「マツダの車って、格好いいけど『やめとけ』って聞くんだよな…」
そんな噂を耳にして、購入をためらっていませんか?
確かに、ネットやSNSを見るとマツダ車に関するネガティブな意見が見受けられます。
しかし、その多くは過去のイメージだったり、特定の側面を切り取った意見だったりすることも少なくありません。
この記事では、「マツダ車はやめとけ」と言われる具体的な理由を一つひとつ掘り下げ、その真相と現在のマツダがどうなのかを徹底解説します。
なぜ?マツダ車が「やめとけ」と言われる5つの理由
まず、なぜマツダ車が「やめとけ」と言われてしまうのか、よく挙げられる5つの理由を見ていきましょう。
それぞれの理由について、背景や現在の状況を詳しく解説していきますね。
- デザインが「どれも同じ」に見えるから
- ディーゼルエンジンは故障が心配だから
- リセールバリューが低いイメージがあるから
- 昔の「マツダ地獄」の印象が残っているから
- 主要メーカーに比べてディーラーが少ないから
これらの不安要素を一つずつ解消していきましょう。
理由1:魂動デザインが「どれも同じ」に見える?
マツダ車の大きな魅力といえば、生命感あふれる「魂動(こどう)デザイン」です。躍動的で美しいフォルムは、国内外で高く評価されています。しかし、その一方で「どの車種もデザインが似ていて、代わり映えしない」という声も聞かれます。
確かに、マツダは一貫したデザイン哲学のもとで車づくりをしています。そのため、MAZDA3とCX-5、CX-60など、車種が違っても同じブランドの車だと一目でわかる統一感があります。これは、欧州のプレミアムブランド(例えばBMWやアウディ)が採用している手法と同じで、ブランドイメージを確立するための戦略なのです。
この統一感を「個性がなくてつまらない」と感じる人にとっては、デメリットになるかもしれません。特に、車に強い個性を求める方や、モデルチェンジでの大きな変化を期待する方からすると、「また同じような顔か」と思われてしまうのでしょう。
ただ、このデザイン哲学は「時間が経っても古びない価値」を提供することにも繋がっています。頻繁にデザインの方向性が変わらないため、数年前に購入したマツダ車が急に古臭く見えることがありません。長く愛車と付き合いたい人にとっては、むしろ大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
理由2:ディーゼルエンジンは故障が心配だから
マツダの代名詞ともいえる「SKYACTIV-D」。力強い走りと燃費の良さで人気ですが、「ディーゼルは煤(スス)が溜まりやすく、故障が多い」というイメージを持つ人も少なくありません。
実際に、初期のSKYACTIV-Dでは、短距離走行の繰り返しといった乗り方で煤(スス)が溜まり、エンジン不調に繋がるケースが報告されていました。ディーゼルエンジンは構造上、煤の発生を避けられず、それを燃焼させる「DPF再生」がちょい乗り中心の乗り方では正常に完了しにくいことが原因でした。
マツダはこの問題に継続的に取り組み、エンジンの改良を重ねています。しかし、CX-60などの新しいモデルにおいても煤問題が完全に解決されたかについては専門家の間でも見解が分かれており、「発生確率は低いものの、根本的な解決には至っていない」という指摘もあります。
とはいえ、燃焼制御の精密化などで問題が発生するリスクは大幅に低減されているのも事実です。定期的なオイル交換や、たまに30分程度エンジンを回してあげるなど、ディーゼルエンジンに適した乗り方を心がけることで、トラブルの多くは回避できるでしょう。過度に心配する必要はありませんが、ご自身の乗り方がディーゼルエンジンに向いているかは、購入前に検討する価値がありそうです。
参考:価格.com – 『CX-60煤問題』、Motor-Fan.jp | SKYACTIV-Dの煤問題は解決したのか?
