「信州そば」や「信州りんご」など、美味しいものの名産地としてよく耳にする「信州」。
しかし、「信州って日本のどこにあるの?」と、具体的な場所を尋ねられると、意外と答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、信州は現在の長野県のことです。
この記事では、「なぜ長野県が信州と呼ばれるの?」という疑問から、それぞれの言葉の使い分け、さらには信州(長野県)の魅力的な観光エリアまで、分かりやすく解説していきます。
なぜ今でも「信州」と呼ばれるの?歴史的な背景と由来
長野県のことを「信州」と呼ぶのには、日本の古い歴史が関係しています。
なぜ今でも愛称として「信州」が使われ続けているのか、その理由を紐解いてみましょう。
かつての国名「信濃国」
現在の都道府県制度が始まる前、日本は「国」という単位で分けられていました。
これを「旧国名(きゅうこくめい)」と呼びます。
現在の長野県にあたるエリアは、かつて「信濃国(しなののくに)」と呼ばれていました。
この「信濃」の頭文字「信」に、国や州を意味する「州」をつけたものが「信州」です。
このように、旧国名の一文字をとって「〜州」と呼ぶのはよくあるパターンで、例えば山梨県は「甲斐国(かいのくに)」だったので「甲州(こうしゅう)」と呼ばれます。
信州という呼び名は、古くからの歴史と文化を受け継ぐ、地域に根ざした愛称というわけですね。
「長野県」の誕生
時代は明治に移り、1871年の廃藩置県によって、全国の行政区分が再編されました。
このとき、信濃国もいくつかの県に分かれましたが、最終的に統合され、県庁が置かれた「長野」の地名をとって「長野県」が誕生しました。
行政上の正式名称は「長野県」ですが、人々の中には古くからの「信州」という呼び名への愛着が強く残りました。
そのため、公式な場面では「長野県」が、そして自然や文化、特産品を語る際には「信州」が、という形で今でも広く使われ続けています。
「信州」と「長野」の使い分けは?イメージの違いを比較
「信州」と「長野」、どちらも同じ場所を指しますが、実は使われる場面によって少しニュアンスが異なります。
ブランドイメージや言葉の響きによって、自然と使い分けられているのです。
具体的にどのような違いがあるのか、比較表で見てみましょう。
信州(しんしゅう) | 長野(ながの) | |
---|---|---|
主なイメージ | 自然、伝統、観光、故郷、ブランド | 行政、公式、現代的、都市 |
具体的な使われ方 | 信州そば、信州りんご、信州味噌 信州大学、信州割 | 長野県、長野市、長野駅 長野県庁、長野オリンピック |
与える印象 | 柔らかく、温かみのある響き。 豊かな自然や歴史文化を連想させる。 | かっちりとした公的な響き。 県庁所在地や交通の要所をイメージさせる。 |
このように、「信州」という言葉には、豊かな自然や美味しい空気、歴史に育まれた食文化といった、情緒的な価値が含まれています。
一方、「長野」は県名や市名として、より公的で現代的な場面で使われることが多いです。
どちらが良いというわけではなく、場面に応じて最適な言葉が選ばれている、と考えると分かりやすいかもしれません。
信州(長野県)のエリア分けと各地域の特徴
信州(長野県)は、実は日本で4番目に面積の大きな県で、地域によって全く異なる特色を持っています。
旅行の計画を立てるなら、エリアごとの特徴を知っておくと、より一層楽しめます。
ここでは、代表的な4つのエリアに分けて、それぞれの魅力をご紹介します。
北信エリア(長野市・善光寺・志賀高原)
県の北部に位置し、善光寺の門前町として栄えた長野市が中心です。
冬には上質なパウダースノーを求めて多くのスキーヤーが集まる志賀高原や、ニホンザルが温泉に入ることで世界的に有名な地獄谷野猿公苑などがあります。
歴史と自然の両方を楽しめるエリアです。
東信エリア(軽井沢・上田)
東京からのアクセスも良く、洗練された高原リゾートとして知られる軽井沢が代表的です。
また、真田氏の城下町として歴史ファンに人気の上田市や、標高2,000m級の山々が連なる浅間山麓など、多彩な魅力を持っています。
避暑やショッピング、歴史散策を楽しみたい方におすすめです。
中信エリア(松本・安曇野・上高地)
国宝・松本城がそびえる城下町・松本市を中心に、のどかな田園風景が広がる安曇野(あづみの)、そして日本を代表する山岳景勝地・上高地(かみこうち)など、見どころが満載です。
北アルプスの雄大な自然と、歴史やアートに触れる旅ができます。
南信エリア(伊那・駒ヶ根・諏訪)
南アルプスと中央アルプスの二つのアルプスに抱かれた、自然豊かなエリアです。
ロープウェイで気軽に高山帯へ行ける千畳敷カールや、古くからの信仰を集める諏訪大社が有名です。
満点の星空や、高遠の桜など、美しい景色に出会えます。
信州ブランドを代表する特産品3選
「信州」のブランドイメージを確固たるものにしているのが、質の高い特産品の数々です。
その中でも、特に有名な3つをご紹介します。
信州そば
信州といえば、まず「そば」を思い浮かべる方が多いでしょう。
昼夜の寒暖差が大きく、水はけの良い高原の気候が、そばの栽培に非常に適しています。
香り高く、引き締まった味わいの信州そばは、戸隠そばや開田そばなど、地域ごとに特色があり、そば巡りも楽しめます。
信州りんご
全国2位の収穫量を誇るりんごも、信州を代表する味覚です。
日照時間が長く、降水量が少ないという気候条件が、甘くて果汁たっぷり、歯ごたえの良いりんごを育てます。
「ふじ」や「シナノスイート」など、品種も豊富です。
信州味噌
澄んだ空気と清らかな水、そして内陸性気候による厳しい寒さが、味噌の発酵・熟成に最適な環境をもたらします。
全国の味噌生産量の約半分を占める信州味噌は、さっぱりとした米麹の旨味が特徴で、どんな料理にも合わせやすいと評判です。
まとめ:信州は自然と文化が息づく長野県の愛称
この記事では、「信州はどこ?」という疑問にお答えしてきました。
- 信州とは、現在の長野県のこと
- 旧国名「信濃国」に由来する、歴史ある愛称
- 「信州」には、自然や伝統、食文化といった温かみのあるイメージがある
- 長野県内はエリアごとに多様な魅力にあふれている
「信州」という言葉の背景を知ると、旅がもっと面白くなるはずです。
次に「信州」という言葉に出会ったら、ぜひ長野県の雄大な自然や豊かな文化を思い浮かべてみてください。
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