「あれ、エアコンがなんだかカビ臭い…?」
「吹き出し口を覗いたら、黒い点々がびっしり…」
久しぶりにエアコンをつけた時、そんな経験はありませんか。その黒い点々の正体は、健康に悪影響を及ぼす可能性のあるカビです。
この記事では、エアコン内部にカビが発生する原因から、ご家庭で安全にできる掃除方法、そして二度とカビに悩まされないための徹底予防策まで、分かりやすく解説します。
もしかして…エアコン内部のカビ、チェックする方法は?
「うちのエアコンは大丈夫かな?」と気になったら、まずはご自身でカビの有無をチェックしてみましょう。準備するものは、懐中電灯だけです。安全のため、必ずエアコンの電源プラグを抜いてから確認してくださいね。
チェックするポイントは、主に以下の2箇所です。
- 吹き出し口(ルーバー)
エアコンの風が出てくる、羽の部分です。懐中電灯で照らしながら、内側を覗き込んでみてください。ここに黒い点々とした汚れが付着している場合、それはカビである可能性が非常に高いです。 - 送風ファン
吹き出し口の奥で、筒状の部品が回転しているのが見えますか。それが送風ファンです。ここにも黒い汚れがこびりついていることが多く、エアコンの嫌な臭いの主な原因となっています。
もし、これらの場所に黒い点々を見つけたら、それはエアコン内部でカビが繁殖しているサイン。見えない奥の方は、さらにカビだらけになっているかもしれません。
なぜ?エアコンの中にカビがびっしり生える3つの原因
そもそも、なぜエアコンの内部にカビが発生してしまうのでしょうか。カビが繁殖するには、「温度」「湿度」「栄養」という3つの条件が必要です。実は、エアコンの内部は、この3つの条件がすべて揃いやすい、カビにとって絶好の環境なのです。
- 湿度:冷房運転による結露
冷房を使うと、エアコン内部の熱交換器が急激に冷やされます。これは、冷たい飲み物を入れたグラスの周りに水滴がつくのと同じ原理で、内部に結露が発生する原因となります。この水分が、カビが繁殖するために必要な高い湿度を生み出してしまうのです。 - 温度:カビが好む快適な温度
カビが最も活発に繁殖する温度は、20〜30℃と言われています。これは、私たちが快適だと感じる室温とほぼ同じ。エアコンを運転している時期はもちろん、運転していない春や秋でも、室内はカビにとって過ごしやすい温度に保たれています。 - 栄養:ホコリや汚れ
エアコンは、室内の空気を吸い込んで、冷やしたり温めたりして吐き出しています。その際、空気中に含まれるホコリや髪の毛、皮脂汚れなども一緒に吸い込んでしまいます。これらの汚れが、カビにとって格好の栄養源となってしまうわけです。
カビだらけのエアコンを放置する3つのリスク【健康被害も】
「少しのカビくらい大丈夫だろう」と、見て見ぬふりをするのはとても危険です。カビだらけのエアコンを使い続けると、私たちの身体や家計に、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
- 健康への悪影響
エアコンの風に乗って、カビの胞子が部屋中にばらまかれます。この胞子を吸い込むことで、咳やくしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を引き起こすことがあります。特に、免疫力の低いお子様やご高齢の方、アレルギー体質の方は注意が必要です。重症化すると、夏型過敏性肺炎やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症といった、深刻な病気の原因になることも。 - 電気代の増加
フィルターや熱交換器にホコリやカビが詰まると、空気の通り道が妨げられ、熱効率が著しく低下します。エアコンは設定温度に到達させようと余計なパワーを使うため、電気代が通常よりも高くなってしまうのです。環境省によると、2週間に1度フィルターを掃除するだけで、冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力削減につながるとされています。 - エアコンの故障
カビやホコリが原因で、ドレンパン(結露水の受け皿)が詰まり、水漏れが発生することがあります。また、ファンに汚れがこびりつくと、モーターに過剰な負荷がかかり、異音や故障の原因にもなりかねません。
エアコンのカビ掃除、自分でやる?プロに頼む?判断基準を解説
エアコンのカビ掃除には、自分でできる範囲の掃除と、専門業者に依頼する本格的なクリーニングがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自宅の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
自分で掃除する | プロに依頼する | |
---|---|---|
メリット | ・費用が安い ・思い立った時にすぐできる | ・分解して内部の隅々まで洗浄できる ・専門の機材と洗剤でカビを徹底除去 ・故障や火災のリスクがなく安心 |
