「あなたの夢に、眉の太い、見知らぬ男が何度も現れる…」
もし、そんな奇妙な体験をした人が、世界中に2,000人以上もいたら信じられますか?
この記事で解説するのは、インターネット上で一世を風靡(ふうび)した都市伝説「夢男(This Man)」の物語です。
この記事を読めば、以下の内容がすべて分かります。
- 世界中を震撼させた「夢男(This Man)」の都市伝説の始まり
- 噂された正体と、ナテッラ氏が仕掛けた「真相」
- 日本でのブーム再燃!中条あやみ主演『世にも奇妙な物語』版の内容
- 2024年に日本で映画化された『THIS MAN』のあらすじ
- 「夢男が怖い…」と感じる方への心理学的な解説と対処法
「ただの怖い話は苦手…」という方もご安心ください。この記事を最後まで読めば、夢男の正体が分かり、きっと不安も解消されるはずです。それでは、世界を巻き込んだ壮大な物語の真相を一緒に見ていきましょう。
夢男「This Man」とは?世界中を騒がせた都市伝説の始まり
すべての始まりは、2006年のアメリカ・ニューヨークでの出来事でした。
ある精神科に、一人の女性患者が訪れます。彼女は「現実で一度も会ったことのない男が、何度も夢に出てきて悩まされている」と奇妙な悩みを打ち明けました。その言葉に従い、医師が作成したのが、あの有名なモンタージュ画です。太い眉、薄い髪、少し不気味にも見える無表情な男の顔…。その絵は、しばらく医師のデスクの上に放置されていたといいます。
数日後、偶然そのモンタージュ画を目にした別の男性患者が、突如として顔色を変えました。「僕の夢にも、この男が出てくるんです!」と。彼は、この男を「This Man(この男)」と呼びました。
これを奇妙に思った医師は、モンタージュ画を同僚の精神科医たちに送付。すると、驚くべきことに、複数の医師から「自分の患者も、同じ男を夢で見たと証言している」という報告が次々と寄せられたのです。
この現象を解明するため、医師たちは「ThisMan.org」というウェブサイトを立ち上げ、情報提供を呼びかけました。その結果、ニューヨークだけでなく、ロサンゼルス、ベルリン、ローマ、東京、北京など、世界中の都市から「この男を夢で見た」という証言が、なんと2,000件以上も集まったのです。
出身も、性別も、年齢も違う人々が、なぜ同じ男の夢を見るのでしょうか? この不可解な現象はインターネットを通じて瞬く間に拡散され、「This Man」は世界で最も有名な都市伝説の一つとして、多くの人々の記憶に刻み込まれることになりました。
This Manの正体は?噂された4つの説と騒動の真相

世界中の人々を同時に夢の中に現れる能力を持つThis Man。その正体については、専門家やオカルトファンを巻き込み、様々な説が議論されました。一体、彼は何者なのでしょうか? 有力とされた説と、誰もが予想しなかったであろう「真相」を解説していきます。
説1:人間の深層心理に潜む「元型」説
心理学の世界には、「元型(アーキタイプ)」という概念があります。これは分析心理学の創始者であるカール・グスタフ・ユングが提唱したもので、「人類に共通する無意識のイメージ」を指します。例えば、文化が違えども「賢い老人」や「偉大な母」といった共通のイメージが存在するのは、この元型が影響しているという考え方です。
This Manも、この元型の一種ではないか、という説が唱えられました。つまり、人々が困難な状況に陥ったとき、深層心理に共通して存在する「救済者」や「導き手」のイメージが、This Manの姿として夢に現れるのではないか、という解釈です。非常に学術的で、説得力のある仮説として多くの支持を集めました。
説2:企業の実験?ドリームサーフィン説
もう一つ、非常にSF的な説も浮上しました。それは「ドリームサーフィン説」です。これは、特定の企業や組織が、人の夢に介入する特殊な技術を開発し、その実験としてThis Manのイメージを人々の夢に送り込んでいる、という陰謀論的な考え方になります。
夢を通じて人々の潜在意識に影響を与え、特定の行動を促したり、思想を植え付けたりすることが目的ではないか、と囁かれました。にわかには信じがたい話ですが、テクノロジーが急速に進化する現代において、完全には否定しきれない不気味さを持つ説として、一部で熱心に語られていたのです。
説3:神の化身、あるいは実在の人物説
他にも、「This Manは、姿形を変えて人々の前に現れる神の化身である」という宗教的な解釈や、「夢で見た顔と、現実世界で偶然すれ違った人物の顔が脳内で混ざり合った結果ではないか」という記憶の混同説なども存在しました。
「This Manの顔は、実は世界中の人間の顔のパーツを平均化したものだから、誰にでも当てはまるように見える」という面白い説もあり、議論は尽きることがありませんでした。しかし、これらの説はすべて、ある一人の人物によって覆されることになります。
