ビジネスメールや文書を作成しているとき、「あわせてご確認ください」の「あわせて」は、どの漢字を使うのが正解なのか迷った経験はありませんか?
パソコンで変換すると「併せて」「合わせて」の両方が出てくるため、どちらを選べば相手に失礼がないのか、手が止まってしまう方も多いでしょう。結論からお伝えすると、ビジネスシーンにおいて「複数の物事を同時に行う」という意味で使う場合は「併せて」を選ぶのが基本です。
この記事では、「併せて」の正しい意味や使い方、「合わせて」との決定的な違いについて分かりやすく解説します。さらに、履歴書や公用文で推奨されている「ひらがな表記」のルールや、そのまま使える実践的な例文も豊富にご用意しました。
最後までお読みいただければ、もう言葉の選び方で迷うことはなくなり、自信を持ってビジネス上のコミュニケーションが取れるようになります。
「併せて」の意味とは?「合わせて」との違いを結論から解説
私たちが普段何気なく使っている言葉ですが、いざ漢字で書くとなると迷ってしまう言葉の代表格です。ここではまず、「併せて」の根本的な意味と、「合わせて」との違いを結論からシンプルにお伝えします。
「併せて」の基本的な意味
「併せて(あわせて)」には、「同時に行う」「並行して行う」「それと一緒に」といった意味があります。
たとえば、メインとなるAという用事があり、それと一緒にBという別の用事も済ませてしまおう、というシチュエーションで使われる言葉です。ビジネスシーンでは、資料を送付した際に「こちらの資料も併せてご覧ください」といった具合に、相手に対して複数の対応を同時にお願いする場面で頻繁に登場します。
「併用(へいよう)」や「併行(へいこう)」といった熟語を思い浮かべていただくと、そのニュアンスが直感的に理解しやすいでしょう。
「併せて」と「合わせて」の違い(結論)
読み方は全く同じですが、この二つの言葉には明確な違いが存在します。結論から言うと、対象となる複数のものが「独立して並んでいるか」「一つに融合・一致しているか」というイメージの違いです。
「併せて」は、それぞれの物事が独立したまま、並行して存在している状態を指します。メインの要件とサブの要件が、横に並んで走っているようなイメージを持ってください。
一方で「合わせて」は、複数のものが合体して一つになる、あるいは何かの基準にピタリと一致させる状態を表します。「力を合わせる」や「ピントを合わせる」といった使い方を想像していただくと分かりやすいはずです。
「併せて」と「合わせて」の正しい使い分けと意味の違い
結論をお伝えしたところで、ここからはさらに深掘りして、具体的な使い分け方を見ていきましょう。漢字の成り立ちを知ることで、どちらを使うべきか迷うことがグッと少なくなります。
「併せて(併せる)」の意味と使う場面
「併」という漢字には、人と人が並んで立つ様子が含まれています。そこから転じて、「二つ以上のものを並列に扱う」「同時に進行させる」という意味を持つようになりました。
ビジネスメールで「見積書を送付いたします。併せて、カタログもご確認ください」と書いた場合、見積書とカタログはそれぞれ別の独立した資料です。それらを「同時に(並行して)見てくださいね」と伝えているため、「併せて」を使うのが正解となります。
また、「A案と併せてB案も検討する」とした場合は、A案とB案を別々の選択肢として、同時にテーブルに並べて話し合うという意味合いになります。
「合わせて(合わせる)」の意味と使う場面
対して「合」という漢字は、器とその蓋がぴったりと合わさる様子から成り立ちました。そのため、「二つのものを一つにまとめる」「基準となるものに一致させる・調和させる」といった意味合いが強くなります。
たとえば、「スケジュールに合わせて調整いたします」という一文。これは、相手のスケジュールという「基準」に対して、自分の予定を「一致させる」という意味なので「合わせて」が適切です。
先ほどの企画案の例で言えば、「A案と合わせてB案を検討する」と書いた場合、A案とB案の良いところを「合体」させて、一つの折衷案を作ろうとしているニュアンスに変わってしまいます。このように、漢字一つで相手に伝わる意味が大きく変わるため注意が必要です。
【比較表】「併せて」と「合わせて」の違い一覧
頭の中で整理しやすいように、二つの言葉の違いを分かりやすい比較表にまとめました。迷った際はこちらを参考にしてください。
| 言葉 | 主な意味・ニュアンス | 漢字のイメージ | 具体的な使用例 |
|---|---|---|---|
| 併せて | 同時に行う、並行する、付け加える | 別々のものが横に並んでいる状態 | ・資料を併せてお送りします ・併せてご検討ください |
| 合わせて | 一致させる、合体させる、合計する | 一つに混ざり合う、基準にピタリと合う | ・予定に合わせて動く ・全部合わせて5,000円です |
ビジネスシーンでの「併せて」の使い方と例文
意味や違いが理解できたところで、実際のビジネスシーンでどのように使えばよいのか、具体的な例文を交えてご紹介します。「併せて」は、相手にプラスアルファのお願いや連絡をする際に非常に便利なクッション言葉の役割も果たしてくれます。
