「スマホを見たら『+1 866』という見慣れない番号から着信があった」
「間違い電話だと思って出たら、変なガイダンスが流れた……」
突然、海外の番号から電話がかかってくると、「詐欺じゃないか？」「高額な請求が来るんじゃないか？」と不安になりますよね。
結論から言うと、+1 866からの着信は、アメリカやカナダなど北米地域で使われている「フリーダイヤル（トールフリー）」です。
あなたが現地のホテルや航空会社などに問い合わせていて、その折り返しを待っている状況でない限り、十中八九「詐欺」や「悪質なセールス」、あるいは「生存番号の確認（ワン切り）」です。
この記事では、+1 866からの電話に出てしまった場合の料金の仕組みや、うっかり折り返してしまった際のリスク、そして今後迷惑電話をブロックするための設定方法を分かりやすく解説します。
正しい対処法を知れば、恐れることはありません。まずは落ち着いて確認していきましょう。
+1 866の正体は「北米版の0120」
まずは相手の正体を正しく理解しましょう。
「+1」はアメリカやカナダが属する北米の国番号です。そして「866」は、日本でいう「0120」にあたる、通話料を着信側が負担するフリーダイヤルのコード番号です。
北米ではフリーダイヤルの需要が非常に多く、枯渇を防ぐために複数のコードが使われています。
これらは本来、正規の企業がカスタマーサポート用に使用する番号です。しかし、それを悪用し、「ランダムに電話をかけて、日本で使われている番号かを確認する」などの目的で発信されるケースが後を絶ちません。
心当たりがなければ、絶対に応答せず、着信履歴を削除して無視するのが鉄則です。
【一覧表】1866の電話に出てしまった・折り返した場合のリスク
「ポケットの中で誤操作して出てしまった」「気になってかけ直してしまった」
そんな時のために、行動別のリスクと料金を表にまとめました。
| あなたの対応 | 通話料金 | リスクと注意点 |
|---|---|---|
| 着信に出てしまった （日本国内での受電） | 0円 （原則かかりません） | 中 「有効な番号」としてリスト化される恐れ |
| 着信を無視した | 0円 | 低 最も安全。相手に情報を与えない |
| 折り返し電話した | 高額請求の恐れ （国際通話料） | 高 通話料発生＋詐欺被害のリスク大 |
それぞれの状況について、詳しく解説します。
電話に出てしまった場合：料金はかからないが警戒レベルを上げる
日本国内にいて、海外からの電話を「受ける」だけであれば、基本的に通話料は発生しません。
電話代は「かけた側」が支払うのが原則だからです。
「出ただけで何万円も取られる」ということはありませんので、まずは安心してください。
ただし、電話に出たことで「この番号は現在使われており、人間が出る（反応する）番号だ」という情報を相手に与えてしまったことになります。
その結果、あなたの番号が「カモリスト」に登録され、今後似たような国際電話や不審なSMSが増える可能性があります。しばらくの間は、知らない番号からの連絡にいつも以上に注意してください。
迷惑電話が急に増えた？うざい着信の5つの理由と今すぐできる対策を徹底解説
折り返し電話をしてしまった場合：高額な「勉強代」がかかる可能性
一番のリスクは「折り返し」です。
「866はフリーダイヤルだから無料のはず」というのは、あくまでアメリカ国内からかけた場合の話です。
日本から発信すれば、当然ながら「アメリカへの国際電話」となり、高額な通話料が発生します。
さらに、相手が悪質な業者の場合、有料のアダルトサイト案内や架空請求ガイダンスに繋がることがあります。
もし数秒で切ったのであれば、数百円程度の請求で済むことが多いですが、これは「二度とかけ直さないための勉強代」と割り切りましょう。
もし金銭的な要求に応じそうになったら
万が一、自動音声やオペレーターに誘導され、クレジットカード番号を入力したり、送金手続きをしてしまった場合は、直ちに行動してください。
+1 866からかかってくる主な手口と目的
敵の手口を知っておくと、冷静に対処できるようになります。主なパターンは以下の通りです。
国際ワン切り（Wangiri）
着信音を1〜2回鳴らしてすぐに切る手口です。
着信履歴に「+1 866…」と残すことで、気になったターゲットからの折り返しを誘います。折り返すと、高額な国際通話料が発生するだけでなく、詐欺グループに繋がるリスクがあります。
自動音声による架空請求・フィッシング
電話に出ると、英語や中国語の機械音声が流れるケースです。
「税務署からの連絡です」「未納料金があります」などと不安を煽り、解決のために番号入力を求めたり、個人情報を聞き出そうとします。