衝撃の真相!すべてはイタリアの社会学者の創作だった
人々の夢に現れる謎の男、This Man。その正体は…イタリアの社会学者兼マーケターであるアンドレア・ナテッラ氏が生み出した、完全な創作物でした。
そう、This Manは実在せず、発端となった精神科医のエピソードはナテッラ氏が創作したストーリーでした。その後世界中から寄せられた目撃情報の多くも、彼の仕掛けた壮大な「社会実験」によって生まれた暗示効果の産物だったのです。
彼は「ゲリラマーケティング(バイラルマーケティング)」の専門家であり、いかにユニークなコンテンツがインターネットを通じて拡散し、人々の心理に影響を与えるかを研究していました。その一環として、架空の都市伝説「This Man」を創作し、ウェブサイト「ThisMan.org」を立ち上げた、というのが事の顛末です。
彼の狙いは見事に成功。This Manの物語は、人々の好奇心と恐怖心を煽り、誰もが「もしかしたら本当かもしれない」と信じたくなる魅力を持っていました。結果として、メディアや口コミによって世界中に広まり、多くの人が「自分も見たことがある気がする」という暗示にかかっていったのです。
日本でもブームに!『世にも奇妙な物語』での映像化
This Manの都市伝説が日本で一気に広まるきっかけとなったのが、2017年4月29日にフジテレビ系列で放送された『世にも奇妙な物語 ’17春の特別編』の一編、「夢男」です。
この作品では、中条あやみさんが主演を務め、軽い気持ちで「夢男」の噂を広めてしまった女子大生・ミドリを演じました。SNSでの拡散をきっかけに、都市伝説が現実世界を侵食していく恐怖を描いた本作は、視聴者に強烈なインパクトを残しました。
原作の都市伝説とドラマ版では、どのような違いがあったのでしょうか。比較表で見てみましょう。
| 項目 | 原作の都市伝説 | 『世にも奇妙な物語』版 |
|---|---|---|
| 物語の主人公 | 世界中の夢を見る人々 | 女子大生のミドリ(中条あやみ) |
| 恐怖の種類 | 不気味な男が夢に現れる謎 | SNS拡散によるパニックと集団心理 |
| 結末 | 創作物と判明(現実世界) | 都市伝説に飲み込まれる衝撃のラスト |
ドラマ版では、原作の「夢に出てくる」という設定を活かしつつ、SNS社会における情報の拡散力と、それに翻弄される人間の脆さをテーマにしたパニックホラーとしてアレンジされました。
特に、主演の中条あやみさんが恐怖に追い詰められていく演技は鬼気迫るものがあり、「夢男の顔が怖い」「ラストがトラウマ」とSNS上でも大きな話題となりました。この放送を機に、日本におけるThis Manの認知度は爆発的に高まったのです。
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日本で映画化!2024年公開『THIS MAN』
世界を騒がせた壮大な社会実験は、日本のスクリーンにも登場しました。2024年6月7日には、映画『THIS MAN』が公開され、新たな恐怖の物語として生まれ変わりました。
この映画は、『世にも奇妙な物語』版とは全く異なるオリジナルストーリーで展開されました。監督は、数々のホラー・サスペンス作品を手がけてきた天野友二朗氏。そして主演は、出口亜梨沙さんと木ノ本嶺浩さんが務めました。
気になるあらすじは、以下の通りです。
ある田舎町で、連続変死事件が発生。被害者たちは皆、生前に「眉のつながった奇妙な男」を夢で見たと証言していた。
夫と娘と共に幸せな日々を送っていた主人公・八坂華(出口亜梨沙)は、ある日、娘が「あの男」の絵を描いたことをきっかけに、悪夢に苛まれるようになる。
夢に現れる男の恐怖は、やがて現実の連続変死事件と交錯し、華自身も逃れられない呪いの連鎖に巻き込まれていく…。
映画版では、都市伝説の「不特定多数の人が同じ男の夢を見る」という設定をベースに、ジャパニーズホラー特有の忍び寄る恐怖と、連続変死事件の謎を追うサスペンス要素が融合された作品となりました。
単なる都市伝説の再現ではなく、日本独自の解釈で描かれた「This Man」の恐怖。その不気味な世界観は、新たな形のホラー映画として公開されました。
「夢男が夢に出てきて怖い…」トラウマを克服する方法
This Manの正体が創作だと分かっていても、「あの顔が頭から離れない」「夢に出てきそうで怖い」と感じてしまう方もいるかもしれません。大丈夫、その感情はごく自然なものです。ここでは、なぜ怖いと感じてしまうのか、そしてその不安を和らげるための具体的な方法を解説します。
なぜ「夢男」の顔を見てしまうのか?心理学的な解説
