
BMWグランツアラーはなぜ安い?理由や後悔しない中古車選びのポイントを徹底解説
「BMWの7人乗りが、この価格で手に入るの?」
中古車情報サイトを眺めていると、BMW 2シリーズ グランツアラーのコストパフォーマンスの高さに驚いた方もいるのではないでしょうか。しかし同時に、そのリーズナブルな価格に対して、こんな疑問が浮かんでくるのも自然なことです。
「何か見えないデメリットがあるのでは…」
「購入してから後悔することはないだろうか」
「やっぱり維持費が高いのかな…」
大切な買い物だからこそ、慎重になるのは当然です。安いからという理由だけで飛びついて、後から「こんなはずじゃなかった」とはなりたくないですよね。
この記事では、そんなあなたの疑問や不安を一つひとつ丁寧に解消していきます。グランツアラーがなぜ安いのかという核心的な理由から、購入後に後悔しないための具体的なチェックポイント、そして気になる維持費まで、分かりやすく徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、グランツアラーの本当の価値がわかり、あなたにとって「買い」なのかどうかを、自信を持って判断できるようになるはずです。
グランツアラーが中古市場でリーズナブルな3つの理由
多くの人が憧れを抱くBMWブランドでありながら、グランツアラーの中古車はなぜこれほどまでに手が届きやすい価格なのでしょうか。その背景には、主に3つの理由が隠されています。価格の秘密を紐解いていきましょう。
理由1:BMWの伝統とは異なる?FFレイアウトとデザインの影響
グランツアラーの価格を語る上で最も大きな要因は、BMWの伝統とは一線を画す「FF(前輪駆動)」レイアウトを採用した点にあります。BMWといえば「FR(後輪駆動)」が生み出す「駆けぬける歓び」がブランドの核。そのため、熱心なファンにとって、FFレイアウトのミニバンであるグランツアラーは、少々特別な存在として映りました。
この「BMWらしさ」の解釈の違いが、新車当時の評価にも影響し、中古車市場での人気につながっています。デザイン面でも、実用性を重視したミニバン特有のフォルムは、従来のシャープでスポーティなBMWのイメージとは少し異なります。このため、伝統的なBMWファン層からの需要が限定的になり、結果として中古車価格が落ち着く一因となっているのです。しかし、これは走行性能が劣るという意味では決してありません。むしろ、後ほど解説するように、その走りは紛れもなくBMWそのものです。
理由2:すでに生産が終了した後継モデル不在の車種
実はBMW 2シリーズ グランツアラー(F46型)は、2022年に生産を終了しており、その後継モデルは発表されていません(5人乗りのアクティブツアラーは新型へモデルチェンジしました)。一般的に、生産が終了したモデルは、時間の経過とともに中古車市場での価格が下がる傾向にあります。
生産終了という事実は、「最新モデルではない」という印象を与え、常に最新の機能を求める層からの需要が薄れます。これが価格の下落を後押ししているのです。しかし見方を変えれば、これは「完成されたモデルが手頃な価格で手に入るチャンス」とも言えます。モデル末期の車両は、細かな不具合が改修されていることが多く、熟成の域に達しているケースが少なくありません。最新ではないものの、信頼性が高く、BMWの走りを安価に楽しめる、非常においしい状態にあると言えるでしょう。
理由3:強力なライバルがひしめくミニバン市場の環境
グランツアラーが戦う土俵は、強力なライバルがひしめくミニバン市場です。輸入車に目を向ければ、フォルクスワーゲンの「ゴルフトゥーラン」やメルセデス・ベンツの「Bクラス」といった実力派が存在します。どちらもブランド力、実用性ともに高く、常に比較対象とされてきました。
さらに、日本国内に目を向けると、日産「セレナ」、トヨタ「シエンタ」、ホンダ「フリード」といった、使い勝手と快適装備で圧倒的な強さを誇る国産ミニバンが市場を席巻しています。スライドドアの利便性や、行き届いた快適装備、そして何より信頼性の高さと維持費の安さで、多くのファミリー層の心を掴んでいます。このような強力なライバルたちに囲まれていることも、グランツアラーが中古車市場で価格を抑えざるを得ない大きな要因となっているのです。
安さだけじゃない!グランツアラーの知られざる3つの魅力
