ヴェルファイア30系前期モデル(2015年〜2017年)が、登場から時間が経った今でも多くの人を魅了し、「かっこいい」と言われ続けるのには明確な理由があります。それは、トヨタがこのモデルに込めたデザインの「強さ」が、時代を選ばない普遍的な魅力を持っているからです。
特に、その人気を決定づけたのは、他のミニバンを圧倒するほどの迫力を持つデザインでしょう。当時の開発テーマであった「大胆・不敵」をまさに体現しています。
この記事では、なぜ30系前期がこれほどまでに支持されるのか、そのデザインの秘密、後期モデルとの違い、そして購入を検討するうえでのポイントを、車好きの目線で分かりやすく解説していきます。中古車市場でも人気が安定している今だからこそ、その魅力を再確認してみませんか。
ヴェルファイア30系前期が「かっこいい」と言われる3つの理由
理由1:圧倒的な存在感!攻撃的なフロントフェイス
30系前期のかっこよさを語る上で、フロントフェイスは外せません。最大の特徴は、上下二段に分割されたヘッドライトと、大胆にメッキを使用した巨大なフロントグリルです。
上段のヘッドライトはシャープな釣り上がり方をしており、非常に攻撃的かつクールな印象を与えます。下段にはウインカーとフォグランプが配置され、この「二段構え」のデザインが、ヴェルファイアの個性を強烈に印象付けました。
さらに、バンパーサイドまで大きく張り出したフォグランプ周りのメッキ装飾もポイントです。このメッキパーツが、車体のワイド感を強調し、低く構えたような迫力を生み出しています。
「オラオラ系」と表現されることもありますが、この強烈な個性こそが30系前期の最大の魅力。高級ミニバンとしての存在感を、これでもかと主張するデザインが、多くのファンの心を掴んで離さないのです。派手さの中にも計算されたデザインバランスがあり、ただならぬオーラを感じさせます。
理由2:シャープなサイドビューと重厚なリアデザイン
フロントの印象が強いヴェルファイアですが、サイドやリアのデザインも秀逸です。
サイドビューで目を引くのは、フロントフェンダーからリアコンビネーションランプまで続く、力強いキャラクターライン。この一本の線が、ボディの長さを感じさせず、引き締まった印象を与えます。また、Bピラー(前席と後席の間の柱)をブラックアウト(黒く処理)し、ルーフが浮いているように見せる「フローティングルーフ」のデザインも採用。これにより、大きなボディサイズながらスタイリッシュさが際立っています。
リアデザインも手抜きはありません。リアコンビネーションランプは、ブレーキランプなどが点灯すると、立体的なブロックが浮かび上がるように見える凝った造形です。前期モデルは、このランプユニットがクリア(透明)基調で、シャープさと先進性を感じさせます。
フロントの迫力に負けないよう、リアバンパーもボリュームを持たせ、車体全体で重厚感を演出。どこから見ても「かっこいい」と感じさせるデザインの統一感が、30系前期の完成度の高さを物語っています。
理由3:標準モデルとエアログレードの明確な個性
30系前期のかっこよさは、グレードによって異なる「顔」を持つ点にもあります。大きく分けて、上品さを重視した「標準ボディ」と、スポーティさを前面に出した「エアロボディ」の2種類が用意されました。
標準ボディ(「X」「V」「VL」「Executive Lounge」)は、フロントグリルが横方向のラインを基調としており、落ち着きと高級感を重視したデザインです。メッキの使い方も上品で、フォーマルな場面にも似合う大人の雰囲気が漂います。
一方、エアロボディ(「Z」「ZA」系)は、グリルデザインがメッシュ調になり、バンパー下部に専用のエアロパーツ(スポイラー)が装着されます。これにより、車体がより低く見え、圧倒的な迫力とスポーティ感が強調されています。中古車市場でも特に人気が高いのが、このエアロボディです。
このように、ユーザーが「上品さ」と「迫力」のどちらを求めるかに応じて、明確な選択肢が用意されていた点も、多くの支持を集めた理由の一つと言えるでしょう。
30系前期と後期の違いは?デザインと機能の比較
ヴェルファイア30系は、2018年1月のマイナーチェンジで後期モデルへと移行しました。前期と後期では、主にデザインと安全性能が異なります。どちらが好みかは人によって分かれますが、違いを知っておくことで、自分に合ったモデルを選びやすくなります。