This Manの顔を知ってしまった後、実際に夢で見てしまったり、何気ない瞬間に思い出してしまったりする現象。これには、「暗示効果(サジェスチョン)」が大きく関係しています。
人間の脳は非常に単純な側面を持っており、「〇〇を考えるな」と言われると、かえってそのことを強く意識してしまいます。これを心理学では「皮肉なプロセス理論」や「シロクマ効果」と呼びます。「夢男のことは忘れよう」と思えば思うほど、脳は「夢男」というキーワードを重要な情報だと認識し、記憶に定着させてしまうのです。
その結果、不安や恐怖といった感情と共に記憶された夢男のイメージが、睡眠中のレム睡眠(夢を見やすい浅い眠り)の時に、ふとしたきっかけで現れやすくなります。つまり、あなたが夢男を夢で見るのは、呪いや超常現象ではなく、あなた自身の脳が真面目に働いている証拠とも言えるのです。
不安を解消する3つのステップ
では、どうすればこの不安の連鎖を断ち切れるのでしょうか。誰でも簡単に試せる3つのステップをご紹介します。
- 真相を声に出して再認識する
「夢男は、アンドレア・ナテッラという人が作ったキャラクター。実在しない。」と、声に出して言ってみましょう。頭で理解するだけでなく、自分の声で耳から情報を入れることで、脳はより強く「これは事実だ」と認識します。不安になったら、何度でも繰り返してみてください。 - イメージをポジティブに上書きする
あの無表情な顔が怖いなら、そのイメージをコミカルなものに上書きしてしまいましょう。例えば、「この人、眉毛がイモトアヤコみたいだな」「なんだか困っているような顔で面白いな」など、クスッと笑えるようなレッテルを貼ってみるのです。恐怖の対象を「面白い観察対象」に変えることで、ネガティブな感情を和らげることができます。 - 寝る前の習慣を変える
恐怖心は、心身が疲れている時や、寝る前にネガティブな情報に触れた時に増幅されがちです。就寝前の1時間は、スマホで怖い話やニュースを見るのをやめ、好きな音楽を聴いたり、温かいハーブティーを飲んだり、軽いストレッチをしたりして、心と体をリラックスさせる時間にあてましょう。質の良い睡眠は、悪夢を見る頻度を減らすことにも繋がります。
本当に怖いのは都市伝説ではなく「人間の想像力」
This Manの物語を振り返ってみると、本当に恐ろしいのは、眉の太い男の顔そのものではないことに気づかされます。最も恐ろしく、そして興味深いのは、一つの「物語」が持つ、人々の心を動かし、社会現象を巻き起こすほどの力ではないでしょうか。
This Man騒動は、アンドレア・ナテッラ氏の狙い通り、現代社会における情報伝達のメカニズムを浮き彫りにしました。
- 信憑性のある設定: 「精神科医」「モンタージュ画」といった権威性を感じさせる要素。
- 共感と参加: 「あなたも見たことがあるのでは?」と問いかけ、誰もが当事者になりうる感覚。
- メディアによる増幅: Webサイト、ニュース、SNSを通じて情報が瞬時に拡散・再生産される力。
これらの要素が組み合わさった結果、架空の物語は「事実かもしれない」というリアリティを帯び、世界中の人々を巻き込む一大ムーブメントへと発展しました。これは、たった一つの火種が、人々の「想像力」という燃料を得て、いかに大きな炎へと燃え広がるかを示した見事な実例です。
特に、誰もが発信者になれるSNS時代において、私たちは日々、真偽不明の情報に晒されています。This Manの物語は、私たちが目にする情報に対して「これは本当だろうか?」と一歩引いて考えることの重要性を教えてくれる、現代の寓話と言えるのかもしれません。
怖い顔の男の話は、実は人間の心理と社会の仕組みを映し出す、非常に面白いケーススタディだったのです。
まとめ:夢男の正体を理解すれば、もう怖くない!
今回は、世界中を騒がせた都市伝説「夢男(This Man)」について、その始まりから衝撃の真相、そして日本での展開までを詳しく解説しました。
- 夢男(This Man)の正体は、イタリアの社会学者が創作した架空のキャラクター
- 世界中から寄せられた目撃情報は、暗示や集団心理が生んだ幻だった
- 『世にも奇妙な物語』や映画は、都市伝説を元にしたフィクション作品
- 怖いと感じるのは自然な心理現象で、正しい知識と対処法で克服できる
This Manの物語は、超常現象や心霊現象ではなく、人間の想像力と情報拡散の力が生み出した、壮大な「社会実験」でした。そのからくりを知ってしまえば、もうあの顔を不気味に感じる必要はありません。
もし、また夢男のことを思い出して怖くなったら、この記事の内容を思い出してください。「ああ、あのイタリアの学者が作ったキャラクターか」と、笑い飛ばせるようになっているはずですよ。
…。
あなたは都市伝説をいくつ知っていますか…?

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