「+29」や「+293」など、見慣れない国際電話番号からの着信に、戸惑いや不安を感じていませんか?
近年、出入国在留管理庁などを装い、個人情報や金銭をだまし取ろうとする悪質な電話詐欺が急増しています。
この記事では、「+29」から始まる電話の正体から、詐欺の具体的な手口、そして万が一電話に出てしまった場合の正しい対処法まで、分かりやすく解説します。この記事を読めば、不審な電話に冷静に対応できるようになりますよ。
「+29」から始まる電話番号の正体は?
そもそも、「+29」から始まる番号は一体何なのでしょうか。実はこの番号帯には、セントヘレナ(+290)やエリトリア(+291)のように実際に国や地域へ割り当てられている番号と、どの国にも割り当てられていない「未使用」の番号が混在しています。
では、なぜ着信があると詐欺が疑われるのでしょうか。それは、詐欺グループが身元を隠蔽するために、この「未使用の番号帯(例:+293, +294など)」を悪用しているからです。発信元を偽装する特殊な技術を使い、追跡されにくい未使用番号をあたかも発信元であるかのように見せかけているのです。
そのため、「+29」から始まる電話番号、特に割り当てのない国番号からの着信は、詐欺目的の可能性が非常に高いと言えます。たとえ正規の国番号であっても、その国に全く心当たりがない場合は、安易に出たり折り返したりしないのが賢明です。
出入国在留管理庁をかたる詐欺の巧妙な手口
最近特に被害が報告されているのが、出入国在留管理庁(入管)の職員を装った詐欺です。日本に住む外国人の方だけでなく、日本人をターゲットにするケースもあります。手口は非常に巧妙化しており、つい信じてしまいそうになるため注意が必要です。
自動音声ガイダンスで不安をあおる
詐欺電話の多くは、自動音声ガイダンスから始まります。
「出入国在留管理庁です。あなたに重要なお知らせがあります」
「あなたの在留資格はまもなく失効します。手続きのため、1番を押してください」
このような音声が流れると、誰でもドキッとしてしまいますよね。特に在留資格の更新を控えている方などは、慌てて指示に従ってしまうかもしれません。しかし、公的機関が自動音声で個人情報や手続きを要求することは絶対にありません。これは、あなたを混乱させ、冷静な判断力を奪うための典型的な手口なのです。
個人情報や金銭をだまし取る
自動音声の指示に従い番号を押すと、今度は偽の職員を名乗る人物が電話口に出てきます。そして、巧みな話術で個人情報を聞き出そうとしたり、金銭を要求したりします。
「在留資格の更新手続きに手数料が必要です」
「未払いの料金があります。すぐに支払わないと強制送還になります」
このような脅し文句で不安をあおり、「コンビニで電子マネーカードを買って、番号を教えてください」といった、あり得ない支払い方法を指示してくるのが特徴です。出入国在留管理庁が、電話で在留カードの番号や個人情報を聞いたり、電子マネーでの支払いを要求したりすることは決してありませんので、絶対に信用しないでください。
参考:入管を名乗る不審な電話、メール等にご注意ください(出入国在留管理庁)
【要注意】「+29」から始まる番号の一覧と危険度
「+29」で始まる番号には、前述の通り、正規の国番号と詐欺に使われる未使用番号が混在しています。以下の表で、どの番号が危険なのかを確認しておきましょう。
電話番号の例 | 割り当て国・地域 | 危険度 |
---|---|---|
+290 | セントヘレナ、トリスタンダクーニャ | 心当たりがなければ注意 |
+291 | エリトリア | 心当たりがなければ注意 |
+292 | (未使用) | 非常に高い |
+293 | (未使用) | 非常に高い |
+294 | (未使用) | 非常に高い |
+295 | (未使用) | 非常に高い |
+296 | (未使用) | 非常に高い |
+297 | アルバ | 心当たりがなければ注意 |
+298 | フェロー諸島 | 心当たりがなければ注意 |
+299 | グリーンランド | 心当たりがなければ注意 |
このように、表の中で「(未使用)」となっている番号からの着信は、詐欺の可能性が極めて高いと考えてください。
また、正規に割り当てられている番号であっても、これらの国や地域に知人や取引先がいるなど、明確な心当たりがない限りは、応答せずに無視するのが最も安全な対策です。