「NTTファイナンス」を装った特殊詐欺（2024年から急増）
+1 866からの詐欺電話として、特に注意が必要なのがこのパターンです。
2024年12月以降、NTTファイナンスや総務省監視管理室などの実在する組織を装った詐欺電話が急増しており、消費者庁も正式に注意喚起を行っています。
電話に出ると、次のような自動音声が流れます。
- 「NTTファイナンスより重要なお知らせです。現在ご利用中の電話回線にて未納料金が発生しているため、法的措置へ移行いたします。オペレーターにおつなぎする場合は1を押してください」
- 「こちらは総務省監視管理室です。このお電話は2時間後に利用停止となります。ご不明な点がある方は1番を押してください」
しかし、実際のNTTファイナンスや総務省は、国際電話で料金未納の連絡をすることは一切ありません。
NTTファイナンス株式会社も公式サイトで「国際電話によりお客様に連絡をしたり、未納料金等の支払いを案内することはございません。」と明言しています。
参考：ＮＴＴファイナンスを名乗る架空料金請求詐欺にご注意ください！ | ＮＴＴファイナンス株式会社
このような電話は100%詐欺ですので、番号を押さずにすぐに切ってください。万が一オペレーターと話してしまった場合でも、個人情報や電子マネーのID番号を絶対に伝えないようにしましょう。
「ロマンス詐欺」や「投資詐欺」の糸口
最初は間違い電話を装い、そこからメッセージアプリ（LINEやWhatsAppなど）へ誘導して親しくなり、最終的に架空の投資話を持ちかける「ロマンス詐欺」や投資詐欺の入り口として使われることもあります。
二度と受けない！国際電話詐欺への対策設定
「もう怪しい電話にビクビクしたくない」という方へ。
スマホの設定やキャリアのサービスを使って、物理的に着信をシャットアウトする方法をご紹介します。
iPhoneユーザーにおすすめの設定
iPhoneには、連絡先に登録していない番号からの通知を消す機能があります。
- 特定の番号を拒否：電話アプリ「履歴」＞番号右側の「i」＞「この発信者を着信拒否」
- 知らない番号を一括ブロック：「設定」＞「電話」＞「不明な発信者を消音」をオン。
※「不明な発信者を消音」をオンにすると、役所や配送業者、病院など、連絡先にない重要な電話も留守番電話に直行してしまうため、ライフスタイルに合わせて設定してください。
参考：iPhone で不明な発信者を管理する – Apple サポート
携帯キャリアの迷惑電話対策サービス
スマホの設定だけでは不安な場合、各キャリアが提供している有料オプションを利用するのが確実です。これらは膨大な迷惑電話リストに基づき、危険な番号を自動で判別してくれます。
- ドコモ: 「あんしんセキュリティ」（月額有料）
- 迷惑電話と判定された番号からの着信を自動で警告・拒否。
- au: 「迷惑メッセージ・電話ブロック」（Pontaパス会員などが利用可）
- トビラシステムズ社のデータベースを活用し、迷惑電話をブロック。
- ソフトバンク: 「迷惑電話ブロック」（月額有料）
- 危険な電話番号を自動検知し、着信を拒否または警告表示。
※サービス名称や料金は変更される場合があるため、詳細は各キャリアの公式サイトをご確認ください。
警視庁公式アプリ「デジポリス」も活用しよう
さらに強力な対策として、警視庁が提供する防犯アプリ「デジポリス」の国際電話ブロック機能も注目です。 警察が把握している詐欺番号データベースを活用し、Android版では着信を自動切断、iPhone版では不明な発信者を消音できます。
無料で利用できるため、キャリアの有料オプションと併せて導入することで、より確実に詐欺電話を防げます。
関連記事：警視庁防犯アプリ「デジポリス」新機能｜国際電話ブロックシステムの設定と仕組み【詐欺電話を遮断】
まとめ：+1 866は「出ない・かけ直さない」が鉄則
最後に、重要なポイントを再確認しましょう。
- +1 866は北米のフリーダイヤル。心当たりがなければ詐欺の可能性大。
- 電話に出るだけなら、通話料は発生しない。（焦らなくて大丈夫！）
- 絶対に折り返し電話をしてはいけない。（高額な通話料がかかる）
- 無視するのが一番の対策。不安なら着信拒否設定を。
「海外からの電話＝怖い」と感じるかもしれませんが、こちらからアクションを起こさなければ実害はありません。
怪しい番号はすぐに履歴から削除して、安心してスマホを使ってくださいね。
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