「地方厚生局」からの電話は詐欺？本物との見分け方と巧妙な手口を徹底解説

「地方厚生局の者ですが…」

突然こんな電話がかかってきたら、少し身構えてしまいますよね。特に「お金が戻ってくる」といった話をされると、「本当かな？」と疑いつつも、つい話を聞いてしまうかもしれません。

結論から言うと、地方厚生局や厚生労働省、市区町村の職員が、電話でいきなりお金の話をしたり、ATMの操作をお願いしたりすることは絶対にありません。

この記事では、地方厚生局を名乗る詐欺電話の巧妙な手口から、本物との見分け方、そして万が一の時の正しい対処法まで、分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、不審な電話に慌てず、冷静に対応できるようになります。

「地方厚生局」を名乗る電話は詐欺？急増する不審電話の実態
【手口を暴露】詐欺電話で使われる巧妙なシナリオ4選
本物？詐欺？電話を見分ける4つのチェックポイント
地方厚生局を名乗る詐欺電話への正しい対処法
まとめ：冷静な確認があなたと家族の資産を守る

「地方厚生局」を名乗る電話は詐欺？急増する不審電話の実態

最近、「地方厚生局」や「厚生労働省」の職員を名乗る不審な電話が全国で相次いでおり、公式サイトでも注意喚起がなされています。詐欺グループは、公的機関の名前をかたることで相手を信用させ、言葉巧みにお金をだまし取ろうとします。

彼らの目的は、「医療費や保険料の還付金（払い戻し）がある」などと嘘をつき、指定の口座にお金を振り込ませたり、ATMを操作させて送金させたりすることです。

「自分は大丈夫」と思っていても、その手口は年々巧妙になっています。例えば、「今日中に手続きしないと権利がなくなる」と急かしたり、「あなただけが対象です」と特別感を演出したりして、冷静に考える時間を与えません。

しかし、本物の地方厚生局が電話をかけてくる目的は、医療機関への指導や調査など、あくまで公的な業務連絡に限られます。電話で個人に対して還付金や未納金の支払いを直接案内することは、まずあり得ないのです。この基本的な事実を知っておくだけでも、詐欺被害を防ぐ大きな一歩になります。

【手口を暴露】詐欺電話で使われる巧妙なシナリオ4選

詐欺グループは、私たちの心の隙を突く、様々なシナリオを用意しています。ここでは、実際に報告されている代表的な手口を4つ紹介します。相手の言葉に「あれ？」と思ったら、これらの手口に当てはまらないか確認してみてください。

「保険料の還付金がある」と誘導する手口

最も古典的で、いまだに被害が多いのがこの「還付金詐欺」です。犯人は「払いすぎた医療費や保険料が戻ってきます」「期限が今日までなので、急いで手続きしてください」などと、甘い言葉で誘ってきます。

そして、手続きと称して金融機関名や口座番号を聞き出した後、「還付金を受け取るために、ATMでの操作が必要です」と誘導するのが典型的なパターンです。

しかし、言われるがままATMを操作すると、実際には還付金を受け取るのではなく、犯人の口座にお金を振り込んでしまうように仕向けられています。携帯電話で話しながらATMを操作している高齢者を見かけたら、詐欺の可能性が高いので、ぜひ声をかけてあげてください。

「医療費の未納がある」と不安を煽る手口

還付金とは逆に、「医療費に未納料金があります」「このままだと財産を差し押さえることになります」などと、強い言葉で不安を煽る手口も存在します。身に覚えがないことでも、公的機関を名乗る相手から厳しい口調で言われると、焦ってしまうものです。

そして、「今日中に支払えば問題になりません」「コンビニで電子マネーカードを買って、番号を教えてください」といった形で、支払いを急かします。

公的機関が、未納金の支払いを電子マネーで要求することは絶対にありません。「電子マネー」「ギフトカード」という言葉が出てきたら、100%詐欺だと断定して良いでしょう。すぐに電話を切り、警察に相談することが大切です。

「アンケート調査」を装い個人情報を聞き出す手口

一見すると詐欺には思えない、「医療制度に関するアンケートです」といった電話にも注意が必要です。最初は当たり障りのない質問から始まりますが、徐々に「ご家族の構成は？」「お一人暮らしですか？」「主な収入源は？」など、プライベートな情報を聞き出そうとします。

これらの情報は、すぐにお金をだまし取るためではなく、後日、別の詐欺電話をかけるための名簿（リスト）作りに使われます。

例えば、一人暮らしの高齢者だと分かれば、オレオレ詐欺のターゲットにされるかもしれません。公的機関の調査を装っていますが、答える義務は一切ありません。少しでも「おかしいな」と感じたら、きっぱりと断りましょう。

