マンションを売却するなら、少しでも高い価格で手放したいと考えるのは当然のことです。しかし、闇雲に高値をつけるだけでは売れ残ってしまい、結果的に値下げを余儀なくされるケースが後を絶ちません。
結論から言うと、マンションを高く売るために重要なのは以下の3点です。
- 実勢価格(成約相場)を正確に把握する
- 物件の「強み」を最大化する内覧対策を行う
- 囲い込みをしない信頼できる不動産会社を選ぶ
本記事では、不動産市場の最新動向を踏まえ、マンション売却を成功させるための具体的な戦略と手順を解説します。
市場動向と適正相場を把握して高値売却の土台を作る
マンションを高く売却するための第一歩は、適正な「相場観」を持つことです。売主の希望価格と、買主が購入したい価格には必ずギャップが存在します。この差を埋めつつ、いかに相場の上限を狙えるかが勝負となります。
多くの売主が参考にする不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)の掲載価格は、あくまで「売り出し価格」であり、実際に売れた「成約価格」ではありません。売り出し価格は売主の希望が含まれているため、実勢相場より高めに設定されていることが一般的です。
正確な相場を知るためには、国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」などの公的な取引データや、不動産流通機構が運営する「レインズ(REINS)」の情報を参照する必要があります。特にレインズのデータは、不動産会社を通じて確認することで、近隣エリアのリアルな成約事例を知ることができます。
また、昨今の市場は金利上昇の懸念があるものの、都市部を中心にマンション価格は高止まり傾向にあります。自身のエリアが上昇トレンドにあるのか、停滞しているのかを客観的なデータで見極めることが重要です。
高く売るための媒介契約の種類と不動産会社の選び方
マンション売却の成否は、パートナーとなる不動産会社選びで8割が決まると言っても過言ではありません。大手だから安心というわけではなく、そのエリアでの販売実績や、担当者の熱意が非常に重要になります。
不動産会社と結ぶ「媒介契約」には3つの種類があり、それぞれの特徴を理解して選択する必要があります。自身の状況に合わせて最適な契約形態を選ぶことが、高値売却への近道です。
| 契約の種類 | 特徴・メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数の会社に重ねて依頼できる。 人気エリアなら競争原理が働き高く売れやすい。 | 各社が広告費をかけにくく、優先順位を下げられるリスクがある。 報告義務がないため状況が見えにくい。 |
| 専任媒介契約 | 1社に任せるため、手厚いサポートが期待できる。 2週間に1回以上の報告義務がある。 | 依頼した会社の実力が低いと売れない。 自社で買主を見つける「囲い込み」のリスクがある。 |
| 専属専任媒介契約 | 最も拘束力が強いが、1週間に1回以上の報告義務がある。 売主への報告頻度が高く安心感がある。 | 自分で買主を見つけても契約できない(仲介を通す必要がある)。 囲い込みのリスクが最も高い。 |
一般的に、築浅で人気の高い物件であれば「一般媒介」で競争させるのが有効ですが、売り出し物件が多いエリアや少し条件が不利な物件の場合は「専任媒介」でしっかり営業してもらう方が良い結果につながります。
リフォームは原則不要!内覧時の印象アップ戦略
「高く売るためにリフォームをした方が良いですか?」という質問は非常に多いですが、基本的には売却前の大規模リフォームは不要です。なぜなら、数百万円のリフォーム費用を売却価格にそのまま上乗せして回収することは極めて困難だからです。
最近の買主は「購入後に自分好みにリノベーションしたい」と考える層が増えています。そのため、中途半端にリフォームされている物件よりも、価格が適正なそのままの物件の方が好まれる傾向にあります。
ただし、清潔感は必須です。特に水回り(キッチン、浴室、洗面所)の汚れやカビは、買主の購買意欲を著しく低下させます。リフォームにお金をかけるくらいなら、数万円~10万円程度で依頼できる「プロのハウスクリーニング」を利用する方が、費用対効果は圧倒的に高いです。
また、居住中の売却であれば、不用品を処分して室内を広く見せることや、内覧時に照明を全てつけて明るく演出するなどの「ホームステージング」の視点を持つことが大切です。
売出し価格の設定と値下げ交渉への対抗策
売出し価格(プライシング)は、売却活動において最も繊細で戦略的な要素です。相場よりも極端に高い価格設定は、ポータルサイトでの検索条件から外れてしまい、誰の目にも留まらない「晒し物件」になるリスクがあります。
おすすめの戦略は、相場の上限価格よりも「少しだけ高い」価格、あるいは検索されやすい「端数価格」を設定することです。例えば、3,000万円が相場の場合、2,980万円にするとお得感が出ますが、3,180万円で売り出して様子を見るといった調整が必要です。
また、売却活動が進むと必ずと言っていいほど「値下げ交渉(指値)」が入ります。この時、慌てて大幅な値下げに応じる必要はありません。
事前に「ここまでは下げても良い」という下限価格を決めておき、その代わりとして「引き渡し時期をこちらの希望に合わせてもらう」「現状渡し(契約不適合責任の免責)にする」といった条件交渉のカードを用意しておくことが、賢い売り方です。
【2025年最新】マンション売却査定完全ガイド|高値で売る5つのステップと失敗しない戦略
まとめ:焦らず戦略的に動くことが高値売却の鍵
マンションを高く売却するためには、市場データを冷静に分析し、感情ではなく戦略に基づいて判断することが不可欠です。本記事のポイントをまとめます。
- 価格調査:売り出し価格ではなく「成約価格」を基準にする。
- パートナー選び:物件の特性に合わせて「一般媒介」か「専任媒介」かを見極める。
- 物件の準備:高額なリフォームは避け、ハウスクリーニングで第一印象を良くする。
- 交渉戦略:安易な値下げはせず、条件面での交渉材料を用意しておく。
不動産売却は、一生に数回あるかないかの大きな取引です。一括査定サイトなどを活用して複数の不動産会社の話を聞き、信頼できるパートナーを見つけることから始めてみてください。

コメント