最大の違いは顔つき!フロントデザインの変更点
最も大きな違いは、やはりフロントフェイスです。前期モデルが上下二段ヘッドライトと横基調のグリルだったのに対し、後期モデルではヘッドライトが一体化され、さらに大型で縦基調のメッキグリルが採用されました。
後期モデルのデザインは、より一層迫力を増し、重厚感が強まった印象です。メッキの面積も増え、ヘッドライトのデザインもより鋭くなりました。シーケンシャルウインカー(流れるウインカー)が採用されたのも後期モデルからです(グレード別設定)。
前期モデルの「二段ヘッドライトの個性」が好きという方もいれば、後期モデルの「一体感とさらなる迫力」を好む方もいます。このデザインの違いが、中古車を選ぶ際の最大の分岐点になるでしょう。
テールランプと内装の質感も進化
リアデザインも変更されています。前期モデルがクリア基調のテールランプだったのに対し、後期モデルではレッド基調のテールランプに変更され、より引き締まった印象になりました。ガーニッシュ(装飾パーツ)のデザインも変わり、力強さがアップしています。
内装に関しても、後期モデルでは細かな改良が加えられました。メーター周りのデザインや、シート表皮の種類、木目調パネルの柄などが変更され、質感がさらに向上しています。
ただし、基本的な室内の広さやシートアレンジ(座席の配置変更)の使いやすさは、前期・後期で共通です。前期モデルでも、上級グレードを選べば十分に豪華な内装を手に入れることができます。
安全装備「Toyota Safety Sense」の性能差
見逃せないのが、安全装備の進化です。30系前期モデルでは、衝突被害軽減ブレーキなどを含む予防安全パッケージ(Toyota Safety Sense P)は、最上位グレードの「Executive Lounge」に標準装備されていましたが、他の多くのグレードではオプション設定でした。このため、中古車を探す際は、安全装備の有無を個別に確認することが重要です。
しかし、後期モデル(2018年1月〜)ではこれが第2世代の「Toyota Safety Sense」に進化し、全車に標準装備されました。大きな違いは、夜間の歩行者や昼間の自転車運転者も検知できるようになった点です。また、先行車に追従して走行するレーダークルーズコントロールの性能も向上しています。
デザインは前期が好きだけれど、安全性能は最新に近いものが良い…と悩む方もいるかもしれません。ただし、前期モデルでもオプションを装備した車両であれば、日常的な運転をサポートする機能は備わっています。ご自身の運転スタイルや予算と照らし合わせて検討するのが良いでしょう。
どのグレードが狙い目?30系前期の主要グレードと特徴
30系前期には多くのグレードが存在し、それぞれ装備や内装が異なります。「かっこいい」だけでなく、自分にとって快適な一台を見つけるために、主要なグレードの違いを知っておきましょう。
快適装備の「V」・「X」(標準ボディ)
「X」は、基本的な装備を備えたエントリーモデルです。助手席側パワースライドドアが標準(グレードにより両側選択可)、シートはファブリック(布地)となります。最も価格が抑えられているグレードですが、ヴェルファイアとしての高級感や広さは十分に味わえます。7人乗りと8人乗りが選べるのも特徴です。
「V」は、「X」の上級版にあたるグレードです。両側パワースライドドアや、クルーズコントロールなどが標準装備となり、快適性が高まります。シートも、より上質なファブリックや合成皮革が使われるようになり、内装の満足感がアップします。中古車市場でも、価格と装備のバランスが良いグレードとして人気があります。
スポーティな「Z」・「ZA」(エアロボディ)
「Z」は、エアロボディの基本グレードです。「X」をベースに、専用エアロパーツや専用デザインのホイールが装着されます。装備内容は「X」に準じますが、スポーティな外観を求めるならこのグレードが基点となります。
「ZA」は、「Z」の上級版で、装備内容は「V」に近いものになります。両側パワースライドドアなどが装備され、見た目のかっこよさと快適性を両立したい方におすすめのグレードです。「ZA Gエディション」のように、さらに装備が充実した派生グレードも存在します。
最上級の「Executive Lounge(エグゼクティブラウンジ)」
