「+428」や「+875」といった、見慣れない番号からの不在着信に「どこの国だろう?」「何か重要な連絡かな?」と不安に感じていませんか。
近年、このような実在しない国番号を使った国際電話による詐欺が増加しており、注意が必要です。
この記事を読めば、不審な電話の正体から、詐欺グループが使う巧妙な手口、そして万が一電話に出てしまった場合の正しい対処法まで、すべて分かります。冷静な対応で、あなたの大切な財産と個人情報を守りましょう。
「+428」「+875」はどこの国の電話番号?
結論から言うと、「+428」や「+875」で始まる国番号は、世界のどこにも存在しません。
普段、私たちが国際電話をかける際には、国や地域ごとに割り当てられた「国番号」を使います。例えば、アメリカなら「+1」、韓国なら「+82」といった番号が定められています。
では、なぜ存在しないはずの番号から電話がかかってくるのでしょうか。
国際電話番号の仕組みを簡単解説
国際電話番号は、「+」(国際プレフィックス)、「国番号」、「相手の電話番号(市外局番などから先頭の0を除いたもの)」で構成されています。このルールは国際電気通信連合(ITU)という専門機関によって管理されており、どの国がどの番号を使うかは厳密に決められています。
日本の総務省が公開している情報を見ても、「428」や「875」という番号はどの国・地域にも割り当てられていないのが現状です。
つまり、これらの番号からの着信は、正規の国際電話網を経由したものではない可能性が極めて高い、ということになります。
なぜ存在しない国から電話が?そのカラクリとは
存在しない国番号から電話がかかってくる主な理由は、番号偽装の技術が悪用されているためです。
特にインターネット回線を利用したIP電話や、特定のアプリを使うことで、発信元の電話番号を自由に変更できてしまいます。詐欺グループはこの仕組みを使い、追跡を困難にしたり、受信者の興味を引いたりするために、わざと珍しい番号や実在しない番号を作り出して発信しているのです。
実は、これには社会的な背景もあります。日本では2024年4月から、IP電話番号を取得する際の本人確認が法律で義務化されました。これにより、これまで詐欺に悪用されやすかったIP電話の不正利用が難しくなり、その結果、規制の緩い国際電話番号へと詐欺の手口がシフトしているという側面があるのです。
変化し続ける国際電話詐欺の手口
これらの偽装番号を使った詐欺には、いくつかの典型的な手口が存在します。目的は、高額な通話料をだまし取ることや、個人情報を盗むことです。代表的な手口を知っておきましょう。
ワン切りで折り返しを誘う「国際ワン切り詐欺」
最も多いのが、コール音を1〜2回だけ鳴らしてすぐに切る、いわゆる「ワン切り」の手口です。
不在着信履歴に残った見慣れない番号を見て、「誰だろう?」と気になって折り返してしまう心理を巧みに利用しています。もし折り返してしまうと、非常に高額な通話料が設定された「プレミアムレートサービス」などに接続され、後日、法外な料金を請求されるケースが後を絶ちません。
これは、かつて日本で問題になった「ダイヤルQ2」の国際電話版と考えると分かりやすいかもしれません。好奇心からの「つい、うっかり」が、大きな金銭的被害につながる恐れがあるのです。
自動音声ガイダンスを使った詐欺
電話に出ると、自動音声ガイダンスが流れる手口も増えています。
「大手通販サイトの未納料金があります」「あなたの携帯電話が不正利用されています」などと不安を煽り、プッシュ操作で個人情報(暗証番号やクレジットカード番号など)を入力させようとしたり、指定された別の番号へかけ直させようとしたりします。
実在する企業や公的機関の名前をかたることもあり、非常に巧妙です。しかし、正規の事業者や機関が、このような形で重要な情報を要求することはまずありません。少しでも「おかしい」と感じたら、すぐに電話を切りましょう。
【要注意】「+425」など新たな番号を使った事例も
この記事では「+428」や「+875」を例に挙げていますが、詐欺に使われる番号は常に変化しているため注意が必要です。
例えば、2025年5月には「+425」から始まる番号で入国管理局を名乗り、「在留資格に問題がある」などと不安を煽る詐欺電話が多発したという報告があります。
