「了解です」「了解しました」
ビジネスチャットやメールで、上司や取引先からの指示に対して、日常的に使っている方も多いのではないでしょうか。
実はこの「了解」という言葉、完全に間違いではありませんが、相手や状況によってはカジュアルな印象を与え、より丁寧な表現が求められる場面もあります。
この記事では、「了解です」という言葉がビジネスシーンでどのように受け取られるのか、そして、代わりに使える丁寧な言い換え表現を、具体的な使い分けのポイントと共に分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、言葉遣いの引き出しが増え、あらゆるビジネスシーンで自信を持ってコミュニケーションが取れるようになりますよ。
「了解です」は本当に失礼?言葉のニュアンスと文化庁の見解
「了解です」が目上の方に失礼だ、という話を一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、これは一概に「間違い」と言い切れるものではありません。
「了解」が持つ本来の意味
「了解」という言葉は、本来「物事の内容や事情を理解して、それで良いと認めること」を意味します。ここには、上下関係のニュアンスは含まれていません。
しかし、ビジネスシーンでは「相手の言動を許し、認める」という側面が、人によっては「評価されている」ような印象を与えてしまう可能性が指摘されることがあります。これが、「了解は目上には失礼」と言われる主な理由です。
文化庁の見解は?
文化庁が発表している「敬語の指針」では、「了解しました」や「了解いたしました」という表現について、相手への敬意を払う丁寧語として問題があるとは断定していません。
ただし、状況によっては「『承知いたしました』などを用いるのが適切である」とも述べられており、より丁寧な代替表現があることを示唆しています。つまり、「間違いではないが、もっと良い表現がある」というのが実情に近いでしょう。
結局のところ、「了解です」が許容されるかどうかは、職場の文化や相手との関係性によるところが大きいです。親しい先輩や同僚との間であれば問題ないケースがほとんどですが、フォーマルな場面や敬意を強く示したい相手には、より丁寧な言葉を選ぶのが賢明と言えます。
参考:敬語の指針(文化庁)
これで完璧!「了解です」の言い換え敬語表現
では、「了解です」の代わりにどのような言葉を使えば、より丁寧な印象を与えられるのでしょうか。代表的な言い換え表現と、それぞれのニュアンスの違いを見ていきましょう。
状況に応じて使い分けることで、あなたの印象は格段に良くなります。
表現 | ニュアンス | 使う相手 | 主な使用シーン |
---|---|---|---|
承知いたしました | 依頼や指示を理解し、謹んで受け入れた | 上司、先輩、取引先 | 指示受け、日程調整、依頼への返答など |
かしこまりました | 強い敬意を払い、謹んで受け入れた | 顧客、役員、目上の取引先 | 重要な依頼、顧客対応、お詫びの場面など |
承りました (うけたまわりました ) | ご用件やご注文を確かに聞き入れた | 顧客、取引先 | 電話応対、注文受付、予約受付など |
基本の言い換えは「承知いたしました」
「承知いたしました」は、「了解です」の言い換えとして最も一般的で使いやすい表現です。「承知」は「事情などを知ること、依頼・要求などを聞き入れること」を意味する謙譲語で、相手の指示や依頼を謹んでお受けするという気持ちを示せます。ビジネスシーンで返答に迷ったら、まずこの言葉を選べば間違いありません。
より敬意を伝えたいなら「かしこまりました」
「かしこまりました」は、「承知いたしました」よりもさらに丁寧で、相手への深い敬意を示す表現です。「かしこまる」は「謹んで承る」という意味を持ち、相手の指示や依頼を敬意を持って受け止める姿勢を伝えられます。会社の役員や重要な取引先、お客様への返答に使うと、より丁寧な印象を与えられるでしょう。
依頼や注文を受ける際は「承りました」
「承りました」は、「受ける」「聞く」の謙譲語である「承る(うけたまわる)」から来ています。主に、相手からの依頼や注文、予約などを「聞き入れた」という場面で使われます。電話応対で「〇〇の件、承りました」と使うのが代表的な例です。指示を理解したというよりは、用件を受け付けたというニュアンスが強くなります。
「承知いたしました」と「かしこまりました」の使い分け方
「承知いたしました」と「かしこまりました」は、どちらも非常に丁寧な表現ですが、どう使い分ければ良いか迷う方も多いでしょう。ポイントは、相手への敬意の度合いと状況です。
基本的には、社内の直属の上司や先輩など、日常的にやり取りする相手には「承知いたしました」で十分丁寧な印象を与えられます。汎用性が高く、さまざまなビジネスシーンで活用できる便利な言葉です。
一方で、「かしこまりました」は、お客様や企業の重役、普段あまり関わりのない目上の方など、特に高い敬意を示したい相手に使うのが適しています。相手の依頼に対して「謹んでお受けします」という強い意志を示すことができるため、クレーム対応や謝罪の場面で誠意を伝える際にも有効です。
難しく考える必要はありませんが、この微妙なニュアンスの違いを知っておくだけで、あなたのコミュニケーションはより洗練されたものになるでしょう。
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まとめ:言葉遣いは文脈と関係性を重視しよう
今回は、「了解です」という言葉の扱いや、その言い換え表現について解説しました。
- 「了解」は本来、上下関係を含む言葉ではないが、ビジネスシーンではより丁寧な表現が好まれる傾向がある
- 基本の言い換えは「承知いたしました」
- より高い敬意を示したい相手や重要な場面では「かしこまりました」
- 依頼や注文を受ける際は「承りました」
言葉遣いに絶対的な正解はありません。大切なのは、職場の文化や慣習を理解し、相手との関係性を考慮して、その場に最もふさわしい言葉を選ぶことです。
正しい敬語を状況に応じて使いこなすことで、相手に安心感と信頼感を与え、仕事がスムーズに進むきっかけにもなります。まずは、次に上司や取引先に返信する際、少しだけ言葉の選択を意識することから始めてみませんか。
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