「あの人の声を聞くと、なんだか落ち着く」
「この曲を聴いていると、自然と眠くなる」
そんな経験はありませんか?それはもしかすると、声や音に含まれる「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」が関係しているかもしれません。宇多田ヒカルさんや美空ひばりさんなど、国民的アーティストの声にもその特性があるとして、テレビやメディアで度々話題になっています。
実はこの「1/fゆらぎ」、専門機関に行かなくても、PCソフトやスマホアプリを使って簡易的にチェックすることができるんです。
この記事では、自分の声や身近な音に「1/fゆらぎ」の傾向があるか調べる方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
1/fゆらぎとは?なぜ人に安心感を与えるのか
そもそも「1/fゆらぎ」とは、規則正しさと不規則さがちょうど良いバランスで調和している状態のことを指します。
完全に規則的な音(メトロノームなど)は緊張感を与え、完全にランダムな音(ザーッという砂嵐のような「ホワイトノイズ」など)は不快感を与えることがあります。しかし、1/fゆらぎはその中間に位置しており、予測できそうでできない絶妙なリズムを持っています。
自然界と生体のリズムが共鳴する
このゆらぎは、私たちの身の回りにある自然界に多く存在しています。
- 小川のせせらぎ
- シトシトと降る雨音
- 木漏れ日の揺れ
- ろうそくの炎
これらはすべて、一定のリズムのようでいて、実は微妙にずれています。
また、私たち人間の生体リズム(心拍の間隔、呼吸、脳波など)もまた、1/fゆらぎの特性を持っていることが知られています。外界のゆらぎと自分の体のゆらぎが共鳴することで、心地よさを感じたり、リラックスできたりするのではないかと考えられています。
【PC・スマホ別】1/fゆらぎの調べ方とおすすめツール
では、実際にどうやって調べれば良いのでしょうか。
基本的には「周波数分析(スペクトルアナライザー)」ができるツールを使用します。
グラフの見方:対数スケールでの「右下がり」
多くの分析ツールでは、音の成分をグラフで表示します。
このとき、グラフの縦軸(パワー)と横軸(周波数)の両方を対数スケール(Log表示)にした状態で、「右下がりの直線(周波数が高くなるにつれてパワーがなだらかに低くなる)」に近い形を描く場合、それが1/fゆらぎ(ピンクノイズ)に近い特性を持っていると判断できます。
ここでは、現在入手可能なツールの中で、使いやすいものを厳選して比較しました。
測定ツール・アプリ比較表
| ツール名 | 対応機種 | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| WaveSpectra | PC (Windows) | 中 | 日本の定番フリーソフト。設定により対数表示が可能で、視覚的にわかりやすい。 |
| Audacity | PC (Win/Mac) | 中 | 世界的に有名な波形編集ソフト。録音後の詳細な分析に向いている。 |
| Spectroid | Android | 低 | 高精度なスペクトル解析アプリ。スマホで手軽に波形を確認できる。 |
| Sonic Tools SVM | iPhone (iOS) | 低 | 多機能な音声解析アプリ。リアルタイムで周波数特性を見ることができる。 |
PCで本格的に調べるなら「WaveSpectra」
Windowsユーザーであれば、「WaveSpectra(ウェーブスペクトラ)」というフリーソフトが最もポピュラーで推奨されます。長年愛用されているソフトで、高速フーリエ変換(FFT)を用いて、リアルタイムで音の成分を表示してくれます。
調べ方の手順
- ソフトを起動し、マイク入力を設定する。
- 設定画面で、横軸と縦軸を「Log(対数)」表示に設定する。
- 「Wave」ボタンを押して測定を開始する。
- マイクに向かって声を出し続ける(「あー」など)。
- 表示されるグラフの波形を確認する。
判定のポイント
グラフの左側(低音)が高く、右側(高音)に行くにつれてなだらかな坂道のように下がっていく形状であれば、1/fゆらぎの成分が含まれている可能性が高いと言えます。
※極端に急角度で下がる場合は、別のゆらぎ(ブラウンノイズなど)の可能性があります。
Macや録音データを使うなら「Audacity」
Macユーザーや、すでに録音したデータを解析したい場合は、無料の波形編集ソフト「Audacity」が便利です。
調べ方の手順
- Audacityに音声ファイルを読み込む(または録音する)。
- 分析したい範囲を選択する。
- メニューの「解析」から「スペクトル表示」をクリックする。
- 軸の設定を「対数」にして確認する。