依頼やお願いをする時の使い方
相手に対して複数のアクションを要求する際、箇条書きにして事務的に伝えるよりも、「併せて」を使うことで文章全体が柔らかく、丁寧な印象になります。
【例文】
・「明日の会議で使用する資料を添付いたしました。併せて、前回の議事録もご確認いただけますと幸いです。」
・「新規プロジェクトの企画書をご提出ください。併せて、概算のスケジュール表も作成をお願いいたします。」
このように、メインのお願い(資料添付や企画書提出)の後に、サブのお願いを付け加えるイメージで活用しましょう。
報告や連絡をする時の使い方
社内や取引先への報告業務でも、「併せて」は大活躍します。複数のトピックを一つのメールでスマートに伝えることができるからです。
【例文】
・「〇〇株式会社様との契約が無事に完了いたしましたのでご報告いたします。併せて、今後の進行スケジュールについても共有させていただきます。」
・「本日のシステムメンテナンスは無事に終了いたしました。併せて、一部機能のアップデートを行いましたことをお知らせいたします。」
ただ「〇〇しました。△△もしました」と羅列するよりも、文章のつながりが自然になり、読み手の負担を減らす効果があります。
謝罪や感謝を伝える時の使い方
少し高度なテクニックですが、謝罪の言葉に続けて今後の対策を伝えたり、感謝の言葉に続けて相手への気遣いを添えたりする際にも用いることができます。
【例文】
・「この度は弊社の不手際により、多大なるご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げます。併せて、再発防止策についてご報告申し上げます。」
・「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。併せて、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。」
フォーマルな場面でも違和感なく使えるため、いざという時のためにこの言い回しを覚えておくと非常に心強いでしょう。
「あわせて」と平仮名で書くのはどんな時?公用文のルール
ここまで漢字の使い分けについて解説してきましたが、実はビジネス文書において「あわせて」と平仮名で表記すべきケースが存在します。それは、国が定める「公用文」のルールに関係しています。
接続詞として使う場合は平仮名の「あわせて」
文化庁が定めている「公用文における漢字使用等について」というルール(内閣訓令)では、公的な文書を作成する際の漢字と平仮名の使い分けが厳密に定められています。
その中で、「及び」「並びに」「又は」「若しくは」といった一部の例外を除き、文章と文章をつなぐ【接続詞】は原則として平仮名で表記することとされています。
つまり、「〇〇を行いました。あわせて、△△も行います」のように、文頭に置いて前後の文章を接続する役割として使う場合は、漢字の「併せて」ではなく、平仮名の「あわせて」と書くのが公用文における正式なルールなのです。
参考:公用文における漢字使用等について(文化庁)
副詞の「併せて」と接続詞の「あわせて」の見分け方
では、自分が今書いている文章が「副詞」なのか「接続詞」なのか、どうやって見分ければよいのでしょうか。文法用語が出てくると難しく感じますが、見分け方はとても簡単です。
・動詞のすぐ前にくっついて、動作を説明しているなら「副詞(漢字)」
例:「資料を併せて(副詞)確認する」
・文と文の間に独立して置かれ、話題を繋いでいるなら「接続詞(平仮名)」
例:「資料を送ります。あわせて(接続詞)、確認をお願いします」
少し乱暴な見分け方ですが、直後に読点(、)を打っても自然に読める文頭の言葉であれば「接続詞」である可能性が高く、平仮名にするのが無難だと覚えておきましょう。
履歴書や職務経歴書での適切な表記
就職活動や転職活動で作成する履歴書・職務経歴書は、公的な文書に準ずるフォーマルな書類です。そのため、採用担当者に正しい日本語の知識があることをアピールするためにも、公用文のルールに従って書き分けることを強くおすすめします。
「これまでの営業経験を活かし、貢献したいと考えております。あわせて、御社の新規事業にも挑戦したいです」というように、文章を繋ぐ際には平仮名を選択すると、細部まで配慮が行き届いた印象を与えることができるはずです。
「併せて」と間違えやすい類語・言い換え表現
「併せて」は大変便利な言葉ですが、一つのメールや文書の中で何度も繰り返すと、読みにくく、くどい印象を与えてしまいます。状況に応じて、以下のような言い換え表現をストックしておきましょう。
「同時に(どうじに)」
「併せて」と最も意味が近く、日常会話でもよく使われる分かりやすい表現です。「併せて」よりも、時間的なタイミングが全く同じであるというニュアンスがやや強く出ます。
【例文】
・「システムのアップデートを行うと同時に、サーバーの保守点検も実施いたします。」
・「新商品の発売と同時に、大規模なキャンペーンを展開する予定です。」
