夏の猛暑や冬の厳しい寒さに欠かせないエアコン。とても快適ですが、毎月の電気代の請求書を見て「こんなに!?」と驚いた経験はありませんか?
近年の電気料金値上げもあり、エアコンの電気代は家計の大きな悩みの一つになっています。
「つけっぱなしの方が安いって本当?」
「設定温度は何度がベストなの?」
そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エアコンの電気代の仕組みといった基本から、すぐに実践できる具体的な節約術まで、分かりやすく解説していきます。無理なく快適に、そして賢く電気代を節約する方法を一緒に見ていきましょう。
エアコンの電気代、実際いくらかかってる?計算方法を解説
まず、ご自宅のエアコンにどれくらいの電気代がかかっているのか、把握することから始めましょう。電気代の計算方法は意外とシンプルで、以下の式で求められます。
電気代 = 1時間あたりの消費電力(kW) × 使用時間(h) × 電力量料金単価(円/kWh)
「消費電力」は、エアコン本体や取扱説明書に貼られているシールで確認できます。「kW(キロワット)」という単位で記載されていますが、もし「W(ワット)」で書かれている場合は、その数値を1000で割るとkWに変換できます。(例:800W → 0.8kW)
「電力量料金単価」は、ご契約の電力会社やプランによって大きく異なります。この記事では計算の目安として、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWh(税込)を使用しますが、これはあくまで目安の数値です。燃料費調整額の変動などもあり、実際の単価はご家庭によって異なりますので、正確な金額は電力会社の検針票や会員サイトで確認することをおすすめします。
例えば、消費電力800W(0.8kW)のエアコンを1日8時間使ったとします。
その場合の1日の電気代は、
0.8kW × 8時間 × 31円/kWh = 198.4円
となります。
1ヶ月(30日)使い続けると、198.4円 × 30日 = 5,952円 が電気代の目安です。ご自宅の正確な単価で、ぜひ一度計算してみてください。
冷房と暖房、電気代が高いのはどっち?
エアコンには冷房と暖房の機能がありますが、どちらの方が電気代は高くなる傾向にあるのでしょうか。多くの方が気になるこの疑問、結論から言うと「暖房」の方が電気代は高くなりやすいです。
その理由は、エアコンが消費する電力の大きさが「室温と設定温度の差」に大きく関係しているためです。エアコンは、室内の空気を吸い込んで、熱交換器で冷たくしたり温めたりした空気を部屋に戻すことで温度を調整します。このとき、室温と設定温度の差が大きければ大きいほど、エアコンはフルパワーで稼働する必要があり、多くの電力を消費します。
例えば、夏の室内が35℃のときに冷房を28℃設定で使う場合、その温度差は7℃です。
一方、冬の室内が5℃のときに暖房を20℃設定で使うと、その温度差は15℃にもなります。
このように、冬の方が外気温と設定温度の差が大きくなることが多いため、エアコンはより多くのエネルギーを必要とし、結果として暖房の方が電気代が高くなる傾向にあるのです。もちろん、お住まいの地域や建物の断熱性能によって差は出ますが、一般的には暖房の方が家計へのインパクトが大きいと覚えておきましょう。
【結論】エアコンは「つけっぱなし」と「こまめなオンオフ」どっちが節約になる?
