元になったり、金銭的な損害が出たりするものもあるため注意が必要です。
他の物件への「二重申し込み」は絶対にやめる
「連絡がないから、もしかしてダメになったかも」と不安になり、保険として他の物件に申し込むのは非常に危険です。
これを「二重申し込み」と言いますが、保証会社や管理会社に「不誠実な対応」として記録が残り、今後の審査に悪影響を及ぼすリスクがあります。
同じ保証会社や管理ネットワーク内で情報が参照された場合、最悪のケースではどちらの契約も断られてしまう可能性もゼロではありません。
もし最初の物件の契約が進んでいた場合、キャンセル扱いとなり、「キャンセル料」や「違約金」のトラブルに発展する可能性もあります。
引っ越し業者やライフラインの契約は「入居日確定後」に
引っ越しを急ぐあまり、契約日(入居日)が確定する前に以下の手配をするのは避けましょう。
- 引っ越し業者の予約
- インターネット回線の工事予約
- 現在の住居の解約通知(退去届)
もし契約手続きが遅れて入居日がズレた場合、引っ越し業者のキャンセル料が発生したり、ネット工事の再調整が必要になったりします。
最も怖いのは、「今の家の退去日が来たのに、新しい家に入れない」という住居喪失の事態です。必ず、不動産会社から「入居可能日」の確約が取れてから手配を進めてください。
まとめ:連絡がないのは「準備中」の可能性大。焦らず確認を
賃貸審査通過後に連絡が来ない理由は、多くの場合、大家さんとの調整や書類作成といった「前向きな準備」によるものです。
最後に、今回のポイントを振り返りましょう。
- 焦らない: 連絡がない=審査落ちではない。
- 目安は3日: 定休日を除いて3日以上連絡がなければ問い合わせてOK。
- マナーを守る: 「催促」ではなく「状況確認」のスタンスで。
- NG行動: 入居日確定前の引っ越し手配や、他物件への二重申込は避ける。
連絡が遅いと不安になりますが、それは新生活への期待の裏返しでもあります。
担当者と円滑にコミュニケーションを取り、気持ちよく新生活をスタートさせましょう。
まずは一度、迷惑メールフォルダを確認した上で、明日担当者に一本電話を入れてみてはいかがでしょうか。

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