「ならびに(並びに)」
非常にフォーマルな響きを持つ接続詞で、前後の事柄を対等に並べる際に使われます。社外向けの案内状や、改まった挨拶文などで活躍する言葉です。
【例文】
・「社長ならびに役員一同より、心から感謝申し上げます。」
・「本日の配布資料、ならびに今後のスケジュールについてご説明いたします。」
「加えて(くわえて)」
ある事柄に対して、さらに別の事柄を付け足す時に便利な表現です。「併せて」が並列のイメージであるのに対し、「加えて」は積み重なる、プラスされるというイメージを持っています。
【例文】
・「昨日の報告事項に加えて、本日は新たに3点共有事項がございます。」
・「従来のサポート体制に加えて、24時間のチャット対応を導入いたしました。」
「かつ(且つ)」
二つの条件を同時に満たしている状態を表す時に使います。ロジカルな説明が求められる企画書や、システム要件を定義する場面などでよく見かける表現です。
【例文】
・「高品質かつ低価格なサービスを提供することが、我々のミッションです。」
・「対象者は、勤続5年以上、かつ年齢が30歳以上の社員となります。」
「併せて」を英語で表現するには?
外資系企業の方とメールのやり取りをしたり、英語で資料を作成したりする機会がある方のために、「併せて」に相当する英語表現もいくつかピックアップしました。文脈によって使い分けるのがポイントです。
In addition / Additionally
「さらに」「加えて」という意味合いで、「併せて」の代わりとして最も幅広く使える表現です。文頭に置いて、新しい情報を付け足す時によく使用されます。
【例文】
・Additionally, please review the attached document.
(併せて、添付の資料もご確認ください。)
Together with / Along with
「~と一緒に」「~に伴って」というニュアンスで、メインのものにサブのものを添えるイメージを伝えたい時に適しています。
【例文】
・I will send the invoice along with the product.
(商品と併せて、請求書をお送りします。)
At the same time
「同時に」という時間的な並行状態を強調したい時に使います。二つのタスクを並行して進めてほしい時などに便利です。
【例文】
・We need to cut costs and, at the same time, improve quality.
(コスト削減と併せて、品質の向上も図る必要があります。)
「併せて」を使う際によくある疑問・注意点
最後に、「併せて」を使用する際に、多くの方がつまずきやすい疑問点や、相手に不快感を与えないためのちょっとした注意点について触れておきます。
「併せてご確認のほど~」は正しい敬語?
「併せてご確認のほどよろしくお願いいたします」という一文は、ビジネスメールで非常によく見かけます。結論から言うと、これは全く問題のない正しい敬語表現です。
「併せて」という言葉自体には敬意(尊敬や謙譲の意味)は含まれていませんが、あとに続く「ご確認のほどよろしくお願いいたします」が正しい敬語になっているため、全体として相手に敬意を払った丁寧な文章として成立しています。上司や取引先に対しても安心して使って大丈夫です。
漢字の「併せて」を多用しすぎないためのコツ
とても便利で使い勝手の良い言葉だからこそ、意識しないと「併せて〇〇をお願いします。併せて△△もご提出ください。併せて…」と連続して使ってしまいがちです。
同じ言葉が連続すると、機械的で冷たい印象を与えたり、「ついでに色々と要求されている」と相手にプレッシャーを感じさせたりする恐れがあります。
連続しそうになった時は、先ほどご紹介した「同時に」や「加えて」といった言い換え表現を活用するか、いっそのこと「お願いしたい事項が3点ございます」と箇条書きにしてしまうなど、読み手の負担を減らす工夫を心がけましょう。
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まとめ:「併せて」と「合わせて」の意味と違いを理解して使いこなそう
本記事では、「併せて」の正しい意味や、「合わせて」「あわせて」との違いについて詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントを簡単におさらいしておきましょう。
・並行して同時に行う場合は「併せて」を使う。
・一つに合体させたり、基準に一致させたりする場合は「合わせて」を使う。
・公用文や履歴書などで、接続詞として文の先頭に置く場合は平仮名の「あわせて」が正解。
漢字一つ、表記の一つの違いですが、こうした細やかな言葉の選び方にこそ、ビジネスパーソンとしての信頼感や配慮が表れるものです。ぜひ今日からのメール作成や文書作成で、この記事で学んだ正しい使い分けを実践してみてくださいね。
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