デメリット | ・掃除できる範囲が限られる ・カビを完全に除去するのは難しい ・間違った方法だと故障や火災の原因に | ・費用がかかる ・予約が必要で、繁忙期は待つことも |
こんな人におすすめ | ・見える範囲の軽い汚れ ・定期的に自分で掃除している | ・2年以上掃除していない ・カビの臭いがひどい ・アレルギー体質の人や小さい子供がいる |
自分で掃除する場合、あくまで「見える範囲のホコリ取り」と考えるのが無難です。内部のファンや熱交換器にびっしり付着したカビを、ご家庭で完全に除去するのは極めて困難です。臭いやカビが気になる場合は、一度プロの力で徹底的にリセットしてもらうことを強くおすすめします。
【自分でやる派】安全第一!エアコン掃除の正しい手順
ここでは、ご家庭で安全にできる掃除の範囲と、その手順を解説します。作業前には必ず電源プラグを抜き、換気をしながら行ってください。
準備するものリスト
- 掃除機(ブラシ付きノズル)
- やわらかい布や雑巾(数枚)
- 使い古しの歯ブラシ
- ゴム手袋、マスク
- バケツ
- (必要であれば)中性洗剤
- (床を保護する)新聞紙やビニールシート
①フィルターの掃除
最も手軽で効果的なのがフィルター掃除です。まず、エアコンのフロントパネルを開け、フィルターを取り外します。掃除機を使い、フィルターの表側からホコリを丁寧に吸い取りましょう。裏側から吸うとホコリが網目に詰まってしまうので注意してください。汚れがひどい場合は、裏側からシャワーで優しく水洗いし、日陰で完全に乾かします。
②吹き出し口(ルーバー)の掃除
吹き出し口の羽(ルーバー)は、手で優しく動かせる範囲で拭き掃除をします。固く絞った雑巾で、カビを拭き取っていきましょう。細かい部分は、割り箸にキッチンペーパーを巻き付けた「お掃除棒」などを使うと便利です。
注意!これだけはやってはいけないNG掃除法
良かれと思ってやった掃除が、実はエアコンの寿命を縮めたり、火災の原因になったりすることがあります。以下の方法は絶対に避けてください。
- 市販のエアコン洗浄スプレーの使用
手軽に見えますが、内部の汚れを完全に洗い流せず、洗剤成分が残ってしまいます。それがホコリと混ざり、かえってカビの温床になったり、電装部品にかかってショートし、火災につながる危険性があります。 - 内部まで自分で分解して掃除する
内部構造は非常に複雑です。専門知識がないまま分解すると、元に戻せなくなったり、部品を破損させたりする可能性が非常に高いです。 - アルコールやアルカリ性・酸性の洗剤を使う
プラスチック部品が劣化したり、内部の金属部品が腐食したりする原因となります。掃除には、必ず水か、薄めた中性洗剤を使用してください。
普段からできる!エアコンのカビを徹底予防する5つの習慣
一度きれいにしたら、その状態をできるだけ長くキープしたいですよね。普段から少し意識するだけで、カビの発生を大幅に抑えることができます。
- 冷房・除湿後は1〜2時間の「送風運転」
これが最も効果的な予防策です。冷房や除湿を使うと、内部が結露で濡れてしまいます。運転停止後に「送風」モードで1〜2時間運転することで、内部をしっかり乾燥させ、カビの発生を抑えることができます。「内部クリーン」機能があるエアコンの場合は、積極的に活用しましょう。 - フィルターは2週間に1回掃除する
面倒に感じるかもしれませんが、フィルター掃除はカビの栄養源であるホコリを除去する上で非常に重要です。電気代の節約にもつながるので、習慣にしてしまいましょう。 - 定期的に部屋の換気を行う
部屋全体の湿度を下げることも大切です。窓を開けて空気の入れ替えを行い、湿気がこもらないように心がけましょう。特に、梅雨の時期は意識的に換気するのがおすすめです。 - 室内のホコリを減らす
エアコンが吸い込むホコリが少なければ、それだけ内部も汚れにくくなります。こまめに部屋の掃除をすることも、間接的なカビ予防につながります。 - 長期間使わない時期も油断しない
エアコンを使わない時期でも、月に1〜2回は送風運転をして、内部に湿気が溜まるのを防ぎましょう。また、ドレンホースの先端から虫が侵入するのを防ぐ「防虫キャップ」を取り付けるのも効果的です。
夏の夜、エアコンは何℃からつける?快適な睡眠と電気代節約を両立する使い方
まとめ
エアコン内部のカビは、見た目が不快なだけでなく、健康や電気代にも悪影響を及ぼす厄介な存在です。
- まずは懐中電灯で吹き出し口とファンをチェック
- 自分でできる掃除はフィルターと見える範囲の拭き掃除まで
- 内部のカビがひどい場合は、無理せずプロに依頼する
- 普段から「送風運転」と「こまめな換気」を習慣にする
自分でできる範囲の掃除と予防をこまめに行い、1〜2年に一度はプロのクリーニングで内部をリセットするのが、エアコンを清潔に長く使い続けるための理想的なサイクルです。この記事が、皆さんの快適なエアコンライフの一助となれば幸いです。
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