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NIPT(新型出生前診断)とは?費用・時期・認可と非認可の違いを徹底解説

NIPT(新型出生前診断)とは?費用・時期・認可と非認可の違いを徹底解説 美容・健康

妊娠がわかり、喜びとともに赤ちゃんのことを想う時間が増えるなかで、「NIPT(新型出生前診断)」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

「どんな検査なの?」「費用は高い?」「なんだか難しそう…」

そんな疑問や不安を抱えるあなたのために、この記事ではNIPTの基本から、認可・非認可施設の違い、検査の流れ、そして陽性だった場合に考えることまで、専門的な内容を一つひとつ丁寧に解説していきます。

この記事を読めば、NIPTに関する全体像がわかり、あなたとパートナーが納得して次のステップへ進むための、確かな知識を得られるはずです。

NIPT(新型出生前診断)とは?まず知っておきたい基本

NIPT(Non-invasive prenatal testing)は、日本語で「非侵襲性出生前遺伝学的検査」と言います。なんだか少し難しい名前ですが、要は「お母さんから採血するだけで、お腹の赤ちゃんの染色体異常のリスクを調べられる検査」のことです。

妊娠すると、お母さんの血液中には、胎盤由来の赤ちゃんのDNA断片が流れ始めます。NIPTは、そのDNAを分析することで、赤ちゃんが特定の染色体疾患を持っている可能性が高いかどうかを判定します。

特に、以下の3つの代表的な染色体疾患(トリソミー)のリスクを調べることが、この検査の主な目的です。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パタウ症候群)

この検査の大きな特徴は、お腹に針を刺す羊水検査などとは違い、採血のみで行えるため、流産のリスクが極めて低い点にあります。しかし、とても重要なこととして、NIPTはあくまで「可能性」を調べる「非確定的検査」であると理解しておきましょう。つまり、この検査だけで病気の診断が確定するわけではありません。

NIPTでわかること・わからないこと【検査内容を正しく理解】

NIPTは非常に優れた検査ですが、万能ではありません。この検査で「何がわかり、何がわからないのか」を正しく理解しておくことは、後悔しない選択をするためにとても大切です。

NIPTでわかること

NIPTの基本検査でわかるのは、先ほど挙げた「21トリソミー」「18トリソミー」「13トリソミー」の3つの染色体疾患に対するリスクです。これらの疾患は、比較的発生頻度が高いことで知られています。

また、検査を受ける施設(特に非認可施設)によっては、オプションで以下の項目を調べられる場合があります。

  • 性別
  • 性染色体の数の異常(ターナー症候群など)
  • 上記3つ以外の常染色体トリソミー
  • 微小欠失症候群(ごくわずかな染色体の欠失による疾患)

どこまでの情報を知りたいかは、ご夫婦の考え方によって異なります。オプション検査を検討する場合は、その分費用も追加でかかるため、事前に内容をよく確認することが重要です。

NIPTでわからないこと

一方で、NIPTではわからないこともたくさんあります。例えば、以下のような病気や異常は、NIPTの検査対象外です。

  • 先天性の形態異常(心臓の奇形など)
  • 単一遺伝子疾患(特定の遺伝子のみが原因の病気)
  • 染色体異常の中でも、ごく微細な構造異常
  • 知的障害や発達障害のすべて

NIPTは、あくまで特定の染色体の「数」の異常を見つけるのが得意な検査です。赤ちゃんのすべての病気がわかるわけではない、という点は必ず覚えておいてください。

NIPTの費用はいくら?保険適用や医療費控除について

NIPTを検討するうえで、やはり気になるのは費用面だと思います。安心して検査を受けるためにも、お金のことはしっかり把握しておきましょう。

NIPTは、病気の治療を目的とした検査ではないため、健康保険は適用されず、全額自己負担の「自費診療」となります。費用の相場は、検査項目やカウンセリングの有無によって大きく変わりますが、おおよそ10万円〜20万円程度と考えておくとよいでしょう。

