お気に入りの銅製の鍋やマグカップ、気付いたら茶色くくすんだり、黒ずんでしまったりしていませんか。
「専用のクリーナーを買わないとダメ?」と心配になるかもしれませんが、実はどこの家庭にもある「クエン酸」だけで、驚くほど簡単にピカピカにできるんです。
この記事では、銅製品の輝きを取り戻すためのお手入れ方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
酸化のメカニズムから、重曹との使い分け、日頃の予防法まで網羅しました。
これを読めば、くすんでしまった銅製品が、新品のような輝きを取り戻すはずですよ。
クエン酸が銅製品の掃除に最適な理由とは?
銅製品が時間の経過とともに変色してしまう主な原因は「酸化」です。
銅は空気中の酸素や水分、あるいは手垢などの油分と反応することで、表面に酸化銅という膜を作ります。これが、あの茶色っぽい黒ずみの正体なんですね。 また、さらに酸化が進むと「緑青(ろくしょう)」と呼ばれる青緑色のサビが発生することもあります。これは化学的には「塩基性炭酸銅」と呼ばれる成分です。
ここで活躍するのがクエン酸です。
化学的な話になりますが、酸性のクエン酸には、アルカリ性の汚れや金属の酸化物を中和・分解して溶かす働きがあります。
ゴシゴシと力任せにこするのではなく、化学反応を利用して汚れを「分解して落とす」ため、銅の表面を傷つけにくいのが最大のメリットといえるでしょう。
かつて緑青は「猛毒」と言われていた時代もありましたが、現在では無害であることが科学的に証明されています。
とはいえ、見た目が良くないですし、衛生的にも気になりますよね。
クエン酸は食品添加物としても使われる安全な成分なので、キッチン周りの銅鍋やヤカン、カトラリーのお手入れにも安心して使用できます。
参考:銅について知る:銅の安全性|一般社団法人日本銅センター
【実践編】クエン酸を使った基本の磨き方手順
それでは、実際にクエン酸を使って銅製品をピカピカにする手順を見ていきましょう。
特別な道具は必要ありません。スーパーや100円ショップで手に入るものばかりです。
作業前の重要チェック:表面加工の有無
作業を始める前に、その銅製品に「クリア塗装(ラッカー塗装)」がされていないか確認してください。
変色防止のために透明な膜でコーティングされている場合、クエン酸を使うと塗装が剥げて、まだら模様になってしまう恐れがあります。
表面がツルツルしていて、長期間使っているのに全く変色していない箇所がある場合は、塗装されている可能性が高いです。その場合は、中性洗剤で優しく洗うだけにとどめましょう。
用意するもの
- クエン酸(粉末タイプ)
- ぬるま湯
- ボウルや洗面器
- 柔らかいスポンジまたは布
- 乾いたタオル
- 塩(頑固な汚れの場合に少量使用)
※安全のため、「塩素系漂白剤(カビ取り剤など)」とは絶対に混ぜないでください。有毒なガスが発生する危険があります。
手順1:クエン酸水を作る
まずは洗浄液を作ります。
ぬるま湯200mlに対して、クエン酸小さじ1杯程度を溶かしてください。
汚れがひどい場合は、少し濃度を濃くしても構いませんが、基本はこの割合で十分効果を発揮します。お湯を使うことでクエン酸が溶けやすくなり、洗浄効果も高まります。
【裏技】頑固な黒ずみには「塩」をプラス!
