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SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは?日本の現状と私たちができること

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは?日本の現状と私たちができること SDGs

SDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任 つかう責任」は、地球環境の限界を超えずに、豊かに暮らし続けるための「持続可能な生産と消費」を目指すものです。

現状のペースで資源を消費し続ければ、地球がいくつあっても足りません。企業には「環境に配慮した製品づくり」が、消費者には「責任ある選択」が求められています。

この記事では、目標12が設定された背景や日本の深刻な現状(食品ロス・廃棄物問題)、そして私たちが今日から実践できる具体的なアクションについて解説します。

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」が目指す世界

目標12の核心は「より少ない資源で、より多くの良質なものを得る」ことです。これは単なるリサイクル推進ではありません。資源の採掘から生産、消費、廃棄に至るまでのサイクル全体を見直し、環境負荷を最小限に抑えることを意味します。

世界人口は増加の一途をたどっており、2050年には97億人に達すると予測されています。私たちが現在の生活水準を維持しようとすれば、地球約3個分の資源が必要になると言われているのです。

そのため、大量生産・大量消費・大量廃棄という従来の「一方通行型(リニア)経済」から、資源を循環させ続ける「循環型(サーキュラー)経済」への転換が急務となっています。

具体的なターゲット領域

この目標には、具体的に解決すべき課題として以下のようなターゲットが含まれています。

  • 天然資源の持続可能な管理と効率的な利用
  • 世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減させる
  • 化学物質や廃棄物の大気・水・土壌への放出を大幅に削減する
  • 廃棄物の発生を発生抑制、削減、再生利用、再利用により大幅に減らす
  • 企業による持続可能性の情報を定期報告に盛り込むことを奨励する

参考:JAPAN SDGs Action Platform(外務省)

なぜ必要?日本が抱える「食品ロス」と「廃棄物」の問題

日本は清潔で豊かな国というイメージがありますが、SDGsの観点からは大きな課題を抱えています。特に深刻なのが「食品ロス」と「プラスチックごみ」の問題です。

これらの問題は、企業の生産体制だけでなく、私たち消費者のライフスタイルに深く根ざしています。現状を正しく知ることが、解決への第一歩となります。

年間472万トンの食品ロス

日本では、本来食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」が年間約472万トン発生しています(令和4年度推計)。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々への食料援助量(2022年で約480万トン)とほぼ同等の量です。

これを国民一人当たりに換算すると、毎日お茶碗一杯分(約103g)の食べ物を捨てている計算になります。食品ロスは、生産に使われた水やエネルギーの無駄遣いであるだけでなく、焼却処分による温室効果ガスの排出にもつながります。

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使い捨てプラスチックへの依存

日本は、容器包装プラスチックごみの発生量が世界でもトップクラスに多い国です。過剰な包装や使い捨てプラスチックの利便性に慣れてしまった結果、環境中に流出したプラスチックが生態系を破壊する「海洋プラスチック問題」を引き起こしています。

現在、レジ袋の有料化やプラスチック資源循環促進法の施行など、国を挙げた対策が進んでいますが、根本的な解決には「使い捨てない生活」へのシフトが不可欠です。

企業の役割:サーキュラーエコノミーへの転換

企業に求められているのは、単に「環境に優しい製品」を作ることだけではありません。製品の設計段階から廃棄後のことまでを考える「ライフサイクル全体への責任」が問われています。

従来の「作って売って終わり」のビジネスモデルは限界を迎えています。これからの企業は、廃棄物を出さない設計や、製品を長く使い続けるための仕組みづくりが競争力の源泉となります。

サプライチェーン全体の管理

大企業を中心に、自社だけでなく原材料の調達先(サプライヤー)を含めた環境・人権への配慮が求められています。これを「サプライチェーン管理」と呼びます。

例えば、原材料の生産地で児童労働が行われていないか、環境破壊をしていないかを確認し、公正な取引(フェアトレード)を行うことが「つくる責任」の一部です。トレーサビリティ(追跡可能性)の確保は、消費者の信頼を得るためにも欠かせない要素となっています。

製品の長寿命化とリペア(修理)

「壊れたら買い替える」から「修理して使い続ける」へ。修理しやすい製品設計(モジュラーデザイン)や、修理サービスの充実に取り組む企業が増えています。

また、製品そのものを販売するのではなく、機能を提供する「サブスクリプション」や「シェアリング」といったビジネスモデルも、資源消費を抑える有効な手段として注目されています。

消費者の役割:エシカル消費の実践

私たち消費者が持つ「選ぶ権利」は、社会を変える大きな力を持っています。価格や利便性だけでなく、環境や社会への影響を考えて商品を選ぶことを「エシカル消費(倫理的消費)」と呼びます。

「安すぎる商品」の裏には、環境破壊や不当な労働搾取があるかもしれません。日々の買い物で「誰が、どこで、どうやって作ったのか」を想像することが、つかう責任を果たすことにつながります。

認証マークを目印にする

エシカルな商品を選びたくても、どれが良いのか判断が難しい場合があります。その際に役立つのが、第三者機関が審査・認定した「認証マーク」です。

代表的な認証マークとその意味を整理しました。

認証マーク名称対象となる商品・意味
MSC認証海のエコラベル水産資源や海洋環境に配慮し、持続可能な漁業で獲られた水産物。
FSC認証森林認証制度適切に管理された森林の木材から作られた紙製品や家具など。
国際フェアトレード認証フェアトレード開発途上国の生産者と公正な価格で取引され、人権や環境に配慮された製品(コーヒー、チョコ等)。
有機JASマーク有機食品農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで生産された農産物や加工食品。
RSPO認証持続可能なパーム油熱帯雨林の保護など、環境や社会に配慮して生産されたパーム油を使用した製品。

これらのマークがついた商品を選ぶことは、持続可能な生産に取り組む企業や生産者を応援することに直結します。

家庭でできる「3R」と食品ロス削減

買い物の仕方だけでなく、家庭内での行動も重要です。基本となるのは3R(リデュース・リユース・リサイクル)ですが、中でも最も重要なのは、ごみそのものを出さない「リデュース」です。

  • 手前から取る(てまえどり): すぐに食べる食品は、賞味期限が近い手前の商品から購入し、廃棄を防ぐ。
  • 使い切りレシピの活用: 野菜の皮や芯など、今まで捨てていた部分も工夫して料理する。
  • コンポストの導入: 生ごみを堆肥化し、家庭菜園などで循環させる。
  • マイボトルの利用: ペットボトルの購入頻度を減らす。

一人ひとりの行動は小さくても、多くの人が意識を変えることで、市場全体の流れを変えることができます。

まとめ:未来のために「選び方」を変えよう

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、企業と消費者が協力しなければ達成できない目標です。私たち消費者にできることは、以下の3点に集約されます。

  1. 知る: 商品の背景や、現在の環境問題について関心を持つ。
  2. 選ぶ: 認証マーク付きの商品や、長く使えるもの、環境負荷の少ないものを選ぶ。
  3. 使い切る: 買ったものは最後まで大切に使い、食べ残しや無駄な廃棄を減らす。

持続可能な社会の実現は、我慢することではなく、より賢く、より質が高い選択をすることです。次回の買い物から、手に取る商品の「背景」を少しだけ意識してみませんか。

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