ヴェルファイアの最上級グレードが「Executive Lounge」です。標準ボディをベースにしていますが、その装備は別格。最大の特徴は、2列目シートに採用された飛行機のファーストクラスのような「エグゼクティブラウンジシート」です。電動リクライニングはもちろん、格納式テーブルや快適温熱シート、ベンチレーション(送風)機能まで備わっています。
内装も専用のレザーシートや豪華な木目調パネルが奢られ、まさに走る応接室といった趣です。新車価格は非常に高価でしたが、中古車であれば現実的な価格で狙えるようになってきました。一度は最上級の快適さを味わってみたいという方には、絶好の選択肢となるでしょう。
30系前期 主要グレード比較表(簡易版)
| グレード | ボディタイプ | 主な特徴・装備 | 中古車での人気 |
|---|---|---|---|
| X | 標準 | ベーシックモデル。8人乗り設定あり。 | 価格重視派に |
| V | 標準 | 快適装備が充実(両側パワスラ等)。 | バランス重視派に |
| Z | エアロ | エアロ仕様のベーシックモデル。 | 見た目重視派に |
| ZA | エアロ | エアロ+快適装備。Gエディションは更に上級。 | 一番人気 |
| Executive Lounge | 標準 | 最上級。2列目シートが別格。 | 快適性最優先派に |
特別仕様車「ゴールデンアイズ」の特別な魅力
30系前期の「かっこよさ」を語る上で欠かせないのが、2016年に登場した特別仕様車「Z”A EDITION GOLDEN EYES”(ゴールデンアイズ)」です。その名の通り、内外装にゴールドの加飾を施したこのモデルは、中古車市場でも非常に高い人気を誇っています。
名前の由来「ゴールド」の加飾
最大の特徴は、ヘッドライト内部に施されたゴールドの装飾(エクステンション)です。標準モデルのクールな目つきに、ゴールドのアクセントが加わることで、妖艶さとも言える独特の迫力が生まれています。
フロントグリルも、標準のエアログレードとは異なる「漆黒メッキ」を採用。光の当たり方によって深みのある黒に見え、ゴールドのヘッドライトとのコントラストが抜群です。
この「黒×金」の組み合わせが、他のグレードにはない特別感を演出し、「ゴールデンアイズ」ならではのかっこよさを際立たせています。
通常モデルと異なる専用装備
魅力は外装だけではありません。内装にも特別な装備が与えられています。
シートは、メイン部分にアルカンターラ®(スエード調の高級人工皮革)、サイドにクロコダイル調の型押しがされた合成皮革を組み合わせた専用シートを採用。非常に高級感があり、座り心地も良好です。
また、メーターリングにもゴールドの加飾が施され、運転席に座るたびに特別感を味わうことができます。天井やピラー(柱)の内張りもブラックで統一されており、スポーティで引き締まった室内空間を演出しています。
ベースとなっているのは人気の「ZA」グレードのため、両側パワースライドドアなどの快適装備も標準搭載。かっこよさと快適さ、そして特別感をすべて満たしたいという方にとって、ゴールデンアイズは最高の選択肢の一つと言えるでしょう。
ヴェルファイア30系前期の中古車選びのポイント(2025年最新相場)
30系前期は、中古車市場での流通量が豊富で、価格もこなれてきました。まさに「今が買い時」とも言える状況ですが、購入時に注意すべき点もあります。
現在の中古車相場と価格帯
2025年11月現在、ヴェルファイア30系前期の中古車相場は、おおよそ100万円台後半から300万円台後半といったところがボリュームゾーンです。
価格を左右する要因は、年式(2015年〜2017年)、走行距離、グレード、そしてボディカラーです。走行距離が10万kmを超えた車両では200万円を切る個体も増えてきましたが、低走行で人気の「ZA Gエディション」や「ゴールデンアイズ」となると、300万円を超える価格設定も珍しくありません。
「Executive Lounge」も、新車価格を考えれば非常にお得感のある価格帯(300万円台〜)で見つかるようになってきました。予算と欲しいグレードのバランスを見極めることが大切です。
チェックすべき「弱点」とメンテナンス履歴
30系前期は信頼性の高いモデルですが、中古車で狙う場合はいくつかチェックしておきたいポイントがあります。
まず、スライドドアの動作確認です。ヴェルファイアのような大型スライドドアは、開閉機構に負担がかかりやすい部分。開閉時に異音がしないか、スムーズに動くかを必ず確認しましょう。