理由3:リセールバリューが低いイメージがあるから
「マツダ車は売却時に値段がつきにくい」というのも、昔からよく言われる話です。
かつてマツダ車は、大幅な値引き販売の影響で中古車価格が下がりやすく、リセールバリューが低い傾向にあったのは事実です。その頃のイメージが、今も根強く残っていると考えられます。
現在、マツダはブランド価値向上のため安易な値引きを抑制しており、リセールバリューは改善傾向にあります。特に人気のSUVであるCX-5は、3年後の残価率が70%近くになるケースもあり、健闘していると言えるでしょう。
しかし、トヨタのハリアーなど、リセール市場で圧倒的な人気を誇る競合車種と比較すると、依然として及ばない場合が多いのも事実です。「大幅に改善した」とまでは言えず、「マツダ=リセールが悪い」という過去のイメージからは脱却しつつある、と捉えるのが正確かもしれません。
車種 | 3年後の残価率(目安) |
---|---|
マツダ CX-5 | 60%~70% |
トヨタ ハリアー | 65%~75% |
マツダ MAZDA3 | 45%~55% |
トヨタ カローラ | 50%~60% |
※上記はあくまで一般的な市場傾向に基づく目安であり、実際の買取価格を保証するものではありません。年式、グレード、走行距離、車両の状態、ボディカラー、市場の動向によって大きく変動します。
理由4:昔の「マツダ地獄」の印象が残っているから
少し年配の車好きの方なら、「マツダ地獄」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、1980年代〜90年代頃に使われていた俗語です。
当時、マツダは販売台数を増やすために大幅な値引きを行っていました。その結果、中古車価格が大きく下落し、マツダ車を下取りに出して他メーカーの車に乗り換えようとすると、追い金が多く必要になってしまいました。結局、値引きを頑張ってくれるマツダのディーラーで、また次のマツダ車に乗り換えるしかない…という状況を揶揄した言葉です。
もちろん、これは完全に過去の話。前述の通り、マツダは現在、ブランド価値を高めるために安易な値引き販売は行っていません。むしろ「値引きが渋い」と言われることがあるほどです。
リセールバリューも改善され、他メーカーへの乗り換えが不利になるようなことは全くありません。この「マツダ地獄」という言葉は、現在のマツダには当てはまらない、古いイメージの産物だと断言できます。もしこの言葉を理由に購入をためらっているなら、その心配は不要ですよ。
理由5:主要メーカーに比べてディーラーが少ないから
トヨタやホンダ、日産といった国内トップメーカーと比較すると、マツダの正規ディーラーの店舗数は少ない傾向にあります。
全国のディーラー店舗数(2024年時点の目安)
- トヨタ:約4,600店舗
- ホンダ:約2,200店舗
- 日産:約2,100店舗
- マツダ:約900店舗
お住まいの地域によっては、最寄りのディーラーまで少し距離があったり、店舗の選択肢が限られたりすることがあるかもしれません。購入後の点検やメンテナンス、万が一のトラブルの際に、不便さを感じる可能性があるのは事実です。
特に、転勤や引っ越しが多いライフスタイルの方にとっては、どこにでもディーラーがあるメーカーの方が安心感がある、と感じるかもしれませんね。
ただ、マツダもこの点をカバーするため、店舗の統廃合やリニューアルを進め、1店舗あたりのサービスの質を高めることに注力しています。洗練されたデザインの店舗で、質の高い接客や整備を受けられる点は魅力です。また、多くのディーラーが近隣の府県の店舗と連携しているため、広域でのサポート体制も整いつつあります。
購入を検討する際は、一度公式サイトの店舗検索で、ご自身の生活圏内に利用しやすいディーラーがあるかを確認してみることをおすすめします。
それでもマツダ車が選ばれる!「やめとけ」で終わらない3つの魅力
ここまでネガティブな側面に焦点を当ててきましたが、もちろんマツダ車には、それらを補って余りある素晴らしい魅力がたくさんあります。だからこそ、熱心なファンに愛され続けているのです。
魅力1:「人馬一体」を追求した、とにかく楽しい運転感覚
マツダが車づくりにおいて最も大切にしているのが「人馬一体」という哲学です。これは、まるで馬と乗り手が一体になるかのように、車がドライバーの意のままに動き、運転すること自体が楽しくなるような体験を目指すものです。
