2025年12月1日、警視庁の防犯アプリ「デジポリス」に待望のアップデートが実施されました。最大の目玉は、急増する「国際電話」による詐欺着信を自動でブロック・遮断する機能です。
本記事では、特殊詐欺の温床となっている国際電話をなぜ遮断すべきなのか、その背景とデジポリスを用いた具体的な設定方法について、iPhoneとAndroidの違いを交えて解説します。詐欺被害を未然に防ぐため、ご自身だけでなくご家族のスマホ設定も見直してみましょう。
デジポリスの新機能「国際電話ブロックシステム」とは
警視庁が提供する防犯アプリ「デジポリス」に追加された「国際電話番号ブロックシステム」は、詐欺に使用される可能性が高い国際電話番号からの着信を、自動的に判別して拒否する機能です。
これまでも迷惑電話対策アプリは存在しましたが、警視庁公式のアプリが、警察独自のデータを活用して機能を実装した点に大きな意義があります。ユーザーはアプリをアップデートし、簡単な設定を行うだけで、複雑なブラックリスト登録などをすることなく最新の詐欺対策が可能になります。
特に、「自分は騙されない」と思っている世代でも、自動音声ガイダンスなどで不安を煽られるケースが増えています。システム側で物理的に接点を断つことが、最も確実な防衛策といえるでしょう。
詐欺電話の約8割は国際電話番号という事実
なぜ今、国際電話のブロックが必要なのでしょうか。その理由は、特殊詐欺の手口の変化にあります。警視庁の発表によると、現在確認されている特殊詐欺の予兆電話(犯人からの最初のアプローチ)の約8割が、国際電話番号を利用したものとのことです。
国内の電話番号取得に対する審査が厳格化された結果、犯行グループは比較的容易に入手できる海外の電話番号を悪用するようになりました。具体的には「+1(アメリカ・カナダ)」や「+44(イギリス)」などから始まる番号が多用されています。
「海外に知人はいないから大丈夫」と考えていても、見慣れない番号が表示されるとつい出てしまう心理や、不在着信への折り返しを狙う手口が横行しています。
【OS別】iPhoneとAndroidの機能差と設定方法
今回の新機能を利用するには、デジポリスのアプリを最新版へアップデートする必要があります。ただし、使用しているスマートフォンのOS(iPhoneかAndroidか)によって、機能の挙動や設定方法に明確な違いがあるため注意が必要です。
それぞれのOSにおける挙動の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | Android版の挙動 | iOS(iPhone)版の挙動 |
|---|---|---|
| 基本的な動き | 着信を強制的に「切断」する | 着信音を鳴らさず「消音」する |
| 着信履歴 | ブロックした番号の履歴を自動削除 | 不在着信として履歴に残る |
| 国際電話対応 | アプリ単体でブロック可能 | 端末設定の連携が必要な場合あり |
※詳細な設定方法は国際電話ブロックシステム機能紹介ページから確認できます。
Android版は「完全遮断」と履歴削除が可能
Androidユーザーの場合、この機能は非常に強力です。アプリの設定画面から「国際電話ブロック」を有効にするだけで、対象の番号からの着信を自動的に切断します。
さらに特徴的なのが、ブロックした電話番号の着信履歴をスマホから自動的に削除してくれる点です。これにより、「不在着信があったから折り返してみよう」という、うっかりによる接触リスクも完全に排除できます。履歴削除機能を使用するには、アプリに対して通話履歴へのアクセス権限を許可する必要があります。
アプリはこちらから:Androidユーザー
>デジポリス – Google Play
iPhone版は「不明な発信者の消音」を活用
iPhone(iOS)の場合、OSのセキュリティ仕様上、アプリが勝手に着信を切断したり履歴を消したりすることができません。そのため、デジポリスの機能はiPhone標準の「不明な発信者を消音」機能と連携する形をとります。
デジポリス側で「着信拒否設定」を行うと、警察が把握している迷惑電話番号リストがiPhoneのブロックリストに追加されます。これに加え、iPhoneの設定アプリから「電話」>「不明な発信者を消音」をオンにすることで、連絡先に登録のない番号からの通知を届かなくさせます。
着信音は鳴りませんが、履歴には「不在着信」として残るため、誤ってかけ直さないよう注意が必要です。
アプリはこちらから:iPhone(iOS)ユーザー
>Digi Policeアプリ – App Store
国際電話詐欺の手口と被害を防ぐための対策
デジポリスでの対策と合わせて、知っておくべき詐欺の手口と、固定電話への対策についても触れておきます。
「+1」や「+44」からの自動音声に注意
最近急増しているのが、NTTファイナンスや総務省などを騙る自動音声ガイダンスです。「未納料金があります。法的措置に移行します」といった不安を煽るメッセージを流し、ダイヤルボタンを押させて架空請求詐欺へと誘導します。
これらの電話の多くは、発信元を偽装したり、海外のサーバーを経由したりして「+1」や「+44」といった国際電話番号からかかってきます。心当たりがない国際電話には「出ない」「かけ直さない」を徹底してください。
固定電話は「国際電話不取扱受付センター」へ
スマホだけでなく、自宅の固定電話も対策が必要です。海外との通話予定がない場合は、物理的に国際電話の発着信を止めてしまうのが最も安全です。
「国際電話不取扱受付センター」へ申し込むことで、固定電話・ひかり電話からの国際電話の発信・着信を無償で休止できます。高齢の親御さんがいる家庭では、デジポリスの設定とセットで、固定電話の休止手続きも済ませておくことを強くおすすめします。
まとめ
2025年12月から実装されたデジポリスの「国際電話ブロック機能」は、増加する国際電話詐欺への強力な対抗策となります。
Androidでは着信の遮断と履歴削除、iPhoneでは消音機能との連携と、OSごとの特性を理解して設定することが大切です。アプリは無料で利用できるため、まだインストールしていない方は早急に導入し、ご自身とご家族の資産を守りましょう。

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