クエン酸水だけでは落ちない強い黒ずみの場合、クエン酸小さじ1に対して塩をひとつまみ加えてみてください。塩の粒子によるスクラブ効果と化学反応の促進で、洗浄力が格段にアップします。
手順2:浸け置き、または優しくこする
カトラリーや小さなアクセサリーなら、作ったクエン酸水にそのまま5分〜10分ほど浸け置きしましょう。
鍋やヤカンなど大きなものの場合は、スポンジにクエン酸水をたっぷり含ませて、汚れた部分を優しくなでるように洗います。
驚くことに、液が触れた瞬間からスーッと黒ずみが晴れていくのが分かるはずです。
手順3:水洗いと「完全乾燥」
汚れが落ちたら、たっぷりの水でクエン酸成分をしっかりと洗い流します。
ここで最も重要なのが、洗い終わった直後に水気を完全に拭き取ることです。
水分や酸の成分が残っていると、それが原因で再びすぐに酸化(サビ)が始まってしまいます。
吸水性の良い乾いたタオルで拭き上げ、可能であればしばらく風通しの良い場所で乾燥させてください。
汚れに合わせて使い分け!「クエン酸」と「重曹」の違い

お掃除の万能選手としてよく比較される「クエン酸」と「重曹」。
どちらもナチュラルクリーニングの定番ですが、銅製品のお手入れに関しては、得意な汚れがまったく異なります。
間違った使い方をすると効果が出ないばかりか、逆に傷をつけてしまうこともあるため、違いをしっかり理解しておきましょう。
以下の表に、それぞれの特徴と使い分けをまとめました。
| 比較項目 | クエン酸 | 重曹 |
|---|---|---|
| 液性 | 酸性 | 弱アルカリ性 |
| 得意な汚れ | 黒ずみ、サビ、水垢(酸化汚れ) | 油汚れ、焦げ付き、手垢 |
| 作用の仕組み | 汚れを化学的に溶かす | 粒子で物理的に研磨する |
| 銅への適性 | ◎(輝きが復活する) | △(研磨剤として使う) |
基本的には「クエン酸」で黒ずみを取り、「重曹」は磨き粉として使うと覚えておくと良いでしょう。
もし、銅鍋の裏に焦げ付きがある場合は、重曹を少し水で湿らせてペースト状にし、それをクエン酸と併用するのもおすすめです。
重曹の研磨力とクエン酸の分解力が合わさり、頑固な汚れにも対応できます。
ただし、重曹は粒子が硬いため、鏡面仕上げの銅製品を強くこすると細かい傷がつく恐れがあります。
大切な装飾品などは、まずはクエン酸のみで優しくケアすることをおすすめします。
注意!「真鍮(しんちゅう)」と「銅」は扱いが違います
銅製品のお手入れで最も注意したいのが、見た目が似ている「真鍮(黄銅)」との混同です。
真鍮は、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金で、五円玉やアンティークのドアノブ、楽器などによく使われています。
金色に近い輝きを持っていますが、時間が経つと銅と同じようにくすんでくるため、つい同じ方法で掃除したくなりますよね。
しかし、真鍮に高濃度のクエン酸や酸性の強い洗剤を使うのは避けたほうが無難です。
酸が強すぎると、真鍮に含まれる「亜鉛」だけが溶け出してしまい、表面が赤っぽく変色してしまう「脱亜鉛現象」が起こる可能性があります。
こうなると、元の美しい金色に戻すのは非常に困難です。
真鍮製品をお手入れする場合は、以下の点に気をつけましょう。
- クエン酸を使う場合はごく薄い濃度にする。
- 長時間浸け置きをしない(数秒〜1分程度で様子を見る)。
- 心配な場合は、真鍮専用の研磨剤(ピカールなど)を使用する。
「これは銅かな?真鍮かな?」と迷ったときは、目立たない場所で少しだけ試してみるか、酸を使わずに乾拭きから始めるのが安全策ですよ。
きれいな状態を長持ちさせる保管・予防テクニック
せっかくピカピカにした銅製品、できるだけその美しい状態をキープしたいですよね。
銅は「生きている金属」とも言われるほど、環境に敏感に反応して変化します。
日常のちょっとした習慣を変えるだけで、黒ずみの発生頻度をぐっと減らすことができますよ。
1. 使用後は「即乾燥」が鉄則
基本の磨き方でも触れましたが、銅の大敵は「湿気」と「塩分」です。
調理に使った後は、料理を入れたまま放置せず、すぐに洗って水気を拭き取りましょう。
特に、お酢や醤油などの酸・塩分を含んだ料理を入れたままにすると、数時間で変色してしまうこともあります。
2. 長期保管には「油」でバリアを
しばらく使わない銅鍋やヤカンがある場合は、表面に薄く油を塗っておくのが効果的です。
サラダ油やオリーブオイルをキッチンペーパーに少量含ませ、全体に薄く塗り広げてください。
油膜が空気中の酸素や水分を遮断してくれるため、酸化のスピードを遅らせることができます。
次に使うときは、中性洗剤でサッと油を洗い流せばOKです。
3. 湿気の少ない場所を選ぶ
シンクの下などは湿気がたまりやすく、銅製品の保管場所としてはあまり適していません。
可能であれば風通しの良い棚に置くか、湿気取りと一緒に箱に入れて保管しましょう。
新聞紙で包むのも、湿気対策として有効な昔ながらの知恵ですね。
まとめ:クエン酸を活用して銅の輝きを楽しもう
銅製品のお手入れは、思ったよりもシンプルで簡単です。
専用の道具を買い揃えなくても、キッチンにあるクエン酸を使えば、化学の力で黒ずみをすっきりと落とすことができます。
- 基本は「クエン酸水」で優しく洗うこと。(頑固な汚れには塩をプラス!)
- 「重曹」は焦げ付きなどの研磨用として使い分けること。
- 洗った後は、水気を完全に拭き取って乾燥させること。
この3つのポイントを押さえておけば、失敗することはありません。
使い込むほどに味わいが出るのも銅の魅力ですが、時にはクエン酸でリセットして、新品のような輝きを楽しむのも良いものです。
ぜひ今週末、眠っている銅製品をピカピカに磨き上げてみてはいかがいでしょうか。

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