
BYDはなぜ売れない?買う人はいるの?魅力や今後の展望を徹底解説
最近、街やメディアで「BYD」のロゴを目にする機会が増えてきたと思いませんか?
世界では電気自動車(EV)販売台数トップクラスを誇るBYDですが、日本では「あまり売れていない」「買う人いるの?」といった声も耳にします。
実際のところ、どうなのでしょうか。
この記事では、BYDが日本で「売れない」と言われる理由を深掘りしつつ、どんな人が購入しているのか、そして今後の日本市場での可能性まで、分かりやすく解説していきます。
「BYDは売れていない」は本当?日本の販売台数の実態
まず気になるのが、「本当に売れていないのか?」という点ですよね。結論から言うと、「世界的な実績と比べると、日本ではまだこれから」というのが現状です。
日本自動車輸入組合(JAIA)が発表しているデータを見てみましょう。
- 2023年の年間販売台数:1,446台
- 2024年1月~4月の累計販売台数:610台
世界で年間数百万台を販売するBYDからすると、確かに少なく感じるかもしれません。月平均にすると100台~150台程度ですから、「あまり見かけない」と感じるのも無理はないでしょう。
しかし、BYDが日本で乗用車販売を本格的に開始したのは2023年から。参入したばかりの新しい海外メーカーであることを考えれば、着実に販売台数を伸ばしていると捉えることもできます。
「売れていない」というよりは、「まだ普及の途上にある」と表現するのが実態に近いかもしれません。
なぜ売れない?BYDが日本市場で苦戦する5つの理由
では、なぜ世界で人気のBYDが、日本ではまだ大きなムーブメントになっていないのでしょうか。そこには、日本市場ならではの複数の理由が考えられます。
理由1:中国メーカーへの根強い先入観
最も大きな壁となっているのが、「中国メーカー」という点に対するブランドイメージでしょう。
残念ながら、日本ではまだ「中国製品=安かろう悪かろう」というイメージを持つ人が少なくありません。特に自動車は高価な買い物であり、命を預ける乗り物。安全性や品質に対する不安感が、購入をためらわせる大きな要因となっています。
もちろん、現在の中国の技術力は飛躍的に向上しており、特にEVの分野では世界をリードする存在です。しかし、このイメージのギャップを埋めるには、まだ時間が必要だと考えられます。
理由2:ディーラー網(販売店)の少なさ
「欲しいと思っても、近くに相談や試乗ができるお店がない」。これも深刻な問題です。
いくらクルマの性能が良くても、購入後のメンテナンスや万が一のトラブルの際に、頼れるディーラーが近くになければ不安ですよね。
BYDは2025年末までに全国100店舗以上のディーラー網を構築する目標を掲げていますが、2024年6月時点ではまだ約50店舗程度。特に地方にお住まいの方にとっては、購入のハードルが高いのが現実です。
理由3:日本の道路・市場環境とのミスマッチ
日本の自動車市場は、軽自動車やコンパクトカー、そしてハイブリッド車が絶大な人気を誇るという特殊な環境です。
BYDが現在日本で展開しているのは、ミドルサイズのSUV「ATTO 3」やセダン「SEAL」など、どちらかというと欧米市場で好まれるボディサイズ。コンパクトカー「DOLPHIN」もありますが、日本の道路事情や駐車場環境を考えると、「もう少し小さいと嬉しい」と感じるユーザーも多いのかもしれません。
また、マンションなど集合住宅での充電設備の普及が進んでいない点も、EV全体の課題としてBYDの販売にも影響しています。
理由4:強力な国産ライバルの存在
言うまでもなく、日本にはトヨタや日産、ホンダといった強力な国産メーカーが存在します。長年築き上げてきた信頼感やブランド力、そして全国津々浦々に広がる販売・サービス網は、海外メーカーにとって大きな壁です。
特にEVの分野では、日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」といった軽EVが市場を牽引しており、価格帯や使い勝手の面でBYDのモデルとは異なる土俵で人気を博しています。ユーザーがEVを検討する際、まずは身近な国産ディーラーに足を運ぶケースが多いことも、BYDが苦戦する一因でしょう。
理由5:リセールバリューへの不安
クルマを乗り換える際に重要となるのが「リセールバリュー(再販価値)」です。
日本市場に参入して間もないBYDは、中古車市場での買取価格の実績がまだ乏しいのが実情。「数年後にいくらで売れるか分からない」という不安は、購入を踏みとどまらせる要因になり得ます。
