「+63」から始まる見慣れない番号からの着信に、戸惑いや不安を感じていませんか?
「どこの国からの電話だろう?」「もしかして詐欺や迷惑電話なのでは?」と、すぐに出るべきか悩んでしまいますよね。
心当たりのない国際電話は、不用意に出たりかけ直したりすると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
この記事では、「+63」がどこの国の番号なのか、なぜ電話がかかってくるのかという疑問から、巧妙化する詐欺の手口、そして安全な対処法までを分かりやすく解説します。この記事を読めば、不審な国際電話に冷静に対応できるようになります。
+63はどこの国?正体はフィリピンの国番号
結論から言うと、「+63」はフィリピンの国番号です。
電話番号の先頭にある「+」は、国際電話であることを示す記号で、その後に続く数字が国を表しています。つまり、「+63」からの着信は、フィリピンから発信された電話であることを意味します。
日本国内の携帯電話事業者を介してフィリピンにいる友人や家族に電話をかける際も、相手の電話番号の前に「63」を付ける必要があります。
では、なぜフィリピンから突然電話がかかってくるのでしょうか。フィリピンには知人がいないという方でも、着信があるケースは少なくありません。その理由は、国際的な詐欺グループの拠点としてフィリピンが悪用されていたり、フィリピンに拠点を置く海外企業のコールセンターから連絡が来たりするなど、いくつかの可能性が考えられます。次の見出しで、その目的を詳しく見ていきましょう。
なぜ+63から電話が?考えられる4つの目的
心当たりのない+63からの電話には、一体どのような目的があるのでしょうか。すべてが危険な電話というわけではありませんが、大半は注意が必要なケースです。考えられる主な目的を4つに分けて解説します。
国際的な詐欺・迷惑電話
最も警戒すべきなのが、このケースです。フィリピンを拠点とする詐欺グループが、日本の電話番号をターゲットに無作為に電話をかけている可能性があります。
特に「ワン切り」と呼ばれる、すぐに電話を切って相手にかけ直しを促す手口が典型的です。好奇心や不安からかけ直してしまうと、高額な通話料が発生する特殊な番号に接続されたり、自動音声ガイダンスによる詐気のアナウンスが流れたりします。身に覚えのない着信には、絶対に応答しないようにしましょう。
企業からの業務連絡やSMS認証
海外のWebサービスやアプリに登録した際、本人確認のためにSMS(ショートメッセージ)が送られてくることがあります。GoogleやFacebook、X(旧Twitter)などの大手IT企業は、世界中に拠点を置いており、フィリピンの通信網を利用して認証コードを送ってくる場合があります。
また、一部の企業はコールセンター業務をフィリピンに委託(BPO)しているため、カスタマーサポートなどから連絡が来る可能性もゼロではありません。ただし、その場合でも重要な要件であれば、メールなど別の手段でも連絡が来るはずです。
知人・友人からの連絡
フィリピンに旅行中、あるいは在住している知人や友人がいる場合は、その方からの連絡である可能性も考えられます。現地のSIMカードやWi-Fiを利用して電話をかけているのかもしれません。
もし、フィリピンにいる可能性のある知人がいるなら、電話に出る前に、LINEやSNSのメッセージなど、別の方法で本人かどうかを確認してみるのが安全です。いきなり電話に出るのは避けた方が賢明でしょう。
単純な間違い電話
可能性としては低いですが、単純な番号の押し間違いというケースもあり得ます。フィリピン国内で誰かが電話をかける際に、誤って日本の電話番号に似た番号を入力してしまった、という状況です。
この場合は特に害はありませんが、見知らぬ番号であることに変わりはないため、やはり安易に出ない方が良いでしょう。間違い電話であれば、相手もすぐに気づいて切るか、二度とかけてこないことがほとんどです。
【要注意】+63発信の詐欺・迷惑電話で使われる典型的な手口
+63から始まる電話の多くが、金銭や個人情報を狙う詐欺・迷惑電話です。手口は年々巧妙化しており、つい信じてしまいそうになるケースも少なくありません。ここでは、代表的な手口を3つ紹介します。
「ワン切り」で高額な通話料を狙う
これは国際迷惑電話の古典的な手口です。着信履歴だけを残してすぐに電話を切り、相手が「誰だろう?」と気になってかけ直すのを待ちます。
この手口で使われる番号は、かけ直すと非常に高額な通話料が発生する「プレミアムレートサービス」に繋がっていることがあります。詐欺グループは、その通話料の一部をキックバックとして得る仕組みです。わずか数十秒話しただけで、数千円から数万円もの請求が来る恐れがあります。着信履歴に残っていても、絶対かけ直さないようにしてください。
参考:国際ワン切り詐欺とは?増加する背景や注意すべき国番号、対策を紹介
自動音声ガイダンスを使った詐欺
電話に出ると、自動音声で「NTTファイナンスです。未納料金があります」「税関です。海外からの荷物が止まっています」といったアナウンスが流れる手口です。
実在する企業や公的機関の名前をかたることで相手を信じ込ませ、不安を煽ってきます。そして「詳しくは1番を押してください」などと指示し、オペレーターと称する人物に繋いで個人情報を聞き出したり、金銭を要求したりします。公的機関や大手企業が、電話の自動音声でいきなり金銭を要求することは絶対にありません。すぐに電話を切りましょう。
大手企業や公的機関をかたる「なりすまし」
自動音声だけでなく、人間が直接電話に出てくるケースもあります。「Amazonのカスタマーセンターです」「警察です」などと名乗り、アカウントの不正利用や事件への関与をほのめかして、巧みに個人情報やクレジットカード情報、銀行口座の暗証番号などを聞き出そうとします。
