「カレーを漢字で書いてみてください」と言われて、パッと思いつく方は少ないかもしれません。
普段はカタカナで書くのが当たり前ですが、実はカレーには由緒ある漢字表記が存在します。
結論から言うと、カレーの漢字表記は「咖喱」または「咖哩」です。
どちらも読み方は「カリー」や「カレー」となります。
「へぇ、こんな字を書くんだ!」と驚かれた方もいるでしょう。
この記事では、なぜこのような難しい漢字が使われているのか、その興味深い由来や使い分け、さらにはスマホでの入力方法まで、カレーの漢字にまつわる豆知識を分かりやすく解説します。
明日誰かに話したくなる、カレーの新しい魅力を見つけに行きましょう。
カレーの漢字表記は「咖喱」と「咖哩」の2種類
冒頭でお伝えした通り、カレーの漢字表記には主に2つのパターンがあります。
どちらが間違いというわけではなく、どちらも正解です。
一つずつ、文字の特徴を見ていきましょう。
1. 「咖喱」(カリー)
一つ目は、口へんに「加える」の「咖」と、口へんに「厘(リン)」のような字を書く「喱」の組み合わせです。
これは中国語圏で広く使われている正式な表記で、日本でも本格的なカレー店やレトルト商品のパッケージなどで見かけることがあります。
かつてハウス食品から発売されていたレトルトカレー「咖喱工房」という商品をご存知でしょうか?
この商品名に使われたことで、日本でも「咖喱」という漢字が広く知られるきっかけになったと言われています。
2. 「咖哩」(カリー)
二つ目は、後ろの文字が口へんに「里」の「哩」になっているパターンです。
こちらの「哩」という漢字は、距離の単位である「マイル」を表す漢字としても使われています(1哩=約1.6km)。
パソコンやスマホの変換機能によっては、先ほどの「咖喱」が出にくく、こちらの「咖哩」の方が変換候補に上がりやすい傾向があります。
そのため、ネット上の記事やメニュー表などでは、この「咖哩」もよく見かけます。
なぜ「口へん」が付くの?漢字の語源と由来
それにしても、なぜ「加」や「里」にわざわざ「口へん」が付いているのでしょうか?
実はここには、漢字の成り立ちに関する面白いルールが隠されています。
中国語による「音訳」が正体
これらの漢字は、意味を表しているのではなく、音を表す「当て字」なんです。
中国語では、外来語を取り入れる際に、似た発音の漢字を当てることがよくあります。
その際、「これは外来語の音を写したもので、漢字本来の意味とは関係ありませんよ」ということを示すために、しばしば「口へん」を付けます。
つまり、「咖(カ)」も「喱(リ)」も、英語の「Curry」の音を真似て作られた文字なのです。
コーヒーを漢字で「咖啡」と書くのを見たことがありませんか?
実はカレーの「咖」とコーヒーの「咖」は全く同じ漢字です。
「カレーとコーヒー、漢字の頭文字が同じ」というのは、なんとも不思議な共通点ですよね。
カレーという言葉自体のルーツ
では、もともとの「Curry(カレー)」という言葉はどこから来たのでしょうか。
有力な説としては、南インドで使われているタミル語の「Kari(カリ)」が語源だと言われています。
タミル語の「Kari」は、「具」や「汁」、「食事」などを意味する言葉です。
これがイギリスに伝わり、英語風になまって「Curry」となり、さらに明治時代の日本に伝わって「カレー」となりました。
そして漢字表記の「咖喱」は、中国を経由して伝わった表記というわけです。
他にもある?珍しいカレーの漢字表記
一般的に使われるのは先ほどの2つですが、他にもユニークな漢字表記が存在します。
雑学として知っておくと面白いものをいくつかご紹介します。
少しリッチな雰囲気の「珈竰」
非常に稀ですが、「珈竰」と書くケースもあります。
これは、コーヒーの「珈琲」の「珈」の字(王へん)を応用したもので、見た目に高級感を持たせるための創作的な表記と考えられます。
こだわりのある純喫茶などで見かけたら、マスターの美学が込められているのかもしれません。
地名と掛けた「鹿嶺」
長野県伊那市には「鹿嶺高原(かれいこうげん)」という美しい高原があります。
読み方が「カレー」に近いことから、地元の町おこしイベントなどで「鹿嶺(カレー)」という当て字が使われることがあります。
例えば、過去には地元の中学生が企画した「鹿嶺高原でかれぇカレーを!!」といったフェスティバルが開催され話題になりました。
これは正式な漢字表記というよりは、日本ならではの素敵なダジャレと言えるでしょう。
参考:カレーに鹿嶺高原PR 長谷中生徒が地域おこし | 全国郷土紙連合、「カレーフェスin鹿嶺高原」中学生の地域おこしイベント|ニッポン移住・交流ナビ JOIN
中国・台湾・香港での表記比較
アジア圏を旅行すると、現地のメニューでカレーの文字を見かけることがあります。
地域によって微妙に漢字が異なるので、違いを表にまとめてみました。
| 地域 | 主な表記 | 備考 |
|---|---|---|
| 中国本土 | 咖喱 | 簡体字でも「咖喱」と書くのが一般的です。 |
| 台湾 | 咖哩 | 日本と同じ「口へんに里」の字が多く使われます。読み方は「gālǐ(ガーリー)」。 |
| 香港 | 咖喱 | 広東語圏の香港でも「咖喱」が主流です。 |
こうして見ると、台湾の表記が日本の「咖哩」に近いことが分かります。
台湾旅行に行った際は、ぜひメニュー表をチェックしてみてください。「日式咖哩(日本のカレー)」なんて文字が見つかるかもしれませんよ。
スマホ・PCで「咖喱」を簡単に入力する方法
最後に、SNSやLINEで「今日は咖喱を食べたよ!」と発信したい方のために、入力のコツをお伝えします。
「カレー」と打って変換できれば一番ですが、環境によっては出てこないことがあります。
1. 「コーヒー」から一文字もらう
一番確実なのは、まず「コーヒー」または「こーひー」と入力して変換することです。
候補の中に「咖啡」が出てくるので、そこから最初の「咖」の字だけを残します。
次に「マイル」と入力して変換すると「哩」が出てきます。
これを組み合わせれば「咖哩」の完成です。
※環境によっては出ない場合もあります。
2. 中国語キーボードを追加する(上級者向け)
頻繁に使う方は、スマートフォンのキーボード設定で「中国語(簡体字または繁体字)」を追加するのも一つの手です。
手書き入力モードを使えば、読み方が分からなくても見たまま書くだけで入力できます。
木へんに山「杣」の読み方と意味は?日本の林業文化と「杣人」の暮らしも解説【漢字】
まとめ
普段カタカナで親しんでいるカレーですが、漢字の世界を覗いてみると、意外な発見がありましたね。
- カレーの漢字は主に「咖喱」と「咖哩」。
- 由来は中国語の音訳で、コーヒー(咖啡)と同じ漢字が使われている。
- 語源はタミル語の「Kari」などの説がある。
お気に入りのカレー屋さんに行ったとき、看板やメニューの隅に漢字表記がないか探してみてください。
「ここは『咖喱』を使っているな」「ここは珍しい当て字だな」と気づくことができれば、待ち時間も少し楽しくなるはずです。

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