今後、日本での人気や知名度が高まり、中古車市場が確立されてくれば解消される問題ですが、現状では慎重になる人が多いのも頷けます。
それでもBYDを選ぶ人はいる!購入者に響く3つの魅力
ここまで厳しい理由を並べてきましたが、もちろんBYDを選んでいる人たちも着実に増えています。「買う人いるの?」という疑問に対する答えは、間違いなく「います」。
では、彼らはBYDのどこに魅力を感じているのでしょうか。
魅力1:圧倒的なコストパフォーマンス
BYDを選ぶ最大の理由、それは「驚異的なコストパフォーマンス」です。
同程度の性能や装備を持つ国産EVや他の輸入EVと比較して、車両本体価格が非常に戦略的に設定されています。
例えば、コンパクトEVの「DOLPHIN」は、国のCEV補助金を利用すると、実質的な負担額は300万円を切ることも可能です。最新の安全装備や便利な機能が標準で付いていることを考えると、「この価格でこのクオリティはすごい」と感じるユーザーが多いのです。
魅力2:先進性とユニークなデザイン
BYDのクルマは、単に安いだけではありません。
例えば、ほとんどの車種に標準装備されている「V2L(Vehicle to Load)」機能。これは、クルマのバッテリーから電力を取り出し、家電製品を使えるようにするもので、アウトドアや災害時に非常に役立ちます。
また、海洋生物をモチーフにした内外装のデザインは独創的で、従来の日本車にはない新鮮さがあります。回転式の大型センターディスプレイなど、未来的なガジェット感も、新しいもの好きのユーザーの心を掴んでいます。
魅力3:手厚い長期保証による安心感
品質への不安を払拭するため、BYDは非常に手厚い保証制度を用意しています。
特にEVの心臓部であるバッテリーに対しては、「8年または15万km(標準)」という長期の保証が付帯。これは、メーカーが自社の製品の耐久性に自信を持っている証拠とも言えます。
「中国メーカーは不安」と感じる人でも、この手厚い保証内容を知ることで、「それなら安心して乗れるかも」と考えるきっかけになっています。
【車種別】あなたはどれを選ぶ?BYD主要モデル比較
現在、日本で購入できるBYDの主要3モデルを比較してみました。ご自身のライフスタイルに合う一台を探してみてください。
車種 | 特徴 | 本体価格(税込) | 航続距離(WLTC) | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|---|
DOLPHIN | コンパクトで扱いやすいエントリーモデル。日本の道路事情にもマッチ。 | 363万円~ | 400km / 476km | 街乗り中心で、初めてEVに乗る人。 |
ATTO 3 | 使い勝手の良いSUVタイプ。ファミリーにも人気で、BYDの主力モデル。 | 450万円 | 470km | 日常使いから週末のレジャーまで幅広く使いたい人。 |
SEAL | 流麗なデザインと高い走行性能が魅力の本格スポーツセダン。 | 528万円 | 640km / 555km | デザインや運転の楽しさを重視し、長距離移動も多い人。 |
※価格や航続距離はグレードによって異なります。補助金を利用することで、上記価格より安く購入できます。
今後について:BYDは日本で普及するのか?
最後に、BYDが今後日本で普及していくのか、その可能性を探ってみましょう。
課題であったディーラー網は、前述の通り2025年末までに100店舗体制を目指して急ピッチで拡大中です。これが実現すれば、地方ユーザーの不安はかなり解消されるでしょう。
また、2025年以降には、さらにコンパクトなSUVや、日本のニーズに合わせた新型車の投入も噂されています。ラインナップが拡充されれば、より多くのユーザーの選択肢に入ってくるはずです。
まとめ
BYDが日本で「売れない」と言われる背景には、ブランドイメージや販売網、市場特性といった複合的な理由がありました。
しかしその一方で、圧倒的なコストパフォーマンスや先進性、手厚い保証を魅力に感じて購入する層が着実に増えているのも事実です。
今はまだ普及の過渡期にありますが、ディーラー網の拡大や日本市場にマッチした車種の登場によって、今後日本のEV市場における「黒船」となるポテンシャルは十分に秘めていると言えるでしょう。
まずは先入観を捨てて、一度お近くのディーラーで試乗してみてはいかがでしょうか。きっと、新たな発見があるはずです。
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