日常会話やニュースで耳にする「街道」という言葉。「あれ、これって『かいどう』だっけ?『がいどう』だっけ?」と、ふと読み方に迷ったことはありませんか。
結論から言うと、「街道」の正しい読み方は「かいどう」です。「がいどう」と濁ることはありません。
この記事では、なぜ読み間違いが起きやすいのかという理由から、言葉が持つ本来の意味、そして「道路」や「街路」といった似た言葉との違いまでを分かりやすく解説します。
読み方のモヤモヤを解消して、日本語の奥深さに少しだけ触れてみましょう。
「街道」の正しい読み方は「かいどう」一択
先ほどお伝えした通り、「街道」の正しい読み方は「かいどう」です。
パソコンやスマートフォンで変換する際も、「かいどう」と入力すればスムーズに「街道」と表示されますが、「がいどう」と打ってもなかなか変換候補に出てこないはずです。これは、辞書的な正解が「かいどう」のみであるためです。
日本語には、言葉が繋がるときに音が濁る「連濁(れんだく)」という現象があります。例えば「旅(たび)」と「人(ひと)」がくっつくと「旅人(たびびと)」になるのがその典型です。
しかし、「街道」に関しては、前の漢字の影響を受けて後ろが濁ったり、あるいは「街(かい)」そのものが濁音で始まる読み方をしたりするケースには当てはまりません。自信を持って「かいどう」と読んでくださいね。
なぜ「がいどう」と読み間違えてしまうのか?
「正解は『かいどう』です」と言われても、なんとなく「がいどう」と読みたくなってしまう気持ち、実はよく分かります。これには漢字の読み方が大きく関係しています。
「街道」に使われている「街」という漢字は、音読みで「カイ」のほかに「ガイ」とも読みますよね。私たちの生活の中には、「ガイ」と読む熟語がたくさん溢れています。
身近な「〜街(がい)」の影響
例えば、以下のような言葉を思い浮かべてみてください。
- 商店街(しょうてんがい)
- 繁華街(はんかがい)
- 地下街(ちかがい)
- 住宅街(じゅうたくがい)
このように、場所を表す言葉として「街」が使われる場合、「〜がい」と読むケースが非常に多いのです。このリズムに慣れてしまっているため、無意識のうちに「街道」も「がいどう」と読みたくなってしまうのでしょう。
しかし、街道は「街(まち)の道」という意味合いよりも、歴史的な経緯を含んだ「主要な交通路」としての独立した単語です。「街道(かいどう)」という一つの固有名詞のようなセットで覚えてしまうのがおすすめです。
「街道」の意味とは?「道路」や「街路」との違い
読み方がスッキリしたところで、次は言葉の意味について深掘りしていきましょう。
辞書的な意味での「街道」は、中央と地方、あるいは都市と都市を結ぶ、交通量が多い主要な道路を指します。ただ、現代では単に「広い道路」を指すよりも、歴史的な情緒や、特定の地域を結ぶ幹線道路というニュアンスで使われることが多いです。
似たような言葉に「道路」や「街路」がありますが、これらは少しずつ意味合いが異なります。分かりやすく表にまとめてみました。
「街道・道路・街路」の違い比較表
| 用語 | 読み方 | 主な意味とニュアンス | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 街道 | かいどう | 都市間を結ぶ主要な道。歴史的背景や情緒が含まれることが多い。 | 東海道、甲州街道、シルクロード(絹の道) |
| 道路 | どうろ | 人や車が通行する道の総称。法律用語や一般的な呼称として使われる。 | 道路交通法、舗装された道路、工事中の道路 |
| 街路 | がいろ | 市街地の中にある道。建物が並び、街路樹などが整備されているイメージ。 | 街路樹、街路灯、パリの美しい街路 |
表を見ると分かるように、「街道」は単なる移動のための通路というだけでなく、「A地点とB地点を繋ぐ重要なルート」という役割が強調されています。古くは馬や徒歩で旅人が行き交った道、現代では車が頻繁に通る幹線道路として、人々の生活を支え続けているのです。
日本の歴史と切っても切れない「街道」
「街道」という言葉を聞いて、歴史の授業を思い出す方も多いのではないでしょうか。特に江戸時代には、政治の中心である江戸(東京)と各地を結ぶための重要なルートが整備されました。
その代表格が「五街道(ごかいどう)」です。
- 東海道(とうかいどう):江戸〜京都を結ぶ、最も有名な街道。
- 中山道(なかせんどう):内陸を通って江戸〜京都を結ぶ街道。
- 甲州街道(こうしゅうかいどう):江戸〜甲府〜下諏訪を結ぶ街道。
- 日光街道(にっこうかいどう):江戸〜日光東照宮を結ぶ街道。
- 奥州街道(おうしゅうかいどう):江戸〜白河(福島県)へ続く街道。
※補足:現在では一般的にすべて「街道」と呼ばれますが、江戸幕府による正式名称は「日光道中」「奥州道中」「甲州道中」といい、「道中」が使われていました。
これらの街道沿いには「宿場町(しゅくばまち)」が栄え、独特の文化が育まれました。現在でも「旧街道」として当時の面影を残す場所が観光地として人気を集めていますね。
現代の地図を見ても、国道1号線が東海道とほぼ重なっていたりと、かつての街道は今の日本の交通網の基礎となっています。「街道」という言葉には、単なる道路という意味以上に、日本の発展を支えてきた歴史が詰まっているのです。
参考:東海道への誘い(国土交通省 関東地方整備局 横浜国道事務所)
まとめ
今回は「街道」の正しい読み方とその意味について解説しました。
記事のポイントを振り返ってみましょう。
- 「街道」の正しい読み方は「かいどう」。
- 「がいどう」と読むのは誤りだが、「商店街」などの影響で間違えやすい。
- 街道は「都市間を結ぶ主要な道」を指し、歴史的な背景を持つことが多い。
- 「道路」は一般的な道の総称、「街路」は市街地の道を指す。
言葉一つをとっても、その背景には漢字の読み方のルールや、日本の歴史が隠されています。
もし友人や同僚が「このがいどうがさ…」と言い間違えていたら、優しく「ああ、あのかいどうね」と返してあげてください。正しい言葉の意味を知ることで、普段通っている道や、旅先で見かける看板が少し違った景色に見えてくるかもしれませんね。

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