基本検査(21, 18, 13トリソミー)のみであれば10万円以下で受けられる施設もありますが、性別判定や全染色体検査などのオプションを追加すると、20万円を超えることも珍しくありません。

また、よく疑問に挙がるのが「医療費控除の対象になるか?」という点です。結論から言うと、NIPTは原則として医療費控除の対象にはなりません。医療費控除は、あくまで「治療」にかかった費用が対象となるためです。ただし、NIPTの結果が陽性となり、その後の羊水検査などが医師の判断(治療の一環)として行われた場合は、その費用が対象となる可能性はあります。このあたりは個別の状況によるため、一概には言えないのが現状です。
参考:母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用|国税庁

NIPTはいつから受けられる?検査の適切な時期

NIPTは、妊娠期間中いつでも受けられるわけではありません。検査を受けるのに適した時期が決まっています。

一般的に、NIPTを受けられるのは「妊娠10週0日」以降です。なぜなら、この時期になると、母体の血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片の量が、検査に必要なレベルまで十分に増えるからです。早すぎると、DNA量が足りずに「判定保留」となってしまい、再検査が必要になることがあります。

では、いつまでに受ければよいのでしょうか。明確な上限はありませんが、一つ考慮すべき点があります。それは、もしNIPTで「陽性」という結果が出た場合、診断を確定させるためには「羊水検査」などの確定的検査が必要になるという事実です。

羊水検査を受けられる期間は、一般的に妊娠15週〜18週頃とされています。つまり、NIPTの結果を待ってから羊水検査を受けるかどうかを冷静に判断し、準備する時間を確保するためには、あまり遅い時期のNIPT受検はおすすめできません。これらのスケジュールを考慮すると、妊娠10週〜13週頃にNIPTを受けるのが、一つの目安と言えるでしょう。

NIPTのメリットとデメリット【受ける前に夫婦で考えたいこと】

NIPTを受けるかどうかは、ご夫婦にとって非常に大きな決断です。メリットとデメリットの両方を正しく理解し、お二人でじっくり話し合う時間を持つことが何よりも大切になります。

NIPTのメリット

  • 安全性が高い
    お母さんの腕から採血するだけなので、お腹に針を刺す羊水検査と比べて流産・死産のリスクがありません。赤ちゃんへの直接的な影響を心配することなく受けられるのは、最大のメリットです。
  • 早い週数で検査できる
    妊娠10週という比較的早い段階で、赤ちゃんの状態に関する情報を得られます。これにより、その後の時間をどう過ごすか、心の準備をする時間を十分に持つことが可能です。
  • 検査の精度が高い
    非確定的検査の中では、非常に精度が高いのが特徴です。特にダウン症候群(21トリソミー)に対する感度(陽性の人を正しく陽性と判定する確率)は99%以上と報告されており、信頼性の高いスクリーニング検査と言えます。

NIPTのデメリット

  • 確定的検査ではない
    何度か触れている通り、NIPTはあくまでスクリーニング検査です。結果が「陽性」でも、それが100%確定というわけではありません(偽陽性)。診断を確定させるには、リスクを伴う羊水検査などが必要になります。
  • 費用が高額
    保険が適用されないため、10万円以上の費用がかかります。経済的な負担は決して小さくありません。
  • 命の選択という決断を迫られる可能性がある
    もし陽性の結果が出て、その後の確定検査でも染色体異常が診断された場合、妊娠を継続するかどうかという、非常に重く、難しい決断に直面する可能性があります。この点について、事前に夫婦で価値観をすり合わせておくことが不可欠です。

認可施設と非認可(認可外)施設の違いを比較【どっちを選ぶべき?】

NIPTを提供している医療機関には、日本医学会などが認定した「認可施設」と、それ以外の「非認可(認可外)施設」の2種類があります。この違いは、NIPTを検討するうえで最も重要なポイントの一つです。どちらが良い・悪いということではなく、それぞれの特徴を理解して、ご夫婦の方針に合った施設を選びましょう。

