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【記入例あり】事業所名と事業者名の違いとは?迷いやすい個人事業主の書き方も解説

【記入例あり】事業所名と事業者名の違いとは?迷いやすい個人事業主の書き方も解説 仕事・ビジネス

「書類に『事業所名』と『事業者名』を書く欄があるけれど、何が違うの?」「ウチの会社の場合、同じ名前を書いていいの?」と迷ったことはありませんか。

似たような言葉ですが、ここを間違えると書類の不備で返戻(へんれい)されてしまうこともあるため、正確な理解が必要です。

結論から言うと、両者の違いは「場所(どこで)」「主体(だれが)」かです。

  • 事業所名(Establishment Name):ビジネスが行われている具体的な場所・施設の名前。
  • 事業者名(Business Operator Name):ビジネスを運営している人や法人の名前。

この記事では、ビジネスパーソンなら知っておきたい両者の違いと、迷いやすい個人事業主の書き方について、分かりやすく解説します。

比較表:事業所名と事業者名の決定的な違い

まずはイメージしやすいように、大手企業と個人経営のカフェを例にして比較表を作りました。

項目意味大企業の例(トヨタなど)個人経営の例(カフェなど)
事業者名誰が(経営の責任者・主体)トヨタ自動車株式会社山田 太郎(個人名)
事業所名どこで(活動拠点・施設)トヨタ自動車株式会社 本社
元町工場
名古屋オフィス
Cafe YAMADA(店舗名)
山田 太郎(自宅兼事務所の場合)

このように、「所(Place)」がついている方は場所を指し、「者(Person/Entity)」がついている方は経営主体を指します。

特に個人事業主の方は、屋号(お店の名前)が「事業所名」になり、あなた自身の名前が「事業者名」になるケースが多いです。ここを混同しないようにしましょう。

事業者名とは?正しい書き方と個人・法人の違い

事業者名とは、そのビジネスの責任を持ち、契約や法律行為の主体となる名前のことです。

法人の場合

登記されている「商号(会社名)」がそのまま事業者名になります。「株式会社○○」や「合同会社△△」といった正式名称を記入します。ここでは省略せず、登記簿通りの漢字や表記を使うのが鉄則です。

個人事業主の場合

ここが最も間違いやすいポイントですが、個人事業主の「事業者名」は、原則として「本人の氏名」です。

例えば「カフェ・ド・ソレイユ」といったお店の名前(屋号)を持っていても、法的な契約主体はオーナーであるあなた自身だからです。

ただし、書類によっては「屋号」の併記が認められている場合や、屋号のみで通る場合もあります。

実務上、請求書や領収書などでは、取引先に分かりやすいように屋号を記載することが一般的です。国税庁の見解でも、相手方が特定できる場合には屋号による記載も認められていますが、法的な「事業者」としての主体はあくまで個人(氏名)であることを理解しておきましょう。

税務署への届出や銀行融資などの厳格な場面では、「事業者名=氏名」であることが基本となります。

事業所名とは?本社や支店での使い分け

事業所名とは、実際に業務を行っている物理的な拠点の名称です。

「事業所整理記号」などが付与される社会保険の手続きや、統計調査で重要になります。

複数の拠点がある場合

本社、支店、営業所、工場、店舗などがそれぞれ別の「事業所」として扱われます。

例えば、ある飲食店チェーンがアルバイトを雇用した際の書類では、事業者名は運営会社の「株式会社〇〇フード」ですが、事業所名は「〇〇フード 渋谷店」となることがあります。

拠点が1つだけの場合

本店のみで営業している法人や、自宅兼事務所のフリーランスの場合、事業所名と事業者名は実質的にイコールになることが多いです。

この場合、書類の「事業所名」欄には、法人なら会社名、個人なら屋号(または「自宅」や氏名)を記入することになります。

あえて書き分けるなら、以下のようなイメージです。

  • 事業者名:株式会社田中建設
  • 事業所名:株式会社田中建設 本社

このように、「どの場所の話をしているのか?」を特定するための名前が事業所名だと覚えておきましょう。

よくある書類での記入例と注意点

実際に役所や公的機関に提出する書類で、どのように書き分ければよいのか、具体的なケースを見てみましょう。

社会保険・雇用保険の書類

社会保険(健康保険・厚生年金)は、原則として「事業所ごと」に適用されます。

そのため、支店ごとに適用事業所となっている場合は、その支店名が事業所名となります。

  • 事業者名(事業主氏名):代表取締役 ○○ ○○
  • 事業所名:株式会社△△ 大阪支店

日本年金機構の検索システムなどで自社を検索する場合も、正式な事業所名(支店名が含まれる場合はそれも含めて)での確認が必要です。

国勢調査などの統計調査

国勢調査や経済センサスでは、「実際に活動している場所」ごとの統計を取りたいため、事業所名の記載を厳密に求められます。

「株式会社○○」とだけ書くと、本社なのか工場なのか判別できないためです。

  • NG例:株式会社ソニー
  • OK例:株式会社ソニー 仙台テクノロジーセンター

記入の手引きには「法人の種類(株式会社など)+支所・支店名」を書くよう指示があることが多いので、必ず手引きを確認しましょう。

領収書や請求書

民間の取引では、相手に認識してもらいやすい名前が優先されます。

個人事業主の場合、本名よりも屋号(お店の名前)の方が取引先にとって分かりやすいため、屋号を使用することが広く行われています。

ただし、インボイス制度(適格請求書等保存方式)などの要件においては、登録番号等による特定が必要となるため、法的な主体と屋号の関係を正しく把握しておくことが重要です。

会社名・屋号との関係性を整理

最後に、「会社名(商号)」や「屋号」との関係をすっきり整理しておきましょう。

これらは「事業者名・事業所名」という行政用語の、いわば「通称」や「法的名称」にあたります。

会社名(商号)

法務局に登記した正式名称です。

  • 事業者名欄には、この会社名を書きます。
  • 事業所名欄にも、基本的にはこの会社名(+拠点名)を書きます。

屋号

個人事業主がビジネスで使うニックネームのようなものです。

  • 事業者名欄には、原則書きません(本名を書く)。ただし、「屋号・雅号」という専用の欄がある場合はそこに記入します。
  • 事業所名欄には、この屋号を書くのが適切です(店舗や事務所の名前として機能するため)。

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まとめ

事業所名と事業者名の違いは、シンプルに言えば「場所」か「人(法人)」かの違いです。

  • 事業者名:経営の主体。法人の場合は会社名、個人事業主の場合は氏名。
  • 事業所名:活動の拠点。本社、支店、店舗、工場などの名称。

個人事業主の方は、「自分自身=事業者」「お店=事業所」と覚えておくと、迷うことが少なくなります。

書類作成の際は、その書類が「誰(責任者)」を求めているのか、「どこ(場所)」を求めているのかを一度立ち止まって確認してみてください。

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