「安い理由は分かったけど、じゃあ魅力はないの?」と感じた方もいるかもしれません。とんでもない!価格の安さに隠れがちですが、グランツアラーには他のミニバンでは味わえない、確かな魅力が存在します。オーナーになって初めて分かる、その真価をご紹介しましょう。
魅力1:「駆けぬける歓び」は健在!ミニバンらしからぬ走行性能
FFレイアウトだからといって、走りを諦める必要は全くありません。そこはやはりBMW。ステアリングを握れば、ミニバンであることを忘れるほどの一体感と、正確なハンドリング性能に驚かされるはずです。高速道路での安定性は特筆もので、長距離ドライブでも疲れ知らず。まるで路面に吸い付くかのような安定感は、同乗する家族にも安心感を与えてくれます。
特に、少しきつめのカーブを曲がる際には、その真価を発揮します。一般的なミニバンにありがちな車体の揺れ(ロール)が巧みに抑えられており、ドライバーの思った通りのラインをスムーズに駆け抜けていきます。運転が好きな方にとっては、家族サービスと運転の楽しみを両立できる、まさに理想的な一台と言えるのではないでしょうか。この「駆けぬける歓び」は、国産ミニバンではなかなか味わえない、グランツアラー最大の魅力です。
魅力2:最大1,820L!キャンプも余裕な積載性と多彩なシートアレンジ
グランツアラーの魅力は、走りだけにとどまりません。7人乗りというだけでなく、そのシートアレンジの多彩さと積載能力の高さは、多くのユーザーを満足させています。2列目シートは40:20:40の分割可倒式で、3列目シートも50:50で床下に格納可能。これにより、乗車人数や荷物の量に合わせて、車内空間を自由自在に変化させられます。
例えば、家族4人でキャンプに出かけるシーンを想像してみてください。3列目を格納すれば、そこには広大なラゲッジスペースが出現します。その容量は、3列目シートを格納した状態で645L、2列目シートも倒せば、なんと最大で1,820Lにも達します。これは、大型のテントやクーラーボックス、たくさんの着替えや遊び道具を積んでも、まだまだ余裕があるほどの広さです。日常の買い物から週末のアウトドアまで、あらゆるシーンで「積めるかな?」という心配から解放されるでしょう。
魅力3:力強さと経済性を両立!賢い選択肢「ディーゼルモデル」
グランツアラーには、軽快な走りが楽しめる1.5Lガソリンエンジン(218i)に加え、非常に評価の高い2.0Lクリーンディーゼルエンジン(218d)の選択肢があります。このディーゼルモデルこそ、グランツアラーの魅力を最大限に引き出す賢い選択と言えるかもしれません。
ディーゼルエンジンの最大の武器は、その力強いトルクにあります。アクセルを少し踏み込むだけで、7人乗りのボディを軽々と加速させる様は、一度味わうと病みつきになるほど。特に、高速道路での合流や追い越し、坂道での走行では、その余裕のあるパワーが絶大な安心感につながります。さらに嬉しいのが、その経済性。ガソリンよりも安価な軽油を使用し、燃費性能も優れているため、日々のランニングコストを大きく抑えることが可能です。力強い走りと経済性を両立したい方にとって、ディーゼルモデルはまさにうってつけの選択肢です。
【購入前に必読】グランツアラーの注意点とウィークポイント
魅力的なグランツアラーですが、中古の輸入車である以上、購入前に知っておくべき注意点も存在します。ここを理解せずに購入すると「こんなはずじゃなかった」と後悔につながりかねません。しっかりとウィークポイントを把握し、賢い判断を下しましょう。
注意点1:定番のオイル漏れから電装系まで…故障リスクと修理費用
輸入車、特にBMWの中古車を検討する上で避けて通れないのが、故障のリスクです。グランツアラーも例外ではなく、いくつかの定番のウィークポイントが報告されています。最も多いのが、エンジン周辺からのオイル漏れ。これは経年劣化によるガスケット類の硬化が原因で、多くの個体で発生する可能性があります。
また、先進的な電子制御システムを搭載しているがゆえに、電装系のトラブルも散見されます。突然のバッテリー上がりや警告灯の点灯、ナビゲーションシステムの不具合などがその代表例です。ディーゼルモデルの場合は、EGR(排気ガス再循環装置)バルブやインテークマニホールドに煤が溜まりやすく、走行性能に影響を及ぼすこともあります。これらの修理は、国産車に比べて部品代や工賃が高額になる傾向があるため、購入後の修理費用として、ある程度の予算を確保しておく心構えが必要です。
注意点2:大人は正直キツい?3列目シートのリアルな実用性