比較項目認可施設非認可(認可外)施設
運営主体大学病院や総合病院など主に民間のクリニック
遺伝カウンセリング必須(検査前後に専門家が対応)施設により様々(ない場合や簡素な場合も)
検査前の条件年齢制限(例: 35歳以上)などがある場合が多い年齢制限がないことがほとんど
検査項目基本の3トリソミーが中心性別や全染色体などオプションが豊富
費用比較的高め(カウンセリング費用等を含む)比較的安価な傾向(オプションで高くなることも)
陽性時のサポート確定検査まで院内で一貫して対応可能提携病院を紹介されるが、自分で予約が必要な場合も

認可施設を選ぶメリット

認可施設の最大の強みは、専門的な遺伝カウンセリング体制が整っていることです。検査を受ける前も後も、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーといった専門家が、時間をかけて丁寧に相談に乗ってくれます。検査結果の意味を正しく理解したり、陽性だった場合の不安や葛藤に寄り添ってもらえたりするのは、非常に心強いサポートです。陽性だった場合の羊水検査も、そのまま同じ病院で受けられることがほとんどで、一貫したケアを期待できます。
参考:NIPTを実施できる認可施設一覧

非認可施設を選ぶメリット

一方、非認可施設は、手軽さや自由度の高さが特徴です。年齢制限がなく誰でも受けられたり、土日や夜間に診療していたり、オンラインで完結できたりと、利便性に優れています。また、基本検査の費用が安価な傾向にあり、性別判定など認可施設では行っていない検査項目を選べるのも魅力でしょう。ただし、カウンセリング体制や陽性時のサポートは施設によって差が大きいため、事前にウェブサイトなどでしっかり確認することが重要です。

NIPT検査が受けられるクリニックの例

ヒロクリニックNIPT(新型出生前診断)

NIPT(出生前診断)ならヒロクリニック。
国内の検査所で精度の高い検査を実施しており、ダウン症や知的障害の原因となる染色体異常も確認できます。専門医による丁寧なサポートがあるため、初めての方でも安心して受けていただけます。

NIPT検査の流れ【予約から結果報告まで】

実際にNIPTを受けると決めたら、どのような流れで進んでいくのでしょうか。具体的なステップを知っておくと、イメージが湧きやすくなります。

  1. 施設探し・予約
    まずは、認可・非認可のどちらで受けるか、ご夫婦で話し合って方針を決めます。方針が決まったら、通いやすい場所にある施設を探し、ウェブサイトや電話で予約を取りましょう。特に認可施設は予約が混み合うこともあるため、早めに動き出すのがおすすめです。
  2. 遺伝カウンセリング(主に認可施設)
    認可施設では、検査の前に必ず遺伝カウンセリングを受けます。専門家から、検査の意義や限界、結果の解釈、陽性だった場合に考えられることなど、詳しい説明があります。疑問や不安があれば、どんな些細なことでもこの場で質問しましょう。非認可施設でも、カウンセリングを実施しているところは増えています。
  3. 同意書への署名・採血
    検査内容について十分に理解し、納得したら、同意書にサインをします。その後、お母さんの腕から約10ml〜20mlの血液を採取します。採血自体は、健康診断などで行うものと変わりません。痛みも少なく、数分で終了します。
  4. 結果報告(約1〜2週間後)
    採血からおよそ1週間〜2週間後に、検査結果の連絡があります。結果の伝え方は施設によって異なり、直接来院して医師から説明を受ける場合や、電話やメール、専用サイトで確認する場合があります。認可施設では、結果が陽性でも陰性でも、再度カウンセリングの機会が設けられるのが一般的です。

もしNIPTで陽性だったら…?その後の流れと考えるべきこと

「陽性」という結果は、誰にとっても非常に衝撃的で、冷静でいられなくなるかもしれません。しかし、まず一番に思い出してほしいのは、「NIPTの陽性は、まだ確定診断ではない」ということです。

