ヴェルファイアの「廉価版」についてお探しですね。
「廉価版」と聞くと、価格を抑えたお買い得モデルを想像しますが、ヴェルファイアの場合は少し事情が異なります。
結論から言うと、現在(2023年6月のフルモデルチェンジ以降)の40系ヴェルファイアで「廉価版」と呼ばれるのは、エントリーグレードの「Z Premier」のことです。
ただし、その価格はガソリンターボ車で670万円から。決して「安い」とは言えない価格設定になっています。
この記事では、ヴェルファイアの「Z Premier」が、なぜ「廉価版」と呼ばれるのか、そしてその価格に見合う魅力があるのかを、兄弟車アルファードとの違いも交えながら、分かりやすく解説していきます。
ヴェルファイアの「廉価版」=「Z Premier」とは?
40系ヴェルファイアの基本戦略
2023年6月に登場した新型(40系)ヴェルファイアは、先代(30系)とは異なり、グレード構成を「Z Premier」と「Executive Lounge」の2つに絞り込みました。(※後にPHEVモデルもExecutive Loungeに追加)
これは、兄弟車であるアルファードが大衆向けの高級ミニバンとしての側面も担う一方、ヴェルファイアは「走り」や「アグレッシブなデザイン」を好む、より個性を重視する層に向けた「高級車」として、キャラクターを明確にするための戦略です。
そのため、エントリーグレードである「Z Premier」であっても、装備や質感は非常に高いレベルにあります。一般的な車でイメージする「装備を簡略化して価格を抑えた廉価版」とは、根本的に立ち位置が異なるのです。
「Z Premier」の価格と位置づけ
「Z Premier」は、最上級グレードである「Executive Lounge(エグゼクティブラウンジ)」と比較して、後席の快適装備などをシンプルにしたグレードです。
2025年1月の一部改良モデルにおける価格を見てみましょう。
- Z Premier(2.4L ガソリンターボ): 670万円(2WD)〜
- Z Premier(2.5L ハイブリッド): 約690万円(2WD)〜
- Executive Lounge(2.5L ハイブリッド): 約870万円(2WD)〜
※2025年1月発売モデル(2WD)の情報を記載しています。4WD(E-Four)モデルはそれぞれ価格が異なります。
「Executive Lounge」との価格差はハイブリッドモデル(2WD)で約180万円もあります。この差額をどう捉えるかがポイントです。
「Z Premier」は、ヴェルファイアの持つ迫力あるデザインやスポーティーな走行性能はそのままに、価格を抑えてオーナーになりたい人向けの「エントリーモデル」と言えます。このため、相対的に「廉価版」と呼ばれることがあります。
「Z Premier」で十分?上級グレードとの違い
最大の違いは「後席」の快適装備

「Z Premier」と「Executive Lounge」の価格差は、主に後席の快適装備の違いから生まれています。
「Executive Lounge」は、マッサージ機能やベンチレーション(送風)、格納式テーブルなどを備えた「エグゼクティブラウンジシート」が搭載され、まさに「走る応接室」です。後席モニターやJBLプレミアムサウンドシステム(15スピーカー)も標準装備され、運転手付きで後席に乗る「ショーファーカー」としての利用も想定されています。
※ショーファーカー:お抱え運転手(ショーファー)が運転する、オーナーが後席でリラックスするための車のこと
一方、「Z Premier」のシートは「エグゼクティブパワーシート」です。電動リクライニングやオットマン、シートヒーター、アームレストの操作パネルなどは備わっており、快適性は十分すぎるほど高いです。
しかし、マッサージ機能やベンチレーションは省略されています。また、JBLプレミアムサウンドシステムはオプション設定(2025年1月改良以降)となります。
もし、「主に自分で運転する」「後席に最上級のおもてなしは求めない」という方であれば、「Z Premier」の装備でも全く不満はないでしょう。
見た目(エクステリア)に大きな差はなし
ヴェルファイアを選ぶ多くの方が、そのアグレッシブなデザインに惹かれているはずです。
その点、「Z Premier」と「Executive Lounge」では、エクステリア(外観)に大きな違いはありません。
どちらのグレードも、漆黒メッキで仕上げられた専用フロントグリルや、専用デザインの19インチアルミホイール(※Executive Loungeは高輝度塗装、Z Premierは切削光輝+ブラック塗装)を標準装備しています。
外から見ただけでは、グレードの違いを即座に見分けるのは難しいでしょう。「エントリーグレードだから見た目が安っぽい」ということは一切なく、ヴェルファイアが持つクールなスタイリングを存分に楽しめます。これはオーナーにとって非常に嬉しいポイントです。
悩むのはアルファード?兄弟車との比較
ヴェルファイア「Z Premier」 vs アルファード「Z」