このように、詐欺グループは対策されることを見越して、次々と新しい番号を利用してきます。「知らない国際電話番号には出ない」という原則を、特定の番号だけでなく全ての見慣れない番号に対して徹底することが重要です。
「+42」や「+425」から始まる電話は詐欺?入管を名乗る手口と今すぐできる対処法
もし不審な電話に出てしまったら?折り返した場合の対処法
分かってはいても、うっかり電話に出てしまったり、折り返してしまったりすることもあるかもしれません。そんな時でも、慌てず冷静に対処することが大切です。
まずは「すぐに電話を切る」のが最善策
もし電話に出てしまい、相手が片言の日本語や自動音声、あるいは無言だった場合は、何も言わずにすぐに電話を切ってください。
相手はあなたが「電話に出る人間だ」と認識し、詐欺のターゲットリストに加えてしまう可能性があります。何か話したり、ボタン操作をしたりすると、さらなる詐欺の電話がかかってくる原因になりかねません。
同様に、もし間違って折り返してしまった場合も、相手が出る前にすぐ切るか、つながったとしても即座に切断しましょう。通話時間が長くなるほど、請求される通話料は高くなります。
不安な場合の相談窓口
高額な料金を請求されてしまった、個人情報を伝えてしまったなど、具体的な被害や不安がある場合は、一人で抱え込まずに専門の窓口へ相談しましょう。
- 消費者ホットライン:「188(いやや!)」
- 契約トラブルや悪質商法など、消費生活全般に関する相談ができます。
- 警察相談専用電話:「#9110」
- 詐欺被害の恐れがある場合や、犯罪に関する相談を受け付けています。緊急の事件・事故の場合は「110番」です。
- 迷惑電話対策相談センター(でんわんセンター)
- 2025年6月に総務省が開設した、迷惑電話に関する専門の相談窓口です。情報提供も受け付けています。
これらの窓口に連絡し、状況を説明して指示を仰いでください。また、利用している携帯電話会社に連絡し、事情を説明して請求に関する相談をすることも重要です。
被害に遭わないための効果的な予防策
最も重要なのは、詐欺の被害に遭う前に対策を講じておくことです。日頃から少し意識するだけで、被害に遭うリスクを大幅に減らすことができます。
知らない国際電話は「出ない・折り返さない」を徹底
これが最もシンプルで効果的な対策です。海外に知人や取引先がいるなど、心当たりがない限り、見知らぬ国際電話番号からの着信は完全に無視しましょう。
「重要な連絡かもしれない」という気持ちが生まれるかもしれませんが、本当に大切な用件であれば、留守番電話やメール、SMSなど別の手段で必ず連絡が来るはずです。不在着信の番号をインターネットで検索してみるのも一つの手ですが、基本は「無視する」を徹底するのが安全です。
迷惑電話対策アプリや機能の活用
お使いのスマートフォンには、迷惑電話を自動でブロックしたり、警告を表示したりする機能が備わっている場合があります。iPhoneの「不明な発信者を消音」機能や、Androidの「迷惑電話の自動ブロック」機能などを設定しておくと安心です。
また、携帯電話各社が提供している迷惑電話の着信拒否サービスや、専用のアプリを導入するのも非常に効果的でしょう。これらのサービスを活用し、危険な電話が自分にかかってこない環境を整えることをおすすめします。
まとめ:冷静な知識と対応で国際電話詐欺は防げる
「+428」や「+875」のような実在しない国番号だけでなく、「+425」など、詐欺に使われる国際電話番号は日々変化しています。
その背景には、国内のIP電話に対する規制が強化されたことで、詐欺グループが海外の電話番号に活路を見出しているという事情があります。手口は高額な通話料を狙う「ワン切り」や、公的機関をかたる「自動音声ガイダンス」などが主流です。
もし着信があっても、「知らない国際電話には出ない・折り返さない」という基本を徹底することが何よりの防御策です。万が一出てしまった場合も、すぐに電話を切り、不安な場合は消費者ホットライン(188)や警察(#9110)、迷惑電話対策相談センター(でんわんセンター)等に相談してください。手口を知り、冷静に対応することで、詐欺被害は未然に防ぐことができます。
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