「+295」から始まる不審な電話番号の着信…その正体は?安全な対処法を徹底解説
もし電話に出てしまったら?冷静な対処法3ステップ
万が一、うっかり不審な電話に出てしまった場合でも、慌てる必要はありません。以下の3つのステップを思い出して、冷静に対応してください。
ステップ1:すぐに電話を切り、折り返さない
相手が何か話していても、会話を続ける必要はありません。詐欺だと感じたら、無言ですぐに電話を切りましょう。相手に「失礼します」などと伝える必要もありません。
そして、最も重要なのが「絶対に折り返さない」ことです。好奇心や、「何の用事だったんだろう」という気持ちから折り返したくなるかもしれませんが、それこそが相手の思うつぼ。高額な国際通話料金を請求される「国際ワン切り詐欺」の被害に遭う可能性もあります。着信履歴は無視して、そのままにしておきましょう。
ステップ2:絶対に個人情報を教えない
詐欺師は、あなたの名前や生年月日、住所、在留カードやパスポートの番号、銀行口座の情報など、あらゆる個人情報を聞き出そうとします。どんなに巧妙に質問されても、個人情報は絶対に教えないでください。
「本人確認のために」などと言われても、応じる必要はまったくありません。公的機関の職員が、電話でいきなりそのような重要な情報を尋ねることはあり得ないと覚えておきましょう。少しでも「おかしいな」と感じたら、その時点ですぐに電話を切ることが大切です。
ステップ3:警察や専門機関に相談する
電話を切った後、もし不安が残る場合や、万が一金銭を要求されてしまった場合は、一人で抱え込まずに専門機関へ相談しましょう。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが落ち着きます。
- 警察相談専用電話:「#9110」
- 被害に遭っていなくても、詐欺かもしれないと不安な場合に相談できます。
- 最寄りの警察署
- 具体的な被害に遭ってしまった場合は、すぐに相談してください。
- 出入国在留管理庁
- 入管をかたる電話で、在留資格などについて不安な点があれば、直接問い合わせて確認すると安心です。
これらの窓口は、あなたを守るために存在します。ためらわずに活用してください。
迷惑電話を防ぐための事前対策
被害に遭わないためには、日頃からの予防策も重要です。スマートフォンには、迷惑電話を未然に防ぐための便利な機能が備わっています。
スマートフォンの迷惑電話防止機能を活用する
多くのスマートフォンには、知らない番号や迷惑電話の可能性がある番号からの着信を自動で判別し、警告を表示したりブロックしたりする機能があります。
iPhoneの場合は「不明な発信者を消音」、Androidの場合は「迷惑電話のフィルタ」といった設定項目がありますので、ぜひオンにしておくことをお勧めします。また、契約している携帯電話会社(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなど)も、独自の迷惑電話撃退サービスを提供しています。多くは無料で利用できるので、自分のキャリアのサービスを確認してみましょう。
知らない国際番号からの着信を拒否する
より強力な対策として、国際電話の着信自体を拒否する設定も有効です。海外とのやり取りがまったくないという方は、設定しておくと安心できます。
この設定も、各携帯電話会社が提供するサービスで利用できる場合が多いです。申し込みが必要なケースもあるため、詳しくは利用中の携帯電話会社の公式サイトやサポート窓口で確認してみてください。こうした設定を一つしておくことで、不要なストレスやリスクを大幅に減らすことができます。
まとめ:不審な国際電話には「出ない・教えない・相談する」
「+29」から始まる見慣れない国際電話は、あなたの大切な財産や個人情報を狙う詐欺です。出入国在留管理庁などを装う手口は年々巧妙になっていますが、その正体と対処法を知っていれば、冷静に対応することが可能です。
不審な電話への対策は、「出ない・教えない・相談する」という3つの原則が基本です。
- 知らない番号、特に国際電話には「出ない」
- 万が一出ても、個人情報は絶対に「教えない」
- 不安なことがあれば、すぐに警察などに「相談する」
この3つを常に心に留めておき、悪質な詐欺からご自身の身をしっかりと守りましょう。
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