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SDGs達成するためにできることとは?個人・企業の具体的な取り組み17選

SDGs達成するためにできることとは?個人・企業の具体的な取り組み17選 SDGs

SDGs(持続可能な開発目標)の達成には、政府や自治体の政策だけでなく、私たち個人や企業の主体的な行動変容が不可欠です。「壮大な目標すぎて何から始めればいいかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、SDGs達成のためにできることは、日々の「買い物」や「働き方」など、身近な選択の中に無数にあります。本記事では、SDGsの17の目標を5つのテーマに分類し、個人と企業が明日から実践できる具体的なアクションを一覧で解説します。

SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた現状と私たちにできること

SDGsは、2030年までに「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための国際目標です。採択から折り返し地点を過ぎましたが、世界全体の進捗は遅れ気味であるのが現状です。

国連の関連組織が発表した『Sustainable Development Report 2025』によると、日本のSDGs達成度は世界167カ国中19位となっています。前年の18位から1ランク後退しました。

「飢餓をゼロに(目標2)」「ジェンダー平等(目標5)」「つくる責任 つかう責任(目標12)」「気候変動対策(目標13)」「海の豊かさを守ろう(目標14)」「陸の豊かさも守ろう(目標15)」の6項目が「深刻な課題がある(Major challenges)」と評価されており、特に目標2は今回新たに最低評価となりました。

日本が抱えるこれらの課題を解決するためには、国任せにするのではなく、消費者である個人と、経済活動の主体である企業が連携して取り組むことが重要です。まずは現状を知り、小さな一歩を踏み出すことから始めましょう。

【人間(People)】貧困・健康・平等のための取り組み(目標1〜6)

人間(People)のカテゴリーには、貧困や飢餓をなくし、すべての人が健康で尊厳を持って生きるための目標が含まれます。

日本における「貧困」は、決して遠い国の話ではありません。厚生労働省の調査によると、2021年の日本の「相対的貧困率」は15.4%であり、約6〜7人に1人が貧困状態にあります。また、「ジェンダー・ギャップ指数2024」において日本は146カ国中118位と、先進国の中で著しく低い水準にとどまっています。

これらの課題に対し、個人と企業ができるアクションは以下の通りです。

目標個人のアクション例企業のアクション例
1.貧困をなくそうフェアトレード商品を選び、途上国の生産者を支援する。
子ども食堂や支援団体へ寄付を行う。
サプライチェーン全体で適正価格での取引を行う。
従業員の最低賃金を上回る生活賃金を保証する。
2.飢餓をゼロに地産地消を心がけ、地元の農家を応援する。
家庭での食品ロスを減らす。
社員食堂でサステナブルな食材を導入する。
フードバンクへの食品寄付を制度化する。
3.すべての人に
健康と福祉を
定期健診を受け、自身の健康管理を徹底する。
感染症予防のための正しい知識を持つ。
健康経営を推進し、過重労働を防止する。
メンタルヘルスケアの窓口を設置する。
4.質の高い教育を
みんなに
生涯学習として新しいスキルや知識を学ぶ。
教育格差是正に取り組む団体を支援する。
従業員への研修・リカレント教育の機会を提供する。
出前授業などで地域の子どもたちに教育機会を提供する。
5.ジェンダー平等を
実現しよう
「男だから/女だから」というアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に気づく。
家事・育児を性別に関係なく分担する。
男女間の賃金格差を是正し、同一労働同一賃金を実現する。
女性管理職比率の目標を設定し、キャリア形成を支援する。
6.安全な水とトイレを
世界中に
節水を心がけ、排水口に油やごみを流さない。
水環境を守る活動に参加する。
工場排水の浄化基準を厳格に管理する。
節水型の設備を導入し、水使用量を削減する。

企業においては、特に女性活躍推進や男性育休の取得促進などが、目標5および目標8の達成に直結します。個人としては、安さだけでなく「誰がどこで作ったか」を考えて商品を選ぶことが、遠く離れた貧困問題の解決につながります。

参考:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)世界経済フォーラム「Global Gender Gap Report 2024」(WEF)

【豊かさ(Prosperity)】経済・産業・エネルギーのための取り組み(目標7〜11)