「エアコンはつけっぱなしの方が電気代が安い」という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。これは半分正解で、半分間違いです。どちらがお得になるかは、状況によって変わります。
エアコンの電気代が最も高くなるのは、電源を入れてから設定温度になるまでの間です。この起動時に最も多くの電力を消費するため、30分〜1時間程度の短い外出であれば、つけっぱなしの方が節約につながるケースが多くなります。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。お住まいの建物の断熱性能や、その日の外気温によって最適な時間は変わってきます。例えば、断熱性の高い新しいマンションで、外気温との差が小さい日であれば、もう少し長い時間の外出でもつけっぱなしの方がお得になる場合もあります。ご自身の環境に合わせて試してみるのが一番です。
状況 | おすすめの運転方法 | 理由 |
---|---|---|
30分〜1時間程度の外出 | つけっぱなし(目安) | 起動時の大きな消費電力を避けるため |
長時間の外出 | 電源をオフにする | つけっぱなしの方が電気代がかさむため |
日中の在宅時 | つけっぱなし | 室温の変動が少なく、安定した省エネ運転になるため |
今すぐできる!エアコン電気代の具体的な節約術8選
ここからは、誰でも今日からすぐに実践できる、エアコンの電気代を節約する具体的な方法を8つご紹介します。一つひとつは小さな工夫でも、積み重ねることで大きな節約効果が期待できます。
節約の基本!設定温度を見直そう
まず最初に取り組みたいのが、設定温度の見直しです。環境省では、夏の冷房時の室温の目安を28℃、冬の暖房時の室温の目安を20℃にすることを推奨していました。
※現在では「28℃」等の指定はなくなりましたが、目安としては引き続き有用であると考えられます。参考:適切な室温管理について
ここで大切なのは、これがエアコンの「設定温度」ではなく、あくまで「室温」の目安であるという点です。同じ設定温度でも、日当たりの良さや建物の断熱性、人の多さなどによって実際の室温は変わります。室内に温度計を置き、実際の室温を確認しながら設定温度を調整するのが賢い方法です。
エアコンの設定温度を1℃変えるだけで、約10%〜13%もの消費電力を削減できると言われています。まずは快適さを損なわない範囲で、設定温度を見直してみてはいかがでしょうか。
「自動運転」を最大限に活用する
電気代を節約したいからと、常に「弱風」モードで運転していませんか?実はこれ、かえって電気代を高くしてしまう可能性があるのです。
最も効率的な運転方法は「自動運転」モードです。
自動運転モードは、電源を入れた直後は強風で一気に設定温度まで室温を近づけ、その後は微風や送風に切り替えながら、最も効率の良い運転をエアコン自身が自動で選択してくれます。
弱風モードだと、設定温度に達するまでに時間がかかり、結果として余計な電力を長時間消費してしまうことがあります。エアコンの性能を最大限に引き出し、無駄な電力消費を抑えるためにも、基本的には「自動運転」モードに設定しておくことを強くおすすめします。
風向きを調整して効率アップ
エアコンの風向きを少し工夫するだけで、部屋全体の温度ムラがなくなり、効率的に快適な空間を作ることができます。ポイントは、空気の性質を理解することです。
冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまる性質があります。
この性質を利用して、
- 冷房時:風向きは「水平」または「上向き」
- 暖房時:風向きは「下向き」
に設定するのが基本です。
冷房の場合は、上から冷たい空気を降らせるようにすることで、部屋全体が効率よく冷えていきます。逆に暖房の場合は、温かい空気を足元に送り、そこから自然に上昇させることで、部屋全体をムラなく暖めることができます。せっかくエアコンを運転させるなら、その風を最大限に活かせるように、風向きも意識してみましょう。
扇風機やサーキュレーターとの併用で体感温度を下げる
設定温度を無理に下げたり上げたりする前に、ぜひ試してほしいのが「扇風機」や「サーキュレーター」との併用です。
エアコンだけで部屋を冷やしたり暖めたりすると、どうしても天井付近や床付近に温度ムラができてしまいます。そこで扇風機やサーキュレーターを使って室内の空気をかき混ぜてあげると、部屋全体の温度が均一になり、効率が格段にアップします。
空気に流れが生まれると、体感温度が下がるという効果もあります。そのため、冷房の設定温度を1〜2℃上げても、十分に涼しく感じることができるのです。エアコンの設定温度を1℃上げるだけで約10%の節約になることを考えれば、これは非常に効果的な方法と言えるでしょう。
