「リビングでは快適なのに、寝室や自分の部屋に行くとWi-Fiが遅くなる」「動画がすぐに止まってしまう」。そんな悩みを抱えていませんか。それは、Wi-Fiルーター(親機)からの電波が届きにくい「死角」ができている証拠です。
解決策は非常にシンプルで、Wi-Fi中継機を設置することです。複雑な工事は一切不要で、コンセントに挿すだけで通信エリアを拡大できます。しかし、種類が多く「どれを選べばいいかわからない」という声も少なくありません。
この記事では、最新事情に合わせた失敗しないWi-Fi中継機の選び方と、初心者におすすめのモデルを厳選して解説します。自宅のネット環境を快適化させるための最適解を見つけましょう。
Wi-Fi中継機の選び方で失敗しない4つのポイント
Wi-Fi中継機は、単に価格やデザインだけで選ぶと「買ったのに速度が変わらない」という事態になりかねません。親機となるルーターの性能を最大限に活かすために、以下の4つのポイントを押さえて選びましょう。
親機のWi-Fi規格と合わせる(Wi-Fi 6以上が推奨)
中継機を選ぶ際、最も重要なのが通信規格(世代)です。親機が最新の高速通信規格「Wi-Fi 6(11ax)」に対応している場合、中継機もWi-Fi 6対応モデルを選ぶ必要があります。
仮に親機がWi-Fi 6対応でも、中継機が旧世代のWi-Fi 5(11ac)だと、中継機を経由した通信速度はWi-Fi 5の上限に制限されてしまいます。現在、販売されているスマホやPCの多くはWi-Fi 6に対応しているため、これから購入するならWi-Fi 6対応モデルを選ぶのが正解です。
予算に余裕があり、より混雑に強い通信を求める場合は、新しい周波数帯(6GHz帯)を使える「Wi-Fi 6E」対応モデルも選択肢に入ります。
親機が最新の「Wi-Fi 7」の場合はどうする?
もし、すでに親機として最新の「Wi-Fi 7ルーター」を導入している場合、中継機選びには注意が必要です。
中継機を「Wi-Fi 6/6E」対応モデルにしても接続自体は可能ですが、中継機を経由した通信はWi-Fi 6/6Eの速度や機能に制限されてしまいます。Wi-Fi 7の最大のメリットである「超高速通信」や「MLO(複数の周波数を同時に使って遅延を減らす機能)」を中継先でもフル活用したい場合は、中継機もWi-Fi 7対応モデル(例:TP-Link RE800BEなど)を選ぶのが理想です。
ただし、Wi-Fi 7対応中継機はまだ種類が少なく高価(2万円前後〜)です。「つながれば十分」という場合はコスパの良いWi-Fi 6モデルを、「親機の性能を無駄にしたくない」という場合はWi-Fi 7モデルを選ぶ、という使い分けがおすすめです。
設置場所に合わせた形状(コンセント直挿し・据え置き)
中継機には大きく分けて2つのタイプがあります。設置したい場所のコンセント事情に合わせて選びましょう。
コンセント直挿しタイプは、本体を直接コンセントに差し込むため、電源コードがなくスッキリ設置できるのがメリットです。廊下や階段の踊り場など、足元の邪魔になりたくない場所に最適です。ただし、本体の厚みで隣のコンセント穴を塞いでしまうことがあるため、サイズ確認が必要です。
据え置きタイプは、電源コードを使って棚の上などに設置します。アンテナ性能が高いモデルが多く、通信の安定性を重視する場合に向いています。コンセントの位置に縛られず、電波の良い位置に微調整しやすいのも特徴です。
「EasyMesh」対応なら設定も切り替えもスムーズ
近年の中継機選びで外せないキーワードが「EasyMesh(イージーメッシュ)」です。これは、親機と中継機が連携して網の目(メッシュ)のようなネットワークを構築する仕組みの標準規格です。
従来の中継機は、場所を移動するたびにスマホのWi-Fi設定画面で接続先(SSID)を切り替える必要があったり、切り替えがうまくいかず電波が弱いままつながり続けたりすることがありました。
