「超音波食洗機は汚れが落ちない」「ステマが多い」という口コミを見て、購入を迷っていませんか。
結論から言うと、超音波食洗機は「全自動で乾燥まで終わらせたい人」には全く向きません。しかし、「予洗いの手間をゼロにしたい人」や「特殊な形状の食器・野菜を洗いたい人」には、革命的な時短家電となります。
本記事では、超音波食洗機の仕組みに基づいた「汚れが落ちない」と言われる理由と、具体的なメリット・デメリットを解説します。また、従来の食洗機との違いを比較表で整理しました。
超音波食洗機で「汚れが落ちない」と言われる2つの理由
「汚れが落ちない」という低評価レビューには、明確な原因があります。これは製品の欠陥というよりも、超音波洗浄の特性とユーザーの期待値のズレによるものが大きいです。
超音波食洗機が得意なことと苦手なことを正しく理解していれば、導入後のミスマッチを防ぐことができます。ここでは、なぜ洗浄力に疑問が持たれるのか、技術的な側面から解説します。
油汚れが再付着しやすい仕組みである
超音波食洗機の最大の弱点は、油汚れの処理です。超音波振動(キャビテーション)は、物体表面の汚れを剥離させる力は強力ですが、剥がれた汚れを水流で洗い流す力はありません。
そのため、油汚れがひどい食器を洗うと、剥がれた油が水面に浮き、食器を引き上げる際に再び油が付着してしまう現象(再汚染)が起きます。
これを防ぐには、結局のところ少量の中性洗剤を入れて油を乳化させるか、お湯を使用する必要があります。「水だけで洗える」という広告文句を鵜呑みにして冷水だけで油汚れに挑むと、「ヌルヌルが取れない」という結果になります。
水流がないため「すすぎ」が必要になる
一般的な据え置き型やビルトイン型の食洗機は、高温高圧の水流で汚れを物理的に吹き飛ばし、そのまま排水します。対して超音波食洗機は、水を張ったシンクや桶の中で振動を与えるだけです。
汚れが浮き上がったとしても、汚れた水の中に食器が浸かっている状態に変わりありません。そのため、洗浄が終わった後に、流水でサッと泡や浮いた汚れを流す「すすぎ」の工程が必須となります。
「食洗機=入れてスイッチを押せば乾燥まで終わる」と考えている人にとって、このひと手間が「汚れが落ちていない(洗いきれていない)」という不満につながります。
従来の食洗機とは違う!超音波食洗機のメリット
ネガティブな側面を先に挙げましたが、超音波食洗機には従来の食洗機では絶対に真似できない独自のメリットがあります。
特に、キッチンスペースの問題で食洗機を諦めていた層や、アウトドア派、料理好きにとっては、非常に魅力的な選択肢となり得ます。
工事不要で究極の省スペースを実現
超音波食洗機の本体は、スマートフォンやタブレット程度の大きさの操作パネルと、振動板のみです。これをシンクや洗い桶に入れるだけで使用できるため、物理的な設置場所をほとんど必要としません。
一般的な食洗機のように、分岐水栓の工事や、巨大な本体を置くスペースの確保に悩む必要がありません。使用しないときは引き出しにしまえるため、狭い賃貸キッチンや一人暮らしの部屋でも導入のハードルが極めて低いです。
電気代が圧倒的に安い(1回約1円)
従来の食洗機は、水を高温にするためのヒーターや、乾燥のための温風機能で多くの電力を消費します。そのため、電気代と水道代を合わせると、1回あたり約25円〜35円程度のランニングコストがかかるのが一般的です。
一方、超音波食洗機は振動を起こすだけなので、消費電力が非常に少なく済みます。機種や使用時間によりますが、1回あたりの電気代は約1円〜数円程度です。(※別途、水を溜めるための水道代はかかりますが、お湯を流しっぱなしにする手洗いよりは節約になります)
野菜や海鮮、メガネまで洗える汎用性
超音波食洗機は「食器以外」も洗える点が大きな強みです。多くの機種に「野菜洗浄モード」や「海鮮洗浄モード」が搭載されています。
例えば、ブロッコリーの房の隙間に入った汚れや虫、貝の砂抜き補助、カニの殻のぬめり取りなどに威力を発揮します。手洗いでは落としきれない微細な汚れを弾き飛ばせるのは、超音波ならではの機能です。
また、機種によっては貴金属やメガネの洗浄にも対応しており、キッチン家電の枠を超えた使い方が可能です。
※注意:偏光レンズやコーティングが劣化しているメガネ、エメラルドや真珠などの柔らかい宝石は破損の恐れがあるため使用しないでください。
複雑な形状の食器や換気扇も洗浄可能
水没さえさせられれば、どんな形状のものでも洗浄可能です。従来の食洗機では庫内に入り切らない大きな鍋や、水流が届きにくい細口のボトル、形状が複雑なザルやおろし金なども、超音波なら隅々まで振動が届きます。
シンクそのものを洗浄槽として使えるタイプなら、換気扇のファンやバーベキューの網など、大型の洗い物もつけ置き感覚で処理できます。キャンプ場へ持ち込んで使用できるポータブルタイプも存在し、活用の幅が広いのが特徴です。
購入前に知っておくべきデメリットと注意点