NIPTにおける「陽性」とは、あくまで「染色体疾患の可能性が高い」ことを示すサインです。特に若い世代では、NIPTが陽性でも実際には問題がなかった、という「偽陽性」のケースも一定数存在します。

では、陽性の通知を受けたら、次にどうすればよいのでしょうか。

確定診断へ進む

診断を確定させるためには、「羊水検査」「絨毛検査」といった確定的検査を受ける選択肢があります。

  • 羊水検査: 妊娠15週以降に、お腹に細い針を刺して羊水を採取し、その中に含まれる赤ちゃんの細胞を調べる検査です。診断精度はほぼ100%ですが、約1/300〜1/500程度の確率で流産・死産のリスクを伴います。
  • 絨毛検査: 妊娠11週〜14週頃に、胎盤の一部である絨毛を採取する検査です。羊水検査より早い時期に診断できますが、リスクはやや高いとされています。

これらの検査を受けるかどうかは、リスクも踏まえて慎重に判断する必要があります。

専門家への相談

陽性の結果を前に、夫婦だけで決断を下すのは非常に困難です。認可施設であれば、そのまま遺伝カウンセリングで専門家に相談できます。非認可施設で受けた場合でも、地域の周産期センターや、患者・家族の会、支援団体など、相談できる窓口は必ずあります。一人で、夫婦だけで抱え込まず、第三者の客観的な情報やサポートを得ることが、納得のいく選択につながります。

この問題に、唯一の正しい答えはありません。どんな決断であっても、それはご夫婦が悩み抜いて出した答えであり、尊重されるべきものです。

NIPTを受ける前によくある質問(Q&A)

最後に、NIPTに関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q
検査の精度は100%ではないの?
A

はい、100%ではありません。NIPTは非常に精度の高い検査ですが、「偽陽性(本当は陰性なのに陽性と出る)」と「偽陰性(本当は陽性なのに陰性と出る)」の両方が、ごく稀に起こり得ます。特に偽陰性の可能性はゼロではないため、「NIPTが陰性だったから、赤ちゃんに染色体異常は絶対にない」とは言い切れないのが現状です。検査の限界を理解しておくことが大切です。

Q
35歳未満でも受けられる?
A

非認可施設であれば、年齢に関係なく受けられることがほとんどです。一方、認可施設では、日本産科婦人科学会の指針に基づき、35歳以上の方や、過去に染色体疾患のお子さんを妊娠・出産した経験のある方などを対象としている場合が多いです。ただし、近年はこの基準も少しずつ変化してきていますので、希望する施設に直接問い合わせてみるのが確実です。

Q
双子の場合は受けられる?
A

双胎(双子)の場合もNIPTを受けることは可能ですが、単胎(一人の赤ちゃん)の場合と比べて検査の精度がやや下がると言われています。また、陽性という結果が出た場合に、どちらの赤ちゃんに疾患の可能性があるのかを特定することはできません。施設によっては双胎の検査を受け付けていない場合もあるため、事前の確認が必要です。

沖縄でNIPTを受けるなら?認証7院&提携クリニック比較【2025年最新版】

まとめ:NIPTは一つの選択肢。夫婦で納得のいく決断を

NIPT(新型出生前診断)について、基本から具体的な内容まで詳しく解説してきました。

NIPTは、採血だけで赤ちゃんの染色体疾患のリスクを高い精度で知ることができる、画期的な検査です。しかし、それはあくまで「非確定的検査」であり、万能ではありません。そして何より、その結果によっては、ご夫婦が命について深く向き合い、重い決断を迫られる可能性も秘めています。

この検査を受けるか、受けないか。それは、完全に個人の、ご夫婦の自由な選択です。どちらが正解ということはありません。

最も大切なのは、検査のメリット・デメリットの両方を正しく理解し、パートナーと何度も話し合い、お二人にとって「納得のいく選択」をすること。この記事が、そのための第一歩となれば幸いです。

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