EasyMesh対応の親機と中継機を組み合わせれば、家の中を移動しても電波の強い方に自動でスムーズに切り替わります。特にバッファローやNECなどの国内メーカー製ルーターを使用している場合は、同じメーカーのEasyMesh対応中継機を選ぶのが最も手軽で確実です。
デュアルバンド同時接続機能の有無
Wi-Fiには、障害物に強い「2.4GHz帯」と、電波干渉に強く高速な「5GHz帯」の2つの周波数があります。高性能な中継機には、親機との通信と、スマホなどの子機との通信で、これら2つの帯域を効率よく使い分ける機能(デュアルバンド同時接続など)が搭載されています。
安価なモデルでは、親機との通信を行っている間、子機との通信を待機させる必要があり、速度が半減してしまうことがあります。動画視聴やオンライン会議、ゲームなどを快適に行いたい場合は、「デュアルバンド同時接続」や「クロスバンド中継」に対応したモデルを選びましょう。
【2026年最新】おすすめWi-Fi中継機スペック比較表
初心者でも扱いやすく、性能と価格のバランスが優れたおすすめの5機種を比較しました。ご自身の環境(親機のメーカーや設置場所)に合わせて比較してください。
| 製品名 | メーカー | Wi-Fi規格 | タイプ | EasyMesh | 実勢価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| WEX-1800AX4EA | バッファロー | Wi-Fi 6 | 直挿し/据置 | 対応 | 約7,500円 |
| RE700X | TP-Link | Wi-Fi 6 | 直挿し | 対応(OneMesh) | 約8,800円 |
| AM-AX1800HP | NEC | Wi-Fi 6 | 据え置き | 対応 | 約9,000円 |
| RE330 | TP-Link | Wi-Fi 5 | 直挿し | 対応(OneMesh) | 約2,500円 |
| RE815XE | TP-Link | Wi-Fi 6E | 据え置き | 対応(OneMesh) | 約17,500円 |
※価格は記事執筆時点の目安であり、変動する可能性があります。EasyMesh機能の利用には、ファームウェアの更新が必要な場合があります。
初心者におすすめのWi-Fi中継機5選
ここからは、先ほどの比較表で紹介したモデルの特徴を詳しく解説します。それぞれの強みが異なるため、自分の優先順位(安定性、価格、速度)と照らし合わせて選んでください。
バッファロー WEX-1800AX4EA(迷ったらコレの万能機)
国内シェアNo.1を誇るバッファローのスタンダードモデルです。最大の特徴は、コンセント直挿しだけでなく、付属のスタンドを使えば据え置き型としても使える2way仕様である点です。
Wi-Fi 6に対応しており、アンテナを外付けにしたことで電波の飛びが強化されています。もちろんEasyMeshにも対応しており、バッファロー製の親機を使っているなら、AOSSボタンを押すだけで設定が完了する手軽さが魅力です。最初の一台として最も失敗が少ないモデルといえます。
TP-Link RE700X(アンテナ内蔵でスッキリ高速)
世界シェアNo.1メーカー、TP-Linkのハイエンドモデルです。外付けアンテナがないシンプルな箱型デザインながら、内部には高性能なアンテナを搭載しており、Wi-Fi 6の高速通信を余すことなく中継します。
コンセント直挿しタイプですが、厚みが抑えられているため、廊下などに設置しても邪魔になりにくい設計です。専用アプリ「Tether」が非常に優秀で、スマホ画面の指示に従うだけで最適な設置場所を見つけられます。同社の「OneMesh」および「EasyMesh」に対応しており、シームレスな通信環境を構築可能です。
NEC Aterm AM-AX1800HP(ルーターとしても使える据え置き型)
NECプラットフォームズの「Aterm」シリーズを使用している方に最適なモデルです。本機は中継機専用モデルではなく、モード切り替えによって「ルーター(親機)」としても「中継機」としても使えるマルチモデルです。