新型(40系)では、アルファードにもスポーティーなグレード「Z」が設定されました。この「アルファード Z」は、「ヴェルファイア Z Premier」と価格帯が近く(アルファード Z ハイブリッド:約640万円(2WD)から)、装備内容も似ているため、非常に悩ましい比較対象となります。
基本的なプラットフォームや安全装備は共通ですが、明確な違いは「デザイン」と「走り」の味付けです。
- デザイン:ヴェルファイアは漆黒メッキを基調とし、よりアグレッシブで「強面」な印象。アルファードはクロームメッキを使い、より洗練され、堂々とした「王道」の高級感を演出しています。
- 走り:ヴェルファイアには、ボディ剛性を高める「フロントパフォーマンスブレース」が追加され、サスペンションも専用のチューニングが施されています。これにより、アルファードよりも操縦安定性や応答性が高く、スポーティーな運転感覚を味わえます。
どちらが優れているかではなく、「どちらが自分の好みに合うか」で選ぶのが正解です。
比較表:ヴェルファイア (Z Premier) vs アルファード (Z)
| 項目 | ヴェルファイア Z Premier (ハイブリッド) | アルファード Z (ハイブリッド) |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 約690万円(2WD)〜 | 約640万円(2WD)〜 |
| デザイン | アグレッシブ・スポーティー(漆黒メッキ) | ラグジュアリー・堂々(クロームメッキ) |
| 走り | スポーティー(専用チューニング・補強あり) | 快適性重視(標準セッティング) |
| 専用装備 | フロントパフォーマンスブレース | (特になし) |
| シート | エグゼクティブパワーシート | エグゼクティブパワーシート |
| ターゲット | 自分で運転を楽しみたい層、個性を重視する層 | 快適な移動、王道の高級感を求める層 |
※価格や装備は2025年1月時点の一部改良モデルを基準にしています。記載の価格は2WDモデルのもので、4WD(E-Four)モデルは価格が異なります。
※ヴェルファイア Z Premierには、アルファード Zにはない「デジタルインナーミラー」や「カラーヘッドアップディスプレイ」が標準装備(2025年1月改良時点)など、細かな装備差もあります。
アルファードとヴェルファイアどっちが買い?価格・維持費・リセールまで徹底比較
「Z Premier」をお得に手に入れるには?
ヴェルファイアは「値引き」が難しいのが実情
新型ヴェルファイアは、登場(2023年6月)以来、非常に人気が高く、生産が需要に追いつかない状況が続いています。
そのため、ディーラーでの「値引き」は非常に厳しいのが現状です。「Z Premier」はエントリーグレードとはいえ、値引きはゼロ、もしくは数万円程度が限界というケースも珍しくありません。
値引きを期待するよりも、現在乗っている車の下取り価格をいかに上げるかに注力するのが賢明です。
ディーラーでの下取り査定だけでなく、複数の車買取専門店で査定を受け、最も高い価格を提示したところに売却する「セパレート」方式を検討しましょう。それだけで数十万円の差がつくこともあります。
高いリセールバリューと「残価設定ローン」
ヴェルファイアは「リセールバリュー」(再販価値)が非常に高い車種として有名です。数年後に車を売却する際、他の車種に比べて高く売れる傾向があります。
そのため、ディーラーでは月々の支払いを抑えられる「残価設定ローン」を勧められることが多いでしょう。
これは、数年後の残価(買取保証額)をあらかじめ高く設定し、残りの金額を分割で支払う方法です。月々の負担は軽くなりますが、残価設定ローンには「走行距離制限」や「車両の損傷・改造に関する規定」など、細かな制約があります。
もし制約を超えてしまうと、最終的な精算時に追加費用が発生するリスクも忘れてはいけません。ご自身の車の使い方(年間走行距離など)をよく考え、メリットとデメリットを理解した上で利用することが重要です。
まとめ:ヴェルファイア「Z Premier」はこんな人におすすめ
ヴェルファイアの「廉価版」と呼ばれる「Z Premier」について解説してきました。
価格は決して「廉価」ではありませんが、ヴェルファイアが持つスポーティーな魅力や高級感を十分に味わえる、非常にコストパフォーマンスの高いグレードであることがお分かりいただけたかと思います。
- 最上級のおもてなし(Executive Loungeシート)は不要な人
- 主に自分で運転を楽しみ、スポーティーな走りを求める人
- 外観の迫力やデザインを重視する人
- アルファードの「Z」と比較して、ヴェルファイアのデザインや走りの方が好みな人
もしあなたが上記に当てはまるなら、「Z Premier」は最高の選択肢となるはずです。高価な買い物ですが、それに見合う満足感が得られる一台と言えるでしょう。

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