流暢な日本語で話す場合もあり、信じてしまいそうになりますが、相手の言うことを鵜呑みにしないでください。少しでも怪しいと感じたら、「こちらからかけ直します」と言って一度電話を切り、必ず公式サイトなどで調べた正規の電話番号に連絡して事実確認を行いましょう。
+63からの不審な電話への正しい対処法
実際に+63から電話やSMSが届いた場合、どのように対応するのがベストなのでしょうか。被害に遭わないための具体的な対処法を解説します。
基本は「出ない」「かけ直さない」
最も重要で効果的な対策は、心当たりのない+63からの電話には一切応答しないことです。電話に出なければ、詐欺のターゲットにされるリスクを大幅に減らせます。
着信履歴が残っていても、決してかけ直してはいけません。前述の通り、高額な通話料を請求される「ワン切り詐欺」の可能性があるからです。「知らない番号は無視する」というルールを徹底しましょう。もし重要な用件であれば、留守番電話にメッセージが残されたり、メールなど別の手段で連絡が来たりするはずです。
SMS(ショートメッセージ)も無視が原則
電話だけでなく、+63から始まる番号でSMSが届くケースも増えています。内容は「荷物のお届け」「アカウントの異常」「懸賞の当選」など様々ですが、本文に記載されているURLは絶対にクリックしないでください。
URLのリンク先は、個人情報を盗み取るフィッシングサイトや、スマートフォンをウイルスに感染させる不正なアプリのダウンロードサイトになっていることがほとんどです。メッセージ自体を無視し、そのまま削除するのが最も安全な対応と言えます。
しつこい場合は着信拒否設定を活用する
同じ番号から何度も電話がかかってきて煩わしい場合は、着信拒否設定が有効です。一度設定すれば、その番号からの着信やメッセージをブロックできます。以下に、スマートフォンでの簡単な設定方法を紹介します。
※機種やOSのバージョンによって操作が若干異なります。
iPhoneの場合
- 「電話」アプリを開き、下部の「履歴」をタップします。
- 拒否したい電話番号の右側にある「i(インフォメーション)」マークをタップします。
- 画面を一番下までスクロールし、「この発信者を着信拒否」をタップして完了です。
Androidの場合
- 「電話」アプリを開き、着信履歴を表示します。
- 拒否したい電話番号を長押しするか、タップして詳細画面を開きます。
- メニューから「ブロック」や「着信拒否」といった項目を選択して完了です。
もし電話に出てしまった・かけ直してしまったら?
万が一、不審な電話に出てしまったり、かけ直してしまったりした場合でも、慌てず冷静に対応することが大切です。その後の行動次第で、被害を最小限に食い止められる可能性があります。
まず、電話口で相手に個人情報(氏名、住所、生年月日、クレジットカード番号、口座番号など)を伝えていないかを思い出してください。もし伝えてしまった場合は、すぐにクレジットカード会社や銀行に連絡し、カードの利用停止や口座の監視強化を依頼しましょう。
次に、高額な通話料が発生していないかを確認します。国際電話をかけた場合、料金はすぐに確定しないことがありますが、携帯電話会社のマイページなどで、利用料金をこまめにチェックするようにしてください。不審な高額請求があった場合は、すぐに契約している携帯電話会社に相談しましょう。
詐欺の被害に遭ってしまった、あるいは被害に遭いそうで不安な場合は、一人で抱え込まずに専門機関に相談することが重要です。
「消費者ホットライン(電話番号:188)」や、最寄りの警察署の相談窓口「警察相談専用電話(電話番号:#9110)」に連絡し、状況を説明して指示を仰いでください。
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【比較表】+63からの電話が詐欺か見分けるポイント
全ての+63からの電話が危険とは限りませんが、どうやって見分ければ良いのでしょうか。以下の比較表を参考に、詐欺の可能性が高いケースと、正規の連絡かもしれないケースの特徴を把握しておきましょう。
項目 | 詐欺・迷惑電話の可能性が高いケース | 正規の連絡の可能性があるケース |
---|---|---|
着信のタイミング | 深夜や早朝など、非常識な時間帯にかかってくる。 | 日本のビジネスタイム(平日9時〜18時頃)にかかってくる。 |
呼び出し時間 | 数コールですぐに切れる(ワン切り)。 | 相手が出るまで、ある程度の時間鳴らし続ける。 |
電話に出た時の相手 | 自動音声ガイダンスが流れる。片言の日本語や、不自然な敬語を使う。 | 流暢な日本語で、企業名や部署名、担当者名をはっきりと名乗る。 |
要求内容 | 「未納料金」「至急の確認」などと不安を煽り、個人情報や金銭を要求する。 | サービスの本人確認や、注文内容の確認など、具体的な用件を伝える。 |
SMSの内容 | 荷物の不在通知や当選案内を装い、不審なURLへのアクセスを促す。 | サービス登録などの際に、6桁程度の認証コードのみが記載されている。 |
この表はあくまで目安です。正規の連絡を装う巧妙な手口も存在するため、「少しでも怪しい」と感じたら、基本に立ち返り「電話を切る」「無視する」という対応を心がけてください。
まとめ:+63からの知らない電話は「無視」が鉄則
この記事では、「+63」から始まる国際電話の正体と、その背後にある目的、そして具体的な対処法について詳しく解説しました。
- +63はフィリピンの国番号
- 目的の多くは詐欺や迷惑電話
- 対処法の基本は「出ない」「かけ直さない」「URLをクリックしない」
- しつこい場合は着信拒否設定が有効
- 万が一対応してしまっても、慌てず専門機関に相談する
見知らぬ番号からの着信は不安になるものですが、その正体と対処法を知っておけば、冷静に行動できます。+63に限らず、心当たりのない国際電話には「まず疑う」という姿勢を持ち、安易に応答しないことを徹底して、ご自身の情報を守りましょう。
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