街中で見かけるトヨタ・ヴェルファイア。高級ミニバンとしてすっかりお馴染みですが、「あのヴェルファイアが覆面パトカーとして使われている」という噂を耳にしたことはありませんか?
「まさかミニバンが?」と驚かれるかもしれませんが、結論から言うと、ヴェルファイアの覆面パトカーは実在します。
ただし、私たちが「覆面パトカー」と聞いて真っ先にイメージする、スピード違反の交通取り締まり用として使われることもありますが、その頻度はセダン型に比べて低いのが実情です。
では、一体どのような目的でヴェルファイアが警察車両として導入されているのでしょうか。この記事では、ヴェルファイアの覆面パトカーの実態、主な用途である「警護」「捜査」に加え、一部で目撃されている「交通取り締まり」での使用実態、そして他の覆面パトカーの車種や特徴、見分け方まで詳しく解説していきます。
ヴェルファイア覆面パトカーの主な用途は「警護」と「捜査」
ヴェルファイアの覆面パトカーは存在しますが、主な用途は「警護」と「捜査」です。交通取り締まりで使われることもありますが、クラウンなどのセダン型に比べると、なぜ見かける頻度が低いのでしょうか。
交通取り締まり、特に高速道路などでの速度違反車を追尾・検挙する場合、パトカーには高い加速性能や機動力が求められます。その点、ヴェルファイアのような大型ミニバンは、車重が重く、スポーツセダンに比べて機敏な動きが得意とは言えません。
そこでヴェルファイアが主に活躍するのが、「要人警護用」や「捜査用」といった分野です。
要人警護では、総理大臣や各国のVIPなどを安全に輸送する必要があります。ヴェルファイアの広い車内空間は、複数の警護官(SP)が同乗したり、万が一の事態に備えた機材を積んだりするのに最適。また、高級ミニバンであるため、車列に加わっていても違和感がありません。黒塗りのアルファードやヴェルファイアが車列を組んで走っているのを見かけたら、それは警護車両である可能性が高いでしょう。
また、刑事事件などの捜査においても、目立たずに張り込みや尾行を行うために使われることがあります。ファミリーカーとして普及しているヴェルファイアは、街の風景に溶け込みやすく、捜査対象に警戒されにくいというメリットを持つのです。SNSで「ヴェルファイアの覆面パトカーを見た!」と話題になる場合、その多くは警護や捜査の場面ですが、首都高速などで交通取り締まり用として目撃されるケースも報告されています。
参考:くるまのニュース
覆面パトカーに使われる意外な車種一覧【用途別】
覆面パトカーといえば「クラウン」というイメージが強いですが、実際には非常に多くの車種がさまざまな任務で活躍しています。
ヴェルファイアのようなミニバンが使われていることからも分かる通り、「交通取り締まり用」と「捜査用・警護用」では、採用される車種の傾向が異なります。
ここで、代表的な覆面パトカーの車種を用途別に見てみましょう。
| 用途分類 | 主な車種 | 特徴と主な任務 |
|---|---|---|
| 交通取り締まり用 | ・トヨタ クラウン(特にアスリート/G) ・トヨタ マークX(350Sなど) ・日産 スカイライン(V36/V37) ・スバル WRX S4 / レガシィB4 | 高い走行性能と加速力を持つセダンが中心。 高速道路や幹線道路での速度違反の追尾・検挙。 |
| 捜査用(刑事) | ・スズキ キザシ ・トヨタ アリオン/プレミオ ・日産 シルフィ/ティアナ ・スバル インプレッサ G4 | 「パトカー」と最も気づかれにくい一般セダン。 街中に溶け込み、張り込みや尾行を行う。 |
| 警護・捜査用 | ・トヨタ ヴェルファイア/アルファード ・日産 エルグランド ・トヨタ ランドクルーザー | 要人警護(SP)や機動捜査隊が使用。 広い車内空間と威圧感を活かし、警護や人員輸送を行う。 |
このように、一口に「覆面パトカー」と言っても、任務によって全く異なる車種が選ばれていることが分かります。
特に捜査用の「キザシ」や「アリオン」などは、一般のドライバーにとっては馴染みが薄い車種かもしれませんが、警察車両としては大量に導入された実績があり、刑事ドラマなどでも「刑事が乗る車」としてよく登場します。
「覆面=クラウン」という思い込みは捨て、さまざまな車種が警察車両として活躍していることを知っておく必要があります。
なぜクラウンが覆面パトカーの代表格なのか?