「新しい保険証を送る」と偽り手続きを要求する手口

「制度が変わり、新しい保険証に切り替える必要があります」「更新手続きのために、手数料を振り込んでください」など、公的な手続きを装って金銭を要求する手口です。

マイナンバーカードと健康保険証の一体化（マイナ保険証）など、実際に制度が変わるタイミングを狙ってくるため、信じてしまいがちです。

しかし、健康保険証の切り替えなどで、地方厚生局が個人に電話をして手数料の振込を依頼することはありません。通常、手続きに関する案内は郵送で行われます。電話で金銭を要求された時点で、詐欺を疑い、相手の言う連絡先ではなく、自分で調べた市区町村の担当窓口や、加入している健康保険組合に確認しましょう。

本物？詐欺？電話を見分ける4つのチェックポイント

詐欺の手口は巧妙ですが、本物の地方厚生局からの電話と見分けるポイントがいくつかあります。以下の比較表で、怪しい電話かどうかをチェックしてみてください。

チェック項目	本物の地方厚生局	詐欺電話の典型例
お金の話	電話で還付金や未納金の支払いを直接案内しない	「お金が戻る」「支払いが足りない」と金銭の話をする
ATM操作	ATMの操作を指示することは絶対にない	「ATMで手続きが必要」と誘導する
個人情報	業務上必要な確認はするが、資産状況などは聞かない	家族構成、預金額、暗証番号など不必要な情報を聞く
連絡手段	公式サイト記載の番号からかけてくることが多い	非通知、携帯電話番号（090/080/070）、フリーダイヤルなど

チェックポイント1：お金の話をしてくるか

これが最大の見分けるポイントです。地方厚生局の職員が、電話で個人に対して「還付金がある」「未納金がある」といったお金の話を切り出すことはありません。お金の話が出た瞬間に、詐欺を疑ってください。

チェックポイント2：ATMへ誘導しようとするか

公的機関が、手続きのためにATMの操作を指示することは100%ありません。「ATMに着いたら、こちらの番号に電話してください」は、詐欺の決まり文句です。絶対に指示に従わないでください。

チェックポイント3：不要な個人情報を聞き出そうとするか

本人確認のために氏名や生年月日を聞くことはあっても、家族構成や預貯金の額、キャッシュカードの暗証番号といった、業務に関係のない個人情報を聞くことはありません。しつこく聞いてくる場合は、詐欺の可能性が非常に高いです。

チェックポイント4：電話番号は通知されているか

地方厚生局からの電話は、基本的に公式サイトに掲載されている固定電話の番号からかかってきます。非通知設定や、個人の携帯電話番号からかかってくることは通常考えられません。知らない番号、特に携帯電話の番号からの場合は、安易に出ない、または出てもすぐに信用しないようにしましょう。

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地方厚生局を名乗る詐欺電話への正しい対処法

実際に不審な電話がかかってきた際に、被害を防ぐための具体的な対処法を紹介します。慌てず、落ち着いて行動することが何よりも重要です。

その場で即答せず、一度電話を切る

相手がどんなに急かしてきても、その場で判断したり、個人情報を教えたりしてはいけません。「家族に相談してから、こちらからかけ直します」「担当者のお名前と所属、連絡先を教えてください」と言って、必ず一度電話を切りましょう。

詐欺師は、相手に考える時間を与えないようにします。電話を切って一人で冷静になる時間を作ることが、最初の防御策となります。相手が電話を切るのを嫌がったり、高圧的な態度になったりした場合は、詐欺である可能性がさらに高まります。

相手の言った番号を信じず、公式な連絡先に確認する

電話を切った後、確認のために折り返し連絡をすることが大切です。しかし、ここで注意すべきは、相手が言った電話番号に絶対にかけてはいけないということです。その番号は、詐欺グループの仲間につながるようになっています。

必ず、自分でインターネット検索や電話帳で調べた、管轄の地方厚生局や市区町村の公式な電話番号にかけ直して、「先ほど、そちらの〇〇さんという方から、こういう内容の電話があったのですが、事実でしょうか？」と確認してください。この一手間が、あなたを詐欺被害から守ります。

警察や専門機関にすぐに相談する

「これは詐欺かもしれない」と感じたら、ためらわずに専門機関に相談しましょう。たとえ被害に遭っていなくても、情報提供が次の被害を防ぐことにつながります。

警察相談専用電話：#9110
- 緊急の事件・事故以外の相談をしたい場合に利用できます。「詐欺のような電話があった」という情報提供や、今後の対応について相談に乗ってくれます。
消費者ホットライン：188（いやや！）
- 商品やサービスの契約トラブルなど、消費生活全般に関する相談ができます。詐欺的な手口についても相談可能です。
最寄りの警察署
- 直接、最寄りの警察署や交番に相談に行くのも有効です。