「7人乗り」という言葉に大きな期待を寄せるかもしれませんが、グランツアラーの3列目シートは、あくまで「エマージェンシー(緊急用)」と割り切るのが賢明です。大人が長時間快適に座るには、足元も頭上もスペースが十分とは言えません。小学校低学年くらいまでのお子さんであれば問題なく座れますが、それ以上の体格になると窮屈に感じるでしょう。
日常的に5人以上で乗車する機会が多いのであれば、国産のLクラスミニバン(アルファードやセレナなど)の方が満足度は高いかもしれません。グランツアラーは、「基本は4〜5人で使用し、いざという時だけ6〜7人乗れる」という使い方に最適なクルマです。購入前には必ず実際に3列目シートに座ってみて、自身の使い方に合っているかを確認することをおすすめします。この点を理解しておけば、購入後のギャップに悩むことはないでしょう。
注意点3:快適装備は割り切ろう!国産ミニバンとの思想の違い
日本のミニバンに乗り慣れていると、その至れり尽くせりの快適装備に驚かされます。パワースライドドア、豊富な収納スペース、後席モニター、USBポートなど、同乗者をもてなすための機能が満載です。一方、グランツアラーは、あくまで「ドライバーズカー」としての思想が根底にあります。
もちろん、基本的な快適装備は備わっていますが、国産ミニバンのような「おもてなし装備」は控えめです。例えば、パワースライドドアは設定がありません。これは、アウトバーンを高速で走行することを想定し、ボディ剛性を優先した設計思想の表れでもあります。快適性や利便性を最優先するならば、国産ミニバンに軍配が上がるでしょう。グランツアラーは、走りの楽しさと実用性のバランスを重視する人のためのクルマなのです。この思想の違いを理解することが、満足のいくカーライフへの第一歩です。
【比較表で一目瞭然】後悔しない中古車選びの黄金ルール
さて、ここからは最も重要な中古車選びの具体的なポイントを解説します。数ある中古車の中から、最高のパートナーを見つけ出すための「黄金ルール」です。比較表を交えながら、誰にでも分かりやすくご紹介しますね。
ガソリン(218i) vs ディーゼル(218d) あなたに合うのはどっち?
グランツアラー選びで最初に悩むのが、ガソリンモデル「218i」とディーゼルモデル「218d」のどちらを選ぶかという点でしょう。それぞれに良さがあるため、ご自身のライフスタイルに合わせて選ぶのが正解です。
- 218i(ガソリン)がおすすめな人
- 年間走行距離が1万km未満の方
- 街乗りや短距離の利用がメインの方
- エンジンの静粛性やスムーズな回転フィールを重視する方
- 初期費用を少しでも抑えたい方
- 218d(ディーゼル)がおすすめな人
- 年間走行距離が1万km以上の方
- 高速道路を使った長距離移動や、通勤・通学で毎日乗る方
- 力強い加速感とトルクフルな走りが好きな方
- 燃料代を抑えてランニングコストを重視する方
スペック・維持費比較表
項目 | 218i (ガソリン) | 218d (ディーゼル) | 備考 |
エンジン | 1.5L 直列3気筒ターボ | 2.0L 直列4気筒ターボ | 218dはパワフル |
最高出力 | 140ps | 150ps | 馬力に大差はない |
最大トルク | 22.4kgm | 35.7kgm | トルクは218dが圧勝 |
燃費(WLTC) | 約13.5km/L | 約17.0km/L | 燃料代に大きく影響 |
自動車税 | 36,000円 | 39,500円 | 排気量区分による |
中古車価格 | やや安価 | やや高価 | 人気はディーゼルが高い傾向 |
狙うなら絶対コレ!マイナーチェンジ後の「LCIモデル」がおすすめ
グランツアラーを狙うなら、2018年6月以降にマイナーチェンジされた、通称「LCI(ライフ・サイクル・インパルス)モデル」を強くおすすめします。LCIモデルは、デザインが洗練されただけでなく、機能面でも大きな進化を遂げており、満足度が格段に高いです。
エクステリアでは、キドニーグリルが大型化され、ヘッドライトやテールランプのデザインも変更。より精悍でモダンな印象になりました。インテリアの質感も向上し、一部グレードではナビゲーションシステムがタッチパネルに対応するなど、利便性が大きく向上しています。そして何より、トランスミッションが従来の6速/8速ATから、より伝達効率に優れた7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)に変更された点が大きなポイントです。これにより、さらにダイレクトで小気味よい走りを実現しています。前期型と比べて中古車価格は少し高くなりますが、その差額を払う価値は十二分にあると言えるでしょう。
