「オーブンでケーキを焼きたいのに、型が大きくて付属の天板に入らない…」
「天板が見当たらないけど、型をそのままオーブンに入れても大丈夫?」
お菓子作りやオーブン料理をしていると、そんな場面に遭遇することがありますよね。
結論から言うと、オーブンの底にケーキ型や耐熱皿を「直置き」するのは、多くの機種で推奨されていません。
なぜなら、料理が焦げたり生焼けになったりするだけでなく、機種によってはオーブン本体の故障につながる可能性があり、危険だからです。
この記事では、オーブンの天板がない時にどうすべきか、なぜ直置きが推奨されないのか、そして安全に調理するための代用品や工夫を、分かりやすく解説していきます。
※オーブンの仕様はメーカーや機種によって大きく異なります。調理する際は、必ずお手元の取扱説明書を確認し、その指示に従ってください。
なぜ危険?オーブンに直置き調理がNGな理由
オーブンは、庫内のヒーター(熱源)や熱風によって庫内を高温にし、食材を加熱する調理器具です。
一般的な家庭用オーブンレンジは、庫内の上下や奥に配置されたヒーターの熱で加熱するタイプが主流です。上位モデルなどでは、さらにファンで熱風を循環させる「コンベクション機能」が搭載されているものもあります。
どちらのタイプであっても、天板や焼き網には「食材を適切な位置に置く」ことと、「庫内の熱(または熱風)の通り道を確保する」という重要な役割があります。
もし、ケーキ型やグラタン皿をオーブンの底に直接置いてしまうと、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 底だけ焦げて、中は生焼け
底面がヒーター(熱源)に近くなりすぎるため、底だけが異常に加熱されます。一方、上部や内部には熱が均一に回らず、火通りが悪くなります。見た目は焼けていそうでも、中はドロドロ…という失敗の原因です。 - オーブンの故障につながる可能性
底面に熱がこもりすぎると、温度を感知するセンサーが誤作動を起こしたり、底面のパーツが過度な熱で変形・損傷したりする恐れがあります。すべての機種で深刻な故障に直結するわけではありませんが、メーカーが想定していない使い方によるリスクは避けるべきです。
このように、オーブン調理で直置きすることは、料理の失敗だけでなく、大切な家電にダメージを与える可能性があるのです。
天板がない!そんな時の安全な対処法
「じゃあ、天板がない時や、型が天板に乗らない時はどうすればいいの?」と不安になりますよね。
このような時こそ、まずご自宅のオーブンの取扱説明書を必ず確認し、「直置き禁止」の記載がないか、推奨される使用法をチェックしましょう。
取扱説明書を確認したうえで、大切なのは、オーブンの底面(熱源)と調理器具の間に「適切な距離(すき間)」を作り、熱が均一に回るようにすることです。
焼き網(グリル網)を使う
最もおすすめで簡単なのが、オーブンに付属している「焼き網」を使う方法です。
焼き網は、熱の循環を妨げずに「高さ」を作れる、理想的なアイテム。ケーキ型やグラタン皿を網の上に乗せて調理しましょう。
もし付属の焼き網がない場合や、サイズが合わない場合は、オーブン調理に対応した市販の角網(ケーキクーラーなど)で代用するのも一つの手です。
付属の天板を裏返して使う
オーブンに付属している天板が、フチ(縁)のせいで型と干渉して入らない…というケースもあります。
そんな時は、天板を「裏返し」てセットしてみましょう。
フチが下向きになることで天板がフラットな状態になり、型を安定して乗せられることがあります。天板を裏返しても熱循環の役割は果たせるので、安全な対処法です。
※この使用法が可能かについても、念のため取扱説明書で確認すると万全です。
耐熱皿や空き缶で「ゲタ」を履かせる
焼き網も天板も使えない場合の緊急措置として、耐熱性のある小物で「ゲタ(台座)」を作り、高さを出す方法があります。
例えば、同じ高さのココット皿(耐熱陶器)や、中身を抜いてきれいに洗った空き缶などを、オーブン庫内の四隅に置きます。
その上に、ケーキ型やアルミトレイなどを乗せて調理します。
ただし、この方法は安定性が悪くなりがちです。型が傾いたり、調理中にズレたりしないよう、細心の注意を払いましょう。
【緊急時】天板の代用品になるアイテム5選
「どうしても今すぐ焼きたいのに、天板も焼き網も見当たらない!」という時のために、天板の代わりとして使えるアイテムを紹介します。
ただし、これらはあくまで「代用品」です。必ずご自宅のオーブンの庫内サイズに収まるか、そして「オーブン使用可」の表示があるかを確認してから使ってください。