購入後に「こんなはずじゃなかった」とならないために、カタログスペックだけでは分からない、実際の使用感におけるデメリットを包み隠さずお伝えします。
稼働音が独特で不快に感じる場合がある
超音波食洗機は稼働中に「ジージー」「キーン」といった高周波の金属音が発生します。静音モデルも出てきていますが、無音ではありません。
特に、ステンレスのシンクに直接振動板を置くと、シンク全体が共鳴して大きな音が鳴ることがあります。この音が苦手な人や、ペットを飼っている家庭では注意が必要です。ゴムマットを敷く、専用の洗い桶を使うなどの防音対策が必要になるケースがあります。
シンクに水を溜めるための準備が必要
「シンクがそのまま食洗機になる」というキャッチコピーが多いですが、日本のシンクの多くは、そのままでは水を溜めにくい構造になっています(ゴミ受けカゴがある、オーバーフロー穴があるなど)。
そのため、専用の「止水フタ」を購入するか、結局は「大きな洗い桶」を用意して、その中に水と食器を入れる運用になることが多いです。桶を置くスペースが必要になる点は留意しておきましょう。
稼働中は水に手を入れられない
超音波が発生している水中に手を入れると、骨に響くようなピリピリとした痛みを感じることがあり、基本的にはNGです。
「洗いながら追加で食器を入れる」「手で位置を直す」といった作業をする際は、一度停止させる必要があります。誤って子供が手を入れないよう注意も必要です。
乾燥機能がないため仕上げの手間が残る
最大の違いは「乾燥機能がない」ことです。洗浄とすすぎが終わった後は、水切りカゴに置いて自然乾燥させるか、布巾で拭く必要があります。
従来の食洗機が家事の「全工程」を代行してくれるのに対し、超音波食洗機は「こすり洗い」という一番面倒な工程のみを代行してくれるツール、と割り切る必要があります。
【比較表】超音波式 vs タンク式 vs 分岐水栓式
結局どのタイプを選ぶべきか迷っている方のために、食洗機のタイプ別比較表を作成しました。洗浄力や手軽さを比較して、自分に合うものを選びましょう。
| 比較項目 | 超音波食洗機 | タンク式食洗機 | 分岐水栓式(ビルトイン含む) |
|---|---|---|---|
| 洗浄の仕組み | 超音波振動 | 高圧水流 | 高圧水流 |
| 洗浄力(油汚れ) | △(洗剤併用で○) | ○ | ◎ |
| 設置・工事 | 工事不要・場所取らず | 工事不要・場所取る | 要工事・場所取る |
| ランニングコスト (1回あたり目安) | ◎ 電気代:約1円 ※別途、水道代 | △ 電気・水道:約25円 (節水タイプが多い) | ○ 電気・水道:約30〜35円 (水量は標準的) |
| すすぎ・乾燥 | 手動 | 自動 | 自動 |
| 洗えるもの | 野菜・メガネ・大型鍋 | 耐熱食器のみ | 耐熱食器のみ |
| 価格相場 | 3万〜10万円 | 3万〜5万円 | 5万〜20万円 |
| おすすめな人 | 予洗いを楽にしたい 野菜も洗いたい | 賃貸で乾燥までしたい 安く導入したい | 持ち家・洗浄力重視 完全自動化したい |
表を見ると分かるように、超音波食洗機は他の2つとは全く異なる立ち位置の製品です。「皿洗いの完全自動化」を目指すなら右側の2つを、「こすり洗いの代替+多用途活用」を目指すなら超音波式が適しています。
超音波食洗機を買うべき人・やめておくべき人
ここまでの情報を踏まえて、超音波食洗機を導入して満足できる人と、後悔する人の特徴をまとめます。
購入しても後悔しない人
- 予洗いの「こする作業」だけをカットしたい人
手荒れが気になる、冬場の水仕事がつらいという人には最適です。汚れを浮かせてくれるので、サッと流すだけで済みます。 - キッチンが狭く、据え置き型が置けない人
物理的に食洗機を置くスペースがない場合、超音波式が唯一の選択肢となります。 - 野菜洗浄やアウトドアなど多目的に使いたい人
料理好きで下処理を楽にしたい、キャンプで大量の洗い物が出るという人には、最強の相棒になります。
やめておいたほうがいい人
- 食器をセットしたら、収納まで何もしなくない人
すすぎや水切りの手間が発生するため、完全放置を望む人にはストレスになります。 - ひどい油汚れの食器が多い家庭
カレーやハンバーグなどを頻繁に食べる場合、予洗いなしの超音波洗浄だけでは満足な仕上がりにならない可能性があります。
まとめ
超音波食洗機は「汚れが落ちない」のではなく、「汚れを浮かせることに特化した家電」です。油汚れを落とすには少量の洗剤が必要であり、仕上げのすすぎも必要ですが、面倒なスポンジ洗いの時間を大幅に短縮できるメリットは本物です。
工事不要ですぐに使え、野菜や大きな鍋まで洗える利便性は、従来の食洗機にはない魅力です。
「皿洗いのすべての工程を任せたい」という方には不向きですが、「狭いキッチンでも使える洗浄サポーターが欲しい」という方にとっては、家事の負担を劇的に減らす頼もしいツールとなるでしょう。
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