「つ」をローマ字で書くとき、「tu」と「tsu」のどちらが正解なのか迷ったことはありませんか?
結論から言うと、パスポートや道路標識など、公的な場面では「tsu(ヘボン式)」を使うのが現在のスタンダードです。一方で、パソコンで文字入力をするときは、打鍵数が少ない「tu(訓令式)」を使うほうが効率的といえます。
学校で習った書き方と、社会で使われている書き方が違うため混乱しやすいこの問題。実は2025年末に、国の方針として約70年ぶりにルールが正式に変更されました。
この記事では、「つ」の表記の使い分けルールと、なぜ2つの表記が存在するのか、2026年現在の最新事情を交えて分かりやすく解説します。
「つ」のローマ字表記は「tsu」と「tu」どっちが正解?
「つ」のローマ字表記には、「tsu」と「tu」の2種類が存在しますが、これらはどちらも間違いではありません。使うシチュエーションによって「正解」が変わるのが、この問題のややこしいところです。
まずは、それぞれの表記がどのようなルールに基づいているのか、違いを整理しておきましょう。
ヘボン式(tsu)と訓令式(tu)の違い
私たちが目にするローマ字には、大きく分けて「ヘボン式」と「訓令式」の2つのルールがあります。
「tsu」を使うのがヘボン式です。これは英語の発音に近づけた表記法で、外国人が読んだときに「つ」の音に近い発音ができるよう工夫されています。現在、日本国内の案内板やパスポートなどは、ほぼこのヘボン式が採用されています。
対して「tu」を使うのが訓令式です。こちらは日本語の「タ行(ta, ti, tu, te, to)」という規則性を重視した日本独自の表記法です。かつて小学校の国語の授業で基本として習っていたのは、この訓令式でした。
表記法の比較表
それぞれの特徴を分かりやすく表にまとめました。迷った際はこちらを参考にしてください。
| 表記法 | 「つ」の綴り | 主な利用シーン | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ヘボン式 | tsu | パスポート、駅名、道路標識、名刺 | 英語の発音に近く、海外で通じやすい。現在の国の標準。 |
| 訓令式 | tu | キーボード入力、学術的な分類 | 日本語の五十音順の規則に従っている。入力が楽。 |
このように、目的によって使い分ける必要がありますが、「人に読んでもらう(特に海外の人)」場合はヘボン式の「tsu」を選んでおけば間違いありません。
パスポートや名刺では「tsu(ヘボン式)」が鉄則
公的な書類や、ビジネスで使う名刺などに名前を記載する場合は、「tsu」を使うことを強くおすすめします。特にパスポートの申請では、原則としてヘボン式を使うという規定があるからです。
例えば、「松田(まつだ)」さんや「光(ひかり)」さんの場合、以下のように表記します。
- 〇 MATSUDA(ヘボン式)
- × MATUDA(訓令式)
もしパスポートの申請書に訓令式の「tu」で記入してしまうと、窓口で修正を求められるケースがほとんどです。また、クレジットカードの名前とパスポートの名前のスペルが違うと、海外旅行中にトラブルになる可能性もあります。
「自分を証明する名前」に関しては、世界共通のスタンダードであるヘボン式(tsu)で統一しておくのが無難です。
パソコンでのキーボード入力は「tu」がおすすめ
「書く」ときはtsuが主流ですが、パソコンやスマホで文字を「入力する」ときは話が別です。多くの人が、無意識のうちに「tu」を使っているのではないでしょうか。
タイピング効率は「tu」が圧倒的に良い
キーボード入力においては、打鍵数(キーを打つ回数)が少ないほうが正義です。
- tu:2回(T → U)
- tsu:3回(T → S → U)
たった1回と思うかもしれませんが、長文を打つ場合、この差は大きなタイムロスになります。ローマ字入力の設定では、どちらで打っても画面上には「つ」と表示されます。そのため、プライベートや仕事でのタイピングでは、効率的な「tu」を使うのが賢い選択といえるでしょう。
「tsu」と打つべき場面とは?
基本的に入力は「tu」で問題ありませんが、稀に「tsu」と打たないと意図した文字が出ないケースがあります。
それは、意図的に「t」と「su」を分けたい場合や、特定のアルファベット表記そのものを入力したい場合です。しかし、通常の日本語文章を作成する上では、どちらで入力しても変換結果は同じ「つ」になりますので、そこまで神経質になる必要はありません。
【2026年現在】約70年ぶりに「ヘボン式」へ統一決定
これまで日本では、1954年(昭和29年)の内閣告示により「一般的には訓令式(tu)を使う」というルールが存在していました。しかし、実社会ではヘボン式(tsu)が圧倒的に普及しており、この「ねじれ」が長年の課題となっていました。
この状況を解決するため、2025年(令和7年)に大きな動きがありました。
2025年12月、新ルールが内閣告示される
2025年8月に文化審議会が答申を行い、それを受けて同年12月、新しい「ローマ字のつづり方」に関する内閣告示が公布されました。
これにより、これまで「基本は訓令式」とされていた国のルールが改められ、「ヘボン式(tsu)」が正式な標準規格となりました。公用文や学校教育においても、今後はヘボン式を基本として扱うことになります。
これまで「学校ではtuと習ったのに、社会ではtsuを使う」と混乱していた状況が解消され、名実ともに「tsu」が日本のスタンダードになったと言えます。
「大谷選手」はOtani?Ohtani?長音表記も柔軟に
今回の改定では、「長音(のばす音)」の表記についてもルールが見直されました。
これまでは「大谷(おおたに)」を「Otani」と書き、Oの上に横棒(マクロン)をつけるのが正式でしたが、新しい告示では「Ohtani」や「Ootani」のように母音を並べて書く方法も幅広く認められました。メジャーリーグの大谷翔平選手が使用している「Ohtani」のような表記も認められ、個人の慣習が尊重されるようになっています。
まとめ:「tsu」は表記用、「tu」は入力用と使い分けよう
「つ」のローマ字表記問題について解説しました。2026年現在の結論として、以下のように使い分けるのがベストです。
- 人に読ませる場合(名前・住所):
「tsu(ヘボン式)」を使う。2025年のルール改正で正式な標準となった。 - パソコンで入力する場合:
「tu(訓令式)」を使う。打鍵数が少なく、スピーディーに入力できる。
どちらも間違いではありませんが、相手に伝えるための文字であれば、国際基準かつ国の新標準である「tsu」を選んでおくのがマナーであり、安心です。
用途に合わせてスマートに「つ」を使い分け、迷いのない文字入力を実践していきましょう。

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