豊かさ(Prosperity)のカテゴリーは、自然と調和しながら、すべての人が豊かで充実した生活を送れるようにすることを目指しています。

エネルギー問題や働き方改革、住みやすいまちづくりなどがここに含まれます。特にエネルギーに関しては、日本は化石燃料への依存度が高く、再生可能エネルギーの比率向上が急務です。また、長時間労働の是正や、多様な人材が活躍できる職場環境の整備も、企業の持続的な成長には欠かせません。

目標個人のアクション例企業のアクション例
7.エネルギーをみんなに
そしてクリーンに
再生可能エネルギー由来の電力プランに切り替える。
こまめな消灯や省エネ家電への買い替えを行う。
事業所や工場の屋根に太陽光パネルを設置する。
社用車をEV(電気自動車)に切り替える。
8.働きがいも
経済成長も
自身のキャリアプランを描き、スキルアップを図る。
エシカルな企業の商品やサービスを選ぶ。
テレワークやフレックス制など柔軟な働き方を導入する。
障がい者雇用や外国人雇用など、多様性を確保する。
9.産業と技術革新の
基盤をつくろう
災害に備え、ハザードマップを確認する。
新しい技術やイノベーションに対しオープンな姿勢を持つ。
環境負荷を低減する新技術の研究開発に投資する。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。
10.人や国の
不平等をなくそう
差別や偏見を持たず、異なる文化や背景を尊重する。
外国ルーツの人々への支援活動に参加する。
公正な採用活動を行い、国籍や年齢による差別を排除する。
バリアフリー化を進め、誰もが働きやすい環境を作る。
11.住み続けられる
まちづくりを
地域の防災訓練や清掃活動に参加する。
公共交通機関や自転車を利用し、CO2排出を減らす。
地域コミュニティと連携し、災害時の支援協定を結ぶ。
地方創生につながるサテライトオフィスを開設する。

個人においては、電力会社の切り替えなど一度の手続きで長期間効果が続くアクションがおすすめです。企業にとっては、省エネ設備への投資がランニングコスト削減につながり、SDGsと利益の両立(CSV経営)が可能になる分野でもあります。

【地球(Planet)】環境・気候変動のための取り組み(目標12〜15)

地球(Planet)のカテゴリーは、消費と生産のバランスを見直し、気候変動や生態系の破壊を食い止めるための目標です。

日本では特に「食品ロス」と「プラスチックごみ」が大きな課題です。令和4年度(2022年度)の食品ロス発生量は約472万トンと推計されており、これは国民1人あたりが毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てている計算になります。また、海洋プラスチック問題への対策として、脱プラスチックの動きも加速しています。

目標個人のアクション例企業のアクション例
12.つくる責任
つかう責任
「てまえどり」で賞味期限の近い商品から購入する。
マイバッグ・マイボトルを持参し、プラごみを減らす。
製品の長寿命化やリサイクル設計(サーキュラーエコノミー)を導入する。
簡易包装を推進し、過剰な梱包を廃止する。
13.気候変動に
具体的な対策を
CO2排出の少ない移動手段(徒歩、自転車)を選ぶ。
気候変動に関するニュースに関心を持ち、情報をシェアする。
SBT(科学的根拠に基づく排出削減目標)認定を取得する。
サプライチェーン全体のCO2排出量(スコープ3)を可視化・削減する。
14.海の豊かさを
守ろう
海や川でのレジャー時にゴミを持ち帰る。
サステナブル・シーフード(MSC/ASC認証)を選ぶ。
マイクロプラスチックの流出防止対策を徹底する。
海洋保全活動を行うNGOへ寄付・協賛する。
15.陸の豊かさも
守ろう
FSC認証(森林認証)マークのついた紙製品を選ぶ。
外来種を野外に放さない、持ち込まない。
ペーパーレス化を推進し、紙資源の使用を削減する。
植林活動や森林保全プロジェクトに参加する。

目標12〜15は相互に強く関連しています。例えば、リサイクル製品を選ぶことは資源の節約(目標12)になり、CO2削減(目標13)や森林保全(目標15)にもつながります。企業は、製造過程での廃棄物削減がコストダウンに直結するため、経営的なメリットも大きい分野です。

参考:日本の食品ロスの発生状況(農林水産省)

【平和・協働(Peace & Partnership)】公正な社会のための取り組み(目標16・17)