前期型 vs 後期型(LCI) 比較表
項目 | 前期型 (~2018年5月) | 後期型(LCI) (2018年6月~) | 注目ポイント |
フロントグリル | 小さめ | ワイドで大型化 | 見た目の印象が大きく違う |
ヘッドライト | ハロゲン/LED | 新デザインのLED | 精悍さがアップ |
トランスミッション | 6速/8速AT | 7速DCT/8速AT | 走りの質感が向上 |
ナビ操作 | iDriveコントローラーのみ | タッチパネル対応(一部) | 利便性が向上 |
中古車価格 | 安価 | やや高価 | 価格差と満足度を天秤にかける |
シミュレーションで丸分かり!グランツアラーの気になる年間維持費
「輸入車は維持費が高い」というイメージが先行しがちですが、実際のところ、年間でどれくらいの費用がかかるのでしょうか。具体的なシミュレーションを見てみましょう。現実的な数字を知ることで、購入後の資金計画が立てやすくなります。
年間維持費はざっくり25万円~が目安
グランツアラーの年間維持費は、乗り方や駐車場の有無、加入する任意保険の内容によって大きく変動しますが、一つの目安として年間約25万円~40万円ほどを見ておくと良いでしょう。もちろん、これは大きな故障がなかった場合の金額です。
年間維持費シミュレーション内訳(218d ディーゼルモデルの場合)
項目 | 目安金額(年間) | 備考 |
自動車税 | 39,500円 | 年1回(4月) |
自動車重量税 | 16,400円 | 車検時に2年分(32,800円)を支払うため、1年あたりで換算 |
自賠責保険料 | 約10,000円 | 車検時に24ヶ月分(約20,000円)を支払うため、1年あたりで換算 |
任意保険料 | 約70,000円 | 年齢や等級、車両保険の有無で大きく変動 |
燃料代(軽油) | 約85,000円 | 年間1万km走行、燃費17.0km/L、軽油145円/Lで計算 |
メンテナンス費用 | 約30,000円~ | オイル交換(年1回)、ワイパー交換など |
合計(目安) | 約250,900円~ | これに駐車場代や車検費用(法定費用以外)、消耗品交換代が加わる |
上記の他に、2年に1度の車検費用として、法定費用とは別に5万円~10万円程度が必要です。また、タイヤ(ランフラットタイヤは高価)やブレーキパッド、バッテリーなどの消耗品交換は、数年単位でまとまった出費となります。特に保証が切れた後の故障修理は高額になる可能性があるため、ある程度の貯えをしておくと安心です。
参考:BMW 2シリーズ グラン ツアラーの燃費や維持費は?内訳や総額もご紹介 – Yanase BMW
まとめ:BMWグランツアラーは「賢い選択」となり得る一台
今回は、BMW 2シリーズ グランツアラーがなぜ安いのか、その理由から魅力、中古車選びのポイント、そして維持費までを解説してきました。
グランツアラーが安いのは、「FFレイアウト」「生産終了モデル」「強力なライバルの存在」という3つの理由が重なっているためです。しかし、それは決してクルマとしての価値が低いことを意味しません。むしろ、「ミニバンらしからぬ走行性能」「圧倒的な積載性」「経済的なディーゼルモデル」といった、他にはない確かな魅力を秘めた、非常にお買い得なモデルなのです。
この記事を通じて、グランツアラーの本当の姿をご理解いただけたなら幸いです。
【BMWグランツアラーは、こんなあなたにおすすめです】
- 家族ができても「運転の楽しさ」を諦めたくない方
- 国産ミニバンでは物足りず、人とは違う一台を求めている方
- 週末はキャンプやアウトドアなど、アクティブに過ごしたい方
- 輸入車に乗りたいけれど、初期費用や維持費は賢く抑えたい方
もちろん、中古の輸入車ゆえの故障リスクや、国産ミニバンほどの快適装備がない点は理解しておく必要があります。しかし、そのウィークポイントを差し引いても、グランツアラーがもたらしてくれる「駆けぬける歓び」と「日常の利便性」は、あなたのカーライフを豊かにしてくれる可能性を秘めています。
ぜひこの記事を参考に、あなたにとってベストな一台を見つけてください。
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