その実現のために、アクセルやブレーキの反応、ハンドルの切り心地、シートの座り心地まで、人間中心の設計が徹底されています。例えば、「G-ベクタリング コントロール」という独自技術は、ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを微調整し、車の動きを滑らかにしてくれます。これにより、カーブを曲がる時や雨の日の運転でも、車が路面に吸い付くような安定感が生まれ、ドライバーの疲労を軽減してくれるのです。
「車はただの移動手段」と割り切っている人には伝わりにくいかもしれませんが、「せっかくなら運転を楽しみたい」という方にとって、マツダ車の運転感覚は一度味わうと病みつきになる魅力を持っています。
魅力2:所有する喜びを満たす、上質な内外装デザイン
先ほど「どれも同じに見える」という意見を紹介しましたが、魂動デザインの真価は、その造形美と塗装の質の高さにあります。光の当たり方で陰影が豊かに変化するボディラインは、まるで工芸品のよう。
特に「ソウルレッドクリスタルメタリック」に代表される「匠塗(TAKUMINURI)」という特別な塗装技術は、深みと鮮やかさを両立した、他のメーカーにはない独特の質感を表現しています。駐車場に停めている愛車を、思わず何度も振り返って見てしまう。そんな所有する喜びを与えてくれるのがマツダのデザインです。
また、内装の質感も非常に高いレベルにあります。無駄を削ぎ落としたシンプルな造形の中に、手触りの良い素材や精緻なステッチを効果的に配置。上位モデルでは本物の木材やナッパレザーが使われるなど、欧州のプレミアムカーに匹敵する上質な空間が広がっています。同価格帯の国産車と比べても、内装の満足度は頭一つ抜けていると言えるでしょう。
魅力3:走りと燃費を両立した独自のSKYACTIV技術
マツダの魅力は、エンジンだけではありません。エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーといった、車を構成する基本要素の技術を「SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブ テクノロジー)」という思想のもとで一括開発しています。
これにより、それぞれの部品が有機的に連携し、車全体として最高のパフォーマンスを発揮できるのです。「人馬一体」の走りも、この包括的な技術開発があってこそ実現しています。
ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」は、F1エンジン並みの高い圧縮比で燃費効率を極限まで高め、ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」は、常識を覆す低圧縮比でスムーズな回転と環境性能を両立。さらに、ガソリンとディーゼルの長所を併せ持つ夢のエンジン「SKYACTIV-X」も実用化しています。
これらの独自技術によって、マツダ車は「走る楽しさ」と「優れた燃費性能」という、相反しがちな要素を見事に両立させているのです。
【結論】マツダ車はどんな人におすすめ?後悔しないための判断基準
ここまで見てきたように、「マツダ車はやめとけ」と言われる理由には、過去のイメージや、マツダならではのこだわりに起因するものが多いことがわかります。
これらの情報を踏まえて、マツダ車がどんな人におすすめで、どんな人には向かない可能性があるのかをまとめました。
【マツダ車がおすすめな人】
- 運転そのものを楽しみたい人:「人馬一体」の走りに魅力を感じる
- デザインにこだわりたい人:魂動デザインの美しさや内装の質感に価値を見出せる
- 長く大切に一台の車に乗りたい人:流行り廃りのないデザインを好む
- 長距離運転が多く、ディーゼル車との付き合い方を理解できる人
【他のメーカーも検討した方が良いかもしれない人】
- とにかく実用性や室内の広さを最優先する人:ホンダやトヨタのミニバンなどの方が適している場合がある
- リセールバリューを最重要視する人:トヨタの人気車種などを検討する方が合理的
- 車の個性を頻繁なモデルチェンジで感じたい人:マツダのデザイン哲学とは合わない可能性がある
- 短距離・短時間の運転がメインの人:ディーゼルエンジンのメリットを活かしきれない可能性がある
最終的に、あなたにとってマツダ車が「買い」か「やめとけ」かは、何を重視するかによります。ネットの評判や噂だけで判断せず、ぜひ一度、お近くのディーラーで実際に試乗してみてください。ハンドルを握り、アクセルを踏み込んだ瞬間に、マツダが目指す「人馬一体」の意味がきっとわかるはずです。その体験こそが、あなたにとって最高の一台を見つけるための、何よりの判断材料となるでしょう。
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