| 代用品 | 特徴とメリット | 注意点 |
|---|---|---|
| アルミトレイ (使い捨て) | 100円ショップなどで手軽に入手可能。クッキーやパン作りに便利。 | 薄手で変形しやすいため、焼き網との併用がおすすめ。 |
| 金属製のバット | 料理の下ごしらえに使うバット。クッキーや小さなパンなら十分対応可能。 | 取っ手やコーティングがオーブン非対応でないか確認。 |
| スキレット・ 耐熱フライパン | 取っ手が取れるタイプや、オール金属製のもの。そのまま食卓に出せます。 | オーブン対応か必ず確認。重さがあり、予熱に時間がかかる場合も。 |
| 耐熱グラタン皿 | グラタンやドリア用ですが、ちぎりパンやケーキ型としても使えます。 | 陶器やガラス製は、金属製より熱伝導が穏やかです。 |
| ロールケーキ型 | 天板に近いフラットな形状。お菓子作りが多いなら持っていると便利。 | 本来の用途以外にも、天板の代わりとして幅広く使えます。 |
これらの代用品を使う場合も、オーブンの底に直置きするのはNGです。
必ず「焼き網」の上に乗せるか、「ゲタ」を履かせるなどして、底面との間にすき間を作ってくださいね。
代用品を使う前に!知っておきたい注意点
オーブンは非常に高温になる調理器具です。代用品を使う際は、安全のために以下の3点を必ず守りましょう。
「オーブン可」の表示を必ず確認
これが最も重要です。耐熱性がないものをオーブンに入れると、溶けたり、割れたり、有害な物質が発生したりする危険があります。
とくにプラスチック製の取っ手や、電子レンジ専用の耐熱容器は絶対に使用しないでください。「オーブン使用可」の記載や、耐熱温度(250℃以上が目安)を必ず確認しましょう。
クッキングシートやアルミホイルのはみ出しに注意
クッキングシートやアルミホイルは、使い方を間違えると発火の原因になります。
天板や代用品から大きくはみ出して、庫内のヒーター(熱源)に直接触れてしまうと、そこから燃え移る可能性があります。
必ず、使用する天板や型のサイズに合わせてカットし、ヒーターに触れないように注意深くセットしてください。
熱の循環を妨げないサイズを選ぶ
代用品が大きすぎて、庫内の壁やファンとのすき間を塞いでしまうと、結局は直置きと同じように熱循環が悪くなります。
庫内のサイズに対し、前後左右に少し余裕のある大きさのものを選びましょう。
うちのオーブン、天板はどこ?純正品の入手方法
「そういえば、うちのオーブンに天板って付いてたかな?」と不安になった方もいるかもしれません。
まずはオーブンレンジの庫内を覗いてみてください。左右の壁に、棚板を差し込むための「段差」や「金具」があれば、角皿(天板)や焼き網を使う前提のモデルです。
逆に、底にターンテーブル(回転皿)しかない機種は、その丸皿自体を使ってオーブン調理を行うことが多く、角皿(天板)は付属していないことがほとんどです。
※この場合も、オーブン機能使用時の丸皿の正しい使い方は、取扱説明書で確認してください。
もし付属していたはずの純正天板を紛失したり、破損したりした場合は、新しく購入することができます。
オーブンの本体や取扱説明書に記載されている「メーカー名」と「型番(品番)」を控えましょう。
その型番を頼りに、メーカーの公式オンラインストアや、家電量販店の部品取り寄せカウンター、Amazonや楽天市場などのECサイトで検索すると、対応する純正部品が見つかりますよ。
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まとめ:オーブン調理は「高さ」が命!直置きせず安全に楽しもう
オーブン調理でケーキ型や耐熱皿を直置きするのは、焦げや生焼けの原因になるだけでなく、機種によってはオーブン本体を痛める可能性があるため推奨されません。
何よりもまず、お手元の取扱説明書を確認することが大切です。
その上で、付属の「天板」や「焼き網」を使って、オーブンの底面との間に「すき間(高さ)」を作り、熱が均一に循環する通り道を確保しましょう。
もし天板が手元になくても、焼き網を使ったり、耐熱皿でゲタを履かせたりすることで安全に対処できます。
代用品を使う際は、オーブン対応かどうかをしっかり確認し、ヒーターに燃えやすいものが触れないよう注意してください。
正しい使い方を守って、安全にお菓子作りやオーブン料理を楽しんでくださいね。



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