電源コードを使用する据え置きタイプで、NEC独自の技術によりアンテナ性能が高く、電波の安定性は抜群です。親機と中継機のセット(メッシュルーターセット)としても販売されています。設定モードを「中継機(CONVERTER)」に切り替えて使用します。メッシュ中継機能により、親機と連携して家全体をカバーします。
TP-Link RE330(コスパ重視のサブ機として)
「とにかく安くWi-Fiエリアを広げたい」「速度はそこまで求めないから、つながらない場所をなくしたい」という方におすすめの、高コストパフォーマンスモデルです。
Wi-Fi規格は一世代前のWi-Fi 5ですが、日常的なWeb閲覧やSNS、標準画質の動画視聴であれば十分な性能を持っています。非常にコンパクトで、コンセントの上の口に挿せば下の口を塞がない設計も優秀です。2階の子供部屋や、スマート家電のためだけに電波を届けたい場合などに重宝します。
TP-Link RE815XE(最新規格Wi-Fi 6E対応)
最新規格であるWi-Fi 6Eに対応したハイスペックモデルです。従来の2.4GHz、5GHzに加え、新しく開放された「6GHz帯」を利用できるのが最大の特徴です。
6GHz帯は電波干渉が非常に少ないため、近隣住宅のWi-Fi電波が飛び交うマンションや密集地でも、安定した超高速通信が可能になります。大型の可動式アンテナを4本搭載した据え置きタイプで、電波を届けたい方向に物理的に調整できます。オンラインゲームや4K動画のストリーミングを遅延なく楽しみたいヘビーユーザーにおすすめです。
【番外編】親機がWi-Fi 7ならコレ:TP-Link RE800BE
「自宅のルーターは最新のWi-Fi 7対応モデルを使っている」という方には、中継機も同じWi-Fi 7対応のRE800BEが候補に挙がります。中継機としては高価ですが、最大19Gbps(理論値)という驚異的な速度と、3つの周波数帯(6GHz/5GHz/2.4GHz)を同時に利用できる多重接続技術「MLO」に対応しています。親機の性能を一切妥協せずに拡張したいハイエンドユーザー向けの最適解です。
効果を最大化するための設置ポイント
最高の機種を買っても、設置場所を間違えると効果は半減します。中継機を設置する際は、以下のポイントを意識してください。
親機と「つながりにくい場所」の中間地点に置く
よくある間違いが、Wi-Fiが届かない部屋の中に中継機を設置してしまうことです。中継機自体が親機からの電波をキャッチできなければ、そこから先へ電波を飛ばすことはできません。
正解は、「親機」と「電波を届けたい部屋」のちょうど中間地点です。親機からの電波が「まだ十分に強い」と感じるギリギリの場所に設置することで、強い電波をバケツリレーのように奥の部屋まで届けることができます。中継機のランプの色で最適な場所を教えてくれるモデルも多いため、参考にしながら位置を調整しましょう。
床置きせず、高い位置に設置する
Wi-Fiの電波は、障害物にぶつかると弱くなる性質があります。床に直接置くと、家具や家電の陰になりやすく、電波が広がりません。
できるだけ床から1m以上の高さにあるコンセントや棚に設置してください。これにより、障害物を回避して効率よく電波を飛ばすことができます。また、電子レンジやコードレス電話機の近くは電波干渉の原因になるため、避けるのが無難です。
まとめ
Wi-Fi中継機は、自宅のネット環境を劇的に改善できるコストパフォーマンスの高いアイテムです。選ぶ際は以下の3点を優先的に確認してください。
おすすめの選び方まとめ
- 規格:将来性を考え「Wi-Fi 6」対応を選ぶ。
- 機能:親機と同じメーカー、または「EasyMesh」対応でシームレス化。
- 設置:廊下なら直挿し、リビングなら据え置きタイプ。
今回紹介したモデルは、いずれも設定が簡単で信頼性の高い製品ばかりです。まずは現在お使いのルーターの型番を確認し、それに合った中継機を導入して、家のどこにいてもサクサクつながる快適な環境を手に入れてください。

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