これで周波数ごとの強さがグラフ化されます。こちらも同様に、右下がりの傾きをチェックしましょう。
スマホアプリで手軽にチェックする方法
もっと手軽に調べたい場合は、スマホのスペクトルアナライザーアプリを活用しましょう。
Androidの方:Spectroid
非常に細かい解像度で音を可視化できる無料アプリです。起動して声を出すだけで、現在の周波数分布が色鮮やかに表示されます。
iPhoneの方:Sonic Tools SVM
こちらも視覚的に音を捉えることができます。アプリ内の「Analyzer(アナライザー)」機能を使うことで、声の波形をリアルタイムで追うことが可能です。
※スマホアプリは簡易的なチェックに適しています。マイクの性能や周囲の環境音にも左右されるため、「なんとなく右下がりの傾向があるか」を楽しむ程度に使いましょう。
1/fゆらぎを持つと言われる有名アーティスト
自分の声を分析してみると分かりますが、きれいな右下がりの波形を出すのは意外と難しいものです。
ここでは、メディアやテレビ番組などで「1/fゆらぎの声を持つ」と紹介され、話題になったアーティストの例をご紹介します。
※以下は一般的な通説やメディアでの紹介例であり、厳密な学術的評価を保証するものではありません。
代表的な日本人アーティスト
- 美空ひばり
「川の流れのように」などで知られる昭和の歌姫。彼女の声については、過去に日本音響研究所が分析を行い、1/fゆらぎが含まれていると発表されたことがあります。特にビブラートの安定感が、心地よいゆらぎを生んでいる一因と考えられています。 - 宇多田ヒカル
デビュー当時からそのハスキーで透明感のある歌声が注目され、「1/fゆらぎの声を持つ」として広く知られるようになりました。聴く人に安心感を与える声質として、多くのファンに愛されています。 - MISIA
圧倒的な声量と音域を持つMISIAさん。バラード曲などでの包み込むような歌声には癒やし効果があると言われ、1/fゆらぎの代表例として名前が挙がることが多いアーティストです。 - 大野智(嵐)
男性アイドルの中でも、特に安定感のある歌声に定評がある大野さん。過去にテレビ番組の企画で声紋分析が行われ、1/fゆらぎが含まれているという結果が紹介され話題となりました。
俳優・声優・ナレーター
- 森本レオ
ナレーションといえばこの方。眠りを誘うような優しく低いトーンは、まさに癒やしの声の象徴として親しまれています。 - 花澤香菜
人気声優の花澤さん。「天使の声」とも称されるその澄んだ声質は、多くのファンを魅了しており、声の成分分析企画などでその特性が取り上げられたことがあります。
心地よい声に近づくためのヒント
「自分もあんな風に、人を癒やす声になりたい」
そう思う方もいるかもしれません。科学的に「こうすれば必ず1/fゆらぎになる」という確立された方法はまだありませんが、聴き手にとって心地よい、安定した声を出すための一般的なアプローチをご紹介します。
腹式呼吸で息を安定させる
声の「ゆらぎ」の土台となるのは、安定した呼吸です。
胸だけで呼吸をする「胸式呼吸」だと、息が浅くなり、声が細く不安定になりがちです。リラックスして深く息を吸い、一定の量で息を吐き出す「腹式呼吸」を意識してみましょう。息の量が安定することで、声帯の振動も安定し、聴きやすい声につながります。
余計な力を抜いて発声する
喉に力が入っていると、声が硬くなり、聴き手に緊張感を与えてしまうことがあります。
あくびをする時のように喉の奥を開き、リラックスして発声することを心がけてみましょう。力が抜けることで声に深みや響き(倍音成分)が生まれやすくなり、結果として包容力のある声に近づくことができるかもしれません。
まとめ
「1/fゆらぎ」は、自然界のリズムと同じ心地よさを持つとされる現象です。自分の声にこの傾向があるかどうかは、PCソフトの「WaveSpectra」やスマホの「スペクトルアナライザー系アプリ」を使い、対数グラフで右下がりの傾向があるかを見ることで推測できます。
- 1/fゆらぎとは: 規則性と不規則性のバランスが取れたリズム。自然界や生体リズムに見られる。
- 調べ方: 周波数分析ツールを使い、対数グラフが「なだらかな右下がり」になっているか確認する。
- 考え方: アーティストの例はあくまで一例。数値にとらわれすぎず、リラックスして話すことが大切。
もし測定結果がきれいな直線にならなくても、気にする必要はありません。大切なのは、相手に安心感を与えたいという気持ちを持って、丁寧に言葉を届けること。
まずは無料アプリをダウンロードして、自分の声がどんな波形を描くのか、実験感覚で楽しんでみてはいかがでしょうか。

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