多くの車種が採用されている中で、やはり「覆面パトカーの王様」と言えばトヨタ・クラウンですよね。なぜこれほどまでにクラウンが警察車両として愛用され続けているのでしょうか。
その理由は、クラウンが持つ「走行性能」「耐久性」「信頼性」のバランスが、警察の要求基準と見事に合致しているためです。
第一に、高い走行性能が挙げられます。交通取り締まり用の覆面パトカーは、違反車両を瞬時に追尾できるパワーと、高速走行時の安定性が不可欠。クラウン、特に「アスリート」などのスポーツグレードは、3.5L V6エンジンのような高出力エンジンを搭載したモデルもあり、その要求に応えることができます。
第二に、圧倒的な耐久性です。パトカーは緊急走行や長時間のパトロールなど、一般車とは比較にならないほど過酷な状況で使用されます。クラウンはもともとタクシーやハイヤーといった業務用車両としても広く使われてきた歴史があり、長距離・長時間走行を前提とした高い耐久性が証明されています。
そして、長年にわたる「信頼と実績」も大きな理由です。警察では古くからクラウンをパトカーとして導入しており、整備体制や部品供給、隊員の操作訓練などもクラウンを基準に行われてきました。調達(入札)においても、これらの条件を満たす車種としてクラウンが選ばれ続けてきたという背景があるのです。
近年はカムリや他の車種も導入されていますが、日本の警察活動を支えてきたクラウンの地位は、そう簡単には揺るがないと言えそうです。
【決定版】覆面パトカーの見分け方 5つの特徴
では、実際に私たちが運転中に覆面パトカー(特に交通取り締まり用)を見分けるには、どこに注目すればよいのでしょうか。怪しい車両を見分けるための、代表的な5つの特徴をまとめました。
特徴1:車種とボディカラー
交通取り締まり用は、前述のクラウン、マークX、スカイラインなどの高性能セダンが圧倒的に多いです。ボディカラーは、一般車に紛れやすい「白」「黒」「シルバー」「紺」がほとんど。派手な色の覆面パトカーはまずありません。ただし、警護用としてヴェルファイアのようなミニバンも存在することは覚えておきましょう。
特徴2:車内の装備と乗員
これが最も分かりやすい特徴かもしれません。運転席と助手席に、青い制服を着た警察官が2名乗車していることが多いです。また、ルームミラーに注目してください。通常のミラーの上に、もう一つ小さなミラーが付いている「2段ルームミラー(補助ミラー)」を装備している車両は、覆面パトカーの可能性が非常に高いです。助手席の隊員も後方を確認するために使われます。
特徴3:外装の違和感
一見すると一般車ですが、細部には警察車両特有の装備が隠されています。
- アンテナ: トランクルームやルーフに、一般車にはない太く短いアンテナ(ユーロアンテナなど)が付いていることがあります。
- リアガラス: 車内の機材を見えにくくするためか、リアガラスが極端に濃いスモークフィルムになっていることが多いです。
- グリル内: フロントグリルの奥に、赤色灯が隠されているのが見える場合があります。
- 車体の状態: 常に洗車されていて、不自然なほど綺麗な状態が保たれています。
特徴4:ナンバープレート
かつては「8ナンバー(特殊用途車両)」で見分けられましたが、現在はほとんどが一般車と同じ「3ナンバー」や「5ナンバー」です。ただし、ナンバーにもヒントはあります。
- 地名: その地域(例:東京都内なら「品川」「練馬」など)のナンバーであること。管轄外のナンバーが取り締まりを行うことはありません。
- 希望ナンバー: 「11-22」や「・・・8」のような希望ナンバーであることは稀です。
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特徴5:不自然な運転のクセ
覆面パトカーは、獲物(違反車両)を探すために特徴的な運転をしています。
- 法定速度で走行: 高速道路の追い越し車線ではなく、走行車線や中央車線を法定速度(80km/hや100km/h)ぴったりで走り続けます。
- 車線を譲らない: 後ろから速い車が来ても、頑として車線を譲らず、速度を測っていることがあります。
- 車間距離を詰める: スピード違反の疑いがある車を見つけると、一定の車間距離を保ったまま追尾を開始します。
これらの特徴が複数当てはまる車両を見かけたら、覆面パトカーである可能性を疑い、速度を落として安全運転に切り替えるのが賢明です。
まとめ:ヴェルファイアの覆面パトカー=交通取り締まり、ではない
この記事では、ヴェルファイアの覆面パトカーの実態について解説しました。
ヴェルファイアやアルファードの覆面パトカーは実在しますが、その多くは要人警護や捜査用であり、私たちが高速道路で遭遇する交通取り締まり用の車両とは役割が異なります。
「ミニバンだから大丈夫」と油断するのは禁物ですが、「ヴェルファイアを見たら即検挙される」と過度に恐れる必要もない、というわけです。
覆面パトカーには、クラウンのようなセダンタイプから、キザシのような捜査用セダン、そしてヴェルファイアのようなミニバンまで、多様な車種が任務に応じて使い分けられています。
私たちドライバーにとって最も大切なことは、覆面パトカーの車種をすべて覚えることよりも、どんな時でも交通ルールを守り、安全運転を心がけることです。そうすれば、どの車種が覆面パトカーであろうと、何も心配する必要はありませんよね。

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