また、初期モデル(2015年式の一部)では、CVT(無段変速機)の制御プログラムに関するリコールが出ていたことがあります。メンテナンスノート(整備記録簿)を確認し、リコール対応や定期的なオイル交換がしっかり行われてきた車両を選ぶと安心です。
エンジンは2.5L(直列4気筒)と3.5L(V型6気筒)の2種類があります。中古車市場で圧倒的に多いのは、税金も安く燃費も比較的良い2.5Lモデルです。3.5Lモデルはパワフルな走りが魅力ですが、燃費(JC08モードで9.1〜9.5km/L程度)は2.5L(同11.6〜12.8km/L程度)より劣るため、ご自身の使い方と維持費を考慮して選びましょう。
人気カラーはやっぱり黒?白と黒のメリット・デメリット
ヴェルファイアのかっこよさを引き立てるボディカラーとして、やはり「ブラック」(カラーコード202)と「ホワイトパールクリスタルシャイン」(カラーコード070)の2色が圧倒的な人気を誇ります。
ブラックは、ヴェルファイアの持つ迫力や重厚感を最大限に引き出すカラーです。メッキパーツとの相性も抜群で、リセールバリュー(売却時の価格)も最も期待できます。ただし、傷や汚れが目立ちやすく、夏場は車内が非常に暑くなりやすいというデメリットも。こまめな洗車が苦にならない方におすすめです。
ホワイトパールは、重厚感の中に上品さや清潔感をプラスしてくれるカラーです。膨張色であるため、ボディが一回り大きく見える効果もあります。傷や汚れはブラックほど目立ちませんが、水垢や鉄粉などの付着は分かりやすいかもしれません。ブラック同様、リセールバリューも高い安定の人気色です。
ヴェルファイア vs アルファード どっちを選ぶ?
ヴェルファイアを検討する際、必ず比較対象となるのが兄弟車である「30系アルファード」です。基本設計や室内空間、エンジンなどは全く同じですが、デザインの方向性と中古市場での人気に違いがあります。
デザインの方向性(派手さ vs 上品さ)
デザインは、好みがはっきりと分かれるポイントです。ヴェルファイアが「大胆・不敵」をテーマに、攻撃的でクールなかっこよさを追求しているのに対し、アルファードは「豪華・勇壮」をテーマに、より王道で上品な高級感をまとっています。
30系前期で比較すると、ヴェルファイアは「二段ヘッドライト」、アルファードは「大きなメッキグリルとヘッドライトが一体となったデザイン」が特徴です。
どちらが格上・格下ということはありません。スポーティで個性的なかっこよさを求めるならヴェルファイア、堂々とした風格や落ち着いた高級感を求めるならアルファード、という選び方になるでしょう。
リセールバリュー(中古市場での人気)の違い
中古車市場での人気、特にリセールバリューに関しては、30系ではアルファードに軍配が上がる傾向にあります。特に後期モデルになってからはその差が顕著になりました。
ただし、これはあくまで売却時の話です。購入する側から見れば、ヴェルファイアの方がアルファードよりも「やや割安な価格」で狙える可能性がある、とも言えます。
ヴェルファイアのデザインが大好きで、少しでもお得に購入したいと考えている方にとって、30系前期のヴェルファイアは非常に賢い選択かもしれません。新車当時はアルファードよりもヴェルファイアの方が人気が高かった時期もあり、そのデザインの魅力は本物です。
アルファードとヴェルファイアどっちが買い?価格・維持費・リセールまで徹底比較
まとめ:30系前期は今が買い時!自分好みの一台を見つけよう
ヴェルファイア30系前期モデルは、その攻撃的で完成されたデザインにより、今なお多くのファンを魅了し続ける「かっこいい」一台です。
後期モデルとは異なる個性を持ち、中古車価格もこなれてきた今、まさに狙い目の時期と言えます。エアロボディの「ZA」系や特別仕様車「ゴールデンアイズ」で迫力を追求するもよし、標準ボディの「V」や「Executive Lounge」で快適性と上品さを手に入れるもよし。
流通量が豊富な今だからこそ、ご自身の予算やライフスタイルに合わせて、じっくりとお気に入りの一台を探す楽しみがあります。この記事を参考に、あなたにとって最高のヴェルファイアを見つけてください。

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