扇風機とサーキュレーターの主な違いは、使用目的です。扇風機は人に向けて直接風を当てて涼むためのもので、広範囲にやさしい風を送ります。一方、サーキュレーターは空気を循環させるための家電で、直線的でパワフルな風を遠くまで届け、部屋全体の温度を均一にすることに優れています。
フィルター掃除は2週間に1回が目安
エアコンのフィルターは、室内の空気を吸い込む際にホコリやゴミをキャッチする重要なパーツです。このフィルターが目詰まりを起こすと、空気を吸い込む力が弱まり、部屋を冷やしたり暖めたりするために余計なパワーが必要になってしまいます。
フィルターが汚れていると、冷暖房の効率が著しく低下し、無駄な電気代がかかってしまうのです。
環境省のデータによると、フィルターを月に1〜2回清掃するだけで、冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力の削減につながるとされています。
掃除方法はとても簡単で、フィルターを取り外して掃除機でホコリを吸い取り、汚れがひどい場合は水洗いして乾かすだけです。2週間に1回を目安に、フィルター掃除を習慣にすることをおすすめします。電気代の節約だけでなく、エアコンから出る空気を清潔に保つ効果もあります。
室外機の周りも忘れずにチェック
室内機ばかりに気を取られがちですが、実は「室外機」もエアコンの効率に大きく影響します。室外機は、室内の熱を外に逃がしたり(冷房時)、外の熱を取り込んだり(暖房時)する、熱交換の役割を担っています。
この室外機の吹き出し口の周りに物を置いていたり、雑草が生い茂っていたりすると、空気の流れが妨げられ、熱交換の効率が下がってしまいます。その結果、エアコンは余計な電力を消費することになるのです。
室外機の周りは常に整理整頓し、風通しを良くしておくことが大切です。また、夏場に直射日光が当たって室外機が高温になっている場合は、すだれなどで日陰を作ってあげるだけでも、運転効率が改善され、節約につながります。ただし、吹き出し口を塞いでしまわないように注意してください。
エアコン室外機の掃除は自分でできる?プロが教える掃除方法と放置リスク
窓の断熱対策で熱の出入りを防ぐ
部屋の熱は、どこから最も出入りしているかご存知でしょうか。実は、その多くが「窓」です。夏は外の熱気の約7割が窓から侵入し、冬は室内の暖かさの約5割が窓から逃げていくと言われています。
つまり、窓の断熱対策をしっかり行うことが、エアコンの効率を上げ、電気代を節約するための非常に重要なポイントになるのです。
すぐにできる対策としては、
- 遮光・断熱効果のあるカーテンやブラインドを使う
- 窓に断熱シートや気泡緩衝材(プチプチ)を貼る
- 日中はレースカーテンを閉めておく
といった方法があります。特にカーテンは、床まで届くような長めのものを選ぶと、より高い断熱効果が期待できます。エアコンのパワーを無駄にしないためにも、窓からの熱の出入りをしっかりとブロックしましょう。
最新の省エネエアコンへの買い替えも検討
もし10年以上同じエアコンを使い続けているのであれば、最新の省エネモデルに買い替えることも、長期的に見れば非常に有効な節約術です。
エアコンの技術は年々進化しており、省エネ性能は驚くほど向上しています。資源エネルギー庁の省エネ性能カタログ(2023年版)によると、例えば2013年製のエアコンと2023年製の同等クラスのエアコンを比較すると、期間消費電力量を約17%も削減できるとされています。
もちろん、買い替えには初期費用がかかります。しかし、毎月の電気代が安くなることで、数年で元が取れるケースも少なくありません。特に、使用時間が長いリビングのエアコンなどは、買い替えによる節約効果が大きくなります。
「最近、エアコンの効きが悪くなったな」と感じたり、電気代が急に高くなったと感じたりした場合は、一度、最新機種への買い替えを検討してみるのも良い選択肢です。
まとめ
今回は、エアコンの電気代の仕組みから、今すぐできる具体的な節約術までを詳しくご紹介しました。
- ご自身の電気料金単価を把握する
- 「つけっぱなし」と「こまめなオンオフ」をご自身の環境に合わせて使い分ける
- 室温計を参考に設定温度を調整し、「自動運転」を活用する
- フィルターや室外機周りを清潔に保つ
- 扇風機や窓の断熱対策を組み合わせる
これらのポイントを意識するだけで、エアコンの電気代は大きく変わってきます。
大切なのは、無理なく、できることから始めてみることです。今回ご紹介した方法の中から、ご自身のライフスタイルに合ったものをいくつか取り入れて、快適な室温を保ちながら、賢く電気代を節約していきましょう。
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