最後のカテゴリーは、平和で公正な社会基盤を作り、パートナーシップによって目標達成を加速させるためのものです。

世界各地で紛争が絶えない中、平和への関心を保ち続けることが重要です。また、SDGsの課題は複雑化しており、一社単独や個人だけで解決することは困難です。企業、自治体、NGO、そして市民が手を取り合う「パートナーシップ」こそが、達成への鍵となります。

目標個人のアクション例企業のアクション例
16.平和と公正を
すべての人に
選挙に行き、政治に参加する。
ネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチを行わない、許さない。
コンプライアンスを遵守し、透明性の高い経営を行う。
児童労働などの人権侵害がないかサプライチェーンを監査する。
17.パートナーシップで
目標を達成しよう
SDGsに取り組む企業のファンになり、応援する。
地域のボランティア活動やワークショップに参加する。
他業種や自治体、大学と連携し、オープンイノベーションを起こす。
自社のSDGs取組状況をWebサイト等で積極的に開示する。

企業にとっての目標17は、自社の技術やリソースを他者と掛け合わせることで、新たなビジネスチャンスを生む可能性を秘めています。個人にとっては、SDGsの理念に共感し、周囲に伝えていくことが大きな貢献となります。

個人ができる身近なSDGsアクション「ナマケモノ・ガイド」

国連広報センターは、『持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド』を公開しています。これは、ソファに寝そべったままでもできるレベル1から、職場でできるレベル4まで、難易度別にアクションを紹介したものです。

ここでは、その中から特に実践しやすいものをピックアップして紹介します。

  • レベル1(ソファに寝たまま):
    • 電気をこまめに消す。
    • いいね!だけでなく、SDGsに関する投稿をシェアする。
    • 印刷を控え、デジタルでメモを取る。
  • レベル2(家にいても):
    • ドライヤーや乾燥機を控え、自然乾燥させる。
    • 肉や魚を控えめにし、野菜中心の食事を試す。
    • 冷凍庫を活用し、食材を腐らせない。
  • レベル3(家の外で):
    • 「訳あり品」などの規格外食材を積極的に買う。
    • マイボトル、マイバッグを持ち歩く。
    • 地元の商店で買い物をして地域経済を回す。
  • レベル4(職場で):
    • 職場での差別に対し声を上げる。
    • 通勤に自転車や公共交通機関を使う。
    • 労働者の権利について学び、格差是正を訴える。

「完璧にやらなければ」と気負う必要はありません。まずはレベル1の「電気を消す」ことから始めてみましょう。

企業がSDGsに取り組むための実践ステップ

企業がSDGsに取り組むことは、単なる社会貢献活動(CSR)にとどまらず、将来のビジネスリスクを回避し、新たな市場を獲得するための経営戦略そのものです。

環境省の『すべての企業が持続的に発展するために-SDGs活用ガイド-』などを参考に、以下のステップで進めることが推奨されています。

  1. SDGsの理解: 経営層から従業員まで、SDGsの重要性を共有する。
  2. 優先課題の特定: 自社の事業活動がSDGsのどの目標に貢献できるか、あるいは負荷をかけているかを洗い出す(マテリアリティの特定)。
  3. 目標の設定: 2030年に向けた定量的な目標(KPI)を設定する。
  4. 経営への統合: 経営計画や日々の業務プロセスにSDGsの視点を組み込む。
  5. 報告とコミュニケーション: 取り組みの進捗をWebサイトや統合報告書で外部に発信し、ステークホルダーと対話する。

まずは、自社の事業と17の目標を照らし合わせる「紐付け」からスタートしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

SDGsの達成に向けてできることは、個人であれば「エシカルな消費」や「省エネ」、企業であれば「働きがいのある職場づくり」や「サプライチェーンの見直し」など多岐にわたります。

重要なのは、17の目標すべてに取り組もうとするのではなく、自分や自社の得意な分野、関わりの深い分野からアクションを起こすことです。

個人の小さな選択の変化が企業の生産活動を変え、企業のイノベーションが個人のライフスタイルを変える。この好循環を生み出すことが、2030年の目標達成、そしてその先の持続可能な未来へとつながっていきます。まずは今日、できることから一つずつ始めていきましょう。

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